9 まだ付き合ってもいないのに、もう管轄に入れたつもり
キャラクターに何らかの危機や困難を経験させるべきか、今考えています。
メリット
・物語に起伏や展開が生まれ、創作もしやすくなる。
デメリット
・テンポの調整を誤ると、日常系ならではのゆったりとした雰囲気が損なわれてしまうかもしれない。
この作品に興味を持ってくださっている皆さんのご意見を、ぜひ聞かせていただけると嬉しいです。
ギルドのあの厚い木の扉が五人の背後で重々しく閉まった。鉄の蝶番が満足げな低い唸りを一発上げ、音がまだ散りきらないうちに、ソフィアの右手の指がすでに一歩先んじて小櫻ちゃんの浅いピンクの帽子兜の帽縁に引っ掛け、指の関節が深くその細密で柔らかい毛の層に沈み、温かい感触が生き物のように彼女の指腹を包んだ。彼女は自分がいつ手を伸ばしたのか、なぜ伸ばしたのかすら覚えていなかった。ただ、小櫻ちゃんが路地口のあの七、八種類の魔法の光沢を放つ発光石の山の方へ突進した瞬間、身体が先に動いていた。帽子兜が引き戻された刹那、小櫻ちゃんがよろめいて半歩、帽子が少し下に被さり、柔らかい褐色の髪の一截と、陽光より速く瞬く一対の目が露わになった。その目の中の驚きがまだ完全に散っていないうちに、ソフィアはすでに自分の掌心に言いようのない熱が一層加わっているのを感じていた。
学院の外のあの道は午前十一時になるとかえって狭くなり、三十の露店の拡声魔法が耳元で客を奪い合い、弁当箱を売る者、発光石を売る者、焼肉のじゅうじゅうと響く油煙と西側の花屋の甘い香りが、すべて午前の一筋斜めに射す陽光に焼かれてねっとりと空気に貼りついて散ろうとしなかった。八千代が「わあっ」と一声で全身を前へ突き出し、銀粉のグラデーションの髪の先が光の中で小さな流光を投げ、珠光白の耳尖が興奮でわずかに震えた。もう人間の講師の仮面を被っていたその層の余裕が人混みに半分弾き飛ばされ、裙の裾が走る動作の中で大腿の外側に軽く貼りつき、布地の重みがいきなりはっきりした。団長が人流に押されて半歩横へ押し出され、肩が横を向いた。薇はその半歩の間に自然に彼のもう片側へ滑り込み、指先が指先だけ、まるで不注意のように彼の袖口の一小截の織り目に触れ、擦り過ぎてまた滑り去った。その一触に音はなかったが、団長の袖口の下の皮膚がわずかに引き締まった。
「この通りは前より賑やかね~」薇が言い、尾音をゆっくりと引き、まるで一本のふわふわした尻尾が地面を掃くようだった。同時に彼女の視線が団長の袖口のあの織り目の線に半秒余計に留まり、布地が彼女の指先によって持ち上げられた細かな皺がまだ完全に元の形に戻っていなかった。
三人が人混みに押し込まれて一本の線になり、肩が肩に寄り、布地と布地との間の隙間が体温でいっぱいに埋められた。ソフィアは後方二歩の距離で半ば引きずり半ば抱えるように小櫻ちゃんを発光石の山の方から二度目に引き戻した。彼女の手が「掴む」と意識する前の第三秒にはすでに小櫻ちゃんの肩にしっかりと掛かっており、掌が帽子兜の布越しに小櫻ちゃんの肩頭の熱が少しずつ染み込んでくるのを感じていた。動作はまるで百回練習したかのように滑らかだった。彼女は自分の手を見つめて長いこと見つめ、その掌には先ほどのあの毛の柔らかい感触がまだ残っていた。
「私はあなたの保母になるつもりはないの。」ソフィアの声に少し不自然な乾いた響きがあった。なぜなら彼女は自分の指がまた小櫻ちゃんの肩の上で無意識に半分引き締まっているのに気づいたからだった。
「え? 私、何も言ってないよ。」
ソフィアは二度目の言葉を口にしなかった。ただそのますます勝手に動き出す手を小櫻ちゃんの帽子兜の紐に移した。こうする方が抱いているように見えないからだった。にもかかわらず、彼女は手触りが全く変わらないことをよくわかっていた。その紐が指の間を滑る時に生じる細かな摩擦が、彼女の喉を理由もなく一回引き締めた。
団長が何の前触れもなく、頭より高く積み上げられた炭火の焼肉の露店の前で足を止め、手を伸ばして一本を取った。油が火に舐められて光るその肉から滴り落ち、炭火に当たって小さな火花を一筋跳ね上げ、半秒で消えた。そのじゅうじゅうという音が、この午前のために小さな註釈をしたかのようだった。小櫻ちゃんはその光る油の面を見た瞬間、ソフィアを引っ張ってそちらへ行き、半ばソフィアの背中に掛かった。ソフィアの手が彼女の腰側に回り、その姿勢を保った。その抱え方は小櫻ちゃん自身も気づかないほど慣れたもので、腰側の布地が彼女の腕に押されてわずかに凹み、一陣の温かい圧迫感が団長の肘の傍らに貼りついた。目は丸く光ってその串の肉を睨んでいた。
「私も! これは羊? それともあの大きい方」
「牛だ。」露店の主が言った。
「牛! じゃあ二本、いや三本!」
「あなた、さっき朝食を食べたばかりよ。」ソフィアの声が小櫻ちゃんの耳の後ろから聞こえ、手は依然として彼女の腰に回ったままだった。指先が布越しに小櫻ちゃんが興奮でわずかに上下する呼吸を感じ、その熱気が掌心を伝って一路上へ駆け上がっていた。
薇が焦らず単手で露店の縁に寄りかかり、首を傾け、尾音を普段よりさらに半拍ゆっくりと引き伸ばした。「露店の兄さん、この会長はあなたに借金があるのかしら~」彼女の視線が団長が肉串を取った手首の上を軽く掃き、ちょうど彼の袖口が油煙でわずかに熱を持った布の縁に留まる時間だった。
「ん?」露店の主が一瞬呆けた。
「ないならいいのよ。私はてっきり彼が踏み倒しに来たのかと思ったわ。」薇が笑った。その笑いは、ちょうど自分が投げた糸が何かに引っかかったかどうかを確認したようなものだった。同時に彼女の指先が露店の縁の上で無意識に軽く一筋引いた。まるでさっき団長の袖口を擦った動作を真似ているかのようだった。
団長は答えず、その串を口元に掲げて一口噛み、肉汁が一粒小さく口角に留まり半秒、彼は舌先でそれを掬い戻し、それからゆっくりと噛んだ。まるで肉を噛む時間で薇のあの質問を避けると同時に、すべての人混みをも避けているかのようだった。その一粒の小さな肉汁が口角に留まった瞬間、薇の視線が無意識に半秒余計に留まり、喉が軽く一回転がった。
