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8 「初めての出門」

作品討論とAI活用交流

https://discord.gg/MpHHwVm3CD


本コンテンツはAI翻訳を利用しています。翻訳に誤りや不自然な表現がありましたら、どうかご容赦ください。


朝の八時。団長の肩が先に、あの朝の光が焼いてきた半ばの暖かさを感じた。薄手の布地のシャツの下で肩紐が二本の浅い斜めの痕を圧し、布地は荷物の重みに引っ張られて肌にぴったりと貼りついていた。まるで誰かが後ろから掌でゆっくりと押し下げてくるかのようだった。彼は片手は空で、もう片方の手で包の側面の水筒を支え、背筋を伸ばして立っていた。身体はもうこの負担をしばらく前から認めていたが、意識がようやく追いついてきたところだった。


街角から木屐の軽い音が聞こえてきた。


八千代:「おはよー 団長、ずいぶん荷物が多いね。」


彼女はまだ湯気の立つ小さな陶杯を両手で捧げ持ち、もう片方の手は空だった。近づいてくると、茶の香りがまず二人の中間の空気に、目に見えない痕跡を一本引いた。彼女は一口啜り、熱気が睫毛に触れて薄い湿り気になり、杯の縁の上から団長のふくらんだ包を一瞥した。中に何が入っているかは聞かず、「ずいぶん荷物が多いね」の尾音だけがわずかに上へ跳ねた。身体が先にその言葉を柔らかく言い、口があとからついてきた。


それから彼女は杯を差し出した。


団長は頷き、「おはよう」は言わず、空いていた方の手で杯を受け取った。彼女の指先が離れた半秒の間に、杯の壁に残っていた体温はまだ引いていなかった。彼は頭を下げて一口飲み、唇がちょうど彼女の唇が触れたのと同じ位置に重なった。熱が杯の縁から喉へ滑り落ちるように入り、まるでさっきの指先の余熱を彼が一口で飲み込んだかのようだった。飲み終えて杯を返した。


八千代:「……」


杯を受け取った瞬間、彼女の指が半秒ほど蜷曲してから緩んだ。まるで軽く火傷をしたかのようでもあり、何事もなかったかのようでもあった。


そのとき、薇が路地の角から曲がってきた。


薇:「おはよう~」


彼女の視線はわずか三秒で——一秒で団長の法外にふくらんだ包を、一秒で八千代の手の中の角度を変えられた茶杯を、最後の一秒で二人の間にまだ消えていない熱気に留まった。口角は動かず、目だけが笑っていた。「チェックリストは三回確認したわ、装備は揃ってるわよ。あなたたち」彼女は団長を見て、また八千代を見て、「見たところ揃ってるみたいね。」


八千代:「うん~ 適当に詰め込んだだけ。」


「適当に」の二字を彼女は特別に軽く言い、舌先から自分で転がり落ちるようにした。腰はしかし無意識にわずかに後ろへ引かれ、布地はその小さな動作でより体に貼りついた。


薇:「うん。」


単音節の中に「私はあなたが寝袋すら持ってないことを知ってるわよ」が包まれていた。


三人の間でその温かく熱い沈黙が固まりかけていたとき、遠くから金属がぶつかり合う脆い響きが聞こえてきた。まず「鏘啷鏘啷」、それから「どん」、続いて「鏘啷鏘啷どん鏘啷」のように、まるで歩く金物屋が通りを駆け抜けているかのようだった。


小櫻ちゃん:「おはよー!!」


彼女が駆け寄ってきたとき、全身がまず背負った包に支えられていた。包の上に積まれたものは小型の移動神社のように並んでいて、平底鍋が肩の後ろから突き出し、縄が何周も包の頂上まで巻かれ、二つの小さな灯籠が左右に揺れてそれぞれ一回ずつぶつかり、鈴の串が包の側から垂れ下がって拍子を刻み、毛の生えた人形が一番高いところに縛られ、彼女の足取りに合わせてぷるぷると震えていた。


小櫻ちゃん:「鍋、持ってきたよ!」


平底鍋はこの言葉の尾音について彼女の肩の後ろから「ぱん」と自分の尻を叩いた。小櫻ちゃんは反応せず、笑い続けたが、身体はその一撃で軽く前へ半寸弾み、腰側の布地がそれについて小さな弧を描いて揺れた。


薇:「……鍋。」


視線が平底鍋の上で二秒留まった。普段より半拍長く。


小櫻ちゃん:「そうだよ、キャンプで何か煮られるでしょ! 昨日キャンプ飯のレシピも調べたんだから!」


彼女は目を輝かせて団長を見て褒められるのを待った。団長は鍋を一瞥し、頷いた。


小櫻ちゃん:「やったー!」


身体ごと団長の方へ半歩すり寄り、平底鍋がまた彼女を一回叩いた。腰側の薄い布がその衝突で軽くへこみ、皮膚の下で何かが先にぴくりと震えてから落ち着いた。


八千代は茶を飲んでむせて笑った。口を押さえながら肩ごと震え、ようやく「その荷物……いいね……」と絞り出し、それからまた半声むせた。息が整うと彼女は茶杯を掲げて通りの反対側を見た。「ソフィアは~?」


薇:「来るわよ。」


鐘の第一打がちょうど鳴り「どん」、路地の角から褐色の影が一筋現れた。


ソフィア:「私、」


彼女は足を止め、胸の上下が普段の倍近く速く、呼吸は乱れていたが、唇を結んで乱れていないふりをしようとしていた。「この時間に来るつもりだったの。」耳の付け根はすでに赤く、彼女の褐色の肌の上ではその色差が非常に目立っていた。まるで誰かが深い銅の上に暖かい赤を一筆置いたかのようだった。首のあたりの熱が先に駆け上がり、意識がまだ追いついていないところだった。


小櫻ちゃん:「えっ、ソフィア、走ったの早かったね」


ソフィア:「走ってない。」


小櫻ちゃん:「でも髪が」


ソフィア:「走ってない。」


薇:「それで、ソフィアの寝袋は?」


ソフィア:「……包の中。」


薇:「ん?」


半音が上へ跳ね、突きはしなかった。ただ待っていた。


ソフィア:「……わ、わたし、取りに戻る。」


彼女は振り返り、足取りは何か追われているかのように速かったが、肩の線は真っ直ぐに張ったまま、走りはしていなかった。腰はしかし振り返った瞬間に軽くねじれ、まるで身体は逃げたがっていたのに、足がまだ迷っていたかのようだった。


八千代は茶杯を掲げて見送った。「いってらっしゃい~」


小櫻ちゃんはその褐色の背中に向かって大声で叫んだ。「じゃあ私が鍋、持っててあげる!」


ソフィア(振り返らず):「い、いらない!!」


---


ソフィアの背影がまだ路地の角を曲がりきらないうちに、団長は二歩で小櫻ちゃんの前に立ち、包を下ろさずその場でしゃがみ込み、手を彼女の包の肩紐に掛かっていたあの連なったものの方へ伸ばした。


小櫻ちゃん:「えっ……」


平底鍋が彼の一手で持ち上げられたその半秒、小櫻ちゃんの左肩は無意識に半寸跳ね上がった。団長の指先は彼女の後頸の下方数センチのところを通り過ぎ、触れはしなかった。しかしその距離が小櫻ちゃんの後頸に薄い涼しさを走らせ、皮膚の下の細かい毛が一度立ち上がってまた寝た。彼女は自分がいまどんな表情をしているのか、配置する暇さえなかった。鈴が外された瞬間に短く澄んだ音が一回鳴った。静かな教室の中で誰かが突然くしゃみをしたような音だった。彼は鈴の串を自分の包の外側の網袋に押し込み、動作はとても軽かったが鈴がまた半声鳴った。彼は何の表情も浮かべず、肯定も否定もしなかった。


八千代(低く薇に):「この光景……私、記録に残してもいい?」


薇:「どうぞ。」


団長は元々鈴を縛っていた縄で平底鍋を自分の包の頂上に横向きに固定した——動作は疑わしいほど慣れていた。縄の結び目は美しく、締め、 一周巻き、末端を処理し、平底鍋は彼の背中にぴったりと収まった。灯籠は一つ外し、一つ残し、毛の生えた人形は置く場所がなくなり、最後に平底鍋の取っ手に縛られ、奇妙な角度で相乗りした。


小櫻ちゃん:「私の包……軽くなった。」


彼女は左右に揺らして新しいバランスに慣れようとし、右足を後ろへ半歩引いてようやく安定した——身体の重心が突然場所を変えたような、床自体が一寸動いたような感覚だった。団長の手がこのとき彼女の左腰にやってきて、側面にただ置かれた。掴むのではなく、ただ遮るように。掌が落ちてきたその一瞬、小櫻ちゃんの腰側の薄い布が軽く下へ押し込まれて浅い凹みができ、彼女の腰のくぼみがその掌の熱で半秒刻印された。動作は短く明確で、引き返すときには彼女の包の肩紐を避けて回った。


小櫻ちゃん(自分 の肩を下を見て):「……団長の手、大きいなあ。」


八千代が茶を吹き出した。薇:「げほっ。」


小櫻ちゃん(首を傾げて):「えっ?」


このとき団長の装備は、本体の巨大な包+平底鍋(頂戴)+毛の生えた人形(逆さ吊り)+鈴の串(網袋に押し込み)+余った灯籠(側面に掛け)で、視覚的には本体の倍近くに見えた。


八千代:「あんた……あんたは魔物退治に行くの、それとも露店を出すの……」


薇:「とても似合ってるわ、団長。」


団長(小櫻ちゃんに向かって):「行く。」


一言、手で前を指した。


小櫻ちゃん:「はーい!」


頷きはバネのように弾み、二歩進んでから振り返った。「あっ、じゃあ私の鍋は」


団長(足を止めず):「着いたら返す。」


小櫻ちゃん:「はーい!」


隊列が動き出そうとしたその瞬間、褐色の影が寝袋を抱えて路地の角から飛び出してきた。ソフィアは足を止め、二秒息を弾ませながら見た。耳の付け根のあの色差はまだ引いていなかった。


ソフィア:「……私、どのくらい離れてた?」


八千代(空の茶杯を掲げて):「三分。」


ソフィア:「三分で何があったの。」


薇:「何もないわよ~ 団長が小櫻ちゃんをちょっと手伝っただけ。」


「手伝った」の尾音が少し長かった。


ソフィアの視線は団長の頭上に乗ったあの平底鍋から、逆さ吊りの毛の生えた人形へ、側面の灯籠へ滑り、最後に彼の手がさっき小櫻ちゃんの腰側に触れた位置で止まった——手はもう離れていたが、空気の中の残像を彼女はどうやらまだ見えているようだった。視線がそこに半拍以上留まったが、身体は先にその光景を飲み込んだ。


