私が姉で、レイは妹
努力するのって、苦しいですよね。
「ちょっと、カイくん。レイあんた、昨日のこと、覚えてるわよねっ。覚えてないなんて言わせないわよっ」
Q ちょっと!!
私 なんで止めるんですか。
Q さっきの話なによっ。
私 別に、視点が変わるくらいどこにでもありますよ。その、強烈なキャラを主人公に置くことってただでさえ難しいのに、それでずっと続けようとしているから、ときどき息抜きみたいなのをしないと続かないんです。
Q そこじゃないわよ。あんたが出てくる前までは、結構良かったじゃないのっ!
私 ・・・、なんですか?
Q あんたが出てきてから、一気につまらなくなったわ。せっかくのレイちゃんのいい話だったのに!!
私 でも、主人公である私が戻ってくることを望んでいる人がいてもおかしくないはずよっ。
Q そんな人いるわけないじゃないっ。
私 いや、でも、もう一回ちゃんと見てくださいよっ。だから、レイと入れ替わってというか、一人称がレイと切り替わったところですよね?本当に、面白いですか?
Q ええ。少なくとも、あんたが居たときよりはよっぽど面白いわ。
私 いやいや。所詮は、あなたは「こいつうざい」とか「こいつキモい」とかそんなくだらない理由で読むのをやめるタイプでしょ?もう一回見てくださいよ。と、いうか、こういうのは私じゃなくてあなたが気づくべきポイントですよ。
Q なによ。そうやって、相手を貶めることで相対的に自分の評価をあげるつもり?
私 まあ、半分くらいはそうなんですけど、やっぱり見てて、カイくんは面倒くさいじゃないですか。
Q 別に、あんたがトラウマ植え付けてるんだから、カイくんだって仕方ないわよ。あんたのせいよ。
私 だって、私はレイが嫌いなのでなんとも思わないですけど、レイの気持ちは皆さんによく伝わったでしょ?レイには、共感できる部分があったでしょ?カイくんはどうですか?いくら、一三歳。まあ、中学一年生ですよ。それで、確かにカイくんにとっては怖いかもしれないけど、男なのにへなへなしすぎで嫌だったんでしょ?ちゃんと、女子から誘われてるのにさあ。
Q だから、それもこれも全部あんたが悪いんじゃない。誰一人あんたに共感する人がいないからこそ、これが成立するんでしょ?
私 私は、なんにも悪くないですっ。これが、現実ですよ。へにょへにょ男もいます。
Q だから、あんたが悪いから、あんたは黙ってなさいよっ。言い訳するんじゃないわよっ。
私 だから、これこそが現実ですよ。そうやって、都合よく現実から逃げてるんでしょ?見たくないものから目をそらしているんでしょ?
Q 今はそんな話関係ないじゃないの!!まずは、あんたが逃げずに謝りなさいよっ。そっちの世界でだって、あんたは悪いことしても謝らないじゃないっ。それに、あんたこそずっと現実現実うるさいわよっ。
私 だから、こっちはずっと言われてきてたんですよ。うるさいとも言えずに、現実見ろって言われ続けてきたんですよ。
Q うるさいわねっ。とりあえず、あんたは黙ってなさい。レイちゃんも言ってたけど、あんたが諸悪の根源なんだから。あんたさえ、いなければよかったのよ。ほんと、うるさいわね。とりあえず続きを見るわ。
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「ちょっと、カイくん。レイ!あんた、昨日のこと、覚えてるわよねっ。覚えてないなんて言わせないわよっ」
そして、毎度のごとく私は部屋の扉をドンドンと叩く。