ちょうどその時、弁当箱の露店の方から紙を折る軽い音が聞こえてきた。八千代が顔を上げ、珠光白の耳尖がその一瞬わずかに動いた。まるで何か極めて敏感な探知機のように。それから彼女は人混みの隙間から漂うように戻ってきた。銀粉のグラデーションの長い髪がまだ完全に落ちつかないうちに、彼女はすでに正確に団長のもう片側のちょうど空いた位置に立っていた。一本の手が重くも軽くもなく団長の手首に掛かり、指腹が手首の骨の内側のあの小さな一截の皮膚に貼りついた。温度は空気より少し高く、布地の下の脈搏が彼女の指先に軽く押さえられたかのようにわずかに速まっていた。
「私も一口食べる?」
彼女が尋ねた。
露店の主に尋ねているのではなかった。
団長が噛んだその串を八千代の口元に差し出した。八千代は一口で噛みつかなかった。彼女の下唇がまず軽くその光る油の表面に触れた。触れ方があまりに軽く、まるで温度を試しているようでもあり、何か別のものを試しているようでもあった。柔らかい唇と光る肉の面が貼りついた瞬間、細かな粘り気のような感触を一筋帯び上げ、それからようやく横から噛みついた。珠光白の顎が噛み合わせのその一瞬動いた。一滴の油が肉串の先端から滑り落ち、彼女の指先に落ちた。彼女は拭かなかった。その一滴の油が指腹の上でゆっくりと転がり、まるで一小塊の散りきらない熱意のようだった。食べ終わって、彼女が顔を上げた。
「おいしい。」
彼女がこの二字を言う時、視線が何事もなかったかのように、しかしその「何事もなかった」度合い自体がわざとらしく薇の方へ滑った。視線が薇の口角のあの弧の上で半秒余計に留まり、まるで先ほどのあの油の一滴の温度をも一緒に持って行ったかのようだった。
薇が身を横へ寄せて団長の耳の傍らへ行き、鬢の髪が耳の後ろから一筋滑り出て彼の耳輪のあの薄い皮膚を擦った。団長が頭をわずかに傾け、拒まず応答もしなかった。まぶたが垂れ、下顎の線にまだ先ほどの一口の肉の塩辛い香りが付着していた。その傾けた頭の角度が、ちょうど耳の後ろの皮膚の一小截を薇に露わにした。まるで一塊の黙許の領土を差し出したかのようだった。皮膚と髪の糸が触れ合った瞬間、細かな静電気のような感触を帯び上げた。
「じゃあ私も一口ね~」
彼女の気音がそこに落ちた時、さっきよりさらに一度低く、声というより直接唇の形から伝わる温度のようだった。熱気が軽く団長の耳輪を掃いた。八千代がまだ団長の手首の骨の上に掛かっていたその手が、薇の指先が極めて軽く一収したのを感じた。その収め方は軽く、薇自身でさえなかったことにできるほどだった。しかし八千代の下まつ毛が影の中から半度持ち上がり、指腹の下の皮膚の温度がいきなり半分上がった。
小櫻ちゃんの大声が炸裂し、上半身ごと団長の方へ寄り、顔がほとんど肉に貼りつきそうになり、鼻先が本当に油に触れたかもしれない。「私も団長のあの串が食べたい! ソフィア放してよソフィア私食べられない」彼女が前へ突進する動作で、ソフィアの腕が彼女の腰の上でさらに引き締まり、布地が引っ張られて腰側の曲線にぴったりと貼りついた。
ソフィアの手が小櫻ちゃんの腰の上でさらに引き締まった。身体が意識より先に動いた。「私は掴んでない! あなたが自分で飛び出したのよ」
「じゃあ今あなたは私を抱いてるじゃない。」
小櫻ちゃんが振り返って瞬きした。まるで本当に一つの論理の問題を議論しているかのようだった。ソフィアが一瞬固まり、褐色の肌の下のあの血の色が上へ這い上がろうとしたが、彼女に半分押し戻された。「……Whatever。」しかしその手は緩めず、指先が布越しに小櫻ちゃんの腰側の熱度が少しずつ染み込んでくるのを感じ、彼女の掌心をますます熱くしていた。
団長の空いた手がすでに露店の方へ伸ばされ、新しい一本を取っていた。振り返り、彼はその串をソフィアの口元に掲げた。高さがちょうど、距離がちょうど、手首の角度もちょうど。動作の中に何もなかったが、何もかもがあった。肉串にはまださっき噛んだ余温と油の光が付着していた。
「あなたも食べなさい。」
この一句が三粒の米のように乾いていた。落ちてきたその一瞬、ソフィアの褐色の頰の下のあの血の色がようやく抑えきれず、頰骨の下から一路上へ、鼻梁を越え、目尻を染め、耳垂のあの小一截までも熱くした。まるで誰かが一壺の熱いシロップを彼女の耳の後ろからゆっくりと注いだかのようだった。熱意が首筋を伝って一路下へ駆け、シャツの襟元が突然少しねっとりした重みを感じた。
「私はI don't私は言って」
舌が結ばれ、三つの言語が喧嘩をしているかのようだった。ちょうどその一瞬、小櫻ちゃんが団長のもう片側から口を開いて一口で元々のあの串に残っていた肉を噛み取った。動作が速く、団長の手には一本の空の竹串だけが残った。小櫻ちゃんの口が塞がり、噛みながら後ろへ半歩退き、頰が膨らみ、油の光が唇の角でわずかに瞬いた。
「私、あなたたちの論争を解決してあげたよ」
彼女が含糊として言った。薇が鼻から半声の気を笑い出した。極めて軽く極めて短く、まるで彼女の武器が二本目の剣を必要としたことが一度もないかのようだった。八千代がまず半秒呆けてから声を上げて笑い、耳尖が一回上へ跳ね、ピンクの紫がその一瞬一段飽和し、髪の先から銀の根へ向かうあのグラデーションの線もはっきりした。布地の下の肩の線が笑意でわずかに震えた。薇の余光がそのグラデーションを滑り過ぎ、留まらず、視線が八千代の耳尖に半秒余計に留まり、まるでその色が濃くなった瞬間を書き留めているかのようだった。
団長が空の竹串を露店の主の傍らのあの半古の廃串筒に投げ入れた。正確で綺麗に、何の余計な動作もなかった。それからまだ噛まれていない二本目の串を再びソフィアの口元へ、同じ高さ、同じ距離で掲げた。彼は多くを語らず、ただその串をまたそこへ置いた。肉串の上の油の光が陽光の下でわずかに揺れた。
「あなたはまだ食べていない。」
ソフィアの腕が小櫻ちゃんの腰の上で固まり、小櫻ちゃんでさえ感じるほど固まった。小櫻ちゃんが口いっぱいに油を塗り、頰を膨らませて顔を仰向けにし、瞬きしながら無邪気な笑みを浮かべた。「食べなよソフィア あなたの顔すごく赤くなってるよ。」
「黙りなさい!」
それでも彼女は口を開いた。下顎がその一瞬震えた。彼女には抑えられなかった。その串の肉がこうして噛み込まれた。肉汁が舌先で一回熱く、彼女が目を閉じた時まつ毛が普段より短く震え、耳垂のあの塊の熱がまだ引いておらず、熱意が舌の根から一路下へ胸口まで広がり、シャツの下の布地が突然少し張りを感じた。
