空も飛べるわよ。異世界だもの
クレアです。
仲直りの方法なんてものはわからないので、そういうときはとりあえず力技ですかね。
まあ、まだ私の話は続きますから、見てってください。
というわけで翌日
「おい、コラっ。開けなさいよっ!!」
斧を担ぎ、私は
Q あの、あなたなにやってるんですか?バカですか?
私 何がですか?所詮は子供の喧嘩ですよ。ちょっと時間が経てば終わりですよ。
Q だからって、もしかして、斧で殺すつもりとかじゃないでしょうね。
私 さすがに、それは大丈夫っす。
Q でもさ、昨日の今日じゃない。そんな、無理矢理突入してなにになると思ってるわけよ。
私 だから、私だって精神はだいぶおばさんですけど、外見は一三歳の可憐な少女なんですから、なんにも問題ないですよ。ずっとギスギスしている方が問題でしょ?
Q だからといって、空気読めないっていうか、そうやってズカズカ人の心を踏みにじるっていうのも駄目ですよ。
私 また踏みにじられてるって思うのなら、それは俗に言う被害者ムーブですよ。
Q 子供なんだから、やっぱり大人気ないですよ。ただでさえ、自分より小さい子供たちを集めて王様気取りで遊んでるのに。というか、痛いですよね。
私 さっきから私の批判ばっかりして、別にいいじゃないですか。
Q だから、やっぱあなたの心が大人なのが問題なんですよ。
私 そこは、見る側の問題です。
Q 違いますよ。いくらあんたでも、限界はありますからね。あなただって反省くらいしておいてもらわないと意味ないですよ。
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「おい、コラっ。開けなさいよっ!!」
斧を担ぎ、私は斧で扉をぶん殴る。
もちろん、斧なんて使ったことはない。重いし、女子中学生程度の力では結構大変だったのだが、それでも力の限り扉に斧を突き刺す。はずだったのだが、いつの間にか分厚くされてしまっていたのだ。
なかなか、貫通する程の穴は空かない。
「早く、カイくんをよこしなさいっ!!」
私が斧を振りかぶったところで、扉がミシミシと開き始める。
「あの、お姉様。ちょっと、今日は、」
レイを避難させ終えたのだろう。ほんのりと額に汗を滲ませているカイくんが隙間から私に声をかけてきた。
「あら、カイくん」
「あの、昨日のこともありましたし、やめてもらえませんか?」
彼の顔には、あまり表情も無く、声にもあまり感情がこもっていなかった。
が、そんなのはまったく関係ない。
「じゃあ、交換条件よっ」
「ハア、・・・なんですか。その、それで、もうこんなことはやめてもらえますか?」
「カイくん、遊びましょ。それで、やめてあげてるわっ」
カイくんは、やれやれ、という顔で「わかりましたよ」と苦虫を噛み潰したように言った。
私は、斧を窓の外に投げ捨てて、扉の前で待った。
すると、扉の隙間からレイとカイくんの会話が聞こえてきたのだが、
「あの馬鹿野郎が、俺と遊んだらもう、ここに邪魔しに来ないって言ってましたから、俺行ってく来ますよ」
「カイは、絶対に私のこと好きなんだよね?」
「え、・・・まあ、そう、・・・なんですかね?」
「まあ、今はそれでいいわよ。あいつに変なことされても、絶対に断りなさいっ」
「そのくらいは、大丈夫ですよ」
「あのさ、k、き、・・・キッスしてみない?」
「そんな、恥ずかしいですよ」
「じゃないと、私心配なのっ」
・・・・・・・・
・・・うえ?
なんか、あんまり聞かない方が良かったかな。
「じゃあ、ほっぺな、・・・やっぱり、駄目です」
「じゃあ、駄目。絶対に私から離れないでっ」
「でも、それだとあのゴミクズ野郎がまた来ますよ」
・・・・・
聞こえてますけどね。
見えてはいないから、まだいいけど。
・・・・・ゴミクズ野郎って呼ばれてるの?私?