ソフィア:「団長、その背負い方……歩けますか。」


団長:「歩ける。」


ソフィア:「……ふん。」


山道は公会の門口から出るとすぐに上り坂になり、石畳は固く踏み固められた土の道に変わり、両側の木影が何層にも重なってきた。風が葉の隙間から降りてきて、ちょうどいい涼しさだった。隊形はすでに決まっていた——団長が中央やや前、八千代が彼の左に半歩浮き、薇が右にやや後ろをゆったり歩き、小櫻ちゃんは完全に「歩く」の定義の外にいて、前に走ったり後ろに飛び戻ってきたりして団長の包の側面のあの鈴を肩でぶつけ、ソフィアは永遠に三歩遅れていた。その距離は追いつけないからではなく、彼女が隊列全体をスキャンするのに最適な席だったからだ。誰の足並みが揃っていないか、誰の尾音がなぜあのように落ちたか、すべてが彼女の頭の中の無形のノートに書き込まれていった。


薇は落ち葉を肩から摘み落とし、「何となく思いついた」ような口調で口を開いた。「そういえば、テントの割り振り、まだ話してなかったわね。」


小櫻ちゃんが前から飛び戻ってきた。平底鍋が団長の背中で「かん」と一回鳴った。「テントは二つあるの?」


「二つ。」薇の尾音は弦を弾くようだった。「私と小櫻ちゃん、ソフィアで一張り、八千代先生と団長で一張り、公平でしょ~?」


「やったー!」平底鍋がまた「かん」と鳴った。まるでその決定に判を押すかのようだった。


三歩進んだあと、その無形のノートが書き始めた。ソフィアは足を止めなかった——止める勇気はなかった——口が「えっ、違う」と言いかけたものを喉の奥へ押し戻し、下唇を自分が思っていたより強く噛んだ。耳の付け根が褐色の肌の上に一段と赤い色を浮かび上げ、斜めの光の中で信号機のように点灯した。薇の右耳がほとんど見えないほどソフィアの方へ三分の一度傾き、また戻った。その弧が彼女の領収書だった。


「私はどうでもいいわ~」八千代が言った。


尾音が違っていた。いつもの「どうでもいい」の尾音は上へ跳ね、跳ねたあと茶杯を顎の下に当てる小さな動作で補われるものだった。今回は尾音がそのまま落ちた——まるで彼女が物理的な事実を述べているかのようだった。茶杯も顎の下には当たらなかった。手はただ垂れていた。半拍あとで彼女自身もその不揃いな響きを聞き取り、力ずくでgremlinモードを押し戻した。「えっ、でも団長はイビキかかないでよね?」尾音は再び上へ跳ねたが、普段より半拍遅かった。まるで補票の人がホームを走って追うように。腰はしかしその言葉を言い終えたあとで軽く縮み、布地はその小さな動作でより体に貼りついた。


「イビキはかかない。」団長の視線は彼女を見ていなかった。


「八千代先生、あなたの茶は」小櫻ちゃんが受け継ごうとした。


「飲み干しちゃった~ 遺跡に着いたらまた淹れよう~」尾音は美しく跳ね、gremlinモードは完全に戻っていた。まるでさっきの瞬間など起きていなかったかのようだった。


「やったー!」小櫻ちゃんが受け止めた。


薇の口角の「あたし、さっき一条の資料を収集したわ」の弧が二歩続いてから収まった。ソフィアは脳の中の無形のフォルダに——ラベルは「八千代の疑点」——静かに一条の索引を追加し、閉じて、歩き続けた。


路面は変わり続けた。石畳は退場し、固く踏み固められた土の道に小石と突き出た木の根が混ざり、木が高く空を一層押し下げ、町のあの粉筆と焼いたパンの匂いは土と野の薄荷に変わった——薇の鼻が一回動いて、それが野の薄荷だと嗅ぎ分けた。


一本のペット用の鼠が路側の草叢から飛び出してきた。毛は黒く、信じられないほど小さかった。まず左へ半メートル突進し、小櫻ちゃんを見た瞬間、超高周波の「きゃっ」を上げて急に右へ曲がり、団長の足元へ向かって突進し、靴先の前で急ブレーキをかけ、二本の小さな爪が土に土を押すような跡を残し、顔を上げて——包の上に逆さ吊りになっている毛の生えた人形をじっと見つめた。


全員が止まった。鼠のひげが一回震えた。人形は動かなかった。


「わあ! クロちゃん! どこ行ってたの!」


七八歳の子供がカーブの向こう側から駆け込んできた。顔中が泥、ズボンの裾は膝までまくり上げられ、髪は暴風雨に三度洗われたように乱れ、手に食べかけのりんごを提げていた。三歩手前でブレーキをかけ、視線を下から上へ這い上がらせた。巨大な包→平底鍋→毛の生えた人形→灯籠→鈴。頂上まで這い上がり、止まり、顔を彼に一番近い大人——つまり八千代——の方へ向け、百科事典の知識を確認するような真摯な語気で:


「これはサーカスの叔父さんですか?」


八千代の肩が先に一回震え、全身が前へ折れて笑い、一方の手で膝を押さえ、もう片方の手でお腹を押さえ、髪色が銀からピンクへ一階滑り出た——それは彼女が笑って身体の反応を隠しきれなくなったときにだけ起こる滑りだった。腰の線が前屈の瞬間に布地に引き寄せられてよりはっきりと浮かび上がっていた。


「ぷっ」薇の遅いバージョンの「ぷっ」。尾音が長く引き伸ばされ、手で口を押さえきれず、押さえた角度はむしろこの笑いをみんなに見せようとしているかのようだった。


ソフィアの口角が一ミリ動いてすぐに押し戻され、顔を横へ向けて木の葉を眺めるふりをした——速度が速すぎて、葉脈をじっと見つめる目が博士論文を書いているかのように真剣で、「ふりをしている」ことが完全にばれてしまっていた。耳の付け根はしかしこっそりまた一階熱くなった。


「えっ!!! 団長がサーカスの叔父さんだって!!!」小櫻ちゃんが宣言した。彼女の辞書の中の「サーカスの叔父さん」は賞のレベルの称号で、子供の頃に見たサーカスが宙返りをして火を吹いて鳩に変わるあの崇拝のエネルギーを帯びていた。


団長は無表情だった——元々そういう表情だった——しゃがみ込み、指を一掬いで鼠を子供の開いた掌の上に載せた。「お前の。」


「叔父さん、いい人だね。」


「サーカスの叔父さん」を全く撤回せず、その上にそのまま「いい人」を重ねた——これは七八歳にしかできないファイルの統合だった。


八千代は今回は直接しゃがみ込んで笑い、茶杯を落としそうになった。彼女は空中でそれを掴み返した——掴む動作に姉のポジションの反射が一つ加わっていた。この程度に笑っても自分の小道具を地面に落とすことは許されなかった。腰側の布地はしゃがみ込んだときに引っ張られて肌にぴったりと貼りついていた。


「団長はいい人! 団長はいい人!」小櫻ちゃんは表彰するように団長の肩を叩き、平底鍋が「かんかん」と合わせた。


ソフィアはもう木の葉では足りなくなり、路側の野の薄荷の葉脈を研究し始めた——葉柄から葉先まで。耳の付け根のあのマスがまた一段明るくなった。


「叔父さん、またね! サーカス、がんばって!」子供は鼠を掌の上で宇宙の宝物のように捧げ持ち、カーブの中に駆け込んで消えた。


八千代はゆっくりと立ち上がり、髪色が銀色に戻り、姉の低音が戻ってきた。「……平底鍋、包の中に入れたら?」


「いらない。」


五人分の笑い声が路側の木の梢にいた一羽の鳥を驚かせ、鳥が「があ」と一声羽をばたつかせて飛び立ち、斜めの陽光が葉の隙間に描いた光の斑を横切っていった——彼らはその場に立って鳥が飛んでいくのを見ていた。誰も言葉を発しなかった。隊形が再び整列したとき、すべての人間の間の距離がわずかに縮まっていた——薇のやや後ろ半歩がやや後ろ四分の一歩になり、ソフィアの三歩が二歩半に縮まり、八千代の団長の左側のあの浮遊距離がこっそり三センチ近づいた——まるで目に見えないバネが一段押し縮められたかのようだった。


そしてカーブに着いた。


小櫻ちゃんがカーブの石を跨いだその一歩で、目に見えない縄に体を引かれた——身体がそこで止まり、口が小さなOを描いた。「わあ」


興奮の「わあ」ではなかった。冷蔵庫を開けて卵を取ろうとしたら八リットルの牛乳はあるのに卵がないときの「わあ」だった。


八千代が二番目にカーブを回った。彼女は三秒止まった。彼女にとっては宇宙レベルの停止だった——日常の遅延はいつも〇・三秒単位で、三秒は脳の中のどこかの目盛りが押し潰されたことを意味した。彼女はカーブの入り口に立ち、手はまだ空の茶杯の縁に浮かせたまま、瞳孔の上のピンクと下の青の層が半拍遅れてようやく安定した。それからようやく歩き出し、最後の歩みが少し軽かった——まるで馴染みの家の客間の新しい絨毯を踏むときのような軽さで、腰の線はしかしその瞬間にわずかに引き締まっていた。


薇がカーブを出た。視線が樹冠の隙間から下のあの建築群へ滑り、口角に「へぇ~ ここだったのね」の弧を描いた。薄く、説明するつもりはなかった。


団長が四番目に着いた。五金の塔が彼について来た——平底鍋、灯籠、人形、鈴が、彼が止まったときの慣性で一回揺れてから静かになった。


ソフィアが最後に二歩を速めて追いつき、目をスキャンモードに切り替えて三秒見た。「……この年代、報告に書いてあるのと違うわ。」


嗆声が下がり、学術が上がった。切り替えが速すぎて、彼女自身も意外だった。


「……これは何の店?」小櫻ちゃんが聞いた。


全員が二秒沈黙した。その二秒は集団的で、無言で、非常に馬鹿馬鹿しい空白だった——四つの大人の脳が同時に「彼女は古代の遺跡建築群をチェーン店だと思っている」という情報を処理し、そして集団で修正しないことを選択した。


「店じゃないわよ」八千代がgremlinで返した。


「何も売ってないの?」


「売ってない。」


「じゃあどうしてこんなに大きく建てたの?」


「小櫻ちゃん、すべての大きな建物が店だとは限らないのよ。」薇が柔らかくトドメを刺した。


小櫻ちゃんは真剣に二秒消化し、瞳孔が一回光って謎解きをしたように「じゃあレストラン?」


八千代の茶杯は二度目に空になり、彼女はまた腰の包に押し戻した。無駄だと知りながらも押し込む——その押し込む動作の中に、彼女がgremlinの暴走を処理する条件反射があり、腰側の布地が腰の包の帯に引かれてわずかにへこんでいた。


