心機一転、いつも通り遊びまくるわよっ!!
ただただゲームをするだけの話だわ。
でも、我慢して見なさいっ!!
これは命令よ!
現実では時間は都合よく流れるなんてことをしないが、異世界では都合よく時間が進み、皆さんが見ていない間に二年の月日が流れた。
私は一三歳になり、もちろん私が一三歳になったということは、いつものメンバーも二歳年を取ったのだ。誕生日なんて面倒くさいものは知らないし、きっと、無いものと考えた方が良いのだろう。
私は、一応七月の一四日ということになっているが、去年行われた私の誕生日会は、実に粗悪なもので、神に祈りを捧げたり、変な水を飲まされたり、冷水をぶっかけられたり最悪なものだった。
それに、なにしろ同世代に私の誕生日を祝ってくれるような人はいないし。まあ、カイくんは嫌そうに「おめでとうございます」と言ってくれたけど、それだけだ。
そういえば、双子のレイの誕生日はあの日に祝わなかったけれども、
・・・
まあ、いいわね。あんなやつに誕生日なんか無いわ。きっと、そうに違いないわ。
だって異世界だものね。
皆さんが一番気になっているであろう世界征服の進捗だが、兄に作ってもらったブラジャーの工場が、まあ異世界人達にウケたらしく、そのお金を使って着々と兵器の開発に取り組んでいる。
と、私は聞いているが、実際のところはどうなのか知らない。
森が平和になったせいで、国から出ていく庶民や下級貴族が増えたらしいが、これもまた私には関係のないことだ。一番仲の良かったジュピタが引っ越してしまったのはあまり良くなかったのかもしれないが、今でも庶民たちと、特に年下の庶民たちと戯れているわけだし、年がら年中、例え生理が来ても、私は外で遊ぶ。
だから、世界征服などまったく進んでいない。さっきは、ちょっと話を盛った。ブラは確かにウケたのだが、そのお金で兵器の開発もしていなければ、どちらかというと、アダルトグッズの開発に熱中しているだけだ。
だが、一三歳の体には一日中の自慰行為というものはかなりキツくて、それだけが前世の体のときの唯一良かったところだろう。
まあ、詳しく言わないと言った割には無駄にちょっとリアルな現状報告はここで終わりにして、そろそろお話を進めましょうかっ。
何でもない、とある一日のことだ。
「集まりなさいっ!!!」
私の一声で、平民たちはひれ伏し、私に頭を垂れる、なんてことはないけれども、半ばあきらめた表情でこちらに集まってくるのは見ものである。
一つだけ言っておきたいが、私は別に彼らを暴力で支配しているわけではないんだぞ。ただ、「逆らったら、お前の家族を消す」と丁寧に説明してるだけだ。
兄の力を使っているわけでもない。
反抗的な意見は、声の大きさでごまかすのだ。
「今日は、なにをするの?」
「なあ、なんで俺達まで一緒に遊ばなきゃいけないんだよ〜」
彼はリュカといい、私と同い年なのだが、どうも反抗的で気に食わない。
しかしまあ、気持ちもわからなくもない、というべきか、そろそろ男女の筋力差も顕著になってくる頃だ。
本気で遊べないことが、どうももどかしく感じているのだろう。が、もちろん、私はそんなこと知ったこっちゃないし、嫌なら引っ越せば良い。貧乏で引っ越せないなら、恨むべきは親だ。国ではない。
「さあ、どうせ何者かになることを諦めるであろう下民達、おにごっこするわよっ」
「またやるの?」
ああ、もちろん。だって、サッカーもドッジボールも野球も、もう勝てないし、楽しくないのだから。前から思っていたが、スポーツは公平すぎる。なんで、私じゃ勝てないのよっ。だって、私は権力側なのよ。権力側が勝てないスポーツがあって、どうするのよっ。本末転倒だわっ。
「そうよ、なにか文句でもあるのっ?」
「いいよ。どうせ、お姫様が勝つんでしょ」
「ええ、そうよ。これであんたたちも、現実を学ぶといいわっ。結局ね、私が勝ちで、あんたたちが負けなのっ。わかったら返事なさいっ」
私より年下のガキどもは「は〜い」と適当に返事を返し、同い年のガキは、それを無視する。
「なによ、全然楽しそうじゃないわねっ。お兄ちゃんっ」
急に空が暗くなり、ゴロゴロという音が辺り一帯に鳴り響く。
