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運命の出会い?!絶対に運命の出会いよ、これは

ついに、クレアの異世界生活が始まる。

目の前には、可愛い男の子。

これって、運命の出会いなんじゃないの?

きっと、これから私は、この国を支配して、そしてこの城の中でこの子と一生一緒に暮らすんだわ!!

え、なによ、文句あるの?

っていうか、あんた誰なのよ。

まあ、いいわ。邪魔するなら許さないからっ。

文句は受け付けてないんだからっ!!!!!

 「レイお嬢様。朝食の時間です」

 転生一日目。

 赤ちゃんからやり直すのかと思えば、私は一〇歳の幼女として生まれ変わった。幼女ではないか。少女?まあ、元の私の年齢の半分くらいだ。

 この世話係はカイというらしい。私と同い年くらいだ。

 大人は、今のところ見ていない。いないのかもしれない。いや、そんなことはないか。でも、異世界だし、女性が二〇歳になると自然に崩れて死んでしまう漫画を見たことはあるけれども、この世界には男がいるし、まあ大丈夫だろう。

「着替えさせて」

「お嬢様、さすがに自分で着替えてくださいよ。お世話係でも、そこまでやれとは言われていませんよ」

 まだ自分の姿は見えていない。けれども、悪役令嬢なのだから、美形以外はありえない。それに、この執事みたいなショタボーイも、青髪に碧眼で、実に可愛らしい。おかっぱ頭も、非常に良い。素晴らしい。転生してよかった。小さく丸めて持ち帰りたいくらいだ。

 だが、これと一緒に成長してくことになるのか。

 なんか、複雑な気分だ。ずっと、このままで居てほしい。

「朝食、持ってきてよ」

「それはできません。毎朝顔を合わせてと、お父様やお母様から言われているではありませんか」

 そうか、親は厳しいのか。

 厳しいだなんて下らない。

「あら、そうなの?」

「早く着替えて、行きますよ。もう、時間もあまりありません」

 時間もない、のか。確かに、時間は大切にしなければいけないのかもしれない。前世では、学べなかったことだ。

「着替えはどこなの?」

 昔の貴族の着替えって、めんどくさそうだな。日本だと、十二単とか、西洋だって、何重にもヒラヒラがついたスカートとか。

 そういえば、と思い私は部屋を見回す。

 実に、豪華な、お姫様っぽい部屋だ。

 いいね。

 無駄に大きいベッド、枕も何故か私の身長くらいデカいし。クローゼットも部屋の半分くらいある。床は赤と黒の中間くらいの色の絨毯が敷き詰められている。それ以外は、見たことのないものばかりだ。

 何かの骨?とかドリームキャッチャーみたいなやつとか。

 化粧台みたいなのがあると思って引き出しを開いてみると、中身は宝石や御札のようなものばかりだった。

 スピってんな。

 スピ親の娘なのか?現世なら地獄だった。異世界で良かった。

 ひと通り見回したところで、私は着替えに移ることにした。ここでようやく、私は鏡の前に立った。一言で言わせてもらうが、私は十分可愛かった。寝起きで、若干腫れぼったかったり、寝癖がついていたりはするが、ちゃんと直せば完璧だ。

 前世だったら、モテモテなこと間違いなしだろう。私の、おそらくこれから自慢の金髪になるであろう髪は肩甲骨の辺りまで伸びている。目も、執事の彼と同じ碧眼らしい。

 なんか、碧眼ってだけでいいよな。

 ドレスを着たまま寝ていたようで、試しにくるりとその場で回ってみると、スカートがひらりと舞い上がった。

 脱ごうと思ったが、どこから手を付ければいいのかわからない。

「ちょっと、これ、どうやって脱げばいいの?ちょっと」

 執事のカイくん、いや、カイちゃん。くんの方が似合ってるかもな。やっぱりカイくん、はひょこひょこと可愛らしくこちらに小走りで向かってきた。

「いつも自分でやってるでしょ。お願いしますよ。時間がないです」

 どうやら、昨日までは自分で出来ていたらしい。でも、貴族なんかは着替えとかも手伝ってもらっている印象があったのだが。それに、このくらいの可愛い子なら、全然いいのに。

 しかし、皆目見当がつかない。

 ぶりっ子でもして、落とすか?

 でも、きもがられても嫌だし。

「時間も無いし、手伝ってよ」

「じゃあ、特別にですよ」

 カイくんが鼻の下を伸ばしている。まあ、年頃の男の子なのだから、こんなもんだろう。まだ、性的なことはなにも教わらずに、でも自分の興味は抑えきれない、といったところだろう。私も、そんな感じだった。

 ああ、全身舐め回してもらいたい。

 カイくん、カイくん、カイきゅんっっ、

「ちょっと、後ろ失礼しますよ」

「え、ちょっと、え、そこは、」

 カイくんが、私の背骨のところをなぞるように触ってくる。すると、ジッ、という音が鳴って背中のチャックが開く。

 ちょっと、早とちりしてしまったみたいで。

 ベロン、とドレスの上半身の部分がめくれ、そして落ちた。私は、なされるがままにするしかない。ドレスなんて、着たこと無いし。

 というか、あれ?私は下着を着けていないのか?