すると、私のドンドンと叩く音の奥に、カチ、という音が聞こえたのを察知した。
私は扉の取っ手を掴んで何回もゆする。開かない。
仕方ない。
「お兄ちゃんっ」
すると、城が急に揺れ始めた。私は、廊下側の窓から外を見下ろす。すると、城全体が浮いていることがわかる。
なんとなく、そろそろ物語的にはまだ全然序盤だけれども、パターンが出尽くしたんじゃないか、と思っていたが兄の引き出しにはまだ色々詰まっていそうだ。
そして、城が浮かび上がり、もともと城のあったところには火口のようなものができていた。火口から、ゴポ、というマグマの泡が破裂する音が聞こえてくる。そして、やけに熱い。
すると、火口からマグマが段々と見えなくなるのと同時に、ゴポゴポゴポゴポという破裂音が段々と速度を早めていくのと同時に音が小さくなっている。
そして、そこからまた音が大きくなり始める。
そして、またもや最高潮に達したところで、一気に噴火した。城には、大小様々の噴石がぶつかり、穴が開く。私は、窓の前でかなり頑張って仁王立ちして、石が飛んできそうでものすごく怖いのだけれども、まあ足が上手く動かないのでそのまま立ち続ける。
すると、ちょうど私が立っているところ以外の壁がほとんど噴石によって吹き飛ばされ、最後の噴石が私めがけて飛んできたところで、その石がパカっと割れて
「どうしたんだいっ。愛しき妹よっ」
と、兄が登場した。
「ちょっと、なにしてんのよっ」
レイの声が聞こえたが、動くことが出来ない。
私は自分では腰が抜けてしまって動けなかったので、兄にギコギコと体を回してレイの方を向けてもらった。
まあなんとなくわかってたけど、後ろには少し火山灰で汚れて、白かったドレスがところどころ黒くなっているレイが立っていた。
「ああ、レイもいたのかっ。どうしたんだいっ」
「ああ、お兄ちゃん」
レイはどうやらこれがすべて私の仕業だと思っていたみたいだ。
兄がいることに少し驚いていた。
「よかったわ。もう部屋から出てきたし用は無いわっ」
私は兄に帰るよう促した。
「ああ、そうかいっ。じゃあ、クレアもレイも、愛してるよっ」
兄はそのまま火口に落下していった。それに連動してか、城も落下し、いつの間にか先ほどの人為的な噴火で壊れた部分は修復していて、レイのドレスの汚れも落ちていた。
「あんた、またお兄ちゃんを使って変なことしたわねっ」
またってこともないだろ?昨日は、自力で探し出したんだ。
「便利で、都合がいいんだもの。使って何が悪いの?」
「それ、その、それでも使わないのが暗黙のルールみたいなもんでしょっ」
「まあ、そんなのはなんでもいいのよっ。カイくんいないの?」
私はすっかり元通りに戻った廊下を見回す。
「いないわっ。残念だったわねっ」
三日くらい歩き続けて昨日、ようやくカイくんの匂いにたどり着いたのだ。本当に大変だった。なんか、変な洞窟に迷い込んだり、猛獣に追いかけられたり、変態に追いかけられたり。
まあ、そこは私主人公なので、不思議な力(脚力)で逃げ切ったんですけれどもね。
疲れているのにわざわざ約束しちゃったから来てあげたのよ。それなのに、鍵なんて狡いことしやがって。きっと、この中にカイくんがいるに違いない!!
「ちょっと、入らせてもらうわよっ」
ドアの取っ手を引っ張る。
ガチャガチャ、という音が聞こえる代わりに、開かない。
さっき兄が壊したものを修復するときに、建物が戻るのと同じように鍵まで元に戻ったってことだな!