「石柱の字を見てくるわ。」ソフィアの声が前方から投げ返され、彼女はすでに前へ歩き出していた。


「私がソフィアの字、見てあげる!」小櫻ちゃんが瞬時に前を走ったり後ろを走ったりするモードに戻り、平底鍋が「かん」と鳴った。


「触らないで。」ソフィアは振り返らなかった。


「はーい!」五秒後には小櫻ちゃんはもう石柱の傍らにいて、腰を曲げ、鼻先をその一行の字に向けていた。「……えっ、ソフィア、この」


「触らないでって言ったでしょう!」


「触ってない! 見てただけ!」


「あなたの鼻、もう触れそうになってるわ。」


八千代が後ろで軽く笑った。その笑いは落ち葉のように軽かった。


薇は彼女の方を向き、甘さの中に彼女が特に得意とする無邪気さを帯びて「残りの四人の時間はだいぶありそうね。」


「うん~ それじゃあまずお茶でも飲もう。」八千代が何気なく言った。


「あなたのお茶、もう空よ。」


「……」


八千代のあの省略記号が空中に一拍まるごと掛かった。


薇が甘く笑いながら側面の包から携帯用の茶器セットを取り出した——八千代のものよりさらに精緻な、小さな陶の壺、三つの小さな杯、濾し網、茶を分ける小さな杓子を、折り畳み木の板の上に広げた。動作はまるで毎回出かけるたびにこうしているかのように慣れていた。


八千代はその茶器を二秒見つめた。「薇、姉さん」


「~?」薇の尾音がわざとらしく美しいほど跳ねた。


「あなた、私が飲み干すことを最初から知ってたんでしょ。」


「そんなわけないでしょ~」薇は目を細めて笑った。「ただ多めに持ってきただけよ。」


「……」


今回は省略記号を言う力さえ残っていなかった。遠くでソフィアと小櫻ちゃんはまだ「鼻が触ったことになるかどうか」で口げんかを続け、声は段々高くなっていた。団長はすでに五金の塔の包を下ろして平らな石の傍らに置き、キャンプの基礎となる道具を一つ一つ取り出し始めていた。動作は静かで、背景音楽の低音線のように。


---


## 段2:キャンプ × 碑文朗読 × 夕食作り


キャンプ地は木影に切り開かれた平らな土地に広がり、団長が最初のテントの杭を打ち、槌の音がゆっくりと規則正しく、釘を固く踏み固められた土の中に送り込んでいた。八千代はすでに午後の陽光で暖められた平らな石の上に脚を組んで座り、薇の携帯用茶器セットが石の反対側で開かれていた——小さな竹の盆、二つの半透明の磁器の杯、公会の台所より上品な小さな壺、熱湯が注がれたばかりで白い湯気が立ち上がり、湯気の中に焙煎の香りが混ざっていた。八千代の手はすでにそのうちの一つの杯を握り、指先が熱でわずかに赤くなっていた。彼女は目を細めて最初の口を飲み、髪の先の淡いピンクが夕陽の中でまた銀の方へ半階退いた。まるで信号機が警戒から待機へ下がったかのようだった。薇は彼女の向かいに座り、姿勢はまるで午後の茶の協議の主催者のようで、キャンプの旅の仲間ではなかった。


「八千代先生! 薇姉さん!!」


声が先に着き、人があとから着いた。小櫻ちゃんの鈴はもう体についていなかったが、走る姿自体が鈴の音を伴っており、草の下の小石が彼女に蹴られて「ちんちん」と鳴り、ほとんど頭から団長が立てたばかりのテントの杭にぶつかりそうになった。団長の手が伸ばされて遮り、掌が彼女の肩を受け止めて軽く横へ弾いた。動作はまるでリハーサル済みのように慣れていた。


「ソフィアが! 彼女、碑文を読みました!」


まるで部活で突然クラスメイトが太鼓を叩けることを発見したときのような驚嘆だった。ソフィアが彼女の後ろを歩いて来て、速度は三倍遅く、呼吸はまだ完全に整っていなかったが、彼女は肩を元の位置に戻して乱れていないふりをしようとしていた。「私はただ……一段だけ読んだだけよ、小櫻ちゃん、あなたは」


「彼女、読み方がすっごく上手かった! 教科書を読むみたいに!」


「それは教科書よ」


「えっ! だから彼女、すごいなんだ!!」


ソフィアの口が一回開いてまた閉じた。純粋な光に「あなたに当たっているかどうか」議論することはできない。


薇は茶杯を竹の盆にそっと置き直した。重さなど感じさせないほど軽く、語気は熱いお湯よりさらにゆっくりと軽かった。「ソフィア~ 私たちにも読んで聞かせて?」


「……いらないでしょ。」


八千代が茶杯の後ろから顔を覗かせた。尾音はgremlinのものだったが、目は実は真剣だった。「聞きたいわ~」


ソフィアはこの二人の間に挟まれていた——小櫻ちゃんは挟むというより推進剤だった——彼女は深呼吸をし、ポケットからあの小さなノートを取り出し、開く動作は普段より遅く、まるで引き出しを開けるかどうかを決めているかのようだった。彼女は咳払いをして、指腹で紙面を平らに押さえた。


「『前紀元……大陸暦七百三十二年、西方王国が初めて設けられ、王城の南面に石の塔が建てられ……風水の乱を鎮めるために。塔の高さは九丈、基の幅は六丈、内部に共鳴鉱が埋め込まれ……上下を通じるために。建てたのは大祭司』」


「『大祭司……イオ・メ……』この字はわからない。」ソフィアはノートを回して八千代に見せた。


八千代が一瞥した。「うん それはメセールよ。」


---


ソフィアが第二段の中ほどを読んでいるとき、槌の音が三回鳴り、団長が二本目の杭を打っていた。四打目がまだ落ちないうちに——


八千代が突然立ち上がった。「私がやるわ。」


動作が自然すぎて団長まで半秒固まった。彼女は手を伸ばして槌を受け取った。その手つきは道具を知っている人だけがするものだった——柄の後半を握り、親指で鉄の頭と木の柄の接合部を押さえ、手首を緩めて次の反動を待つ。団長は半歩退いて彼女に任せ、何も言わなかった。


八千代は前屈みになり、槌の頭が二回落ちた——力加減、角度、着地点に一切の探りの動作はなく、一打目がちょうど釘の頭の真ん中に当たり、木の杭は曲がらず、音は短く澄んで、まるで金属の表面を叩いているかのようだった。二打目が続いて補い、杭全体が土の中に半インチしっかりと沈んだ。


薇:「……」


茶杯を置いた。


八千代は笑いながら振り返り、掌についた土をぱたぱたと払った。「OK~ 二本目完了~」髪色が夕陽の中でまたピンクの方へ半階滑り、まるで彼女がさっきのあの叩きを木の杭に打ち込んだと同時に、何かを半粒緩めたかのようだった。腰の線が前屈んで土を払うときに布地に引き寄せられてより体に貼りついていた。


薇の口角がゆっくりと上がった。「先生、手先が器用ね。」


「……ボーイスカウトやってたから~」


「精霊族にボーイスカウトがあるの?」


「……似たようなものよ~」尾音が普段の二倍長く引き伸ばされ、自分の耳でも綻びが聞き取れるところまで引き伸ばされた。


「それで先生、ボーイスカウトの頃は、主にどこで活動してたの?」


「……いろいろなところよ。」


「たとえば?」


「……(お茶を飲む)」


杯を掲げた——しかし今回は茶杯は空ではなかった。薇がさっきもう一度注いでいた——彼女は気づいていたが、手はもう口元まで上がってしまっていて、引き返せなかった。杯の縁が唇に触れ、熱気が鼻先に吹きつけた。


薇が春を描写するように甘く「ゆっくり飲んでね、むせるわよ。」


その口のお茶がまだ喉を下りきらないうちに——


「八千代先生、かっこいい! 私も釘、打ちたい!」小櫻ちゃんがソフィアの横から飛び込んできた。全身が斜面を転がり落ちてきたカラフルなボールのように。


八千代はこの救命浮輪を掴み、薇が縄のもう片方の端を掴む暇もないほどの速さで「うん、来て来て、君は槌を持つのね」槌はもう渡っていた。


小櫻ちゃんが槌を振るう姿は玩具の木槌を持つようで、両手で柄を握り、真っ直ぐ下へ叩き込み、前戯はなく、結果として槌は外れ、テントの杭の傍らのあの石に当たり、「あっ」という闷った音を立て、テントの杭自体には一切当たらなかった。


「……」小櫻ちゃんが槌を見た。


八千代は槌を受け取り、まるでうっかり投げられた毛糸玉を拾うかのように自然に笑った。「ゆっくり、ゆっくり~」


話題はこうして小櫻ちゃんによって優雅に奪い去られた。薇はもう追わなかったが、視線の一行の字ははっきりと書かれていた。「あとでまた話しましょう」。八千代は「わかった~」という視線で返した。暗流は速すぎて誰も気づかず、ソフィアがノートの上でこっそり顔を上げたその一瞥も、ただ尾を捉えただけだった。


---


団長がソフィアの傍らに歩み寄った。手に一杯のお茶を持っていた。


「先に飲め。」一言が加えられた。


ソフィアのノートはまだ開いたまま、目はさっきまで八千代の上で旋回していた。指先がページの縁から浮き、杯を受け取った。「あ、ありがとう」言葉が終わる前にすでに一口飲み、そして止まった。


この杯のお茶は学院の食堂のものではなく、公会で粗末な枝葉を一つの壺ごと火にかけて煮たものでもない——焙煎がちょうどよく、茶葉の形が整い、水温が舌先にちょうどいい熱さで当たるものだった。熱が磁器の杯の弧から彼女が握った指の節に伝わり、指腹は元々ずっとペンを握っていたせいで冷えていたが、今はその熱が指の節からゆっくりと手腕へ染み込んでていく。まるで誰かが彼女の風に吹かれ続けた山道の手を、もう一度身体に繋ぎ直してくれたかのようだった。彼女は団長を見た——団長は意味を説明しなかった。彼女は薇の方を見た——薇の携帯用茶器セットは開かれていて、三つ目の杯の位置がさっき動かされており、杯口にはまだ消えていない熱気の痕跡が凝っていた。