城の開けっ放しだった窓が、悪天候を察知した召使いの手によって、一気に閉められる。ガキどもは、得策ではないのだが、まだ知識が乏しいためか、庭に生えている木の下に一斉に逃げ込む。
「お姫様、いいのかよ」
木の陰に隠れたリュカが、まだ突っ立っている私にたずねてくる。
「ちょっと、待ってなさい」
急に、激しい雨が降り出す。雨が木々の葉っぱに当たって弾ける音が絶え間なく聞こえる。
そして、私の近くに雷がドカーーンと落ちる。
立て続けに、ほぼ同じ場所に二発、雷が落ちる。
すると、一気に雲が捌け、空は青さを取り戻す。雲は、四方に散る。
「呼んだかい、我が愛しき妹よっ」
兄が、私の目の前に立っていた。
「ええ、呼んだわ。お兄ちゃん、みんなで遊べるゲームを作って」
「その技術が開発されるのはあと四八〇年先のことだけれども、もちろんいいさっ」
ゲームといえば、任天堂スイッチが思い浮かんでいたのだが、もしかしたら彼らには刺激が強すぎるのかもしれない。
なんだろうか。桃鉄とか、・・・あ、そうよ。
桃鉄じゃないけど、すごろくみたいなのがあればいいんだわ。
人生ゲームよ。
まさしく。
「サイコロはないの?」
「そんなので、いいのかい?まあ、持ってこれるけどっ」
「お願いっ」
「わかったよ、今から行くからねっ」
今から行くからね、なんてセリフを兄から聞いたことがなかったので困惑したのだが、そのセリフを聞いてから十分くらい経ってから、ようやくヘボ兄が地面を走って戻ってきた。
「ああ、すまないっ。父様と母様から許可を取るのに時間がかかって」
息を切らしている場面を初めて見たが、まあいい。次遅かったら、こいつはアウトだ。
「まあいいわ。じゃあ、そのサイコロ振って遊びたいから、」
なんか、せっかくだし私が自分で作ればいいわ。文字が読めないのは魔法でどうにかなるんだし、そうよ。
ここは私の腕の見せ所よ。
「いいわ。お兄ちゃん、紙とペンだけよこしてちょうだいっ。あとは、私が作るわっ」
「ああ、もちろん持ってきているよっ」
兄が「もちろん」と言った瞬間にものすごい暴風が起きて一瞬兄の姿が見えなくなったのだが、それは幻覚だったのかな、と思うくらい速く、兄は元いた場所に、寸分の狂いもなく戻ってきた。
「ありがとう。これで、世界を征服してやるのよっ」
まあ、何にも意味はないけれども、夢は大きく、だ。
意味はあるか。
訂正しておこう。
夢は大きく。やはり、現実的かつ、実現できる可能性が高い夢など、無価値に等しい。そうよ。私はお姫様なのよ。なんでもできるし、なんでもやれる。輝く未来を抱きしめてっ。フレーッフレーッみんな。フレーッフレーッ私。行っくよっ。
「何度でも起こすよ〜、きらめ〜くき〜せき、かがや〜くみら〜いにつないで〜。プリ〜キュア〜」
懐かしいな、なんて考えていたらつい口に出してしまっていた。
そうだよな。前世ならこのくらいの年齢の時はプリキュア見てたよな。
「・・・どうしたんだい?」
兄が腰を少し曲げて不思議そうに私の顔を見てきた。
「別に、なんでもないわ。ちょっと、思い出しただけよっ。ちょっと、集まりなさいっ。なに勝手に遊びだしてんのよっ。こっちはなんにも許可してないでしょっ」
兄を待つ間に、勝手に遊んでいたガキどもに叱責をかまし、私は姫としての務めを果たす。そう、つまり民衆を抑圧することよっ。
「今日は解散でいいわ。そうね、・・・明々後日よ。明々後日になったら、またここに集まりなさいっ。いいわね、絶対によ。来なかったら死刑なんだからっ」
元気なさそうに「は〜い」と言ってガキどもは自分の遊びに戻った。
私は急いで部屋に戻り、自作の人生ゲーム的なものの制作を始めた。
というわけで、翌々日。
時間というものは、あらゆる人にとって平等に進むものではないのだ。
「あんたたち、・・・待ってなさいよ」
二日間徹夜で考えたゲームを持って、私はふらつく足に力を入れて、なんとか踏ん張りながら支配者としての威厳を保つために庭に向かう。
本当は今すぐにでも眠りたかったが、約束をした手前、それを破るわけにはいかない。
城と外とを隔絶している重い扉を、なんとか押し開けて、何日かぶりに日の光を浴びた私は、少し元気が出たので、小走りでいつもの庭に向かうのだが。