 どうも、胸の辺りが涼しい。一番敏感なところが、ひくひくと疼く。私は自分の胸を確かめる。胸は大きかったが、何も着けていない。まだ一〇歳なのだ。これはかなり大きいな、と思ったが、何も着けていない。この疼きは、何か感じるものがあったわけではなさそうだ。経年劣化とでも言うべきだろうか。摩擦で、傷んでしまったのだろう。まだ、つける年齢ではないと判断されたからなのだろうか。

 それでも、そういうのは早めにつけておくべきだろう。

「カイ、ブラは無いの?」

 私が言うのと同時に、スカートもストンと落ちた。こちらは、さすがに下着を穿いていた。

 カイくんは私の下半身に目線を落としたまま「なんですか、ブラって?」と質問してきた。

 なんか、こういうところも可愛い。実に、可愛い。

「胸につける下着のことよっ。そんくらい知ってて当然でしょ?」

 相変わらず目線を落としたままポカンとしていた。よくよく考えれば、まだ一〇歳程度の男子なのだ。母親の着替えを見ているとか、そんなでも無い限り知らないことなのかもしれない。まあ、この感じだと私の着替えはいっつも見ているんだろうけど。

 そう思うと、少し恥ずかしく思えてきたが、思い返せ。前世なら、こんな男の子に着替えを見られているなんてご褒美だったはずだ。

 ちょっと内股にしつつも、私は怯むこと無く彼のことを見た。カイくんもこちらの視線に気づいたのか、少しのけぞった。

「着るのはできますよね?」

「わからないわ。手伝って」

 やれやれ、という態度を取りつつも、彼の口元がほころぶのを私は見逃さない。

 なぜなら、

 見ているからだ。

「じゃあ、これでいいですか?」

 カイくんはクローゼットから白いドレスを取り出す。それこそ、結婚式で着るようなドレスだ。サイズは、小さいが。

「いいよ。・・・いいわよ。・・・・・・いいだわよ」

 やはり、慣れない。

「なんですか、その言葉遣いは?」

「関係ないのっ。早く、着替えさせなさい!!」

 スカートを穿かせるためにカイくんが私の足元まで顔を下げる。なんか、全部見られているみたいでドキドキしてくる。カイくんが「足上げて下さい」と言うので、恥ずかしがりながらも私は右足を上げる。カイくんが私の上げた右足の真下にスカートを配置したので、私は右足を下ろす。もちろん、次になにをやればいいかなんて分かっているけれども、私は彼から命令されたかったので、そのまま指示を待った。

「あの、・・・反対の足も」

 反対の足なんて言われるのは、幼稚園児以来だ。右と左の区別くらいわかるわよ、と怒ってもよかったのだが、ここで怒るのはなんだか照れ隠しみたいに思われてしまうかな、と思ったのでやめた。

 私は、彼の言うことには逆らえないので、逆の足も上げて、先程の足と同じようにした。

 彼も、ここからはさすがに私が履くと思っていたのだろうが、私が動かないことにしびれを切らしてか、もしくは大チャンスだと思ったのかわからないが、カイくんはスカートをそのまま垂直に私の尻のあたりまで持ってきた。そのときに、一瞬彼の手が私の尻に触れた。

 私は、ある意味敏感だが、ある意味寛容なので、許すことにした。

 これで終わりなのかと思ったが、あのヒラヒラのようなものは後付けらしい。もう一度先程と同じ様にして、ようやく下半身は完成だ。

 まだ、上は何も着ていない。上裸のままだ。

「じゃあ、手を挙げて下さい」

 私は、彼の言う事には逆らえないので、手をまっすぐと挙げずに少し力を抜いて、関節が少し曲がるようにした。

 彼は精一杯背伸びをして、私の腕にドレスの袖を通す。私の視界は一瞬ドレスで覆われたので、つい期待してしまったが、すぐに視界は晴れ渡った。

 それにしても、上は下着を着けないのか。

「靴履いたら行きますよ」

 髪とかはいいんだ、と思いつつ、ハイヒールを履き、私は彼の後について行った。部屋の外の廊下にも、部屋と同じ絨毯がひかれている。窓がやけに大きく、敵からの攻撃を防げない代わりに大量の日光を仕入れてくる。

 いらないだろ。

 その窓から見える景色は、ただの緑だけだった。

 つまらない。もっと、人工物が見たいのだ。

 そんなことを思いつつ彼の後についていく。かなり歩いて、ようやく朝食を食べる会場?についた。

 どこかで見たことのあるような、細長い机だ。その上に、白いレース?というのかわからないが、あのテレビなんかで見るような白い布がひかれている。細長い机の対角線の交点の辺りに、三股の蝋燭立てが置かれている。

 異世界というよりもディズニーランドとかに来たみたいな感覚だ。というか、実質そうだろう。異世界ランドっていうことなのだろう。

 まあ、入場したらもう帰ってこれないけど。

「お嬢様、ここに座って下さい」

 礼儀はよくわからないけれども、なんとかなるだろう。

 きっと、ここの王家の一族みたいなのが集まるのだろう。面倒くさい。部屋が別々なのだから、いちいち集まらなくていいのに。

 いい匂いがしてくる。前世では、太らないために頑張って食べるのを我慢していた。それに、なんだか食べるところを人に見られるのがなんとなく嫌だった。

 なんだろうか。本能に従っているのが、どうも嫌、なのだと思う。正確な理由は、自分でもわからない。

 私が、机の下で足をぶらぶらさせていたら、横からシェフのような人が来て、「お召し上がり下さい」と私に料理を差し出してきた。

 気づかなかったが、シェフを見るために後ろを振り返ったら、後ろにはまだカイくんが後ろに手を組んだ状態で待機していた。

 シェフが捌けたので、私はカイくんを呼び寄せる。

「もう食べていいの?」

「どうぞ。どうやら、王は先に食べられたらしいです」

「あら」

 スピってるのに、薄情な親だ。料理は、まあ見たことがあるようなないような。卵料理っぽいものもあるが、鶏の卵ではないのは確かだ。確か、というよりは、異世界なのだからおんなじような生き物はいるにしても、同じ生き物がいる可能性というのは、天文学的数字だろう。