ソフィアの耳の付け根がまた一階赤くなった。彼女は頭を下げ、もう一口飲み、何も言わず、首のあたりの線が飲み込むときに光に描かれてよりはっきりと浮かび上がっていた。


ソフィアは飲みながらノートをめくり、時折八千代の方を一瞥してはまた下を向いた。ノートが第三段までめくられ、長く読まれなかった。


薇が手を一回叩いた。掌と掌が打ち合う音が林の中で予想以上に澄んで響き、梢の上で何羽かの名も知らない小鳥が弾かれて羽をばたつかせ、半周回ってからまた留まった。「それじゃあ分担しましょう~」


「私は火を見る。」団長はすでに焚き火の傍らにしゃがみ、一本の折りたての松の枝を手に握り、顔を上げず、炎が乾いた薪の隙間から一輪一輪噴き上がり、彼の半分の顔を燻して赤くしていた。


八千代が手を一掬いで、ちょうど食材袋の方へ突進しようとしていた小櫻ちゃんの全身を腰から抱き戻した。動作は滑らかで、まるですでに百回練習していたかのようだった。「私が小櫻ちゃんを見るわ。」


「えっ?! 私は野菜を切る!」小櫻ちゃんは八千代の腕の中でもがき、手を前へ伸ばし、指先が人参まであと少しの距離だった。


「あなたは切らない。」声がまな板の方から冷たく投げられた。ソフィアの手はすでに柄に置かれ、頭を下げ、髪が半分顔を隠し、夕陽に染まった耳の輪郭だけを覗かせていた。「……私が切るわ。」


「……どうして私に切らせないの?」小櫻ちゃんは本当にわからず、首を傾げてそちらを見た。目が輝いて答えを待っていた。


ソフィアが鞘から軽く刃を引き出し、刃先が火の光を一回折り、彼女の顔の上に細い明るい線をなぞった。「指が残っていたいから。」


「ぷっ。」八千代の肩が一回震え、顎を小櫻ちゃんの頭頂に預けた。「小櫻ちゃん、わかる? ソフィアはあなたを心配してるのよ。」


薇がしゃがみ込んで食材袋の口を引き開け、ついでに中身をみんなに見えるように広げた。乾糧一袋、漬け肉一袋、泥のついた人参三本、青々と光るネギ一束、米一袋、小さな油の缶、塩一袋、一番下で丸い玉ねぎが転がり出し、布袋の下で二回揺れて止まった。


ソフィアが刃を受け取ったその瞬間、全身のリズムが変わった。刃先を上に向け、親指が刃の背骨をしっかりと押し、 人差し指が刃の背の第一の溝の位置を押さえ、残りの指を揃えて柄を握り、手首を浮かせた——それはどの家庭教師のお嬢様がどの白いテーブルクロスの掛かった食卓の傍らで教えた姿勢だった。人参が彼女の刃の下で一秒で七枚に切られ、光が透けるほど薄く、定規で測ったように均等で、刃を下ろす音は安定した「どくどくどくどく」で、まるで油を差した機械のようだった。


薇が二度見上げた。


ソフィアは顔を上げず、刃も止めず、二度目の刃を下ろす間のその半秒の隙間だけで一言を放った。「……母が無理やり習わせたの。」尾音はとても低く、字を一つ増やせば追及を招くかのようだった。


「うん~ 聞かなかったわ。」薇の手の中でその油の缶を開けていて、語気は追及を先に受け止めてから軽く放すような気遣いだった。


「……。」ソフィアの刃を下ろす速度がまた一拍速くなり、まな板の上に人参の薄切りが小さな山を築いた。


小櫻ちゃんが八千代の腕の中でくねくねと動いた。「手伝える! できる! 水を注げる!」


「いいわよ~」八千代は人を緩め、ついでに水袋を小櫻ちゃんの手に押し込んだ。「それじゃあ少し注いで」


小櫻ちゃんは水袋を握ったまま鍋の方へ突進し、蓋を捻るときに手腕全体を間違った方向へ一回持ち上げた——


「あっ」


水袋全体が前へ傾き、水は鎖骨のあの横の線から噴き始めた。一截まるごとの刺すように冷たい清水が八千代の全身の上半身を横なぎに下へ流れ、薄手のシャツの前襟が瞬時に一段深い色に濡れ、水が胸から下へ広がり、布地が肌に貼りつく速度が身体の反応より速かった——薄手のシャツが透けない霧白から、ほとんど透明に近く、水光を帯びた米色に変わった。


「まあ」八千代が笑いながら跳び上がり、両手を胸の前に伸ばして肌にぴったりと張りついた薄手のシャツを前へ一截引き起こした。布と皮膚が離れるときのあの細かい「ちゅう」という音がキャンプ地の中でくっきりと聞こえた。彼女は頭を下げて自分を先に一瞥した——びしょ濡れの薄手のシャツはすでに彼女の体に第二の皮膚のように貼りつき、鎖骨のあの横の線から一路下へ沈み、Dカップのあの二つのふくらんだ弧が濡れた布に外側から一回一回描き出され、砂時計型の輪郭が水光の中で半分顕れ半分隠れ、乳輪の影が薄すぎて降参しそうな布地を通してこっそり浮かび上がっていた。彼女がもう一度笑おうとして深く息を吸ったその瞬間に、その輪郭がまた一段はっきりと押し広げられた。


「先生、ごめんなさい!」小櫻ちゃんの手はまだ元の位置に挙がったまま、水袋は彼女の 手の中でまだ滴らしており、顔がさっきの人参と同じくらい赤くなっていた。


「大丈夫大丈夫~」八千代は笑いながら布地をもう少し広げて、風を入れようとした。


団長が焚き火の傍らから顔を上げた。視線が八千代の鎖骨のあの濡れた痕から始まり、正確に下へ——胸の前に濡れた布に描き出されたあの対の砂時計を滑り、布地の下端のあの輪にじんだ水の染みに留まり、また下へ続いて腰側のあの小さな一截が濡れた布に張りついて形作られた凹みまで。


八千代が薄手のシャツを掲げていたあの笑いが半秒止まった——彼女は気づいた。彼女は両手で薄手のシャツの下端を握り、そのまま上へ脱いだ。動作は自分の部屋にいるかのように慣れており、シャツが頭の上で翻った瞬間に内シャツの下端が一緒に持ち上げられ、腰のあの白く光る肌が一截露わになった——さっき水に浸されたばかりで、まだ濡れており、光がその細い腰の線に沿って肌に貼りついて一回滑った。内側の白い内シャツの下端は薄手のシャツより短く、 下ろしても腰骨の上方の一指の位置までしか覆わなかった。濡れた場所はまだ胸の前に張りついていた。


薇はすでに立ち上がり、自然に八千代の手から薄手のシャツを受け取り、ついでに傍らの木の枝に掛けた。戻るときに彼女は団長の背後を通り過ぎ、足を止めず、音量は彼だけに聞こえる程度で:


「さっき、見てた?」


「うん。」団長は顔を上げず、松の枝をもう一回かき混ぜ、火の粉が石の端に弾いた。


薇の口角が小さく上へ動いた。「正直なのはいいことよ。」


八千代がキャンプ地の中央に立ち、内シャツが腰に貼りついてあの截の濡れた白を露わにし、小櫻ちゃんを招いた。「来て 君はネギを切るの~ ネギの方が安全だよ~」


「はーい!!」


ソフィアは振り返らなかった。刃のリズムが半拍外れた——その半拍の外れ方は非常に軽く、彼女だけが聞こえるものだったが、次の刃がまた「どくどくどく」の安定した周波数に戻った。まな板の上の人参は展示品のように整然と切られていた。彼女は何も言わなかった。


薇が再び座り、自分の茶葉の小さな缶を取り出し、ついでに米袋を抱き寄せた。「私がご飯を炊くわ~」米を量り、研ぎ、水を注ぎ、鍋に蓋をする。どのステップも家政の授業の模範映像のように流暢だった。


八千代が新しく淹れたお茶を持って近づき、内シャツはまだ乾いておらず、腰に貼りついたまま歩いた。「薇姉さん、わかってるわね。」


「高二の家政の成績は良かったのよ。」


「なるほど~」gremlinが戻ってきた。ただし今回は水の染みの湿った光沢を帯びており、全身が笑い、腰のあの截の肌はまだ明るく火の光を反射していた。


「鍋。」団長が顔を上げて小櫻ちゃんの方へ手を伸ばした。


「私の鍋!」小櫻ちゃんが駆け寄った。


団長は包の頂上からあの平底鍋を外して渡した。小櫻ちゃんが両手で受け取った瞬間に全身が三センチ沈んだ。


「……重い。」


「一日中背負ってたじゃない。」八千代が笑った。


「……」小櫻ちゃんは鍋を抱えたまま、見えない哲学的な沈思に陥った。


団長が鍋を火にかけた。小櫻ちゃんが手を伸ばして鍋の側面を叩き始めた。「私が鍋を温めてる!」


「火が大きくなれば鍋は温まるよ。叩かなくていい。」薇は米を研ぎながら言った。


「……おお。」手はしかし不注意で五度叩いてからやっと止まった。


八千代が前屈みになって油の缶を取ろうとした。身体が傾いたときに濡れた内シャツが一緒に前襟ごと下へ貼りつき、腰のあの截が元々露わになっていた肌が火の光の中で一回閃き、光が濡れた皮膚の弧に沿って滑り過ぎ、一本の明るい曲線を残した。油が鍋に注がれたその一秒、にんにくの刻みも一緒に放り込まれ、油の香りが「ぽん」とキャンプ地の中で炸裂した。


ソフィアが切ったまな板を前へ押し、食材を渡すその瞬間——彼女の甲と八千代が引き戻しつつあった甲が軽く擦れた。


八千代の甲は冷たかった。服がまだ濡れていたせいで、皮膚の下のあの冷たさが接触点からソフィアの甲へ伝わり、指の骨に沿って半截這い上がった。


ソフィアの手が引っこむ速度が想像より半拍速かった。


「……。」ソフィアがまな板を睨み、喉が一回動いた。


八千代は気づいていないふりをし、まな板の反対側から笑み笑みと食材を掬い取った。「さっきはごめんね~ 私の手、冷たかったでしょ。」


「い、いえ……大丈夫。」


漬け肉が鍋に入った。油の香り、肉の香り、蒸気が一緒に噴き上がり、火の光がキャンプ地の中央で鍋底を舐め、五人の顔が火の光にそれぞれ異なる色に染められた——団長の顔は暗い赤、薇の顔は半分金半分暖かく、八千代の腰のあの截の濡れた皮膚が光を閃かせ、ソフィアの耳の付け根は深い赤、小櫻ちゃんは鍋の傍らでまるごと人参色になっていた。蒸気が上がり、どの輪郭もわずかにぼかした。


碗が薇の手から一つ一つ渡され、動作のリズムは量ったような安定感だった——第一の碗が一番多く盛り、汁も肉も一緒に八千代の手に渡されたとき、彼女の口角が自然に一言添えた。「お疲れ様~ 服もね」。第二の碗が団長に渡され、直接差し出され、団長の手が受け取り、碗が落ち、箸が側面から引き出され、一揃いの動作が静かで、二人が会話を碗の底に折り込んだかのようだった。


