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初恋を拗らせました、想いを断ち切る為に、告白をします!!  作者: 真綾


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文字数まばらでごめんなさい!!

 有名なコーヒーのチェーン店。陽翔には二人っきりで会うなと言われているけど、日中であれば約束を破ったことにはならないよね。


 ご満悦の笑顔の侑真に俺はいつでも逃げられる様に警戒していた。呼び出しておいてなんだが、侑真は狙った獲物は逃がさないタイプの人間に見えてならない。


 今まで陽翔を忘れるために何人かの人と付き合ってきて身についた勘。人柄がよく好意を寄せていたら、実は性格が粘着質だったことも多い。忘れようと思って伊達にいろんな人と付き合ってきていない。陽翔に聞かれたらきっと軽蔑されるくらいに色々な人と関係を持っていた。


「今日は呼んでいただきありがとうございます。二人っきりってのが珍しいですね」


 初めて再会した場所。そのときは陽翔も一緒だったけど今日の話は二人きりでしたかった。


「ごめん。仕事忙しかったかな」


「仁くんの誘いなら基本的にすぐ来ちゃいますよ」


「楽しい話じゃなくても」


「話できるだけで僕は楽しいですよ」


 カフェオレのカップを口につけ、侑真は俺の考えを探るように上から下までじっくり眺めてくる。


 獲物を狙う狩人の瞳。可愛い歳下の男の子の皮を被った、肉食獣に思える。


「僕が傷つけるはずないですよ。警戒しないでください」


 見た目はとても可愛い。俺も陽翔に心を奪われてなければ、想いを寄せられていると聞いて傾いちゃう。男女問わず可愛い子に言い寄られたら嬉しくない人間はいない。俺は忘れようと思って他の人と付き合ったけど、大半が好感が持てる相手からの告白。


 再会してからずっと優しく接してきた。クライアント先だからだけじゃない。俺が嫌われるのが怖いから。いらない期待をさせてしまった。


「僕の気持ちを受け取る覚悟ができたんですか」


「侑真に好かれる要素俺は持ってないと思うんだけどな」


「仁くんはお医者様にもう好きなことができないって言われて泣いてた。でも立ち直った。その姿がすっごくカッコよかったんだよ」


「落ち込んでいたら野球ができるようになってたのかな」


「ならない」


「だから立ち上がっただけ。かっこよくなんかない。野球に未練タラタラだ」


 タラタラの結果が精密機械の会社。医療器具に関するものも扱っていて、俺みたいに野球ができなくなった人を一人でも減らせればって思いから。自分が医者になるほど頭がいいわけじゃないからこの選択肢を選んだ。


 医療系ではなく、その医療を支える機械を作る仕事。少しでも俺みたいな人を少なくできればなって。自己満足以外の何者でもないんだけど。


「好きなのに告白しないの、ずるいですよ」


 侑真が頬を膨らませる。拗ねた時の表情はいつも可愛いと思う。可愛さを振りまいたからってお兄さんは簡単には振り向いたりはしないよ。陽翔に再会した今ならわかる。


 不毛な片想いを終わりにする時が来たってことが。


「気が付いてたんだ」


「上に立つ者になるように育てられましたから人の気持ちには敏感なんです。僕みたくずっと片思いしてると思いませんでしたけど」


「お互い様じゃないか」


「大人になったら振り向いてもらえると思ってたのに。相手が大和さんじゃなかったら振り向かせられる自信あったのに」 


「見損なった?」


 離れていても忘れられなくて、想われているだなんて誰が予想していた。短い間しか一緒にいなかったからここまで一途に想われてるだなんて俺は想像していなかった。


 奥さんがいる男性を自分に振り向かせようとしている男だよ。


 カッコいい男のはずないじゃん。


「仁君は、自分の魅力を分かっていない」


 昼間も同じようなこと言われたな。俺はどうやら自分の魅力を分かっていないようだ。誰か丁寧に教えてくれる人はいないのかな。


「侑真の方が魅力的だ」


 一般的に見て、モテる男の要素が詰まっている。お世辞じゃないよ。子供のころを知っていたら余計に輝いている。


 侑真が泣き笑いのような笑顔を俺に向けた。


「望みのないセリフ言う癖辞めてください。振り向いてくれないくせに」


「ごめん」


 俺が野球をしていなければ、侑真にも合わなかった。病院で出会った俺の年下の大切な友人。忘れないで居てくれたことに感謝。懐かしい気持ちと、忘れちゃいけないことを思い出させてくれた。