今日に限って人がいない。
「ちょっと、お兄ちゃんっ」
突然、目の前にものすごく強烈な光が炸裂して、何か小さな丸い物体が現れる。
すると、段々とそれに向かって小さな粒のようなものが集まっていき、少しずつ大きくなる。私は、それを眺めた。その粒のようなものは着実に大きくなっていき、やがて人の臓器のようなものへと進化した。
なんか、微妙に嫌な予感がする。
すると、その臓器を囲うように何か管のようなものが形成されていき、その内側には白いものが下から順に積み上げられるかのように作られていく。
なんか、理科室とかで見たことがあるな、というものが完成したと思ったら、そこに肌が渦を巻いてまとわりつき始める。
その、もっとしっかり表現してもいいのだが、かなりグロい光景だったのだ。
もう、このことは忘れよう。
「呼んだかいっ。愛しき妹よっ」
全裸の兄が登場した。
「お兄ちゃん、みんなを連れてきてっ」
「ああ、もちろん連れてきたよ」
いつの間にか、庭にはいつも遊びに来ている子どもたちが集まっていた。
子どもたちは少しキョロキョロとしながら状況を確認していたが、すぐに状況を理解したらしい。
「お姫様さ、俺達今日集会みたいなのがあるんだよ。だからさ、ちょっと待っててよ」
リュカが、あたかもみんなを代表しているみたいな感じで、私に意見を言う。
「なんなのよ、それはっ。庶民の癖にコソコソしちゃってさっ。まあいいわ。早く戻ってきなさいよっ」
お兄ちゃんが一瞬で集めてきたガキどもだったが、帰りはノロノロとめんどくさそうに歩いて帰っていった。
「お兄ちゃん、他に遊ぶ人いないのっ」
「いつもの、リリカとテトとアユを呼んだらどうだい?」
レイの名前が出てくるのかな、と思ったが、そういえばそんな人達もいたではないか。
「確かに、そうね。じゃあ、呼んできてっ」
「わかったよ」
そう言って、兄は走り出した。なんだろうか?もしかすると、城の中では魔法が使えないのか?いや、前は天井を突き破って登場していたもんな。
そういえば、リリカにハイヒールで踏まれたときに、アユとテトのどっちか忘れたけれども、どっちかが、二人で治療してくれていたか。
もしかしたら、彼女たちは私の兄と双璧をなす城の魔術師なのかもな。
と思っていたら、兄が彼女たち三人を連れて戻ってきていた。
「げ、またあんたなの?」
全然遊んでくれなかったのに、「また」とは何事だ、と思いつつも私は「よく来たわね」と歓迎しておくことにした。
「フレイ様も、こんなやつのことは気にしなくていいのですわっ。アユ、テト、帰りますわよ。・・・ていうか、なんで全裸なんですのっ」
リリカが、赤く染まる顔を覆いながら、その顔を覆っている指の隙間から兄の体を凝視していた。
兄は、私が馬鹿にされることに対して怒る人ではない、ということはとっくの昔に分かっていたが、それでもどうも「怒ってほしい」と思ってしまうこの心は、乙女心なのだろうか。
「ちょっと、待ちなさいよっ。アユ、テト、あんた達だけでも遊ぶわよっ」
アユとテトがこちらを振り向き、気まずそうに互いの顔を見合っている。
リリカはめんどくさいから、いい。ただ、遊ぶ人が必要なんだ。
「ちょっと、なに迷ってるのよっ。あんなやつほっとけばいいんだわっ。ろくに勉強もしないで、あんたがこの調子だと、女王になるのはあんたの妹の方になりそうねっ。それに、貧相な胸だし、勉強したところでどうせ無理だわっ。オホホホ」
また一人で笑ってるわ。
「何度言えばいいのかしらっ。夢と希望で胸は膨らまないのよっ。悩み事でしか、胸は膨らまないわっ」
「なにを言っているのかしらっ」
そんなことを言いながら、私と物理的に距離を取ろうとするリリカに対して、私は秘密兵器を発動する。
「お兄ちゃんっ」
「分かってるよっ」
私の真横にいた兄が、ものすごい速度で加速した後に、リリカの手首と足首に麻縄を巻き付けて、リリカを拘束することに成功する。
そして、それを軽々と片手で持ち上げている。
「ちょっと、・・・なにする気なのっ。離してっ。フレイ様も、離してくださいっ」
「すいませんね、リリカお嬢様。でも、愛しき妹の頼みを断るわけにも行かなくてねっ」
