気に入らないことがあったら、ちゃんと選挙で決めるわよ!!
クレアよ。
今は、街のガキどもを従えてるだけだけど、いずれは世界を征服するの。
そして、カイくんと結婚するんだわ!!
それこそが、私の純愛なる異世界ライフだわ!!
翌日
「集まりなさいっ」
私がいない日も、ガキどもは庭に集まってそれぞれ思い思いに遊んでいたのだろう。
だがしかし!!
誰が、ここに遊び場を作ってあげたと思っているのだ。
と思っていたが、なんか今日はそのガキの集団にまざってひょっこり、リリカたち三人が混ざっていた。
「あらあら、一昨日だったかしら?あんた、喧嘩したんだって?子供みたいね?ウケるわww」
先程まで皆に混ざって遊んでいたリリカが、私の真正面に来て、私を挑発してくる。
「あんたは、知らないだけよ。大人でも、喧嘩はするものだわ。それに、私は悪くないしっ」
私は、顔がくっつかんばかりに近づけ、リリカに言い返す。
まだまだ、リリカは余裕そうだった。
「いいわ、ちょっと、そこどきなさいよっ」
リリカが、私を両手で押し倒して、さっきまで私が立っていた場所を勝手に占領している。後方には、いつものごとく、アユとテトがいる。
「ちょっと、子どもたち。ずっと、こいつの言うことを聞かなきゃいけなくて飽きてたんじゃないの?」
リリカが私の方を指さして、そんなことを言うのだ。子どもたちが、ぞろぞろと集まってきた。
が、あまり、ガキどもの反応は芳しくない。
「今日から、こいつじゃなくて、私についてきなさいっ」
「ちょっと、待ちなさいよ、あんた。それに、あんたたち」
ガキどもの方を向く。
別に、いつも通りの反応だ。
「こいつも私も、どうせ大して変わんないわ。だから、私の言う事を聞きなさいっ」
ほんとそう。少なくとも、元庶民の私の方が気持ちはわかっているに違いないわ。
「あのさ、」
リュカが、声をあげる。
「俺達自由に遊んでるからさ、お姫様も、そっちの方たちと四人で遊んだらどうですか?ねえ」
いつの間にやら成長していたガキたちが「確かに」だとか「そうだそうだ」と口々に喋り始める。
ほんと、成長は厄介なものだ。
「は?なに言ってんのよ。私は、女王としてあんたたちを統治してあげてるのよ。あんたたちに秩序をもたらしてあげてるんじゃないのっ。それなのに、なによ」
「あんたは黙ってなさい。私は、リリカっていうの。それに、こっちの二人は、アユとテトよ。覚えたかしら?じゃあ、私たちについてくればいいわ。そうよ、私はあんたたちを自由に遊ばせてあげるわっ。こいつから、私が解放してあげるわよっ」
もしかして、革命ってこんな感じで起きるのかな?でも、別に私の管轄化では喧嘩もなければ揉め事もなかったはずよ。
素晴らしい女王だったはずよ。
「あの、えっと、リリカ様?ですか。俺達、自由に遊びますから」
「あなた、ここはそもそも城の敷地なのよ。こいつが、勝手にあんたたちを誘い込んだせいだけど、こっちが許可を出さないとここは使えないのよ。いい、私に従うなら、ここも使わせてあげるし、自由に遊ぶのも許すわ。でも、こいつに従うと、今までと変わらないつまらない遊びばっかりさせられることになるわ。どっちにも従わないって言うなら、ここはあんたたちなんかに使わせないわっ」
「じゃあ、リリカ様。俺達、多数決で決めるからちょっと待ってて下さい」
リュカが、リリカに対してそう言い放った。
一瞬、「どの世界にも多数決ってあるもんだな」と思ったのだが、そういえば私の入れ知恵で前に投票してもらったんだわ。
ああ、なんでこうも巡り巡って私を苦しめることになるのよっ。
まあ、負けるわけがないけど。
「あの、お姫様さ、紙持ってないの?」
「・・・ハア、お兄ちゃん」
いつものごとく、困った時は兄を呼ぶのだ。
風が強く吹き荒れる。庭の木々が、轟々と音を立て始め、城の壁にぶつかる風がこちらに反射してくる。
そして、例の如く雲が立ち込め始める。
あっという間に、大雲団が出来上がり、それがどんどんと厚みを増していく。
そして、急に風も、雲の動きも、全てが止まる。
そして、世界が画用紙のように私の目の前でくしゃくしゃと丸められていく。
ガキどもも、リリカたちも、城も、山もなにもかもが、くしゃくしゃと丸まり、そして丸まった何かが、どこかへポイッと捨てられる。
「やあ、愛しき妹よっ」
後ろから兄の声が聞こえる。
振り返ろうとするが、動けない。
ここで初めて、私が動けなくなっていることに気づく。
すると、急に先ほどまでの光景が逆再生されていく。
くしゃくしゃに丸められて捨てられた世界が、目の前でもう一度広がっていく。森羅万象が、兄の手によって逆再生、ある意味再生されていく。そして、リリカたちももとに戻り、先程の光景に、いつの間にか兄だけが足されていた。
「どうしたんだいっ」
「お兄ちゃん、前みたいに紙持ってきて、それに魔法をかけてっ」
「どうぞっ」
さっきまでは、手のひらになにもなかったはずなのに、いつの間にか兄の手の中に紙が現れた。
「魔法も、もうかけてあるよっ」
「じゃあ、配って」
もしかすると、それくらいは私がやると思っていたのかもしれない。兄は、一拍置いてから、ガキどもにその紙を配った。
「ちょっと、後ろの二人。あんたたち暇なんだから、集計しなさいよねっ」
「あんたは、勝手に命令するんじゃないわよっ。アユ、テト、集計は任せるわよっ」
別にどっちが命令したって、いいじゃないか。
「いい、あんたたち。私に従うか、このゴミカスに従うか、誰にも従わないか、よ。わかってるわよねっ」
もちろん、分かっているとは思うけれども、私は勘の悪いガキに向けて一言いっておく。
「ありがとね、お兄ちゃん。もう、帰って良いわよ」
「また、いつでも呼んでくれよっ」
そういって、兄はどこかへ消えていった。
「あんたのお兄さんは、いつもどうなってるのよ」
「は、そっちの二人だってやろうと思えばどうせ、できるんでしょ?」
私はアユとテトの方を見るのだが、二人とも「いえいえ」と手を横に振っている。
「あんな魔法、見たこと無いわっ」
まあ、こういう小難しい話は考えないようにすればいいのだ。
「お姫様、終わったよ」
それにしても、生意気なガキだわ。たまたま私と同い年だからって、調子に乗りすぎじゃないかしら。
真面目ぶっちゃって。気に入らないわ。それに、お姫様ってなによ。もっと、敬意を持って呼んでほしいものだわ。
また見てね