第三の碗が半空で二秒留まり、薇がようやくそれをソフィアの前に押し出した。「はい、これはあなたが切ったのよ。」


ソフィアが受け取ったとき、耳の付け根がまた半階赤くなった——その半階の赤はとても軽く、耳の輪郭の縁のあの薄い軟骨に沿って一段上へ這い上がっただけだった。


薇が第四の碗を盛るときに手を止め、小櫻ちゃんを二秒見た。それからご飯を山盛りにし、漬け肉を一番上に積んで、まるで背中に背負った小さな山のようにした。「鍋背負い勲章。」


「やったー!」小櫻ちゃんが両手で受け取り、その山盛りの碗を受け取ったときに二本の腕がまた三センチ沈んだ。まるである種の可愛い物理法則が再演されているかのようだった。


小櫻ちゃんが一口目を飲み込んだとき、彼女の全身が半秒止まった。目が碗の縁から上がって一回光り、二口目で米と漬け肉と人参を一緒に掬い、三口目以降は口全体がふくらんで冬を越す準備をしたハムスターのように膨らんだ。八千代は普段よりゆっくり食べ、半濡れの内シャツを着て火の傍らに座り、服の冷たさと火の熱が彼女の体の中間のあの腰の線で一晩中戦っていた。彼女は一口食べるたびに先に一呼吸し、胸の熱気を歯の隙間から少し放った。ソフィアはゆっくりと上品に食べ、箸の握る位置、肩の斜度、手首の浮いた角度、家庭教師の訓練が第二層の骨のように、食事のときもまだ切っていなかった。


十秒の沈黙。火が石で囲まれた凹みの中で「ぱちぱち」と鳴り、どこかの虫が遠くの草叢で一回鳴いてまた止まり、どこかの夜鳥が梢を掠めて乾燥した羽音を一截残し、五人の咀嚼の音が重なり合って大きくはなかったが、火の光の届くあの円の空気を満たしていた。


八千代が先に動いた。汁の碗を膝の前に置いてから、右の甲を上げて額に今出たばかりの汗を一筋拭った。その動作の幅は大きくなかったが、腕を上げる瞬間に内シャツの下端がスカートの腰から上へ一小截走り、腰のあの本来外に出ていた白がさらに一指の長さ引き出された——濡れて光る、真珠のような白で、火の光がその弧の外側に貼りついて滑り、まるで誰かが指腹で一本の発光する線を描いたかのようだった。


ソフィアの視線が自然に上がり、その腰の線に落ち、留まり、引き戻そうとしたときに半拍余計に留まり、耳が半階の赤から一挙に一階全部に補われ、彼女はすぐに頭を下げて自分の碗に残った三口のご飯を研究し始めた。非常に真剣に研究した。まるでその三口のご飯の中に家庭教師が教えなかったある種の算式が隠されているかのようだった。


「ソフィア」薇の箸が伸ばされてきた。


「……あ、ありがとう。」ソフィアはほとんど薇の手から差し出されたあの箸を奪うようにして受け取った。


「どういたしまして。」薇は空の手を優雅に引き戻し、口角の笑いは贈り物を受け取ったときのものだった。


小櫻ちゃんが六口目を飲み込んだあと顔を上げ、口の中にまだご飯があった。彼女は真剣に咀嚼し、真剣に飲み込み、真剣に口の端を拭いてから、その年齢そのものより百倍正直な語気で言った。


「……今日、一番楽しかったこと。」


全員が止まった。四組の箸が同時に半空で半秒浮いた。火の光さえ「ぱちっ」と鳴るのを忘れたかのようだった。


「小櫻ちゃん~ まだ今日、始まったばかりじゃない?」薇の口角が思わずまた一段上がった。


「でももう十分楽しかったよ。」小櫻ちゃんは当然のように答えた。


「……そうね。」八千代の声が遅くなった。その尾音はgremlinでもなく、大姉さんでもなく、第三の種類だった。本当にその一マスを突かれた、防御する暇のない種類の——半秒あとで彼女は茶杯を挙げて半分の顔を隠し、銀色の髪の先がピンクの方へまたわずかに一階滑った。


ソフィアが口を開いた。声は火に食べられそうに小さかった。「……おいしい。」


これは彼女が出発してから初めて、嗆らず、装わず、後ろで半句を補わなかった言葉だった。


碗の底が見える速度が一人ずつ浮かび上がってきた。薇が最初に置き、携帯用の茶器セットを取り出し、小さな茶杯を一つ一つ並べ、茶の壺を傾けた。あの深い褐色のお茶が火の光の中で溶けた琥珀のように光った。彼女は自分のあの茶杯を挙げた。「乾杯 初めての出門。」


「乾杯!」小櫻ちゃんが挙げたあの茶杯は彼女の自分の顔より大きく、両手で捧げ持ち、杯の縁が顎に当たった。


「乾杯 。」八千代の尾音がまるである種のスローモーションの特殊効果のように引き伸ばされた。


「……乾杯。」ソフィアが半拍遅れ、半分まで挙げてから急に気が変わってさらに三センチ高く挙げた。人が誤解して自分は乾杯したくないと思わないように。


団長の手には杯がなかった。彼の手にはまだ箸を握っていた——あの箸の先にさっき挟んだご飯がまだ先端に浮かんで、一秒まるごと浮かんでいた。


彼は箸を挙げた。


「ぷっ。」薇が最初に笑い出した。


「団長の箸!」小櫻ちゃんがその箸を指差して力いっぱい叫んだ。


八千代は笑って脚を組んだ姿勢から後ろへ倒れそうになり、後ろの石に手を伸ばして支えてようやく安定した。内シャツの下端がまた一回揺れ、腰のあの截の濡れた白が火の光の中でそれについて揺れた。


四杯一箸が火の光の中央で軽くぶつかり合った。茶杯同士は澄んだ「ちん」、茶杯と箸は啞んだ小さな音、小櫻ちゃんのあの大きな茶杯が薇のに当たったときにまだ少しお茶が揺れ出し、石の上に「ぷちっ」と一滴跳ねた。


碗を片付けるとき、小櫻ちゃんが一度に三つの碗を運び、二歩進んだ。いちばん上の碗が空中でいつの間にか回転し始め、一周半回って落ち、「かっ」と音がした。大きくはなかったが、乾いた音だった。


「……。」小櫻ちゃんが地面のあの破片の山を下を見て、「……?」それから顔を上げて薇を見た。その表情にはまだ「ごめんなさい」の二字はなく、ただ一つのとても真剣な疑問——なぜ碗が地面にあるのか。


薇は眉を寄せなかった。彼女は包の中へ手を伸ばして一掬いし、さっきのものと全く同じ碗をもう一つ取り出した。「予備~」


「……?」小櫻ちゃんの疑問文が一段音程を上げた。


「多めに持ってきたのよ。」薇は碗を小櫻ちゃんの手に押し込み、笑顔はさっきの破裂をきれいに押し戻したかのようだった。


「……薇姉さん、あなたの予備、多いわね。」八千代がゆっくりと一言加えた。


「うん~ 計算してあるの。」


食べ終わった。碗が火の傍らの石の上に積まれて歪な一山になり、小櫻ちゃんの頭が薇の肩に沈んでまた一回持ち上がってから、本当に眠り込んでしまった。顎が緩み、唇がわずかに開き、呼吸のリズムが火の中の薪が時折身を翻すリズムとずれた。薇は何も言わず、ただ自分の外套を後ろから引き出し、動作はゆっくりで布地の摩擦の音さえ火の「ぱちぱち」に覆い隠されるほどに、広げて小櫻ちゃんの腰から脚にかけて掛け、端が小櫻ちゃんの横たわった弧について垂れ下がった。ソフィアは自分の包に寄りかかり、茶杯を両手で握ったまま飲まず、目を半分閉じ、睫毛が頰骨の上に一本の静かな影を投げていた。八千代の水に濺いだ薄手のシャツはほとんど乾き、彼女はさっきみんなが気づかないうちにまた着て、脚を組んで火の斜め向かいに座り、肩がわずかに前へ傾き、目は時折遺跡の方へ一瞥し、何かを確認しているようだったが、何も言わなかった。団長が薪を一本加え、火の舌が半階上へ噴き上がってまた引っこみ、彼はもう動かなかった。


そして風が変わった。


風速が変わったのではない——質が変わった。遺跡の方から来る空気が突然何かを一つ帯びてきた。とても低く、遠く、周波数が不規則で、それが音だと言い切れず、まるで多くの人がとても深い場所で同時にとても小さな音量でため息をついたかのようだった。その吐息の形には境界がなく、ただ耳の外縁から擦れて入り、擦れ過ぎるときに頭皮が先に気づく。


小櫻ちゃんの頭が薇の肩から持ち上がった。耳が一回動いた。


「……薇姉さん。」


「ん?」


「さっき、音がした?」


薇はすぐに答えなかった。彼女も実はさっき聞いた。彼女のまぶたがさっきの一秒で半ミリ上がり、また落ちた。その幅はソフィアだけが見ていた。ソフィアは何も言わなかったが、茶杯の中の水面がわずかに揺れた。


「……うん。始まったわ。」八千代が茶杯を置き、手はとても安定しており、声は普段より一階低かった。gremlinでもなく姉さんでもなく、まるで普段押さえつけられていた何かが許されて浮かび上がって一言言い、また沈んでいくようだった。ソフィアが座り直した。団長の目が上がり、遺跡の方を見た。


風がもう一度吹いてきた。今回はよりはっきりと——やはり低く、不規則だったが、ある種の唸る形を帯びていた。いい曲ではなかった。眠っているときに夢の中で隣の部屋で誰かが吟じているのをぼんやり聞いたような感覚で、歌詞は聞き取れず、旋律さえぼんやりとしていた。ただ一層の「うーん」という震えが胸骨のあたりから軽く外へ広がるだけだった。小櫻ちゃんが全身を薇の懐へ縮め、薇の手が自然に彼女の背中を回し、何も言わなかった。ソフィアの手はいつからか自分の包の肩紐を握っており、指の関節がわずかに白くなっていた。彼女自身はまだ気づいていないようだった。


八千代が立ち上がった。


彼女は二歩歩き、キャンプ地の最も端の場所で足を止め、遺跡に向かい、火に背を向け、銀とピンクの長い髪が夜風に軽くかき分けられ、耳の先がわずかに動いた。まるで何かの音高を聞き分けているかのようだった。