リリカは縛られた体で必死に暴れるが、兄はその程度のことではびくともしない。
「フレイ様、さすがにこれでは私たちも手を出さざるを得ませんわ。アユ、行くわよ」
毎回忘れてしまうのだが、今青髪が喋っているから、金髪がアユで青髪がテトなんだな。あとでしっかりとメモをしておこう。
「なによ、遊んでくれれば全部解決じゃないのっ。駄目なの?」
私が純粋な疑問を口にするのだが、アユ(金髪)がテト(青髪)に耳打ちをしている。
私が、地団駄を踏みながら耳打ちの様子を眺めていたら、急にアユがこちらを向いてきて、そして、目が合う。もちろん、前世では人と目を合わせるなんて、一秒以上見つめてしまえば即死案件だったが、今の私はそうではない。なぜなら、王族だからだ。
が、目が合ったと思ったらその目が遠近法を逆走して大きく見えてきた。
あ、近づいてきてるのか。
アユがあと少しで私と衝突する、という寸前で、兄がアユを思い切り蹴り上げる。さすがに、アユの細い脇腹に成人男性の膝がくいこむ場面を間近で見た私は、さすがに目を逸らした。私は急いで、兄が置きっぱなしにしたリリカの後ろに隠れる。
「ちょっと、なにしてるのよっ」
そういってぴょんぴょんと跳ねるが、私は
「なによ、盾なんだから黙りなさいよっ」といって彼女の後ろに隠れて彼らの戦闘を観戦した。
兄は放物線を描いているアユに追撃を加えようとするが、もちろんその隙を狙ってテトがこちらに向かってくる。
「おっと、もちろんそんなことはさせないぜっ」
ていうか、これって魔法なのか?ただ肉弾戦をしているだけ、とも考えられるのだが。
今度は、兄はテトの目の前に瞬間移動して、兄の拳がガードしようとして構えたテトの左腕にめり込む。テトは、そのまま庭にある木の幹に激突した。
兄が完璧にコンビネーションを封じる戦い方をするので、かなり苦戦しているみたいで、アユとテトには一秒たりとも気を抜くことができない時間であっただろう。
実際は、気を抜くどころか気を抜く暇すらもなく、兄の拳が彼女たちの体にめり込み続け、彼女たちは兄に殴られる度に血を吐いていた。
あまりに強烈かつハイスピードな戦いのせいか、庭には小さな竜巻が発生する。その風でリリカのドレスがめくれ、服がめくれてって・・・あれ?
「あんた、私が開発したブラ、着けてるじゃないっ」
私は彼女の服をめくって、とんでもない事実を白日の下にさらした。
「べ、べべ別にいいじゃないっ。お母様に着けろって言われただけよ。私の意思じゃないものっ。あんたこそ、そんな小さい胸のくせにこれを着けてるの?中になにか詰めて盛ってるんじゃないでしょうね」
可愛いところがあるとは、一応思っていたのだが、やはりツンデレは現実にいると心地の良いものではない。
意地悪してやろう。
「お兄ちゃ〜ん、ちょっとこれ見てよ」
今度は私の目の前に瞬間移動して、「どうしたんだい」とすっとぼけたように言う。
「あ、ちょっと、ちょっと。ダメダメ」
私が、せっかくのものを兄に見せようとすると、身動きがとれない体でリリカがうつ伏せになってしまった。
「ちょっと、それだけはやめてっ」
顔は見えないけれども、うつ伏せになったことであらわになった彼女の背中が、少し赤くなっている。
「じゃあ、遊びましょうよっ」
兄のお陰とも言えるが、兄を呼んだ私が一番強いとも言える状況であろう。
世界は弱肉強食。ひれ伏すがいいわ。
ボロボロになったアユとテトが、人質を取られて下手に動けない状況になっている。テトがアユの肩を支えて、うつ伏せのまま辱めを受けているリリカの様子を、彼女たち二人を含めて四人で見守る。
「わかったわよっ!!だから、離してっ」
ようやく、リリカが諦めたようだ。最初から遊んでくれればいいのに。
「よっしゃ!!じゃあ、やるわよ、準備しなさいっ!!」
兄がリリカの拘束を解き、アユとテトは互いに治癒魔法をかけていた。
そもそも、この程度のガキにこちらが本気を出すほどでもないのだ。
彼女たちは互いの服の汚れを払い合い、そしていつものように三人の隊形を作っていた。
「お兄ちゃんもやりましょうっ」
私は、なんとなく兄にも声をかけてみた。