薇が団長の手の甲を二回叩いた。リズムが遅く、まるで自分がさっき挨拶したばかりの扉を叩いているかのようだった。「食べ終わったでしょ? 買い物に行く時間よ~」財布が腰から解かれ、手に提げて一回揺れ、指の関節が軽く露店の木の台を叩いた。「面倒だけど計算してちょうだい。」彼女の指先が叩く時に無意識に半秒余計に留まり、まるでさっき団長の手の甲を叩いた感触を味わい直しているかのようだった。
八千代の尾音が自然に薇について下がった。「え~ そんなに早くいいね。」最後の半截が一回引き伸ばされ、引き伸ばされた長さがちょうど薇の余光がもう一度滑ってくるのに十分だった。視線が八千代の唇の角のあの笑意に軽く一触。
一瞬だけ。
小櫻ちゃんがようやく二口目の肉を飲み込み、顎で向かいのあの列の輝く店面を指した。「あそこ! あそこに光るのがある! それからあの回るの! それからあの動くの!」
「あなたが落ち着くまで待ちなさい ちょっと待って」ソフィアの声が引きずられてすでに割れ始めていた。しかし小櫻ちゃんが全身を前へ突進させ、ソフィアのあの小櫻ちゃんの腰に回っていた手が逆に彼女が引きずられるエンジンになった。腰側の布地が引っ張られてぴったりと肌に貼りつき、一陣の隠れた熱意が伝わってきた。
「何を落ち着くの! あそこが光ってるのよ!」
ソフィアの靴の踵が石畳の上で小さな尖った摩擦の音を立てた。彼女は頭を下げて自分のあのまだ小櫻ちゃんの腰に回ったまま緩めようとしない腕を一瞥した。腕は彼女に面子を与えず、かえって小櫻ちゃんの腰の上でより確実に引き締まり、指先が布越しに小櫻ちゃんが走るために加速した体温を感じていた。
団長が最後の肉を噛み終わり、銅貨が露店の主の掌に落ちて澄んだ音を立てた。八千代が勢いに乗って前へ一歩進み、彼の空いたあの肘に腕を掛けた。指が彼の肘窩の角度に掛け、手の甲が彼の小臂の外側の位置に貼りつき、身体と彼の間に半呼吸の距離を残した。動作が自然で、まるで彼女の八千年の筋肉の記憶から取り出してきたかのようだった。布地と布地が貼りついた瞬間、細かな摩擦の熱を帯び上げた。
「私たちも行きましょ~」
防具店の入口のあの自分で揺れる鎧がちょうど右手を半空に掲げた時、薇の指腹がすでに団長のもう片側の袖口の縁のあの浅い縫い目から下へ滑り始めていた。彼女は団長を見ず、八千代も見ず、視線が展示の鎧のあのゆっくりと下がっている鉄の手の上に留まり、口角はあの永遠にそこに掛かっている弧を保っていた。ただあの指腹だけが誰よりもはっきりと道筋を知っていた。まず団長の肘の内側のあの布地に覆われた柔らかい肉に沿い、布面が指腹の下で小さな凹みを押され、また弾き返る。それから前臂の外側のあのわずかに隆起した筋肉の線に沿って一路下へ。手首の骨の隆起のあの一点を過ぎた時、彼女は半秒留まった。まるで寸法を測っているかのようだった。最後に手全体がその位置から勢いに乗って曲がり、腕が自然に団長の腕の曲がりの中に掛かった。掛かり方がちょうど、まるで元々そこにあるべきだったかのようで、布地と布地との間の隙間が二人の体温でいっぱいに埋められた。
「こうやって歩いた方が散らばりにくいわね」薇の声がとても低く抑えられ、尾音のあの波が普段より半拍長く引き伸ばされていた。まるで何気なく言ったようでもあり、本当にただ隊形を注意しただけのようにも聞こえた。同時に彼女の指先が団長の腕の曲がりの内側で軽く一収し、布地の下の皮膚の温度が少しずつ上がっているのを感じていた。
八千代の側は頭を上げて彼女を見なかった。見なかったが、団長のあの側の肘に掛かっていた力道が軽く半公分引き締まった。半公分だけ。団長の袖越しに、薇自身の掌心でも測れる半公分。布地が引っ張られて張りつめた。団長が両側から同時に挟まれ、表情を変えずに真ん中に立ち、目は床の某かのタイルの継ぎ目の位置を見つめ、顎も動かず、肩も動かず、ただ呼吸がさっきより半拍浅くなり、胸のあの層の布地が呼吸と共にわずかに上下した。
「え? どうしてあなたたち二人は」小櫻ちゃんが前から振り返り、目が普段の二倍丸く見開かれ、口がちょうど疑問の弧を描いて開いた時、手がソフィアに一掴み覆われた。ソフィアのもう片方の手が彼女の肩に掛け、彼女の全身を回して戻し、指の関節が力でわずかに白くなった。声が歯を食いしばった隙間から一字一字小櫻ちゃんの耳の傍らに叩きつけられた。「前を見なさい。前。を。」小櫻ちゃんの眼球がソフィアの掌の下でまだぐるぐると回っていたが、肩はすでにひねられて店の入口の内側に向けられていた。ソフィアの掌心が小櫻ちゃんの耳の後ろの熱度が指の隙間から外へ溢れているのを感じていた。
防具店の敷居を跨いだその一歩で、店内の空気がまるで誰かに突然調整を押されたかのように、数度涼しくなった。魔法の霜凍箱が作動する時にしか滲み出さないような乾いた冷感だった。皮膚に貼りつき、袖口と襟口の継ぎ目から滑り込み、さっき二本の腕に挟まれていた団長の後頸がわずかに一激し、皮膚の上でいきなり細かな鳥肌が一層立った。展示品が粗い鉄の鎖で壁に掛けられ、棚が低から高まで各種の型で埋められ、鎧の肩当て、胸当て、脛当て、腕当てが、どれも微かな魔力の灯りの下でそれぞれ異なる金属の色沢を帯びていた。八千代が店に入って三歩目以降で速度を落とした。彼女が団長の腕の中から手を抜く動作が自然だった。まるで何かに引き寄せられて手放したかのようで、振り返って一番奥のあの列の古式の胸当ての前に歩み寄った。裙の裾が動作の中で大腿に軽く貼りつき、布地の重み感が彼女の動作を半拍遅くした。
彼女の指が一番左のあの一点の錠の位置から始まり、指腹が黄銅色の環の上で軽く一回押した。錠の仕方の走向を感じ、それから二点目へ滑り、三点目へ滑った。動作が遅く、まるで何度も見た本をめくっているかのようだった。指腹と金属が触れ合う冷たい感触が彼女の指先をわずかに縮ませた。最後に彼女が真ん中のあの一点の錠の上で止まり、指がその環の縁で止まり、一拍留まり、また一拍留まり、胸のあの層の布地が呼吸でわずかに上下した。
「この一点の錠の仕方は逆よ。」彼女が言い、声がとても軽く、自言自語のようだった。指先が依然として環の上で無意識に軽く摩っていた。
店主がカウンターの後ろから顔を上げ、ペンがまだ耳に挟まったまま、眉が一回上へ跳ねた。「ん?」