「……今日、歌が上手いね。」


その言葉の語気は在席の人に向けたものではなかった。挨拶だった。彼女は「あれ」と挨拶を交わしていた。遺跡の奥から唸っているあのものと、まるで旧友が相手の今日の喉が開いたのを聞いたときのような語気だった。火の傍らに返事をする者はいなかったし、返事をする必要があるとも誰も思わなかった。


風がもう一度来た。音にわずかに起伏があった。八千代はそこに動かず、髪色がピンクに一階なってまた戻り、またピンクに一階なってまた戻った。その速度は風が髪を乱す速度ではなく、心拍の速度だった——肉眼で見える心拍で、銀の中に一点のピンクが上へ浮かんでまた沈み、一回、また一回。リズムは速くも遅くもなく、まるで何かが彼女の胸から髪の先まで伝わって色として現れるかのようだった。


「……団長。」


「うん。」


三秒止まった。その三秒の間に火がまた「ぱちっ」と鳴った。


「……聞こえた?」


「うん。」


さらに五秒。八千代がわずかに頭を回した。団長の顔は見ず、ただ三分の一だけ横を向いた。目は依然として遺跡の方を真っ直ぐに見ていた——その横を向く角度は、昔この声を聞いたことのある人が、今もう一度聞き、自分の耳が間違って記憶していないかを確認しているかのようだった。


「……いいと思う?」


団長が二秒止まった。


「……悪くない。」


八千代はすぐに返さなかった。「……。」彼女の口角が一回動いた。それは笑い声が出る前の準備段階だった——息を吸い、胸がわずかに上下し、肩が先に軽く一回震えた。


「ぷっ」


gremlinモードの大笑いでもなく、大姉さんの包容のある低笑いでもなく、本当に突かれて、抑えきれず、喉から短く「ぷっ」と漏れ出た一声で、まるで一呼吸を制御しきれず鼻の縁から漏れ出したかのようだった。彼女は笑い終えてから頭を正面に戻し、肩はまだ軽く揺れ、笑いはまだ完全に収まっていなかった。火の傍らの薇の目がその一声「ぷっ」が出た瞬間に二度目細められた。今度は少し深く細められ、それからまた開いた。


「……団長、本当に人を慰めるのが上手いのね。」


「慰めてない。」


「……うん~ そうね、それで余計に面白くなったわ。」


彼女はもう一度笑った。今回は短く、肩が半階緩んだ。その緩みは見て取れるものだった——さっき彼女が立っていたとき、肩は張っていた。まるで背後に一本の細い糸が骨組みを吊るしているかのようだった。今はその糸が少し緩んだ。ただ少しだが、はっきりと見て取れた。


火の傍ら。


「……先生、笑った。」小櫻ちゃんが半分眠り半分醒めた状態で hummed 出し、目はまだ閉じたまま、唇の動きがとても遅かった。


「うん。」薇は小櫻ちゃんに返さず、ただ一応の返事をして、それはソフィアに向けたものだった。


「……。」ソフィアは何も言わず、静かに一呼吸吐いた。


火の傍らの銅の壺が細かい泡の音を出し始め、水はまだ本当に沸騰しておらず、団長は焚き火の反対側にしゃがんで手を広げて温め、振り返らなかった——実は振り返る必要もなかった。彼は足音だけで誰が近づいてきたかわかっていた。その人は歩くのがいつも誰よりも半拍遅く、まるで毎歩がまだここまで来るかどうかを計っているかのようだった。薇が彼の傍らに立ち止まり、腰の携帯用茶器セットの中から爪ほどの小さな紙包を一本引き出し、前屈みになってそれを彼が広げた掌の中心に押し込んだ。動作は軽く、まるで小さな贈り物を封筒に隠すかのようだった。


薇:「先生が好きなお茶よ。」


水が沸騰した。壺の口から白い気柱が噴き出し、団長が蓋を開け、小さな紙包の中の茶葉を二つの杯の中に放り込んだ。熱湯が下へ注がれた瞬間、あの乾いた巻かれた葉が杯の底で一回翻り、茶色が一滴の墨が清水に落ちたように、ゆっくりと、一回一回と杯全体の水を透き通った蜜金色に染めていった。火の傍らでソフィアは元々頭を下げて膝を抱えていた——彼女の茶杯はとっくに空で、杯の縁にはまだ飲み残した円の痕跡が残っていた——茶色が広がったその瞬間、彼女のまぶたが一回動き、顔を上げてこっそり半秒見た。半秒も経たないうちに視線をまた押し戻し、何も起こらなかったふりをした。


団長がその一杯の熱いお茶を持ってキャンプ地の端の方へ歩いた。八千代はまださっきの位置に立っていた。姿勢はさっきと全く同じ——両手を胸の前で組み、視線が遺跡の方に落ち、髪色が安定して銀に留まっていた。さっきのあの揺り籠の歌がまだ彼女の体から退いていないかのように。彼は彼女の傍らに歩み寄り、茶杯を差し出した。


団長:「お茶。」


八千代が半分の顔を回し、まずあのまだ白い煙の出ている杯を一瞥し、それから団長を一瞥してから、手を伸ばして受け取った。指先が杯の柄に触れたときに、ついでに団長の指先に擦れた。ただ擦れただけだった。速すぎて何も起こらなかったかのようだった——しかし団長はあの擦れを感じ取っていた。彼女の指先は彼より一階冷たかった。外の風が吹き出した冷たさではなく、ある種の内側からゆっくりと散らばり、まだ日常の体温に戻っていない冷たさだった。彼のあの引き返すはずの手が、引き返すのが一つの拍子遅れた——はっきりとした停止ではなく、ただ普段の手を引くリズムより半拍余計に留まったような停止で、それから手がポケットの中に滑り込んだ。


八千代:「……ありがとう。」


八千代:「……薇姉さんが淹れたの?」


団長:「私が淹れた。薇が茶葉をくれた。」


八千代(口角を上へ跳ねさせて):「……彼女、私がこれを好きだとどうして知ってるのかしら。」


団長:「彼女が自分で観察力があると言ってた。」


八千代(笑い、非常に軽く):「……うん~ さすが薇姉さんね。」


彼女が笑ったその一瞬、髪色が動いた——銀からピンクへ滑り、また銀へ戻った。今回は滑るのがさっきより速く、まるでさっきここに立っていたあの自分に手を振って別れを告げ、さっき頭の頂上まで這い上がってきた感情の波の峰を髪の先の方から押しやり、日常のあのマスの中に押し戻すかのようだった。


二人はもう何も言わなかった。火の傍らで小櫻ちゃんはすでに全身が薇に掛かって眠り込んでおり、口が開き、時折不明瞭な音を一つ発して夢の中で誰かと口げんかをしているようだった。薇はついでに外套を脱いで彼女に掛け、自分も石に寄りかかって目を半分閉じた。ソフィアは包を抱え、茶杯を手に握り、目を半分閉じていて、夜を明かしているようでもあり、うたた寝しているようでもあった。風がまた遺跡の方から一陣吹き込んできた。あの揺り籠の歌のような声が今回はさっきよりまた一段低く、まるであのものも立ち疲れて、下へ調子を下げ始めたかのようだった。三分が過ぎ、お茶が半分になった。


八千代(語気をgremlinモードに戻したが、調子は少し軽く):「……先に入って寝ましょう。」


団長が彼女を一秒見た。


団長:「ああ。」


彼女は茶杯を彼に返した——三分の一残っていた。飲みきれなかった——それから振り返って火の傍らへ歩いた。薇の傍らを通り過ぎるとき、薇の目が半分開いた。


薇:「先生~」


八千代:「ん?」


薇:「……今日のボーイスカウトの演技、ありがとうございました。」


八千代(一回笑って):「……どういたしまして。」


団長がしゃがんで火の傍らへ行き、手を小櫻ちゃんの膝の下に通り、もう片方の手を彼女の背中に回して肩甲骨を支え、彼女の全身を抱き上げた——小櫻ちゃんは柔らかく、まるで温かい水の中から掬い出されたばかりの猫のようで、重さが一気に彼の腕のくぼみにのしかかった。彼が立ち上がった瞬間に彼女は夢の中で一回 hummed し、半階大きな音で、一本の小さな手が道も見ずに前へ伸ばされ、指が彼の襟のいちばん上のあの粒のボタンの傍らのあの布に触れ、ぎゅっと握りしめ、口の中で含み含んだ誰にもわからない音節を一つぶつぶつ言って——次の瞬間、自分でまた緩めた。指が彼の襟に沿って柔らかく滑り落ち、まるで間違った人を掴んだことに気づいたかのようだったが、起きず、ただ本能的に空気の中で次に抱けるものを探し始めた。


団長の足取りはとても安定しており、動作はとても軽く、彼女を抱いてソフィアの寝袋の傍らまで行き、前屈みになってまず彼女の頭を枕に着け、それから全身をゆっくりと下ろした。ソフィアはすでに自分のあの寝袋の中に平らに横たわり、両手を規則正しく外側に重ね、暗い光の中で目を大きく開いて彼が近づいてくるのを見ていた。


そして小櫻ちゃんが寝返りを打った。


何の予告もなく、まるで煎餅を返すような寝返り——身体が寝袋の底に触れたとたんにまるごと一八〇度転がり、左手が「ぱん」とソフィアの上腕を掴み、指がその薄い寝巻の布地に沈んで五本の皺の跡を残し、右手が腰の後ろから回り、掌が平らにソフィアの小腹の側面に貼りつき、ぴったりと隙間を一切残さず貼りついた。頭が一気にソフィアの肩のくぼみに埋まり、鼻先が直接鎖骨のあの凹んだ小さな場所に頂いた。脚さえ曲げて一本、膝がソフィアのふくらはぎの外側に引っ掛け、太ももの内側がその脚の骨の曲線に沿って半回擦ってから止まり、足首が自分でも無意識に軽く引っ掛けた。まるで暖かい湯たんぽを見つけた猫のように全身が嵌め込まれた。


小櫻ちゃんが一回「……ん……」と発した。尾音が柔らかく甘く引き伸ばされ、眉がわずかに緩み、呼吸がすぐに均等になった——眠り込んでいた。


ソフィア:「……。」


完全な硬直。暗い光の中で目がさっきよりさらに大きく開き、肩が一本の線に張り、一本の手はまだ寝袋の外に浮かんでどこに置けばいいのかわからず、もう一本は小櫻ちゃんに全身を押さえられて動かせなかった——抜こうとすれば小櫻ちゃんが起きる。起きさせたくない。なぜなら彼女はあんなに深く眠っているから。押そうとすれば、押せば彼女は直接「ぽとん」と自分の寝袋の中に落ちてしまう。何もできない。


