フワフワサンドで心にスパイス
クレアよ。
まあ、今回は今回だわ。
別に、これからもいつも通りの私の日常が繰り返されるだけだわ。
そうね。
あとは、レイだけ、
やっぱり、私がやらないと駄目なのかしらね。
「お二人とも、そろそろ時間ですぞっ」
ずっとアーティストの紹介動画やらが流れていたスクリーンに、急に兄が映し出された。
なんか背景が、zoom会議みたいになっていて、兄の周りが少し加工しきれずに透けていて、普通の家の壁紙が見えた。そこから見える窓から外では雨が降っていることが確認できた。
「そういえば、あんたに最後に言っておくけど、」
「なによ」
「あんた、あんまり歌上手じゃないのね」
それは、言っちゃ駄目ですよ。
「本気を出してないだけだわっ」
珍しく、私は強がった。
「あ、おかえり。結構時間経ったよね?」
「ええ、そうですね。もう、三時間くらいっ」
私とリリカの代わりに兄が答える。
三時間も私とリリカは話していたのか。
「どう、仲良くなった?」
まあ、彼女次第と言いたいところなのだが。
私は、彼女の出方を窺う。
「別に、変わらないわよ。アユ、テト、帰りましょうっ」
そういって、リリカは二人を引き連れて、三人は城に戻っていった。
「お姫様は、どうだったの?」
リュカが私にたずねてくる。
「まあ、思った通りのやつよ、あいつは」
まあ、予想に反することはほとんどなかったもんな。
「私たち、あの二人と結構遊んだのよ。えっと、金髪の子が、」
「金髪がアユ、青髪がテト」
暗唱したものをそのまま唱える。
「クレア、案外ちゃんと覚えてるんじゃん。なんか、意外」
まあ、ややこしいからな。
「そりゃ、当たり前よ。女王なんだから、国民の名前くらい覚えていて当然だものっ」
私が女王になったら、国民全員の名前を全て統一しよう。
「まあ、今日も結構遅くなっちゃったし、帰るよ。明日からはさ、せっかく今日こんなに話してきたんだから、これからちゃんとリリカ様とも仲良くしてよね」
リュカは、相変わらずまとめ役として大成している。
前世でも、きっと社長とかになって金を稼ぐタイプなんだろうな。
「ちょっと、私これから忙しいかも」
三人がキョトンとした顔をしている。
「なんか、お姫様が忙しいのは珍しいね」
「まあ、別に私たち普通にこっちに来てると思うし、暇ならまたここに庭に来てもらえれば大丈夫よ」
「わかったわ。じゃあ、またね」
そういって、私はいつものごとく三人に手を振った。
「なにか、あったのかい?」
「キャッ」
私は、びっくりしてつい声が出てしまう。
この、背中がゾッとするような声。
「どうしたんだい、我が愛しき妹よっ」
兄だわ。
突然、私の背後に現れた。
いや、さっきからずっといたのか。
「どうせ、全部聞いてたんじゃないの?」
兄は、「さあ」と両手を軽く挙げる。
「お兄ちゃんも、手っ取り早くレイに外に出てもらうには、カイくんに頼ったほうがいいのはわかるでしょ?」
「別に、そういうわけでもないと思うけどね。それに、カイくんだってどちらかというとレイ側の人間だからねっ」
まあ、ようするに普通の男の子だ、というわけだ。
「お兄ちゃんは、神様かなんかなの?」
「別に、僕はただの妹を溺愛する普通の兄だよっ」
私は、半ば信じていたのだが、兄はそういって、はぐらかした。
それはそうなんだろうけど、
今更ながらに、
明らかに変じゃん。
剣と魔法の世界じゃないのよ。まあ、魔法を使える人は何人かいるみたいだけど。
ただの、私がいた現代よりも文明が遅れているだけの世界だ。
「まあ、いいわ。伏線も、なんにもないもの。きっと、お兄ちゃんが何者かなんてわからずに終わるんでしょうね」
「ああ、そうだね。まあ、この物語において、僕が何者だろうと特に関係はないからっ。だけどまあ、僕だってなんでもできるわけじゃないからっ。昔のクレアも、機嫌を取るの大変だったんだぞっ」
きっと、物心が付く前の話だろう。
「今は、そんなことないでしょ?」
「まあ、大人だからね」
一体、どこまでわかっているのだろうか。
Q もしかしてさ、あんた今そこで呼んでも来るんじゃないの?
私 でも、こっちで呼ぶのはいいですけど、呼んだついでに世界が崩壊したりするかもしれませんよ?
Q 別に、いいじゃない、関係ないわ。それに、きっと大丈夫よ。
私 撮れ高さえあれば、大丈夫ですか?
Q あんたも、ずっとずっとその話ばかりじゃない。別に、関係無いでしょ?こっちは、宣伝してあげてるのよっ。
私 どうせ、完成版みたいなの見たら、私が怒ってるところだけ切り抜かれたりするんじゃないでしょうね?
Q ちゃんとあんたにも見せてから放送するものっ。あんたこそ、ずっと古いイメージのままで面倒くさいのよ、本当に。こっちがちょっと歩み寄ろうと思ったら、またこうよ。ホント、そっちのあんたとなんにも変わらないじゃない。
私 ・・・いや、すいませんね。なんか、変に敏感になっていただけかもしれないです。
Q ・・・あ、そう?いや、別に謝ってほしかったわけでもないんだけど。
私 一回、普通にというか仲良い感じでやってみませんか?
Q ええ?でも、なんか変じゃない?
私 大丈夫ですよ。まあ、次からそうしましょ。
Q いや、まあいいですけど、
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
また見てね