「ええ、僕もいいのかいっ?」
リリカを結んでいた麻縄をぐるぐると手に巻き付けながら嬉しそうに返事をした。拘束をとかれたリリカは、唇を噛み締めて泣いていることを隠そうとしていたが、もちろんお見通しである。今度、言いふらしてやろう。
「え、ホントにいいのかいっ」
兄が私の額に自分の額をくっつける。そんな兄の顔を手のひらでガッチリと掴みながら、「いいって言ってるでしょっ」と私は返す。面倒くさい人だ。
「ああ、神よっ。僕は、生まれてきたことに感謝しますっ。最近は、全然遊んでくれなくて、自分から言うのは野暮なんじゃないかって、」
神は適当な人ですよ、と言ってやりたい。神に会ってきたわけではないが、神の配下、というか部下であるであろうエルフには会ってきたのだ。異世界を経営する人物としてふさわしくない、と私は思うのだ。
あんな無能で愛想の悪いエルフはクビにすればいいのに、それをやらないとは何事だ。
「アユとテトも、早くこっちに来なさいっ」
彼女たちの着ているドレスは、まだ少し破れてはいるが、それでも怪我などはもう治っているようだ。魔法って、ホントに魔法みたいだな、と思う。最近は、異世界系の影響で、魔法にも魔力とか制限とか才能みたいなものがあることになっているが、きっと、もともとの魔法っていうのは、神の力というかもっとゼロから有を生み出すもので、そこに代償なんて必要じゃなかったのではないか、と思うのだ。なぜ魔法が不便なものになってしまったかという一番の原因は、ゲームで魔法を使うときに無制限に使えてしまうと困るからなのだろうが。
この世界では、魔法は魔法として機能しているように思える。
それはともかく、そういえば私はここのところ徹夜をしていたのだ。明々後日再集合と言った手前、引き返せないから、寝ずに作るしかなかった。
そう宣言したときは、一日もあればできると思っていたのだ。一日でできれば、明々後日なんて言わずにすぐにやることができる。
しかしまあ、アイデアを出すのも案外大変で、いちいち文字を書くのも大変だったのだ。
ようやっと、それをお披露目することができる。
私は、庭の芝生の上に自分で作ったゲームのボード代わりとなる紙を広げる。
「座り方はなんでもいいから、適当に座りなさいっ」
「クレア、僕は隣でもいいかい?」
「なんでもいいけど」と言ったら兄が必要以上に近づいてきたので、私は兄を手で押して「ちょっと、近いって」と言った。
すると、兄はシュンとして一人分くらいの隙間をあけた。
クソが。ぶん殴ってやりたい。
リリカとテトとアユは、大人しく私の反対側に座った。
「いい?これはあんたたちのよっ。自分の駒を覚えておきなさいっ」
それぞれが、思い思いの駒を手に取る、と言っても、駒代わりに私が引き出しから取り出した色とりどりの宝石を使っているのだが。
「いいわね。そしたら、サイコロを振って出た目の分だけ進むのよっ。じゃあ、あんたからやりなさいよ」
私は、すっかり大人しくなってしまったリリカを指さして、無理やりサイコロを振らせる。
三の目が出た。
「三ね。じゃあ、あんたはかつての恋人によるストーカー殺人で転生ねっ」
「なによ、それはっ」
「は?あんたの死因よっ。ざまあないわwww」
「なんなのよ、すとおかあっていうのは?」
なんと説明すればいいものなのか。
「元彼が、あんたのことを諦めきれなくて別れてからも付き纏ってきてるのよ。わかる?」
「なんなのよ、それはっ」
いちいち面倒くさいし、いい例えも見つからないし。
「まあ、男運が悪かったってことよ」
「なんなのよ、それは」
「まあ、次は隣よ。テト、あんたサイコロ振りなさいっ」
Q ちょっと待ってくださいよ。
私 あなたもいちいちしつこいですね。いつまでこれを続けるつもりなんですか?
Q もしかして、ここからずっとこの人生ゲームみたいなのをやり続けるんですか?それに、転生の人生ゲームみたいなの、すでに売ってますよ。
私 え、そうなの?じゃあ、カットですね。
Q とばしましょう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
次はもう少し面白くするから、