ソフィア(気音で):「……だ、団長。」


団長が頭を下げて彼女を見た。


ソフィア:「……」口を開いて助けを求めようとしたが、何を助けてほしいのかわからなかった——団長は彼女をまるまる二秒見た。それから非常に軽く、非常にゆっくりと一回頷いた——その半センチの顎の上げ下げの中に「自分で処理しろ」「私は何も見なかった」「幸運を祈る」の三つの言葉が押し込まれ、一言も口に出さず、一言もはっきりと聞こえた。それから彼は振り返り、テントを出ていった。


ソフィア:「……!」


無言の裏切りへの抗議。


小櫻ちゃんが彼女の肩のくぼみの中で呼吸し、一回一回の温かい気流がソフィアの鎖骨のあの凹みに吹きつけた——さっき団長の視線が留まったあの場所。ソフィアの耳の付け根がまた赤くなった。今回は見られたからでもなく、薇に突かれたからでもなく、純粋に、物理的な赤だった。もう一人の身体が肩の上に置かれ、温度と呼吸の間に一層の隔たりもなくやって来ていた。赤が耳の付け根から耳の後ろのあの薄い皮膚を這い越し、首の側に沿って一路下へ這い、下顎の底のあの柔らかい肉まで浅いピンクを帯びていた。


押したくなかった。自分を説得して押す力もなかった。認めた。


あのまだ半空に浮かんでいた手がゆっくりと、非常にゆっくりと下へ落ちた——小櫻ちゃんの背中に。抱き返しはせず、押しのけもせず、ただそのように置いた。まるでどうしていいかわからないが、まず重さを預けることに決めた人のように。小櫻ちゃんが眠りの中で満足げな音を一回 hummed した。ソフィアは目を閉じた——今夜は眠れないことを知っていた。


火の傍らで、薇の半分開いた目が一連のすべてを見終え、一言も発しなかった。口角が小さく上へ曲がった。「うん~ いいわね」みたいな曲がり方だった。彼女もゆっくりと横になり、小櫻ちゃんが元々いた位置に横になり、外套を丸めて枕にし、寝袋を顎まで引き上げ、ソフィアだけに聞こえる音量で——


薇:「おやすみ~ ソフィア。」


ソフィア(気音で、ほとんど声にならず):「……姉さん。」


薇:「ん?」


ソフィア:「……手伝ってくれないの?」


薇(笑い):「何の手伝い?」


ソフィア:「……いいわ。」


薇:「おやすみ~」


ソフィア:「……おやすみ。」


彼女は呼吸を調整しようとしていた。この状態と一晩共存できるように。


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もう一つのテントの中で、八千代はすでに外側の装備を脱いで足元に畳み、身には薄い貼身の内シャツと一本のズボンだけを残し、自分の側の寝袋の上に脚を組んで座り、両手で膝を抱え、頭を下げ、テントの布の壁を見ていた。焚き火の残光が布の縫い目から一本のオレンジ色の線を漏らし、彼女の輪郭を側面から描き出していた——細い肩、膝を抱えてわずかに拱いた背、内シャツが薄すぎて鎖骨のあの円の凹みさえ光に描き出されていた。彼女はまだ横たわっていなかった。


団長がテントの入り口の布をめくって入ってきたとき、彼女は顔を上げなかった。団長も何も言わず、前屈みになって入り、外套を脱いで二つ折りにして側に置き、自分の側の寝袋の中に横たわり、両手を胸の前で組み、テントの天井を見ていた。


二人の間の距離は一本の手のひら幅だった。一本の手のひら幅。多くも少なくもなく、一センチ違えば触れるが、その一センチは触れなかった。焚き火の残光がちょうど二人の間のあの細い縫い目に挟まり、八千代がまだ横たわっていないあの側影をずっとそこに掛けていた。


八千代(小声で):「……団長。」


団長:「うん。」


八千代:「……向こうの薇姉さんのテント、なんだか賑やかみたいね。」


団長:「……うん。」


八千代:「……小櫻ちゃん、本当に可愛いわ。」


八千代が横たわったとき、身体が自然に団長の方へ偏った——寄りかかったのではなく、横たわる方向自体が彼の方を向いていた。まるで羅針盤が磁場に軽く半度吸い寄せられたかのようだった。


八千代:「……おやすみ」


団長:「おやすみ。」


陽光がテントの布の天井から透けてきたとき、ソフィアはすでに目を半呼吸の間開けていた——正確に言えば一晩中本当には眠っていなかった。小櫻ちゃんが一晩中まるで自分がタコだと思い込んだ生物のように彼女に絡みつき、二度寝返りを打ち、よだれが彼女の鎖骨の上に一本の冷たい、半分乾いた湿った痕を残し、睡眠の質は体温のやや高い生きた湯たんぽの上に横たわって自分が休んでいるふりをしているのと同じだった。


陽光はとても明るかった。小櫻ちゃんはまだ彼女を抱いていた。


彼女はゆっくりと頭を下げた——視線を自分の顎の下へ滑らせた。小櫻ちゃんの頭はまだ彼女の肩のくぼみに埋まっており、乱れた前髪が半分の顔を覆い、口がわずかに開き、顎が夢の中で一回震え、一本の手が彼女の腰に引っ掛け、一本の脚がまだ彼女のふくらはぎに引っ掛けられ、重く、温かく、まるでまだ冷めていない饅頭の袋を押しているかのように堅実だった。


ソフィアはこのときようやく一つのことに気づいた——彼女の手はまだ小櫻ちゃんの背中に置かれていた。一晩中。彼女はどの寝返りの瞬間にもこの一本の手を積極的に引き戻したことはなく、小櫻ちゃんを押し開いたこともなかった。手が温かくなっていた。手の下のあの薄い寝巻の布地はすでに二人 の間の体温で温められてまた柔らかく熱かった。耳が再び赤くなった。


彼女は一寸一寸引き抜こうとした——まず手を、次に肩を、次に腰を。小櫻ちゃんが彼女を抱く力は少しも変わっていなかった。あの腰に引っ掛けられた手は、眠っていても自分が何を抱いているかを知っているかのように、指の節が側腰の柔らかい肉にわずかに沈んで緩もうとしなかった。ソフィアは動作を止め、深く息を吸った。


「……まあ、いいわ。」彼女は自分に言った。声は自分だけに聞こえるほど小さく、まるでついに抵抗を諦めた人がするようなとても小さな降伏だった。


テントの外にはもう音があった——薪が「ぱちぱち」と鳴り、金属の鍋が火に置かれたときの闷った響き、それから焼く香りが一層一層テントの縫い目から染み込んできた。油、卵、漬けられた肉、焼き焦がした香ばしい縁。


そしてソフィアのお腹が時宜を得ないときに一回鳴った。


小櫻ちゃんの耳が一回動いた。


「……ん……」小櫻ちゃんの鼻が一回すぼまり、全身がわずかにソフィアの肩のくぼみへすり寄って半寸「……いい匂い……」声はまだ夢の中に貼りついていたが、鼻はすでに醒めていた。


「……。」ソフィアが彼女の頭頂のあの乱れた髪の渦を見ていた。何も言わなかった。


小櫻ちゃんの手がようやく緩んだ——意識がはっきりして緩んだのではなく、焼いた卵の香りに後頸の注意が奪われた本能的な緩みだった。ソフィアはこの一秒の窓を掴んで自分を引き抜き、起き上がり、寝袋をぱたぱたと平らにし、髪を乱暴に耳の後ろへ押し込み、顔に一生懸命「私は何事も起こらなかった」という表情を並べた。耳の付け根は依然として赤かった。どうしようもなかった。


テントの布をめくったその瞬間、陽光がまるで大きな一把の明るい粉が直接振りかけられたかのようだった——遺跡は朝の光の中で昨夜のあの低く歌っていたものとは全く違っており、石はきれいな淡い灰白で、影は短くてほとんど地面に貼りつき、蔦は正常に柱の足に絡みつき、碑文の壁は陽光の下ではただ字のある壁で、ほかの意味はなかった。


キャンプ地の中央で、団長が火の傍らにしゃがみ、平底鍋が火の上で油花を噴き、鍋の中で何片かの漬け肉の縁がすでにきれいな琥珀色に焦げ、傍らに切った人参の糸と小櫻ちゃんの一番好きなあの細かいネギの花、そして朝に開けたばかりの乾糧のビスケットの一袋があった。


団長はソフィアを見なかった。しかし彼は鍋返しを置き、一つの杯を取り、熱いお茶を注ぎ、杯をソフィアの寝袋に一番近いあの石の上に置き、それから鍋を返し続けた。


「……おはよう。」ソフィアが歩み寄って座り、小声でその一杯のお茶を受け取った。


薇が頭を上げてテントの中から出てくるソフィアを見て、一回笑った。ソフィアは顔を熱いお茶の蒸気の中に埋めて一口飲んだ——薇の茶葉で淹れたものだった。彼女の人生で三度目で、もう識別できるようになっていた。


「おはよう!」小櫻ちゃんが自分のあのテントの中から這い出してきた。髪が一輪の花のように跳ね上がり、目はまだ半分細められ、左の頰に一本のはっきりした寝癖の跡があったが、語速と声量は普段と全く同じだった。彼女は一路火の傍らまで揺れて行き、鍋を見て、深く息を吸った。「わあ 団長、これは何」それからようやく顔を回してソフィアを見た。「おはよう、ソフィア!」


何事も起こらなかった。彼女は一晩中ソフィアを抱きしめて眠っていたことを完全に覚えていなかった。


ソフィアが彼女を見ていた。何も言わなかった。


小櫻ちゃんが首を一回傾げ、「……ソフィア、あなた顔、赤いよ。冷えたの?」


「……。」ソフィアが深く息を吸った。「冷えてない。」


「そう!」小櫻ちゃんはすぐに鍋の中の香りに注意を奪われ、団長の傍らに跳んでしゃがみ込んだ。「この肉は昨日のあの塊なの? どうして今見ると昨日の百倍おいしそう? 魔法なの? 野菜も焼くの?」


「待って。」団長が言った。


「はーい」


薇はこのとき髪を結び上げていた。それは彼女が毎朝最後の儀式だった。結び終えると彼女が近づいてきて、ソフィアの傍らを通り過ぎるときに手が自然にソフィアの肩の上に落ちて一回叩き、それから続けて歩いた。


「ソフィア、おはよう~」


ソフィアは口の中の一口のお茶を一気に飲み込み、「……おはよう。」


八千代がテントの中から這い出してきたのは小櫻ちゃんより数分遅く、髪も乱れていたが、乱れ方がまるで一幅の古い絵から今歩み出たかのようだった。薄手のシャツは乾いてまた身に着け、手にはまだ一本の小さなノートを持っていた——さっきテントの中で何かを書いていたのだろう。誰も聞かなかった。