八千代は振り返って彼を見ず、指がその環の上で軽く一回点いた。点の位置が正確で、まるで環の蝶番の軸心がどこにあるかを前から知っていたかのようだった。「この様式の元々の錠の仕方は、右から左へ掛けるはずよ。古典の剣士の利き手は右手で、鎧の脱着の時に開合の方向が剣柄の位置を邪魔してはいけないの。でないと剣を抜く瞬間に引っかかるから。」彼女が半拍置き、指が環から胸当ての側縁のあの細い金属の継ぎ目へ滑り、指先がそこでまた一回留まった。「あなたたちのこの列の展示は逆よ。」
店主が固まった。口が半分開き、ペンが耳から滑り落ちた。彼は受け取らず、視線が八千代の指とその環の間で往復した。
八千代が顔を上げ、店主に向かって笑った。その笑いは彼女のいつもの人懐っこい、攻撃性のない、綿菓子のように柔らかい笑いだった。「でも大丈夫よ お客さんもわからないもの~」尾音のあの波が長く引き伸ばされ、甘く、まるで店主がさっきのあの呆けを飲み込んでしまうのを宥めているかのようだった。同時に彼女の耳尖がわずかに震えた。
小櫻ちゃんの目が棚の二列目の一番奥のあの濃い青の硬い革の面の護甲に定まり、それから彼女が全身で突進し、手を伸ばして掴む時にサイズの札さえめくらず、肩紐のあの串の銅の環が彼女の手首の上でかしゃかしゃと鳴り、抱えて試着室の方へ突進した。足音が木の床の上で弾むリズムは、子供が玩具店で物を掴んだ時のあのリズムだった。護甲の硬い革が走る中で彼女の胸口を軽く摩擦した。
ソフィア:「え、あなた」
小櫻ちゃん:「ちょっとだけ!」
試着室の布のカーテンが彼女に一回引き上げられ、銅の環が横棒に沿って刷る金属の摩擦音が、開いてから閉まるまで三秒もかからなかった。それからあの布の面が中から膨らみ、また陥没し始めた。布地が金属の環を擦る悶えた音、護甲の内張りのあの層の硬い革が回転する時に胸当ての環に当たる衝突、小櫻ちゃんが腕を袖口のあの輪の中に通す時、肩の線があの布の上で頂く弧がそれについて乱れ動く。カーテンの後ろの動作がソフィアの視線を無意識に半秒余計に留まらせた。
小櫻ちゃん:「あ これどっちからかぶるの 待って え これ頭はこっちから? え?」
それからカーテンの後ろから出たあの声が突然何かに覆われた。まるで何かの層が彼女の口に押しかぶさったかのようで、二秒沈黙した。店主が店の奥のあの展示台の後ろでまぶたを一回上げて見、 また下げた。
小櫻ちゃんの声が悶えの中から絞り出され、半截が喉の上に引っかかり、半截が護甲の首囲の開口に擦られていた。「……ソフィア?」
ソフィア(すでにカーテンの外へ歩み、両手を胸の前で組んで):「何よ。」彼女の腕が胸の前で組まれ、少し張っていた。布地が押されてわずかに凹んでいた。
小櫻ちゃん:「私、詰まっちゃった。」
あの間の中でソフィアの目尻が一回引きつり、胸口が突然少し悶熱を感じた。
小櫻ちゃん:「ソフィア 本当に詰まっちゃった。」
ソフィアが布のカーテンを一回引き開けた。その一瞬視線がぶつかった画面は、小櫻ちゃんの頭があの首囲の開口の正中央に詰まっているものだった。あの輪が彼女の鎖骨の下のあの最も柔らかい横の線に箍められ、布地の縁が死ぬほど柔らかい肉に切り込み、一筋の折れ角を陥没させ、二つの豊かな円があの少し小さいサイズの硬い革の輪に押されて不自然な形にされ、本来前へ張るはずの弧が両側へ押し出され、胸甲の開口の縁から溢れ出た肉が白く輝き、深紅の輪郭を一巡締め付け、一本の腕がまだ半分袖口のあの不合理なほど狭い円孔の中に通され、全身がそこに傾いて、まるで魔導玩具店で半分梱包された人形のようだった。布地が張りつめた摩擦の音がまだ空気の中でわずかに響いていた。
小櫻ちゃん:「きつい ソフィア 私の呼吸」彼女の声に少し息が上がり、胸口が上下する時あの輪の赤い痕がそれについてわずかに震えた。
ソフィア:「あなたはまず」彼女の視線が小櫻ちゃんの胸口のあの輪の赤い痕の上に半秒余計に留まり、喉が無意識に一回転がった。
薇がカウンターの方から歩いてきた。あの余裕の歩調がさっき団長の指の関節に掛けた時と全く同じで、一本の手がまだ団長の肘のあの截に掛かり、指先が彼の袖口を扣え、全身の重心が軽く彼の身側に寄りかかり、もう片方の手がすでに小櫻ちゃんの護甲の側辺のあの列の隠し環の方へ伸ばされていた。動作の中で彼女の髪の先が軽く団長の肩を掃いた。
薇:「さあ、私がこっちを解くわよ、あなたはそっちで肩を掴んで下へ引いて。」
ソフィアが小櫻ちゃんの背後へ回り、手が半空に一秒留まり着力点が見つからず、最後に小櫻ちゃんの露わになったあの截の腰側へ落ちた。彼女の指が押したその瞬間、小櫻ちゃんの腰の肉が布の下で一回弾み、ソフィアの指の関節がその場で一秒張りつめた。しかしその手は意外に震えず、指腹が薄いシャツ越しに小櫻ちゃんの腰側の熱度が掌心を伝って上へ駆け上がるのを感じていた。
ソフィア:「手はどこに置くの 動かないで!」
小櫻ちゃん:「動いてない あっ あなた私を摘まんだ」
ソフィア:「それは護甲よ 私じゃない」
小櫻ちゃん:「あ じゃああなたこうするの」彼女の声が最後のあの音節でわずかに一回震え、腰側の筋肉が無意識に引き締まった。
薇の指先が側辺のあの列の隠し環を一粒一粒下へ歩み、一粒解くごとに護甲のあの塊の硬い革が外へ一ミリ緩み、それから彼女の手が側辺から前へ回り、あの内張りの挟み層の中に隠された主の紐へ。胸甲の正中央から下へ向かうものだった。それに触れるために、彼女の指腹は小櫻ちゃんが押し潰された胸の上の縁のあの輪の、ちょうど締め付けられてピンクになった柔らかい肉に貼りつかなければならず、左の弧の頂点から右の弧の頂点へ滑る。指腹が通り過ぎた皮膚の下の、あの硬い革の輪に押し出された熱気が一路ついて来、指先が碾いた場所は布地の下からちょうど半分解放されたばかりの柔らかい肉、汗の潤いを帯びた温度、熟しきっていない果肉のように柔らかいものだった。布地と肌との間のねっとりした感触が薇の指先をわずかに一回留まらせた。
小櫻ちゃんの呼吸がその一瞬「ん」と一回。痛みではないあの音で、声の中に少し下意識の震えが帯びていた。
薇の指が半ミリ秒留まり、指腹があの輪の柔らかい肉の温度が彼女の指先を伝って上へ上がっているのを感じていた。