 幸せになってほしいというのは本当。


「ありがとう」


 心からのセリフに侑真は疑いの眼差しを向けてくる。俺はそんなに信用がない人間なのか。


「絶対告白OKの意味じゃないことくらい僕、分かりますからね」


「俺片想いだから許してください」


「片想い同士付き合うってどうですか」


「誰かの気持ちを踏みにじることはしたくないんだ」


 十分、踏みにじっている。俺はもう恋が出来なくてもいい。一生分の想いを陽翔に捧げてる。気持ちを紛らわす恋もしたくない。俺は最低な人間だ。


「踏みにじられてもいいって言ってるのに」


 はっきりした態度を取らないから、甘えてくる侑真を可愛がっているふりをして、振った時に嫌われることを恐れている。好きなのは陽翔のはずなのに、中途半端な優しさをむけてる。クズだと罵ってもらえればいいのに。


「侑真、お前なら俺以外の人も選べただろう」


 ずっと不思議だった。病院であって、その後会うこともなかったのに、ずっと俺のことを好きでいてくれたと言っていた。初恋だった俺が忘れられなくて、告白してくる人を断っていたと。


「僕が仁君を好きなのは僕の気持ちだもん。他の誰かに決められて好きになったわけじゃない」


 侑真の瞳が悲しそうに揺れる。その瞳を俺は知っていた。告白をしてきた女の子に応えられないと伝えた時に、見た瞳。


 他の誰かによそ見をすることなく、想いを寄せてくれていた侑真。


「仁君が僕を好きにならない、振り向かないのは分かってた。ずっと年下の弟みたく可愛がってくれてるのも。心の中に一番大切な人を抱えていて、悩んでいるのも」


「好かれるほど、いい人間じゃない」


「絶対に見る目が無かったって後悔すればいいんだ」


 侑真が己の顔を手で覆った。周囲のお客さんがチラチラとこっちを見てくる。


 最近隠しているはずなのに、どうしてか目立つことが多いな。


「仁君が僕のこと振ったの絶対後悔させてあげますから。僕がいい男になってから言い寄ってきても遅いですからね」


「分かった」


 不器用な優しさに俺の心が救われた。


 人を好きになることも、好きになってくれた人に気持ちを返すのも容易いことではなくて。想った気持ちを返してもらえることが何より奇跡であると、改める。


 俺が好きにならなくても、誰にでも優しく接することができて、想いを言葉にすることを恐れない侑真はきっとこの先、素敵な出会いができると思う。


 生まれたての雛が最初に見た者を親だと思い込むのと同じ原理で多分俺を好きになっただけ。

俺の中で侑真を一番にすることができなかった。


 陽翔に振られたら、侑真のことを好きになるだなんて、不誠実なことを十年来好意を寄せてくれていた人に向ける気持ちじゃないから。


「ありがとう、こんな俺を好きになってくれて」


 カッコいいところなんて何一つないのに、そんな俺のいいところ見つけていいところ見つけてくれた。


「今ならまだ、間に合いますよ」


 恨めしそうに俺のことを見つめる瞳。恋慕よりも、それは初めて会った時のような、無邪気な少年の面影がある瞳だった。


「誠実に不誠実で応えるわけにはいかないだろう」


 自分を大切にしてくれる人を愛する方法もあるかもしれない。


 十年後、後悔しないのだとしたら、振られると分かっていても砕けなければ。


 ぶつかってきてくれた、侑真に唯一返せる答え。


「仁君って本当に頑固だな」


 頑固じゃなきゃ、ピッチャーなんてもんもできない。誰よりも自分が投げる球が最強だと思っていなければ戦えない。告白したことないんだよな、と振り返りながら、ちゃんと言葉にしないといけないと思うと、急に心臓がドキドキしてきた。


 侑真はこんな思いをしながら、ちゃんと俺に伝えてきてくれたんだ。

 

 本当に、ありがとう。俺が言えた立場じゃないから、心の中で伝えさせて。


 絶対に幸せになって、侑真。

ここまで読んでいただきありがとうございます!!

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