「ん おはよう~」彼女は伸びをしてあくびをし、その伸びが長くて末尾の尾音が曲がった。


「おはよう。」団長は顔を上げず、鍋返しを返し続けた。


八千代が揺れて火の傍らに座り、「あなた、いつ起きたの?」


「夜が明けたばかりの頃。」


「……うん。」彼女は何かを聞きたかったが聞かず、ただ薇が差し出したあの杯のお茶を受け取った——薇はその杯のお茶をほかの人より半拍長く彼女の手の傍らで留めてから緩めた。


団長が一つの焼いた卵を八千代の皿に押しやった。


「やった~」


「私も!」小櫻ちゃんがすぐに手を挙げた。団長がもう一つ押しやった。ソフィアの皿にはすでに一つ乗っていた——彼女がさっきお茶を取りに行ったときに団長がすでに置いていた。薇が自分で皿を持って近づき、団長が渡したのを受け取り、小声で「ありがとう」と言った。


「この卵、昨日より上手く焼けてるわ。」八千代が一口食べて、頷きをとても正式に、まるで品評をしているかのようだった。


「本当だね、」小櫻ちゃんは口の中を物でいっぱいにしながら、「縁に一回脆い輪っかがあるよ。ソフィアも食べてみて」


「食べてる。」


「何か入れてあるの?」八千代が団長に聞いた。


「バターを少し多めに。」


「おお」小櫻ちゃんと八千代が同時に「おお」と発した。


「このネギの花を合わせるとすごくいい匂い、」小櫻ちゃんが顔を回した。「薇姉さん、食べてる? このネギの花を合わせるとすごくいい匂いだよ。」


「食べてるわ、」薇がゆっくりと噛みながら、「とてもおいしい。」


五人が火を囲んで朝食を食べた。賑やかではなかったが音はあった——小櫻ちゃんが食べるあの「かちかち」という音、薇がゆっくりと物を噛む音、八千代と小櫻ちゃんが卵の焼き方からネギの花、そしてこのバターを買いに戻るかどうかに至るまで一句一句話す音、ソフィアが時折一言二言返す音、団長が次の輪を焼き続ける音。


朝食が食べ終わり、分担はこうして自動的に発生した——各人が自分が向かうべきあの隅へ歩いていった。団長がしゃがんで火の堆の傍らで木の枝で炭を掻き散らし、黒い灰の中にまだ一点のオレンジの残熱が残っていた。薇が鍋具と調理具を一つ一つ整然とした横の列に並べ、包の側袋を引き開け、あの折り畳みスポンジがまた出場した——三度目——彼女に平らに叩かれて中間層に押し込まれた。八千代が地面に跪いて寝袋を巻きながら、誰にもわからない調子を一つ哼 き、尾音はいつものように上へ跳ねた。ソフィアがテントの傍らに歩み寄って一本の竿を握り、一方の側を撤去する準備をした。


小櫻ちゃんは本来ソフィアのテントを撤去するのを手伝うはずだった。しかし彼女はそこに立っていた。テントの傍らに立って、顔に一つの「……」の表情を浮かべ、


「……私の鍋は?」


ソフィアの手がテントの竿を持って一瞬固まった。「……何?」


「私の鍋!」小櫻ちゃんは言い終えるとソフィアのテントの中に潜り込んだ——全身の上半身が消え、足だけが外に残って二回蹴った。なかった。這い出してまた八千代のテントの中に潜り込んだ——


「えっ」八千代が片付けようとしていたあのテントが突然小櫻ちゃんを一つ増やし、帆布の天幕がまるで飴玉を一つ飲み込んだかのように膨らんでまたしぼんだ。


小櫻ちゃんが反対側から這い出し、頭に草の葉を一枚つけ、続いて火の傍らへ駆け寄って団長の傍らにしゃがみ、口の鍋をじっと見つめ、眉を寄せて謎解きをしているかのようだった。


「……これは私のじゃない。」


団長は顔を上げず、炭を掻く手が半拍止まった。「……。」(意味は:これは共用の鍋だ。)


「私はもう一つあるの!!」


「同じものだ。」


「……?」


「小櫻ちゃん~」八千代が寝袋の傍らから顔を上げ、髪の先が一回弾んだ。「君が背負っていたあの鍋と、私たちがご飯を炊くのに使った鍋は、同じものだよ~」


「……?!」小櫻ちゃんがまず平底鍋を見、次に自分の包に元々鍋を掛ける位置を見、また平底鍋に戻し、視線が両者の間を四五往復して比較した。「……おお!!」彼女は真剣にまるまる五秒消化した——その五秒の間に何かのフォルダが彼女の頭の中で統合されたのが見て取れた——それから顔を上げ、顔色一つ変えずに「それで今はどこ?」


八千代の口角が一回引きつった。「……君がさっき見たあの火の傍らにあるはずだよ?」


小櫻ちゃんがもう一度火の傍らを見た。


「……ない。」


「……ありえない。」ソフィアがテントの竿を置き、近づいてしゃがみ、視線が石、炭の堆、草叢を掃いた。なかった。


「ん?」薇が顔を上げた。


「……私の鍋、遺跡に食べられたのかな?」小櫻ちゃんの語気は意外に平静で、まるで新しい世界観の設定を受け入れているかのようだった。


八千代:「……そんなに大げさじゃないわよ。」


薇が立ち上がって膝をぱたぱたと払った。「……見せて。」自分の包の傍らに歩み寄り、しゃがみ、引き開け、上層の三つのものを取り出して傍らに置き、中層の仕切りを開け、一番下層——一番下層——からあの平底鍋を引き出した。


全員が一緒に薇を見た。時間が半秒止まった。


「……どうして私の鍋があなたの包の中にあるの!?」小櫻ちゃんの声が裏返った。


薇は微笑み、鍋を渡しながら、語気は天気の話をするかのように軽かった。「予備~」


「……!」


「薇姉さん……」八千代が寝袋を抱いたまま、目を細めた。「あなたは何でも予備を……」


「必要なときに心配しなくていいから。」薇が包の仕切りを一層一層閉じていき、動作は彼女の語気と同じように慌てず騒がずだった。


団長が遠くでブーツで最後の残り火を踏み消し、顔を上げず、ただ一つの音を発した。「……うん。」


ソフィアが薇に近づき、声を低くした。「……姉さん。」


「ん?」


「あなた、いつ鍋を包の中に入れたの?」


「朝食を食べ終えて、小櫻ちゃんが碗を洗いに行ったとき。」


「どうして?」


薇が一回瞬きし、微笑みは変わらなかった。「彼女が探すかどうか見てみたかったの。」


八千代が「ぷっ」と笑って肩を震わせた。ソフィアはそこに立って無言だった——あの「聞いてはいけないことを聞いた」という無言の「……。」


小櫻ちゃんはすでに鍋を高く頭の上で掲げ、誰が相手かわからない対象に向かって勝利を宣言していた。「……見つけた!」


誰も彼女を訂正しなかった。


そして鍋は小櫻ちゃんの包の上に戻った——今回は結び目を八千代が打ってくれた。きれいに一つリボン結びで、昨日のあの混沌とした十字の打ち方とは違っていた。平底鍋が包の頂上の元の位置に収まった。毛の生えた人形はソフィアが自分で結んでくれた。


「首を縛るのは禁止よ。」ソフィアは結びながら言い、語気は商量の余地を許さなかった。


そしてあの毛の生えた人形が逆さ吊りの姿勢で小櫻ちゃんの包の頂上に掛けられ、二本の小さな短い手がぶらぶら揺れていた——首を縛るより惨めに見えたが、少なくとも生命の危険はなかった。


鈴は、薇が自分の包の中から取り出した——元々彼女は一度に二串用意していた。


「これも予備~」


しかし今回は鈴は薇の包の中に残された——なぜなら小櫻ちゃんがあれだけ多くのものを背負うのに鈴を加えるのは本当にうるさすぎるからだった。灯籠は団長が一つ残し、もう一つは静かに自分の包の中に収めた。


キャンプの撤収が完了した。五人が装備を背負い、一列に並び、遺跡に向かった。


日光は朝のあのきれいな金色で、遺跡の石が照らされて一塊明るく一塊暗く、音はなく、歌もなく、人声もなかった。ただ一つの前紀元の廃墟が、静かにそこに立っていた。


八千代が遺跡を一瞥した。昨夜のあの「また後で」のあの目ではなかった——あの目はもう使い果たしていた——到着したときのあの三秒の停止でもなかった。この一瞥はより軽く、まるで旧友に何気なく打つ挨拶のような、一つの「またね~」の目だった。


それから彼女は振り返った。


「行きましょう 」。


五人が振り返って帰りの山道を歩いた。


十歩進んだ。


小櫻ちゃんが隊形の中から「しゅっ」と飛び出し、二歩を一つに合わせてソフィアの傍らまで駆け寄った——


「ソフィア」


ソフィアは見向きもしなかった。「……何。」


「昨夜、あなたの肩、とっても気持ちよかったよ」


ソフィアの全身が硬直し、足が半秒止まってから自分に強いてまた歩き出した。


「ぷっ」薇が直接笑い声を出した。


「……。」八千代が笑って前屈みになり、手を膝に支え、髪の先が震えていた。


団長が前方に歩いていたが振り返らなかった。しかしあの肩が一回震えた——無表情の大物がついに我慢できなかったあの震えだった。


ソフィアの耳の付け根が鎖骨から一路耳の先まで焼けた。「……。」「……私はあなたに寄りかからせてなんかいない!」


「私が抱いたの」小櫻ちゃんが顔色一つ変えずにトドメを刺した。


「……!」


「ソフィア、あなた顔また赤くなった!」


「……あなた、黙って、薇姉さん。」


「はーい、黙るわ。」薇は笑いながら口を閉じた——しかし口角は依然として上がっていた。


八千代が小櫻ちゃんの反対側に歩み寄り、手を伸ばして彼女の頭を一回ぽんぽんと叩いた。「次は直接ソフィアに、抱いていいか聞いてね~」


小櫻ちゃんが首を傾げた。「いい?」


ソフィアが深く息を吸った——すべての忍耐を吸い込むような深呼吸「……」「……もうこれ以上話さないで。」


「それじゃあいいんだね?」


「……わ、私はいいなんて言ってない!」


「いいとも言ってないわよ~」薇が悠々と一刀加えた。


ソフィアを静かにさせる者はいなかった。


五人が帰りの山道を歩き、変なものをいっぱい背負っていた——毛の生えた人形が逆さ吊り、鍋が一番上、予備のスポンジが誰にもわからない中間層の中に——笑い声が山道に沿って一串を残し、細かく、風に山の下へ運ばれていった。遺跡が背後に、陽光が前に。隊形は乱れていたが、五人の間の距離は、昨日来たときより、わずかに近くなっていた。

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