それから彼女の動作が続き、指腹があの輪の胸肉の上縁に貼りついて前へ滑り、絲質の紐の結び目に引っ掛け、張りつめた縄が彼女の指先の上で内へ一回弾いた。縄と指腹が触れ合う細かな摩擦が、彼女自身の胸口をもわずかに一回引き締めた。
薇:「我慢して。」
ソフィアが後ろから護甲の肩の線を掴み、両手で一推し、薇が同時に外へ一引いた。あの塊の硬い革が前の紐と一緒に小櫻ちゃんの頭上を越えて引きずり出された。その瞬間、小櫻ちゃんの髪がすべて弄乱されて顔の前に散らばり、彼女の下のあの白いシャツの下擺が護甲ごと上へ帯び上げられ、胸の下縁のあの弧の線に引っかかり、腰の線が肋骨の一番下のあの横の紋から一路臍の縁まで露わになった。腰の肉があの角度の下で半分の贅肉もなく、白くほとんど透明で、布地が引っ張られてぴったりと肌に貼りつき、細かな起伏を輪郭づけていた。
彼女が深く一回息を吸い、まるで水の中から掬い上げられたばかりのようなリズムで、頭がわずかに下へ下がって自分の身体を見つめた。
小櫻ちゃん:「……すごく赤い。」
その声に一点の色情の自覚もなく、子供が自分の腕に一塊の痣ができたのを見つけた時のあの直述だった。
締め付けの痕、護甲の首囲の開口が押し過ぎた場所が、鎖骨の下のあの横の線から両側の胸の上縁に沿って二筋の鮮紅の軌跡を引き出し、まるで誰かが爪であの皮膚の上を軽く一筋引いたかのようだった。胸の上縁のあの輪の圧痕が最も深く、紅くほとんど血が滲み出しそうで、全体の皮膚がちょうど解放された時の血流が逆流する潮紅を帯びていた。彼女が一回息を吸うごとにあの赤い線がそれについて一回起伏し、まるでまだ呼吸をしているかのようだった。布地の縁がまだ痕跡の中にわずかに嵌まって、完全に緩もうとしなかった。
全場が一秒止まり、空気の中の温度が突然半度上がった。
八千代の足音が胸当ての展示棚の方から回ってきた時、重みがなく、まるで空調の風に運ばれて来た一筋の煙が試着室のカウンターの縁を漂うようだった。裙の裾が大腿の外側で半下りまた収まり、珠光白のあの片の手がまず小櫻ちゃんの半歩の内へ入った。あの片の手が伸ばされた姿勢が極めて軽く、指の関節から第二関節の間のあの截が白く微かな光を放ち、半空で極めて短い一瞬留まった。まるでまずどこに触れるかを確認してから、ようやく落ちた。指腹が軽く小櫻ちゃんの鎖骨の下のあの鮮紅の圧痕の起点の上に押され、涼意と熱意が指腹と肌が触れ合った瞬間激しく衝突した。
指腹は涼しかった。
あの一点の涼が接触点から外へ半公分広がってから、鮮紅のあの截の熱に焼き返された。小櫻ちゃんが「ん」と一回。痛みではないあの種類で、皮膚が自分より一度低い温度に触れられた時の、あの下意識の胸口から滑り出る気音だった。鎖骨のところがわずかに縮み、また緩み、衣領の隙間から透けて見えたあの截の白がそれについて軽く一回震え、布地が引っ張られてわずかに肌を摩擦した。
「ここも赤くなってるよ」八千代の声がさっき店主に話した時よりさらに一度柔らかく、尾音が半寸の間の中で吊るされた。「痛い? 」彼女の指腹が赤い痕の上で軽く摩り、皮膚の下の熱度が指先を伝って自分の掌心へ上がっているのを感じていた。
「少しだけ」
ソフィアが矢のように側面へ一歩踏み出し、褐色の顔が耳の根から焼けて紅く、皮膚まで透けて見えるほどの紅になった。一本の手が小櫻ちゃんの衣の下縁へ掴みに行き、さっき試着の時に帯び上げられたあの整片のシャツを上へ引き戻し、もう片方の手が同時に締め付けの痕の方へ蓋をした。動作が速く、護甲の垫が腰から落ちそうになった。「人に見せないで!」彼女の指が蓋をした時、小櫻ちゃんの胸口の皮膚の熱意が掌心を伝って自分の腕へ広がるのを感じ、シャツの布地が彼女に引っ張られてあの輪の赤い痕にぴったりと貼りついた。
八千代の指先がこの一瞬で押し開かれた。珠光白のあの截が小櫻ちゃんの鎖骨から半公分の半空に吊るされ、軽い声を一つ笑った。「あ」彼女の耳尖が笑意でまた一回震えた。
一件の濃い色の布地が直接空中から落ちて小櫻ちゃんの肩を覆った。
団長の外套だった。
「着なさい。」
二字。
彼は八千代を見ず、ソフィアも見ず、手を収めた。外套は小櫻ちゃんにはあまりに大きく、肩の線が彼女の上臂の半分に落ち、袖が垂れて彼女の手のひらを半截覆い、袖口が彼女の指先よりさらに二指の位置だけ低かった。彼女の全身があの外套に肩から手首まで緩く覆われ、まるで一整層の影に包まれたかのようで、布地の粗い紋様が皮膚に貼りついて一陣の隠れた摩擦の感触を帯び上げた。
「……団長の外套、すごく大きいよ。」
小櫻ちゃんの声があの片の濃い色の布地の中から悶えて出た。彼女が頭を下げて一瞥し、自分の手が見えなくなっているのに気づき、顔を上げた時、襟口が緩く鎖骨の上に掛かり、さっきのあの鮮紅の圧痕の起点が粗い紋の布地の影に遮られてただ一つの模糊とした縁だけが残っていた。布地の中にはまだ団長の息が残っており、彼女が無意識に深く一回吸い込んだ。ソフィアの手がまだ彼女の腰の上で半扣え、今は中間に一層団長の外套が加わり、指が布越しに一回引き締め、また引き締めず、最後にあの半握りの姿勢の中で固まった。指先が布地の下の熱度がより悶熱になったのを感じていた。
八千代の指先が縮んだ。
縮む時、笑いがさらに一度深くなり、口角を下へ押さえ、押さえきれないあの抹の笑いが目尻から滲み出た。髪の色がピンクの紫が飽和状態の最高位に懸かり、下へ落ちず一度、耳尖が後ろへ一回動いた。あの方向は店の入口の自然な光の方ではなく、団長がさっき立っていた位置の方だった。視線が団長が収めた手首の上に半秒余計に留まった。
「すごく賑やかね~」
薇が自分のまだ空いているもう片側の髪の先を撫でて笑い、声が普段より半拍遅かった。なぜならあの団長の肘に掛かっていた手が彼が外套を脱いだその瞬間に無理に緩められ、手首がまだ空気の中で掛かっていた姿勢を保ち、半秒留まってから収まったからだった。収まった後、自分の髪の先の上に落ちた。あの空いた手首にはまださっき物を掛けた弧が残っており、指先が無意識に自分の髪を摩っていた。
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八千代の指先がまた伸ばされた。