 それにしても、結構量がある。貴族だからなのだろうか。しかし、日本出身の私としては、どうも残してしまうのは気が引ける。主食と思われる穀物は、あまり美味しそうではなかった。おかゆだろうか?ベチャベチャとしている。緑色をしていたし、試しに口に入れてみても、苦みというか雑味というか。まずい。

 なんの肉かわからないが、おかずとして出てきた肉は美味しかった。卵は、まるきり前世の卵と同じ味だ。サラダ、なのかもわからないが、銀色の皿に乗せられたこの濃い緑の葉っぱは、あまり美味しくはなかったが、ダイエット食を食べていたという影響もあり、気がつけばいつの間にか私の腹の中に納まっていた。

 緑のあれは、残した。まあ、貴族だしいいだろ。いや、やっぱ食べるしかないか。

 なんとなく、周囲のありもしない目線が気になってしまったので、仕方なく飲み込んだ。

 マズイ。

 一応、手を合わせる。

 そして後ろを振り返る。

 あ、カイくんだ!!

「ライク麦いっつも好きだったじゃないですか?」

 あの緑のやつか?というか、私は今、他人の体を乗っ取っているみたいな状況なのか?あのエルフ、ろくに説明もせずに。記憶が無いのだ。

「なんか、調子悪いのかな?」

「そうですか。今日は、休みますか?」

 休んでもいいけれども、胸が気になる。ここに来てブラの重要さを痛感することになるとは。平日なんかは、ノーブラで過ごすなんて普通のことだったのに。きっと、このドレスの布が良くないんだろうな。

「トイレって、どこにあるの?」

「なんですか?トイレって」

 なんだか、嫌な予感がする。

「その、・・・用を足すっていうか?」

 カイくんが、更に首をひねる。

「おしっこしたいの!!」

 自動翻訳機能がついているのかわからないが、それなら用を足す、という言葉で十分伝わっていいはずだ。

「ああ、桶持ってきますよ」

 あ、あかんこれは。

 噂で聞いていた通り。

 こういうのを気にするのが良くないのだろうか?どうも、異世界作品とかを読んでいても、中世っぽいのにトイレがあるというか、そういう描写がほとんど無いな、と思いつつ読んでいたのだ。

 というか、ディズニーランドなら、トイレはあってくれよ。ゴミなんて、一ミリも落ちていないぞ。

 ・・・・・ 

 キャストが片付けてくれるってことか?

 カイくん?

 ウソでしょ?

「持ってきましたよ」

「え、トイレないの?」

「ありますけど、遠いですよ。それなら、俺がそこまで持ってきますから」

 ちょっと、さすがにそれは。

「いや、別にそんな急じゃないから、だ」

 え、ちょっと。カイくん?!!

 彼のまだまだ小さくて可愛くて舐め回したいくらい綺麗なお手てが、私の手首をガッチリと掴んだ。

「大丈夫ですよ。俺がやりますから」

 そういえば、小学校のときにもこんなことをやられたような。それで、漏らしたことがあったような。

 せっかく封印していた記憶が、今解き放たれてしまった。

 女性は、男性よりも我慢しにくい構造なのだ。それに、尿道が短い、とどこかで聞いたことがあるような気がする。

 あたりまえのことだけど、なかなかこういう切迫した状況にならないと気付けないことだが、漏らしたくない。ドレスがおしっこで黄色くなったら、どうすればいいのだ。よりによって、真っ白だ。

 私は、悪役令嬢なんだ。

 なんとしても、漏らすわけにはいかない。

「大丈夫です。いつも、してるじゃないですか!!!」

 なんて体を私によこしてくれたんだ。もう、お嫁に行けない。じゃあ、来てもらえばいいじゃないかって?そういうことじゃないだろ!!

「だから、まだそのくらい歩けるって」

 この子も、小学生男児なわけだ。さっきまでは、あんなに執事としてきっちりと仕事をこなしていたのに。まあ、ところどころ性欲がはみ出ていたけれども。

 私は彼に逆らえないから、その場で足をうねうねさせるしかない。

「ちょっと、離してって。ちょ、きゃっ」

 私は、彼に逆らえないので、足をうねうねさせているうちになぜだか、転んでしまった。(もちろん、そこに私の意思はまったく介入していない)(もちろん。彼に、転ばせられたんだ。そうだ)転んでしまっては、彼の手助けなしでは立ち上がることができない。