わかったぞ。
まあ、どうにもできないけど。
「え、ちょっと待って、入れないの?」
扉の前でガチャガチャと取っ手を揺らし続けていた私のことを、レイが思い切り叩き飛ばして、彼女はより激しく取っ手を揺する。
「うわーーん、これ、入れないじゃないっ」
レイは私以上に激しく扉をガチャガチャと揺すった。
「あんたが鍵かけたんでしょ?自業自得だわっ」
「あんたが、毎回ドンドンうるさいから、かけたのよっ」
「別に、勝手に開けてないじゃないっ」
そうだ。うるさいだけなんだから、鍵なんて必要ないではないか。
「他に防ぐ方法が無いからよっ。そりゃ、鍵かけたところであんたがうるさいのも、頭が悪いのも治らないわっ」
「まあ、なんでもいいのよっ。絶対、中にカイくんがいるわよねっ」
私は確信していた。中にはカイくんがいる。
「いないわよ。ああ、もう最悪っ!!」
演技がうまくなったものだ妹よ。でも、昼間なのに中にいないわけがない。ということはつまり、中にいます。イッツノットマジック。
「まあ、いいわ。私はあんたがカイくんに開けてもらうまで待つからねっ」
私は、レイの部屋の扉の横に座り込む。
レイは、歯をギシギシと鳴らし、そして腰の辺りまで伸びた髪の毛をブンブン引っ張っている。
「仕方ないわっ」
レイが、覚悟を決めたように、少し口元アップの映像になり、口元が少しだけ唇を横に釣り上げたようになると、そこからすう、と今度は正面の画から彼女が息を吸ったことがわかる描写が映し出された後、こんどは、一センチほどだけ開いた口の、閉じた歯の隙間から空気が漏れ出す演出が入り、そしてレイが顔を上げたところで真上からのアングルになり、そこには目は見えないけれども唇がにっと横に吊り上がっている彼女の顔が映し出されて、そしてそのまま、もう一度無駄に今度は真正面の画角から彼女が息を吸う描写が映し出されて、そして、ついに、やっと、
「お兄ちゃんっ」
と、叫んだ。
すると、またもや床がゴゴゴ、と唸りだす。
「あ、普通に来て」
彼女がそう言うと、音は止み、私とレイとの間の空間に魔法陣のようなものが自然と浮かび上がり、そこから兄の頭が出てくる。
「呼んだかい、我が愛しき妹よっ」
妹の危機には、必ず駆けつけるのが私たちの兄だ。
「ちょっと、こいつをどっか捨ててきてよっ」
レイが私のことを指さす。
私は、腕を組みまっすぐとレイを見つめ返す。
兄が、珍しく困ったような顔をしている。
「あのな、お兄ちゃんな、二人にもっと仲良くして欲しいんだよ。俺は義理の兄だけどさ、クレアとレイは双子じゃないか。まあ、色々あるのかもしれないけれども、まあ、姉妹なんだしさっ」
兄の顔が、何回も私とレイを行ったり来たりする。
結果、兄の気持ちが半分もこちらに伝わらなかったのだが、それを伝えようとする前に、レイが「それは、絶対に無理」と兄の顔に向かってつばを飛ばした。
「あらあら、まだ子供なのね。私は、全然いいわよっ」
そう言って、私は趣味の悪い笑みを浮かべてレイに手を差し出す。
「ほらな、クレアもそう言ってるんだし、」
私は、正直なぜレイのことが嫌いなのかいまいち分かっていないのだ。あのゴミカスエルフ野郎が転生を間違えたせいで、こっちは十年分の記憶はあるけれども、どれもモヤモヤとしたものになってしまったのだ。
だから、気がついた時には嫌いだった。
まあ、カイくんと一緒にいることは何度も言っているが、非常に気に食わない。それは、確かに嫌いな理由の一つではあるが、それ以外になんで嫌いなのかがわからない。
でも、きっとそんな理由なんかよりも嫌いなものは嫌いなのだろう。だから、あんたらもごちゃごちゃ嫌いな御託並べて満足してないで、違うことでもすればいいんだ。
「・・・ほんと、なんなのよ、あんたはっ。お兄ちゃんも、なんでこいつの肩を持つのっ」
「え、いや、僕はただ二人に仲良くしてほしいから、」
「ええ、そうよ。レイ、仲良くしましょうっ」
残念だったわね、レイ。私は、あなたよりも二〇年も多く生きているのよ。あんたは、無駄に体の発達が早いみたいだけど、私は生まれたときから心が成熟していたのよ。・・・そうではないか。途中からだもんな。じゃあ、十年長生きしているのか?長生き?早生きか?