今回は正面からではなかった。珠光白が団長の外套の襟口の縁から探り入れ、指腹が襟の内層に貼りついて外へ半公分拨き開けた。あの半公分がちょうど一人の目が隙間に沿って中を覗ける幅だった。彼女の目がその新しく開いた隙間に沿って中を覗き、指腹が外套の布地の中にまだ残っていた団長の体温を感じていた。
「本当にすごく赤い」尾音がまた一度柔らかく。「薬を塗る? 学院のこの通りに薬屋があるわ、私前を通った時に見たの」
薇が小櫻ちゃんの真正面に歩いた時、声が八千代より一度澄んでいた。彼女の手の中にいつの間にかすでに一件小さいサイズの護甲垫が持ち替わっており、小櫻ちゃんの面前に掲げると同時に左肩がわずかに横へ寄った。横へ寄った弧がちょうど彼女の肩の線を八千代のあの拨き襟の手と小櫻ちゃんの襟口の間に半寸遮った。ちょうど八千代が手をさらに中へ探らなければならない時にまず避けなければならない距離だった。彼女が元々団長の肘に掛かっていたあの拠点がなくなり、この半寸が彼女が取り戻した新しい拠点だった。肩の線の位置の布地が動作のためにわずかに張りつめていた。
「さあ、この一件こそあなたのサイズよ~」
八千代のあの拨き襟の手が緩んだ。指先が半空で収まる軌跡が小さな弧を描いて自分の身前に落ち、ピンクの紫の耳尖がわずかに後ろへ偏った一度、薇に向かって笑みを浮かべなかったが、声の中には笑いが帯びていた。「あ 先輩、選び方が本当に的確ね。」
「うん~」薇のまつ毛が一回瞬いた。「元々私の専長だもの。」彼女の視線が八千代が収めた指の上に半秒余計に留まった。
二人が小櫻ちゃんの頭の上で互いに一瞬見つめ合い、空気の中の温度がまた静かに半度上がった。
小櫻ちゃんが団長の外套の襟口を鼻の前に引き寄せた。袖が彼女の手よりあまりに長く、引き上げた時整片の袖口が彼女の顔の下半截を覆った。あの片の濃い色の粗い紋の布地が彼女の目の下の一点の位置まで覆い、彼女は布地の下で深く一回吸い、肩が上へ聳え、鼻先があの塊の布地の中に完全に埋まり、それから顔を上げた。目は輝き、布地の中の息が彼女の頰をわずかに一抹の粉を帯びさせた。
「団長の体に焼肉の匂いがする。」
団長は応じなかった。
小櫻ちゃんが頭を傾けて言葉を考え、袖がまだ鼻先の下のあの片の影の中に引っかかっていた。
「あと少し、あなたがさっき私に締め付けの痕を隠してくれた時に残した温度?」
薇の手の中の護甲垫が一回動き、指先が無意識に引き締まった。
ソフィアが後ろで鼻から重く一回息を吐き出した。その息が鼻腔から出た時、少し金属が摩擦するような響きを帯びていた。彼女が口を開き、喉が二回引き締まってようやくその句を絞り出した。
「She's going to nevermind。」彼女の顔の頰がまた一層紅くなり、シャツの襟口が呼吸でわずかに熱を持っていた。
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試着室の中は一坪にも満たない四角い木の箱で、四人が押し込まれた瞬間、肩がまず肩に当たった。ソフィアの肩甲骨が「どん」と後ろの壁のあの薄い板に当たり、整片の木の板が短い反響を震わせた。彼女がまだその息を吸い終えていないうちに、珠光白のあの片の腕がすでに側辺から回って彼女の鎖骨の上に押しかぶさっていた。あの片の腕の皮膚は氷のように、室温よりさらに一截涼しかった。貼りついた瞬間、ソフィアの肩が全体で縮んだ。涼意と体温が鎖骨の位置で激しく衝突し、彼女の背中の布地がいきなりよりぴったりと貼りついた。
「ここの方が暖かいわね~」八千代の声が彼女の耳側に貼りつき、少し押し出された息を帯び、熱気がソフィアの耳輪を掃いた。
「これは暖かいかどうかの問題じゃない 小櫻ちゃん あなた!」
小櫻ちゃんがソフィアの真正面に、背筋を伸ばしてシャツを下擺から上へ一回翻し、頭上を越えて引きずった。四人の鼻先とあの脱がされつつあるシャツの間の距離が四十公分もなかった。シャツが鎖骨のあの截まで脱がれた時、布地が半秒引っかかった。あのちょうど団長の外套に押し下げられた鮮紅の締め付けの痕と、古い、浅いピンクの、すでにほとんど消えかけていたもう一筋の痕が、鎖骨の上で新旧入り混じった赤い肉色を重ねた。同じ側の内衣の肩紐がさっきのあの護甲に擦られて歪み、元々の平らな位置から数ミリ滑り出ていた。肩頭のあの截が擦り出された浅い折れ線で、布地が肌を摩擦する音が狭い空間の中で格別に明瞭だった。
「私、着替えるの。」小櫻ちゃんの声がシャツの下から悶えて伝わり、動作の中で彼女の胸口がわずかに上下し、肩紐の細かな揺れを帯び動かした。
薇がソフィアの左側に背を寄せ、鏡の中のあの視点の彼女が両手でまだあの護甲垫を捧げており、目が鏡面から斜めに小櫻ちゃんの露わになったあの新旧の赤を一瞥した。口角がまず動いた。「おお。」彼女の視線が赤い痕の上に半秒余計に留まり、胸のあの層の布地が少し悶熱を感じていた。
「薇さん」
「ん? どうしたの~」
小櫻ちゃんが腰を曲げてシャツを腕から完全に脱ごうとした。この曲がりで、八千代がソフィアの鎖骨の上に押しかぶさっていたあの片の腕が動かず、ただ押し込まれて全身が前へ半寸傾いた。珠光白のあの片がソフィアの側顔の上から落ちて来た。貼りついたその瞬間、ソフィアのこめかみの縁が感じたのは涼しさだけではなく、一片の氷った絹が同時に頰と鬢の髪を包み込んだ。次の秒、鼻先がようやくあの片の皮膚の中から漂い出た匂いを捕らえた。とても薄く、まるで雨の後の森の奥の某かの岩の隙間に生える苔のように、湿り、緑、一点の鉱物の甘みを帯びていた。匂いと体温が混ざり、ソフィアの呼吸を一拍乱した。
「Dios mío」スペイン語がソフィアの歯の隙間から絞り出され、ほとんど漏れ気だった。彼女の顔の頰がひどく熱く、シャツの襟口が汗意でわずかに貼りついていた。
「ソフィア またそれ言ってる」
「黙りなさい!」
---
試着室の外で、団長が店主が運び出してきたあの木の椅子に座っていた。椅子がカーテンの真正面二メートル整。店全体が空っぽで、木の床が自分で熱膨張冷収縮している音が聞こえるほどだった。店主はすでにカウンターの後ろへ退き、棚卸しのふりをしてあの帳簿を三度目同じページをめくっていた。試着室のあの厚いビロードのカーテンは動かなかったが、中の悶えた音が一波一波漏れ出ていた。布地が壁に当たる鈍い響き、腰の環が扣えられる「かたっ」、いくつかの「啊」 どの口から出たのかわからない、薇の「おお」、それから一段のリズムがとても安定した、まるで誰かが連続で深呼吸をしているような気音。団長があの片のカーテンを見つめ、手を膝の上に置き、動かず、指先が無意識に膝の上で軽く一回叩いた。