「あ、大丈夫ですか?」

 一緒に転んでしまったカイくんが先に立ち上がり、私の手を握ってくる。

 キュン

 私は彼の手をしっかりと握る。そして、「ヤバいかも」とドレスの首のあたりの布を口元まで手繰り寄せて言う。

「大丈夫です。桶があるんで」

 彼は、私の尿意の心配しかしていないみたいだ。

「じゃあ、おろして下さい」

 確かに、まだ下着で普段隠れている部分は、まだ彼には見せていない。彼は、コンプリートするためにこんなことをしているのかもしれない。

 別に、トイレくらい勝手に覗いてもらっても構わないのに。

 おっと、いけないいけない。

 私は彼に逆らえないので、スカートをめくった。が、そこにはまだあの無駄に多いヒラヒラが控えている。

「・・・・・下ろして」

 さすがに恥ずかしいと思ったので、私は少し顔を背ける。カイくんが私のスカートの中に潜り込む。

 あ〜、やばい。尿意なんて、そんなにないのに。

 でも、なんかもっと違うものが溢れ出そうな気がする。

 一気に足が涼しくなるのと同時に、彼の腕や体が私の足に当たっていることに気づく。

「あの、いいんですか?」

 もちろん。

「・・・・・早くして、・・・我慢できない」

 カイくんが、私の腰の辺りに手を当てて、私のパンツのヒモがどこにあるか探り出す。

 私は彼に逆らえないので、彼の手の感触を感じる度に、アンッ、という服従の声を出す。彼も初めてのことで慣れないのだろう。なかなか私の下着の淵を見つけることができなかったようで、段々と焦りを表していた。

 私はそんな彼を見下ろす。すると、スカートの中から彼の顔が出てきた。真っ赤だった。

「ちょっと、わかんなかったので、ずらしてするのはどうですか?桶支えているので」

 ちょっとがっかりしながらも、私は顔を赤らめながらうん、と頷く。そして、「もう、漏れそうなの」と彼に正直な気持ちを告げる。ウソは、別についてはいない。今にも、溢れ出そうだ。

 彼はものすごい速度で駆け抜けて、部屋の端っこの方に置いてあった桶を取ってきて、スライディングで私のスカートの下に入り込んだ。メロスが太陽の沈む速度の十倍で走ったというなら、今のカイくんは、光の速度の十倍くらいはあった気がする。

 というか、ここは食事するところじゃないのだろうか?さっきのシェフはもう見当たらないし、この部屋には私と彼しかいないけれども。

「いつでも、いいですよ。いつでも!!!」

「・・・・・じゃあ、するよ」

 彼の鼻息が、私の足の付け根らへんに当たっているのを感じる。

 そういえば、スカートの中ってどのくらい明るいのだろうか。

「いいですよ!さあ、早く!!」

 えっと、ここからはまあ副音声付きでお送りします。

Q どんな気持ちだったんですか?

私 いや、この子こんなにエッチなのって思いましたよ。もちろん、私、小さいときに漏らしちゃったことはありましたけど、かなり小さい頃でしたし、さすがにこんな直接見られるとは思わないじゃないですか。

Q  確かにそうですよねww

私 あ、その「ww」ていうのやめてもらっていいですかね?これって、真面目なインタビューですよね?こっちもふざけるつもりなんてないんですよ。

Q  すいません

私 いやいや。いいんですよ。ものすごい漏れそうだったのに、あ、ちょうどここですよ。ここでカイくんの目線に変わるんですけど、ほら、ちょうど光が入ってね。なんで、こんなところに光が入ってんだよ、って感じですよね。ハハハハハハ

Q  え、ハハっ、・・・そ、そうですね〜

私 こんな小さい子に見られるなんて、ショックでしたよ。全然立ち直れなくて

Q  彼は、この時のことを言っていたりしますか?

私 まあ、ついさっきのことですけどね

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「もう、終わりですか?」

 手が震える。下着をずらすためにスカートの中に入れていた手を出す。指先が少し、濡れていた。

「じゃ、俺捨ててくるんで、お嬢様は部屋に戻っていて下さい」

 私は、部屋に戻った。

 忘れられない。この、気持ち。

 懐かしいような、でもちょっと少し悲しくて、しょっぱいような。

 ああ、神様。私を転生させてくれてありがとうございます。もう、死んでもいいです。私の中から溢れ出てくるこの思いが、濁流となって外に出ていく。溢れ出るこの想いが、止められない。いや、止めたくない。

 止めてしまうのは、きっと体に良くないから。

 全身がブルブルと震えるような快感。

 鼻孔の奥を、優しくツンと刺すようなこの感覚。彼の吐息を感じた瞬間、どんどんと溢れ出てくる。体中の血液が、音も立てずに全身を巡り巡り始める。心臓も、ドクンドクンという音階を外れて、ビクッビクビク、というような鼓動を奏でる。そして、それに合わせるように腰が動く。

 水の弾ける音が聞こえてくると、自分も弾けているような感覚になる。ピチャン、という音が過去の偉人と私を引き合わせてくれるような感じがする。人間というものを感じるのだ。

 カイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくんカイくん

 許して許して。私、駄目なんです。前も、ずっと大学行ってずっと家にこもりっぱなしで、中退して引きこもってたんです。

 全部、知ってほしい。全部、見てほしい。

「あの〜、戻りましたけど、って」

 あっ、ヤバいかもこれ。

 どんっ、

「どうしたのよ」

「え、今、・・・なんかパンツに手を」

「突っ込んでなんかいないわ」

「え、・・・でも、なんか変なことしようとしてましたよね?」

「そんなことより、カイ、外に出るわよっ」

 困惑している彼の手を引き、勢い良く部屋の扉を開ける。

「ああ、なんでこんなに世界は美しいの?ほら、早く」

 私は、履いていたハイヒールを窓に投げつける。パリンという小気味いい音がしたので、きっといいことがあったに違いない、と気にせずにそのまま突き進む。

 ああ、なぜ世界から争いがなくならないのだ。こんなにも、美しいというのに。

「あれ、お嬢様どこへ行かれるのですか?」

 あ、大人見っけ。

「世界の素晴らしさを感じるために、外に出ます!!いや、出ますわよ」

 いわゆる、メイドのような恰好をした女性だ。それに、若い。まだ二〇代くらいだろう。せっかくならこいつも連れて外に出ようと思ったが、私の腕はまだ一〇歳の可憐な少女のサイズなので、腕が届かず空を切った。

 仕方がないので、引き続きカイくんを引きずりながら外に出ることにしよう。

 適当に城内を走っていただけだったが、なんとなく見つけた階段を手当たり次第に下っていったら、外へと繋がっていそうなデカい扉が現れた。

 小さな私にとってはデカいし、大きな私にとっては小さい。

 ふん、

 そうだ、当たり前のことだ。

 意味がわからなくてもいいんだ。カッコつけたくなる。今は、そういう気分なんだ。

 私は、扉に思い切り体当たりした。が、その前に扉が開き始め、預け先の無くなった私の体は、とても弧とは呼べない一直線の軌道でそのまま外へ飛んでいき、庭に生えている木に突き刺さった。

「あ、王様」

 カイくんの、ハッと驚くリアクションと声が聞こえる。

 私は、地面に足を着けて、頭を引っこ抜く。そして、頭をブンブンと振って葉っぱや枝を落とした後、後ろを振り返る。そこには、厳粛な雰囲気を宿した、まさに王と呼べる恰幅の良い男性が仁王立ちしていた。

「誰だ」

「レイですわよ」

 それっぽく、スカートの頂点から底辺にかけての斜線の中点のあたりをつまんで、右足を後ろにつま先だけ立てて、礼をする。

「なんだ、レイか。どうしたんだ」

 この人が、スピ王なのか。

 あの部屋の宝石売っちゃだめなのか?

「私、外で遊んできますの。よろしくて?」

 ここらへんの言葉遣いって、日本のどこで生まれたんだろうな。昔の貴族の女性に特別な言葉遣いがあるとは思えないし。外国から輸入なんていうのは、不自然だろう。

 まあ、関係ないじゃないか。どうしても、関係ないことを考えがちになってしまう。

「外で遊ぶの?危ないよ」

「カイ!どこにいるの。置いてきますわよ」

 カイくんがどこにいるかなんてわかるけれども、気づいていないふりをして、彼を呼ぶ。すると、王様の前で萎縮しているのか、ぴょこぴょこと身を縮こめながらこちらへ来る。

「じゃあ、ごきげんよう」

 カイくんの服の首元を掴んで、しっかりと持つと、今度は、助走の途中に後ろに軽く会釈をする。

「あの、どこに行くんですか?」

「ここらへんで子供の集まる場所ってどこなの?」

 私が走っているからなのか、声が遅れて聞こえる。

「教会とかですかね」

「そいつら全員集めるわよ」

 なんで、私はこんなことをしているんだろうか。

「教会って、どこ」

「あの、外になんて出たことは無いでしょ。俺が案内しますよ」

「急ぐのよ」

 私は強く握りしめていた手を開いて、彼を離す。カイくんが服を手で整えて、結局私は彼についていくことになった。今裸足で歩いているのだが、石畳で出来た道は裸足でも案外歩きやすいということに気づいた。

 街には、まあなんの個性も無い一般住宅が立ち並んでいる。

 木も、ただまっすぐ生えているだけ。それに、二軒置きくらいでパン屋があるし。やけに小麦臭いと思ったのだ。というか、パンがあるんなら、あの朝食の気持ち悪いのをどうにかしてくれよ。

 パンがあるなら、パンを食べればいいじゃないか。

「教会はどこにあるのよ」

「いや、そのお嬢様っていうか、レイ。どうしたんだよ」

 もしかして、幼馴染だけど、メイドと執事、じゃなくて姫と執事の関係だからあくまで、みたいな感じか?

 そもそも、なんで途中で交代なんだよ。記憶が無くて大変なんだ。前ちょっとだけ見た悪役令嬢モノは、処刑された主人公悪役令嬢が時間が巻き戻って、やり直す話だから、いちいち学び直す必要がなかったんだ。

 私は、転生してきたんだ。事前情報が無いと困る。

 なんだか、段々自分の体じゃない気がしてきた。私、活発じゃないし。外に飛び出して「一緒に遊びましょ」なんて、私じゃない!!「ベッドの中で楽しいことしよう」の方が、私らしいじゃないか。

「なんにも変わらないわよ。早く、子供を集めるわよ。年下がいいわっ。あ、子供っ!」

 私は、視界の端っこの方にギリギリかすれた子供を見つけたので、勢い良く振り返る。首からゴキ、という音が聞こえたが、気にしなかった。

「あんた、私についてきなさいっ。これは女王命令よっ!!」

 果たしてそんな命令があるのか知らないが、私はそんなことを口走っていた。

「え、ぼく?」

「レイ、やめようよ。俺と、部屋で遊ぼ、な?」

 なんだろうか。かまってもらっている感じ?この子、私のこと好きなのかな?