「じゃあ、キスしてよ」
大丈夫なの?それだと、いまいちキスに振り切れない気がするけど。
「え、でも、」
なんか、ちっさく「ちゅ」みたいな音が聞こえた気がするんだけど。
「え、・・・?」
「行ってきなさい。・・・ごめんね、こんなことさせて、」
「・・・・・・・行ってきます」
ガチャガチャガチャ、カチッ
扉が開く。一応、扉の横の辺りに移動して聞かないようにしてあげたが、それにしても、カイくんは賢者タイムみたいにすっきりとした顔で登場した。
「・・・・・あの、なにやってたの?」
「なんにもやってないっすよ」
「あら、そう」
まあ、なにしてたかなんて全部聞こえてたからわかってるけどね。
それにしても、カイくんと二人か。
願ったり叶ったりの状況ではあるが、なにをやるか決めてなかったな。それに、どちらかというとレイが出てきて、なんか仲直りのチャンスができるんじゃないか、って思ってたのに。
まあ、このチャンスを逃しては駄目よ。
「あ、あのさ、カイくんて趣味とかないの?」
「・・・別に、」
それ、前世で言ったらバカにされるわよ。
ふてくされたように、そっぽを向いたままカイくんは言葉を放った。
「あのさ、サッカーとか得意だよね?」
「・・・なんで知ってるんですか?」
「そ、それは、・・・すk、」
「・・・?」
あれ、なんか急に照れが。
これ、あれかな?なんか、元の自分に戻ったみたいというか、異世界だからハメ外してたけど、もともと私こんな感じだったよな。
「ま、お姫様なんだから、知ってて当然よっ」
なんとか持ち直す。
二〇代中盤の女性として教え子でもない中学生男子と接するのは倫理的に問題がある。
その、恋愛対象として見ているから。
私は、この子と同い年なの。心の年齢なんて関係ないわっ。
それに、ここは異世界。都合の良いことが起こり続けるから、異世界なのよ。
「あのさ、カイくんは夢とかないの?」
「・・・バカにするつもりですか?」
私、そんな感じに思われてたの?
「そんな、私は人の夢をバカにするほどバカじゃないわっ」
「・・・そうなんすか」
カイくんが、またそっぽを向いてしまった。
それに、ここで立ったまま話してても仕方ないわ。
でも、部屋に連れ込むと拒否されそうだし、
・・・・・
困ったわね。
「お兄ちゃんっ」
「お前かーーっ!!!!!!!!」
今回も、すっかり派手な登場をしてくるのかと思いきや、派手ではあるのだが、兄が叫びながら廊下の向こうから全力ダッシュで登場した。
そして、またたく間にカイくんの両肩を抑えると、カイくんの首がちぎれんばかりに振り倒す。
「おい、てめえゴラ。俺は、昨日見ていたからなっ。おま、お前俺の大事な妹になにしてくれてんじゃ、ボケゴラ」
「あ〜、ちょっとお兄ちゃん落ち着いて、」
私も兄のあまりの剣幕に驚いて、兄の手を握った。
「どうしたんだい、我が愛しき妹よっ」
先程までの剣幕が嘘だったかのように、くるりと回ってこちらに微笑みかけた。
カイくんは、自分の首があるかどうか手で確認して、安心したからなのか、その場で気を失ってしまった。
「お兄ちゃん、カイくんと私をどっか二人だけになれるところに連れてって」
「え、こいつと?・・・え?」
「なに、お願い聞いてくれないの?」
「いや、別にそういうわけじゃないんだけど、」
「じゃあ、連れてってよ」
「まあ、いいけど。なんで、二人ともこいつが好きなんだい?」
「それは、」
まあ、ビチグソエルフ野郎が間違えやがったせいだ、全部。こっちは、「こんなかわいい子と一緒に生活できるのか」と思っていたら、手違いだなんて、クソにも程がある。
「姉妹だからよ」
「そう思ってるなら、もう少し仲良くしてほしいけどな、」
「そんな冗談言わないでよ」と私は肘で兄を小突く。
私にもレイにも問題はあるけど、というか、問題はあるけれども、レイの方の成長が一番大事なのだ。
「まあ、それはそれよ。だから、お兄ちゃん。早く、連れてって」
兄は、やれやれ、と実際に言いながら私と倒れているカイくんを両脇に抱える。
「しっかり捕まってくれよっ」
あ、腹筋めちゃくちゃ固い。
「飛びなさいっ」
別に、飛んでいくと思っていなかったのだが、兄の背中から急に黒い翼が生えた。
そして、兄がそのまま少し屈んだかと思うと、大きく跳躍した。
「あ、滑空なの?」
私は翼を思い切り広げた兄にそう尋ねた。
「人間が飛べると思うかい?」
飛んでるやん、と一応突っ込んでおくけど、そういえばこの世界にはツッコミっていたかな?
垂直跳びで、そのまま雲の上まで到達し、そこからは風に乗って移動した。
次回もよろしく




