皆が知らない歌でも、躊躇無く歌うわ!!
クレアよ。
また、リリカがしつこく私に話しかけてきて、ホント面倒だわ。
なんで、こんなやつが貴族なのかしら。
まあ、いいわ。
そうね、次はなにを歌おうかしら。
「あらあら、無様だわねwwww」
リリカだ。
名前を覚えざるを得ないくらい、鬱陶しい。
毎度のごとく、彼女の後ろにはアユとテトの二人がくっついている。
「そっちこそ、その年になっても二人にお世話してもらってるようで、まだ子供じゃないのっ」
「あんたこそ、その後ろの汚らしい三人は、なんなのよっ」
「知らないわよっ。でも、あんたは新しい友達も作れないの?」
こちらが煽れば、すぐに乗ってくる。
「俺達はお姫様の友達だよっ」
まさか、そんな言葉を聞く日が人生で来ることになるとは思いもしなかった。
「俺はリュカ、で、彼がユウで彼女がミンス」
リュカに紹介された二人が「よろしく」と頭を軽く下げる。
リリカの後ろにいるアユとテトは彼らに会釈を返す。
「ふん、アユもテトも気にしなくていいのよ。私は、あんたと違って庶民と遊ぶ暇はないからっ」
「なにを言っているの?私の方が時間はないわよっ。私は、この国の女王になるのよっ。あんたこそ、下級貴族のくせにいっつも出しゃばって、目障りだわっ」
まあ、私と比べて下級だ、ということだ。彼女だって、お付きのものが二人もいるのだから、ある程度くらいも高いのだろう。なにせ、私は城の大人とほとんど面識もないくらいなのだから、彼女たちの親がどのような人物なのか、わからないのだ。
「えっと、リリカ様だっけ?俺達とも、仲良くしようよ。その、お姫様のことを嫌いなのは、なんとなくわかったけど、俺達同い年だしさ」
なんのためらいもなく、リュカはそうリリカに話しかけた。
なんか、リュカにも治安の悪いところで育ったなりの苦労がありそうだな。
まあ、そんなものには興味がない、ということでこの物語ではいっさい説明しませんけど。
「なんなのよあんたは。それに、こないだ決めたじゃないのっ。あんたたちは、私が支配するのっ。わかった?」
「あらあら、融通の利かない子ねっ。大丈夫よ、こんなやつ気にしなくていいわっ。私たちは遊びましょっ」
「別に、俺達、えっと、七人で遊べばいいじゃん」
「あんたは、黙ってなさいっ。そういえば、あんたの妹部屋から出てこなくなったらしいじゃないっ」
「あら、それがどうかしたのかしら?」
広い城の中でも、噂話というものはすぐ広まるものなのだな。
まあ、事実ではあるが。
「あんたのせいなんじゃないの?」
まあ、所詮は子供。
別に、こちらが本気になる必要なんかない。
「なによ、うるさいわね。殺すわよっ」
リリカが一瞬怯み、そしてアユとテトが彼女をかばうように一歩前に出る。
こいつ、私より身分が低いくせに護衛引き連れてるなんてずるい。
「まあまあ、わかったわ。アユ、テト、あんたたち私が雇うわっ。いくら払えばいいのかしらっ」
まあ、城で暮らしている私たちには金なんて、あってないようなものだけれども。
「そんなんで落とそうたって無駄よ」
「あのさ、その、」
リュカが、頭をボリボリと掻く。私も、面倒くさいときとか、頭掻くよな〜。
「なんで、すぐ喧嘩になるわけ?」
それを突っ込まれたら、こちらの一応ギャグという作品の性質が殺されることになるんですけど・・・。
「庶民には、わからないことだわっ。口出さないでっ」
「まあ、リリカ様もさ、大人になろうよ」
なんだろうか、身内びいきされているのかな?これって。
私のことも注意すべきだと思うのだよ。その、喧嘩を買っておいて変なことを言っているのは承知なのだが。
「はあ、私は変なことは言ってないわよっ」
リリカ様、あなたこそそんなことを注意されて恥ずかしくないんですか?
私は、卑怯だとは思いながらも、彼女がボロを出すことを期待してリュカとリリカが喋っている様子を外から眺めていた。
今思うと、二人の名前は少し似てるな。
全然関係ないんだけど。
「一回さ、普通に二人だけで話してみたら。その、同い年だし、案外気が合うかもよ」
一瞬、リリカと目が合う。そして、彼女はすぐに私から目をそらす。
リュカは、多分同い年なら全員仲良くなって当然、と考えているのだろう。いったい、何回「同い年」と言ったのだろうか。芸人とかが「こことここ同期」という感覚ときっと同じなのだろう。
「な、なんで私がこんな奴と話さなきゃいけないのよっ」
そっちが嫌がってるなら、こちらはせっかくだし最終手段を使わせてもらおう。
「お兄ちゃんっ」
今度はどんな登場をするのか、と期待したのだが、兄はたまたま近くにいたみたいで「呼んだ?」とこちらに小走りで向かってきた。
「私とリリカを、どっか適当なところに連れてって」
「どうぞ」
気づいたときには、もう二人だけの空間にいた。
でも、なんかデカい画面に、テーブルに、エアコン、普通の照明と色のついている照明。それと、マイクが四つあって、パネルみたいなのが二つある。
これ、カラオケじゃね?
「三時間みっちり話しててもらっていいからね」
以前は、都合良く気絶させられたり、カイくんが全然起きなかったりしたけど、今回は都合が良くならない代わりに、カラオケで歌を歌ってごまかせるということなのだろうか。
どっちにしろ、強引に用意されたこの舞台装置を上手く使うしかない。
リリカの方を見ると、なぜか現代風のファッションになっていた。まあ、ファッションというよりは、ただのセーラー服を着て、その上によくわからないけど彩度の高いパーカーを着ている。
私も、同じような恰好をしていた。
「あんた、なに歌うの?」
まあ、コンカフェに来たみたいな感じなのか?
リリカは、不思議がったり困惑したりする様子はなく、普通にカラオケをしようとしていた。
「それなら、AimerのI beg youよ」
「なにそれ?」
「Fateの歌よ。あんたは、黙って聞いてなさいっ」
急に始まるから、集中しないといけないんだ。
Q 今度は、カラオケ聞かせる気なの?
私 カラオケに放り込まれたら、そうするしかないですよ。今度、カラオケに私と行きますか?
Q 別に、これを見た後でもこれを見る前も、あなたとはどこにも行きたくない、というこの思いは変わりませんよ。
私 あら。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
また見てね