 あ〜、私も、ちゅきちゅきちゅきちゅき、ちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅ。

「うるさいわね。よし、まずあんただわ。あんた、友達連れてきなさい」

 よくみると、私が声をかけた少年(七歳程度)は親と手を繋いでいた。

「あんた親でしょ?私はこの国の王女よ。跪かせなさいよっ。この家は教育が行き届いてないわね。罰として、私がこいつを連れて行くわっ。代わりに教育してあげるんだからっ」

「だから、まあまあ」

 というか、私は王女なのだろうか?悪役令嬢なのだから、正統派令嬢がどこかにいるんだろう。

「まだ足りないわ。全部で二〇人集めるまで帰さないからねっ」

 そういえば、私とカイくんは寝る部屋が一緒なのか?え、でも私一人で寝させるなんてあまりにも危ないもんね。そうだよね。一緒に寝るのが普通だよね。一緒に寝ているんだし、そこでなにか色々となんかまあ沢山あっても仕方ないわよね。そうだわよね。そうですますわよね。

「え、ちょっと、待ってくださいよ」

 私が男の子を誘拐しても、カイくんは私についてきてくれるらしい。

 いい子!!

 と、なんだかんだで私は街を駆け巡り二〇人のガキどもを誘拐することに成功した。

 で、私は城に戻り、城の庭に彼らを集めた。

「遊ぶわよっ!!」

 みんなの身長は、私の肩くらいだ。カイくんですら、私より低いのだ。なんという優越感。

「なにすんの〜」

「静かにっ、私が話しているんだから静かにしなさいっ」

「なにすんの、早くおしえてよ」

「ねえねえねえねえねえねえね、なになになになになに」

 私の、決して汚らしい庶民のガキが素手で触って良いものではないドレスのあちこちを引っ張りながら、ガキどもが私を急かしてくる。

「はいはい、引っ張らないでね」

 カイくんも、私を止めるのを諦めたようで、ガキどもの統制の手伝いをしている。

「これから、サッカーをするわっ。もちろん、私がストライカーよっ」

 サッカーなんて、したこともなければ見たこともない。

「いい、みんなじゃんけんをして二つに別れてっ。ほら、カイもっ」

 カイくんが「え、俺もですか」と言うので、私は近くに居たガキとカイくんにじゃんけんをさせた。じゃんけんですらも、ガキとやるとこちらが大人げないような感覚になってくる。確かに、歴だけで言ったらこちらの方が上級者ではあるのだが。

 ガキは、案外スムーズにじゃんけんをして、勝ちチームと負けチームに別れた。カイくんは、私とは違うチームだった。私は、もちろん勝ちチームだ。

「いい、ボールを蹴るの。蹴って、あの枠の中に入れれば一点よっ。まあ、やれば分かるわっ」

 自分にも、そう言い聞かせる。多分、手を使っちゃ駄目で、得点を入れればいいだけだろう。所詮は、スポーツの非人道的規則だ。どっかで聞いたことがある。「殺しあり暴力あり、何でもありの競技、サッカー」と。

 そんな野蛮なことに手を染めてしまうなんて、思っても見なかった。恥ずかしい!!おしっこ漏らすよりも、よっぽど恥ずかしい。前世での友人には、私がおしっこ漏らす場面よりもサッカーをしているところを見られる方がよっぽど屈辱だ。

 まあ、転生していてよかった、とポジティブにとらえておこう。

「最初は、私が蹴るわよっ」

 私は、ガキどもがルールを理解しない内にボールを蹴る。そもそも、私自身もどこをめがけて蹴ったのかわからないが、ボールはガキの群れの中に吸い込まれていった。

「どきなさいっ」

 私が群れをかき分けながら、その中心にあるボールを迎えに行こうとしたとき、カイくんがその前に割り込んできて「お嬢様、足元お気をつけて下さい」と、ボールをかっさらっていった。

 ガキどもも、理解してはいないが、カイくんのあまりにも華麗な足さばきに、盛り上がっている。「カッコいい」とか「すごい」とか、庶民らしいありきたりな言葉を重ねて、ワイワイしている。

「ちょっと、カイっ、何してるのっ」

 私は、裸足で駆ける。

「お嬢様、どうぞ」

 カイくんが足先で遊ばせていたボールを床に置いてそれを上から足で固定する。すると、ボールと地面との接着面が増えてボールが動かなくなるのだろう。

 なるほど。

「ハ、分かってるじゃない。そうそう、こういうところは王女である私に譲りなさいよねっ」

 私が、せっかくだし颯爽と彼からボールを奪ってみせよう、と思い、少し助走をつけながら体を斜めにして、右足の土踏まずで少し地面から浮いている場所でボールをキャッチしようと、彼に近づく。

 彼がひょいと足を動かしたかと思うと、またたく間もなく、ボールがちょうど私の足の分だけ浮く。私の足は、何も無い空を切らずに、どんよりと地面にめり込む。

 そして、カイくんはゴールの近くまで素晴らしいドリブルで、もはや障害物でしかないガキどもを避けながら走ると、ボールがゆっくりと大きな弧を描いてゴールの中に吸い込まれていく。