まあ、いいわ。御託を並べている暇はなかったわね。
だから、こちらの方が大人である、というマウントを取らせてもらおう。
「お兄ちゃんは、私の気持ちなんか、なんにも分かってないわっ」
兄は、かなりショックを受けたようで、その場に倒れ込み、死んだ。
「あんたは。私、あんたのことが大嫌いなのよっ!!」
レイが私の方を見て、そう言ってきた。
「でも、僕は二人とも大切にしてきたつもりだったんだけど、」
復活した兄が、レイに反論した。
「な、なによ。お兄ちゃんは、いっつもクレアの味方じゃないの。私だって、ずっとあいつのせいで辛い目に会ってきたのよっ。お兄ちゃんは、自分の欲望に従って、たまに遊びに来るだけでしょっ。承認欲求を満たしたいだけでしょっ」
「ええ?レイ、なんてことを。僕は、レイは僕のことをそんな風に思っていたのかい?」
「ええ、そうよ。私は、家族みんな嫌いよっ。私の人生ってなんなのよ。あんたらのための人生じゃないわっ。こんな、最悪な姉を持って、お兄ちゃんはそっちの味方ばかりするし」
まあ、確かに、なんで兄がこっちの執事をやっているのかは知らない。でも、姉なのだから、順当に女王になる身として当然のことだわ。
「お母様もお父様も、クレアにはなんにもやらせてないのに、私にだけ期待しているから、そんな筋合いないわよっ」
「レイ、すまなかった僕は、・・・僕は、兄としてずっと妹を大事にしてあげたいって思ってたんだ。クレアは、その、手のかかる妹だったから、それに、まあクレアをかばうわけじゃないけれども、クレアはああ見えて結構一人でやりたがる奴なんだ。だから、僕は助けが必要になったときだけ、クラのところに行っていたんだよ」
あ、そう?別に、そんなことないんじゃないの?私、あんまり一人でなにかしたこと無いけど。
「ていうか、お兄ちゃんこそ、いつもなにしてるのよっ。私が、国を引っ張る者として色々な勉強をしている間に、お兄ちゃんがもっとちゃんとしていれば、私だってこんなに大変じゃなかったかもしれないじゃない」
レイが兄にとどめを刺す。
まあ、ほぼ兄が悪いのは確かだ。
「え、あ、ゴホッ」
そして、兄はまた死んだ。
「まあ、いいわ。聞いてれば、さっきからどうしたのよ?」
「は、あんたのせいでしょ?全部」
「私が女王になるのよ。あんたなんかがそんな責任感じてるなんて、馬鹿じゃないの?」
「馬鹿は、あんたよっ。あんたが、ろくに勉強もしないから私がその尻拭いをさせられてるんじゃないのっ。そうよ、あんたが姉なんだから普通は女王になるべきなのよっ。それなのに、遊んでばかりで。それに、勉強も礼儀も、なんにもできない。この前だって、あんたの代わりに隣国まで何日もかけて行ったのよっ」
私は、考えた。そして
「じゃあ、勉強しなけりゃいいじゃないのっ」と言った。
思ったことを、そのまま言った。思ったことをそのまま言うのは悪いことだと思うけれども、でも、言った。ここで、カイくんが、カチャリと扉の鍵を開けて、出てきたが、すぐに部屋に引っ込みこちらの様子を扉の隙間から眺めだした。
「だから、じゃあ誰が女王になるのよっ」
「あんた、馬鹿だわね。あんたが私と同じように勉強しなければ、自動的に年功序列に戻るわよっ」
「は?なに言ってんのよ、」
「だから、別に強制されているわけじゃないんだから、あんたが勉強やめて、私と同じレベルにまで落ちれば、自動的に私が女王になるわよっ。だから、責任なんて負わなくていいのよっ」
ついに、レイの口の動きが止まった。
「あんたは、なんで責任を感じてたのよ?あんたが女王になりたいなら、そのまま勉強すればいいわ。だって、私たちのどっちかしかなれないなら、このまま行けばあんたが女王になるわ。でも、あんたがなりたくないなら、あんたにはもっと別の戦い方があったってことよ。その、勉強のストレスを私にぶつけるんじゃなくて、ならないためにやれることがあったのよ。私に怒ってくるのは、見当違いだわ」
「・・・なに、じゃあ私の努力が無駄になったってことなの?」
負けるつもりは無いみたい。だけれども、彼女には自信なんて最初からなかった。
それなら、私が負けるわけがない。