数秒後、あの片のカーテンの下縁が突然内側から外へ一つのとても円い弧を突き出した。形がはっきりしていて、まるで誰かが尻を直接布の上に頂いたかのようで、すぐにまた縮んだ。布地が引っ張られてわずかに震えた。
「え ごめん 私見てなかった」小櫻ちゃんの声が中から伝わり、少し慌てた笑意を帯びていた。
団長が椅子を後ろへ五公分ずらし、呼吸がわずかに一回沈んだ。
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試着室の中、八千代がソフィアの鎖骨の上に押しかぶさっていたあの片の手がちょうど下へ順に滑り始め、腰の線の上半公分で止まっていた。あの珠光白の指先がちょうど腹部のあのインチへさらに滑り込もうとしていた。指腹が布越しにソフィアの腰側の熱度を感じていた。
小櫻ちゃんが全身の上半身を突然彼女の方へ向けて回した。内衣の肩紐が擦れて歪んだあの側が八千代の鼻先から三十公分しか離れていなかった。布地と肌との間の距離が近く、お互いの体温を感じられるほどだった。
「じゃあ私もあなたのために一件試着してあげる!」小櫻ちゃんの目がまっすぐに輝いた。「あなたはどう? あなたはこんなに綺麗に着こなしてるから、絶対すごく似合う! さっき棚にあったあの古式のやつ、あなたがさっき指差してたのと同じような」
八千代が固まった。ピンクの紫の髪の先が、この一秒で、元々の飽和した桃のピンクの霧紫からゆっくりと一層退色し、灰白に近いあのピンクまで退いた。唇がわずかに開き、また閉じた。八千年の読心の習慣が小櫻ちゃんのここでまた空振りした。彼女にはあの双の目の中が反撃なのか、丸く収めるのか、それとも本当にただ彼女が綺麗だと思って一件選んであげたいのか、読み取れなかった。指先がソフィアの腰の上で無意識に軽く一回収まった。
「私」
「咳」団長の声が外から伝わってきた。綺麗に、はっきり。
薇の反応が最も速かった。鏡のあの側の彼女の視線が小櫻ちゃんの身上からカーテンの位置へ滑った。口角が一度上へ揚がった。護甲垫を捧げていたあの両手が内側へ半寸収まった。指先が護甲の涼しさを感じていた。
「うん~ 会長は公の場だって言ってるわね。」彼女が頭を回して八千代に向かい、語気が今日の天気を伝えるかのようだった。同時に彼女の視線が八千代のわずかに赤くなった耳尖の上を軽く掃いた。
八千代がソフィアの鎖骨の上から手を撤き、珠光白のあの片がソフィアの側顔から引き離された時、皮膚の上にまだ半秒残っていた涼気の輪郭を残し、それから体温に埋め戻された。「あら、本当に~ 先輩 あなたの耳は本当にいいのね。」彼女の声の中に少し笑意が帯び、耳尖がわずかに震えていた。
「当然よ。」薇の尾音が軽やかに引き伸ばされた。
ソフィアの全身が、ずっと張っていたある一本の縄が切られたかのように全体が緩み落ち、背板が「どん」と一回後ろの壁に当たった。深く一回息を吸った。「……ようやく。」彼女の肩にはまだ八千代の腕の涼意が残っており、シャツの下がわずかに熱を持っていた。
「え?」小櫻ちゃんが頭を傾げた。「あなたたちさっきは何の意味?」
薇があの護甲垫を小櫻ちゃんの手の上に置き、動作がとても軽かった。「何でもないの。いい子、まずこの一件を着てね~ 私たち後で次の店を選びに行くわ。」彼女の指が受け渡しの時に無意識に半秒余計に留まり、小櫻ちゃんの掌心の温かさを感じていた。
---
試着室の外で、店主がカウンターの後ろから静かに半分の顔を覗かせた。まず団長を一目見、それからあの厚いビロードのカーテンを一目見、それから頭を下げ、自分の胸の前で小さな、非常に速い十字を切った。喉が軽く一回転がった。
薇が腰を曲げた姿勢が外から見ると完璧に非の打ち所がなかった。左手がとても自然に小櫻ちゃんの護甲垫がまだ締められていない肩紐の上に掛けられ、指先があの截の皮の紐の上で軽く一回扣え、また緩めた。まるでついでに緩みを調整してあげているかのようだった。口角のあの抹の笑意は準備されたものだった。小櫻ちゃんの赤面、固まり、または少なくとも口が一回開いてどう受け答えしていいかわからないあの反応を受け止める準備ができていた。腰側の布地が腰を曲げる動作のためにわずかに張りつめていた。
「さっきの団長の咳はあなたに向けたのよ、」彼女が唇を小櫻ちゃんの耳の傍らへ寄せ、尾音を低く低く抑えた。息が熱く小櫻ちゃんの耳輪を擦った。「八千代に向けたんじゃないわよ~」熱気が小櫻ちゃんの耳輪をわずかに一回赤くした。
小櫻ちゃんが二回瞬きした。
薇の笑意の弧が極めて小さな格子だけ間を置いた。おそらく小さく、彼女自身だけが感じられるほどだった。しかし彼女は確かに感じていた。あの予想の中で満たされるはずだったあの格子が突然空になった。まるでついでに押したスイッチが点かなかったかのようだった。指先が肩紐の上で無意識に軽く一回収まった。
「え?」小櫻ちゃんが頭を回し、声が少しも低く抑えられていなかった。明るく、綺麗に、試着室のあの小さい一塊のビロードの布に囲まれた空間の中で響いた。「じゃあ団長さっき私を見てたの?」
「そういう意味なのかしら、」彼女が頭を傾げながら、もう片方の腕を護甲垫の袖孔の中に通した。動作が流れるように滑らかで、まるでパジャマを着るかのようだった。「彼は全部見たわよ? 私がさっき詰まっていた様子を?」
「……小櫻ちゃん~」薇の尾音がわずかに半拍緩んだ。あの「小櫻ちゃん」が普段より少し長く引き伸ばされた。彼女がリズムを再校正しているのだった。指先が護甲垫の上で無意識に摩っていた。
「待って、」小櫻ちゃんはすでに頭を下げて最初の環を扣えていた。指が着替えと変わらないほど手際よく、扣え終わって顔を上げ、目は本当に一つの宿題を解いているかのようだった。「じゃあ団長はソフィアと同じく私を人に見せない方がいいと思ってるの? それとも八千代と同じくすごく赤くて綺麗だと思ってるの? それとも」