 どうせ、ゴールを決めるのは私だけ、と思っていたからこそ、いわゆるゴールキーパーを任命しなかったのだが、ここは私が行くべきなのかもしれない。

「分かったわっ。私がゴールを守るわっ」

「箱入りお嬢様に、そんなことができるんですか?」

「カイ、私を舐めたこと後悔させてあげるわっ」

 カイくん、いい目をしている。その目で、私の全身を見つめて。この、乱反射して一〇歳にしては、やけに凸と凹がくっきりとしたこの体の凹凸の隅々まで舐め回してもらいたい。

 カイくんは、サッカーを知っているのだろうか。真ん中まで戻ると、子供にパスを回しながらこちらへ走ってきている。子どもたちも、カイくんを真似てなのか、なんとなくルールを理解したからなのかわからないが、ボールを持ったらそれを蹴りながら走ってみたりボールを奪おうとしたりしている。反対側のゴールには、キーパーがいないので、決め放題だが、カイくんからボールを奪われずに攻め込める人材がこちらにはいないので、かなりマズイ状況である。

「ちょっと、誰かカイを追ってっ。手段は選ばなくていいわっ。止めれた人には、私が添い寝して上げるっ」

 気持ち程度に、「うふ」という声も足しておく。と、カイくんの動きが遅くなった。

 大チャンスだ。

 私は役目を放り出し、ボールを奪いに行く。所詮は、年齢と権力の差には抗えないのが子供だ。私は、ボールを持っていた(もちろん、手で持っていたわけではないのだが、他にどういう言葉で言い表わせばいいのかわからない)男の子の体を両手で持ち上げて、横にいた女の子に渡す。

 そして、そのまま無人のゴールへ走る。

「あ、ちょっとみんな!!何してもいいから、お嬢様を止めて!!」

 子供が走ってくるけれども、さすがに追いつかれるほどではない。カイくんは、その場で少し前かがみになりながら、私の方を見て悶えていた。

 私は、なんなくゴールの目の前まで来て、そして、自分の体ごとゴールにシュートした。

「オホホホホホホ、見たっ。私、点入れたわよっ」

 もしかしたら、こっちの世界にもおんなじようなスポーツがあるのかもしれない。こんな、もったいない。異世界に来てまでやることではないのに。

 すると、カイくんが復活したのか、試合が再開してボールを蹴り始めた子供に向かって「俺に渡して」と声を出しながら手を挙げている。

「騙されないでっ。私よ、私にボールをちょうだいっ」

 もちろん、そんなことに騙されるはずもなく、ボールはカイくんの元へと渡る。それにしても、上級生にボールを譲るなんて、個性もなければ自我もないガキどもだ。

 玉蹴ってなんぼだろ?小の学生よ。

 仕方がないので、私は急いでゴールに戻る。ゴールといっても、もちろん前世にあったようなものはないので、木と木の間をゴールとしただけなのだが。

 私は手を広げて、カイくんを迎え撃つ。もちろん、策はある。

「カイくんっ、ウッフ〜ん」

 私は、ドレスの首元を広げて発育の早い胸の谷間を彼に見せつける。まあ、今朝すでに全部見られてしまっているわけだが、女性としても「この水着えっど」となることは多々ある。

 男だって、そうだろう。

 効果抜群

 カイくんが、内股になり、ボールを運ぶ速度に大きなデバフがかかる。もちろん、彼のある一点だけ今は大きなバフがかかっているが、それ以外の部分には大きなデバフがかかっているのだ。

 カイくんが突然遅くなったので、心配したのかはわからないが、ガキどもが彼の元へと近づいてくる。

「お兄ちゃん、大丈夫?」

「いいか、このボールをあのお姉ちゃんめがけて蹴るんだ。それで、どうにか俺の仇を取ってくれ」

 立ったまま動けないカイくんに代わり、私よりも二歳も年下のガキが蹴ることになった。みんなが、注目している。

 ここで決めさせるわけにはいかない。カイくんに使った手を彼にも使う、ということもできなくはないが、効き目があるとは限らない。そもそも、カイくんみたいに一〇歳で効くのもなかなか早いじゃないか。

「頑張れ!!」「負けるな!!」「行け!!」

 声がデカいだけの声援が、木枯らしを吹かせる。

 跳ぶ準備は出来ている。

 まっすぐ一択だろう。これは、PKと言うのかな、多分。所詮はガキだ。そもそも、所詮と思わせる行動以外彼らは今のところしていない。所詮は所詮だ。

 私は良くわからないので、思い切り足を振りかぶる。ためるイメージだったので、かかとが背中に着くくらい振りかぶった。そして、勢い良く振り下ろした足が、ボールの端っこの方にスカッ、と当たりノロノロと転がりだす。

 私は勢い余って転び、背中を地面に強打した。

 もちろん、肉眼でも目に余るほど遅かった私の渾身のシュートは、私が転んで起き上がる間もまだゴールに向かって懸命に転がり続けていたし、ゴールを守っていたガキも、あまりの遅さに困惑してか、ギリギリまでそれを拾おうとせずに、最終的にはゴール前ガキが転がっていたボールを蹴っ飛ばして、私を除外して試合が再開された。