「それは、自分で「あたちの努力は無駄だったのかもな。でも、それを他人に言われたほうがそいつを悪人にできて都合がいいな。よし、言わせちゃお!」っていう気持ちで言ってるんでしょ?」
レイが、たまらず泣き出す。
扉が開き、カイくんが出てきて、レイを支える。
・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
きっと私は、レイを傷つける悪役として転生してきたのだ。
それこそ、そんな相手の気持ちが分かったところで、そのことを言い当てるのは勝ちだけれども、それを言ったら負けだ。
「レイ。アドバイスをしてあげるわ。あんたは、勉強をやめなさい。そうすれば、私が女王になるし、きっとあんたが望む人生になるわっ」
自分でも、こんな冷たい言葉を吐くのは初めてだ。
「あんたはね、視野が狭いのよっ」
レイが顔を上げ、口をパクパクとさせ言葉を絞り出しているみたいだ。
「あ、・・・あんたは、みんなに嫌われているじゃないっ」
レイ。そんなに、勝ちにこだわらなくていいじゃない。
まあ、私がそんなことを言ったって意味はないけど。
「でも、私はカイくんのことが大好きよっ」
カイくんが困ったような表情を見せる。
なんか、昔、本当に昔だけど、小学校で私のことをいじめていたいじめっ子を言い負かしたら、こんな感じの雰囲気になった気がするな。
泣いていいのは、主人公だけなんだって。
じゃあ、きっと今はレイが主人公なんだろうな。
「なによ、それは。・・・・グスっ、なんにも関係無いじゃないっ」
「まあ、いいわ。せっかくカイくんと楽しく遊ぼうと思ったのに」
一応犯人さがしはしておかないと気がすまない性分なので、少し頭の中で状況を振り返ってみよう。
多分、レイが部屋の外に出る原因を作った兄が悪いな。ずっと、死んだフリをしているし。
え、それを呼んだ私が悪いって?
いや、普通あんなに色んなものぶち壊しながら登場する人、いると思う?
ねえ?
やっぱ、現実的に考えなきゃ。
「あの、」
カイくんの声だ。
私が転生してきて、初めて聞いた、あの声だ。
「あら、カイくん。どうしたの?」
きっと私の顔には表情なんて乗ってなかったと思うけど、私はレイを支えているカイくんのことを見下ろした。
「あの、俺、よくわかんないんですけど・・・でも、酷いです。だから、ちゃんと謝ってあげてください」
・・・。
ホント、私がヒロインだと思ってたんだけどな。
それに、私という人間は、前世でも生まれ変わっても変わるなんてことはありえない。
「あら、別に私は構わないけど、謝られてレイはどう思うのかしらね?」
まただ。
「謝られたレイの気持ちは考えなかったの?どう?惨めったらしく負けたくせに、お情けみたいに謝られたらさ、」
別に、こういう自分は嫌いじゃないんだけれどな。
「それは、・・・」
「バカ!!」
甲高い声が、私の目をすり抜けていく。
レイだ。カイくんに支えられたまま、下を向いて放った声が廊下全体に響き渡る。
「ばかばかばかばか!!!」
ぽと、という水滴の落ちる音が、す、と鼓膜に着地する。
「なによ、あんたは、」
その場から動かずに、私はレイを追撃する。
「なんなのよ、ホントに、あんたは、」
レイが、なんとか自分の身を守る言葉を発する。
「あんたも、自分で自分の努力を信じられないくらいなら、努力なんてしなければいいんだわっ」
「ブス!!ペチャパイ!!クソ野郎だわ、あんたなんか!!!」
あんたは、
・・・・・。
あんたは、きっと私の妹として生まれるべきではなかったんだわ。
「もう、なによ。なんで、そんなこと言うのよっ。私は、せっかく頑張ってきたのよっ。あんた、そんなこと言わなくていいじゃないのっ!!」
それは、正論だな。
「わかってるわよ。あんたと違うんだもの。ただね、あんたは賢さが足りないの。わかってる?真面目な人がバカを見るんじゃなくて、この世の中は、バカがバカを見るのよ」
「黙りなさいっ。あんたの言葉なんか、二度と聞きたくないわっ」
まあ、私だってそうだよ。
「レイ様、戻りましょう。落ち着きましょう。お姉様も、すいません」
そう言って、カイくんがレイを部屋に運び込んでいった。
兄は、地面に倒れている兄をツンツンとつついたが、つついても動こうとしなかったので、私はそのまま部屋に戻った。
また、次も見てね