「大丈夫ですか?」

 おそらく、私がゴールを蹴ろうとしている間に自身のモノを鎮めることに成功したカイくんが、私に手を差し出す。

 そして、立ち上がるついでに彼の手を握ったままそのまま私の尻に彼の手を移動させたことで、彼は大きなダメージを負った。

「あんたたちっ。ここを自由に使えばいいわ。私が許可するわっ。私は、もうあんたたちと遊ぶ暇は無いのっ。毎日来なさいよっ」

 私のことなんか気にせずに、彼らはサッカーを楽しそうに続けていた。

 私は、その場で動けずにいるカイくんの手を引いて、自分の部屋に戻った。

「お嬢様、今度はなんですか」

 城に戻れば、もう私たちは姫と執事の関係になるらしい。

「何さっきの、ていうか、あんた知ってるの?」

「玉蹴りくらい、わかりますよ。貴族のたしなみですから」

 無駄にデカいベッドに腰掛けて私はカイくんを見上げる。

「私たちって、どういう関係なんだっけ」

「俺は、お嬢様の執事ですよ。それ以外でもなんでもありませんよ」

「じゃあ、見下ろすなんて不敬だわっ。私の横に座りなさいっ」

 まだ足をもぞもぞとさせているカイくんの手を引っ張って、私は無理やり横に座らせる。

「え、ちょっと、なんですか」

「・・・」

 あー、やばいやばいやばいやばい。もう、駄目かも。なんか、いい匂いがする。運動後だからかな。

 私は彼の太ももの当たりをつつく。くすぐったそうに、でも少し困惑したような様子で私の方を見てくる。

「こんなとこにいても、つまらないわっ。冒険に行くわよ」

 あ、焦らすなよっ、と前世の時に何回も思ったような記憶があるのだが、多分こういう時って人間誰しも焦らしたくなるんだろうな。

「冒険って、なんですか」

「入るわよっ」

 突然、扉の外から声が聞こえてきた。元気な少女の声だ。一瞬、自分の声が遅れて聞こえてきたんじゃないか、と思ったくらいだ。

 ダアン、と大きな音を立てて扉が勢い良く開く。

「クレア、じゃなくてレイ!!あんたこんなことしてるのっ」

 金髪で、快活なお嬢さん。背丈は、私と同じくらいだろうか。真っ赤なドレスに身を包み、歩く度にハイヒールの軋む音が聞こえてくるので心配にはなるが、迫力があった。

 私は、ベッドから勢いをつけて脱出し、彼女に向き合う。そして、同じくらいの速度で彼女に接近する。

「あんた、なんなのよっ」

「カイくん、ちょっと出て行ってちょうだいっ」

「何勝手に命令してるのよっ。カイは、私の下僕だわっ」

「私は王女よ。あんたなんかとは違うのっ」

「カイ、こいつを追い出してよっ」

 カイくんは、困ったような笑みを浮かべていた。こいつ、誰なんだよ。せっかく、私とカイくんだけの一人ハーレム中だったのに。

「お嬢様、落ち着いて下さい。それに、お姉様もなんでこんなところに勝手に入ってくるんですか?」

 お姉様ってことは、カイくんのお姉様なのか?もしかしたら、私の姉のことを差別化するために「お姉様」と言っているだけなのかもしれない。

「いいから、カイは出ていって。大丈夫っ、すぐに終わるわっ」

 カイくんは、渋々部屋から出ていった。私は、熱い視線を彼に送ったが、その視線に気づくと、カイくんはスピードを上げた。

「あんた、それ、私なんだけど」

「何意味わかんないこと言ってるのよっ。馬鹿じゃないのっ」

「あんたは、クレアなの?」

「私はレイだわっ。あんたこそ、何を言ってるのっ」

「あんたこそって、あんたは何を言ってるのよ。その、それは私の体なの。なんか、変じゃなかったの?まだ気づいていないわけっ?」

「「あ、すいまっせ〜ん」」

 私はぐるぐると振り返る。誰もいない。なんだ、この声は。

 だが、聞き覚えがある。

「「あの、間違えちゃったんですよ。なんで、元に戻しますから。クレームいれないで下さいね」」

Q  結局、何があったんですか?

私 なんか、転生するときに、私の魂っていうんですかね?それが、違う人のところに行っちゃったらしくて。違う人っていうか、私の双子の姉だったんですけど。

Q  なんか、めちゃくちゃやってましたけど、あれもご自身の意思ではないんですか?

私 まあ、半分くらいはそうですね。わかんないですよ。まあ、あの無能エルフが適当に仕事してたからですよね。一日無駄にしたっていうか。

Q  大変でしたね。

私 はい、そうですけど。大変かどうかって大事なんですか?その、考えなくてもわかるじゃないですか。いつも思うんですけど、どうでもいいことばっかり聞いてきますよね。プライドとか無いんですか?「面白い話を引き出してやる」みたいな。

Q  いや、その、上から言われてるんで、・・・その、

私 いいですよね。そうやって言い訳できるから。どうせ、みんな信じてくれませんよ。私のことなんか。羨ましいですよ。言い訳ができて。

Q  ・・・そんなことないと思いますけどね。

私 絶対、そんなこと思ってないでしょ?面倒くさい女、とか思ってるんでしょ?そうです。面倒くさいんです。悪かったですね。そんなだから、転生したんですよ。ああ、もっと真面目に生きていればよかった。


次回もお楽しみに。

毎回こんな感じですので。

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