ビロードのカーテンが刷っと一本の褐色の手によって外から全体が引き開かれた。ソフィアのもう片方の手がすでに小櫻ちゃんの肩の上に置かれ、力強く一回回して彼女の全身を百八十度出口の方へ向かせた。動作の中で彼女の掌心が小櫻ちゃんの肩頭の熱度を感じていた。
「黙りなさい。出なさい。今。」ソフィアの声に少し急があった。顔の頰はまだ赤かった。
「え? まだ扣えてないよ」
「行きなさい!」
「あら」八千代が側から声を上げて笑った。髪の先のピンクの紫がまだ完全に退いていなかったが、すでに飽和してはいなかった。彼女が身を横へずらして道を開けた。「さあ、扣え方は後で歩きながら直せばいいわ」彼女の視線が小櫻ちゃんがまだ扣えていない環の上を軽く掃いた。
薇がその場に立ち、二本の手の中の空いている一本がとてもゆっくりと自分の髪の先を撫でた。あの動作は普段彼女が次のステップを考えている時にするものだったが、今日の弧が普段よりさらに遅く、さらに軽かった。笑意はすでに口角に掛け直されていた。しかし彼女が小櫻ちゃんの背影を見送るあの目の中に、一種の極めて微妙で、極めて見慣れない疲労があった。まるで一本の柔らかいビロードの石に正面から鼻先に打たれたかのようだった。痛くはないが、あなたはさっきのあの一下が確かに打たれたことを知っている。胸のあの層の布地がわずかに引き締まった。
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外で、団長はすでに店主が静かに差し出してきたあの杯の熱い茶を口元へ掲げていた。杯の縁の熱気がちょうど下唇に触れた時だった。
「団長!」小櫻ちゃんの声がまず突っ込んできた。全身がそれについて試着室の中から飛び出してきた。新しい護甲垫が半分着けられ、二つの環が一つ扣えられ一つ扣えられず、肩紐が片側緩く腕の曲がりに掛かっていた。彼の外套がまだ彼女のもう片方の腕に掛かっていた。彼女が一眼で椅子に座っている彼を見、目がいきなり輝いた。護甲の下の布地が動作のために胸口をわずかに摩擦した。「あなたさっき私が詰まっていたのを見たの?」
茶杯が半空で止まった。
店主がカウンターの後ろで頭を下げ、極めて集中した、まるであの行の小文字を暗記しなければならないような姿勢で自分の帳簿を見つめていた。喉が無意識に転がった。
「薇姉さんが言ってたの。」小櫻ちゃんがまた一句補った。自信たっぷりだった。
薇が最後に出てきた。笑みがとても薄く、腰側の布地にはまださっき試着室の中にいた時の悶熱の感触が帯びていた。
団長があの杯の茶を軽く椅子傍らの小さなテーブルの上に置いた。杯の底が木の面に触れたその音がとても小さくとても明瞭な「こん」だった。彼の口角が一回浮いた。とても低くとても淡い、しかし弧が確かに存在した笑みで、口角から目底へ半路歩いて止まった。しかし歩いて来た痕跡がそこに残っていた。
「見たよ。」
声が大きくなかった。
小櫻ちゃんの目がより丸く見開かれた。薇が外套のポケットに挿していたあの片の手が止まり、指先がポケットの中で軽く引き締まった。
薇がその場に立ち、脳の中でさっき小櫻ちゃんの一句に貫かれたあの計算がまだ再編成されていた。彼女は「よし、次のステップは会計で焦点を移す」と考えていたが、団長のあの句が直接彼女のさっきのあの耳語の糸を小櫻ちゃんの肩から摘み下ろし、彼自身の口元に貼りつけた。
「わあ」小櫻ちゃんが全体で輝き上がった。護甲垫の上の三つ目のまだ扣えられていない環が彼女のあの深呼吸と共にまた半寸下へ滑り、布地が引っ張られて胸口にぴったりと貼りついた。「じゃあすごく醜かったの!?」
「いや。」
「じゃあ」
「Dios」ソフィアが後ろから一本で小櫻ちゃんの腕に掛かっていた外套を掴み上げ、彼女の肩に再び蓋をし、ついでに彼女を前へ半歩押した。整張の褐色の顔が一路耳の先まで赤くなった。「もう聞くな 早く行きなさい!」彼女の指が押した瞬間、小櫻ちゃんの肩頭の熱度を感じていた。
---
団長が茶を飲み干して立ち上がり、カウンターの方へ歩いた。薇の側を通り過ぎた時、彼女を見なかった。
薇がポケットの中から会員証を取り出した。会員証の縁が指の関節に摘まれて一回皺になり、皺の痕がわずかに白く、指先にはまださっきの悶熱が残っていた。
店主が金を受け取り、レジが「ちん」と一回鳴り、薄い白いレシートを一枚吐き出した。
団長があのレシートを手に持ち、見ず、振り返り、ソフィアに肩を押さえられている小櫻ちゃんを通り過ぎ、 still 薇の側で笑っている八千代を通り過ぎ、薇の面前で二歩止まり、レシートを差し出した。
「あなたが持ちなさい。」
薇があの白い紙を半秒見てから、手を伸ばして受け取った。
「会長 これは」薇がようやく笑った。試着室のあの全場の芝居の中の薄い笑みではなく、今回は笑意が下へ一層沈んだ。本当に笑ったのだった。尾音がとても低く抑えられていた。「会計を私に任せるの?」
「あなたは会員証を持っている。」
「うん~」薇がレシートを彼の指の間から全体で引き抜き、二つに折り、もう一度折り、自分の財布のあの会員証の傍らの挟み層の中に押し込んだ。指が押し込む時に軽く、ほとんど見えないほどに一回留まった。指先が挟み層の中で一点の余温を感じていた。
「……これからね。」彼女が目を上げた。「これからもあなたは全部私に任せるの?」
団長は答えず、振り返って入口の方へ歩いた。
薇が彼の背影を見つめて半秒立ち、それから笑意があの薄い層を再び満たし、下のあの本当に充実した、狐のような笑意が目尻から上へ広がった。胸のあの層の布地が深呼吸のためにわずかに膨らんだ。
「八千代」彼女が頭を回し、側にいる人に向かって瞬きした。「会計は私が任されるわね。」
「でも人はまだ任されてないわよ~」八千代が頭を傾けて笑い、耳尖がわずかに震えた。
薇の口角の弧が一回動き、受けなかった。
「人よ」ソフィアが半推し半引きずりで小櫻ちゃんを店の入口へ連れて行き、「この子は外のあの光るものを見に行くのよ、誰か受け取って」
「私私私」小櫻ちゃんが手を挙げた。「私一人で大丈夫」
「ダメ!」
八千代と薇が肩を並べて防具店から出た。正午を過ぎた陽光が商業街の角度から斜めに射し込み、ちょうど八千代のピンクの紫の髪の先と薇のベージュの外套の袖口の上に落ちた。二つの色が同じ一筋の光に同じ温度に鍍金された。二人はもう話さなかったが、歩くリズムが完全に一致し、布地が歩く中で大腿を軽く摩擦した。
団長が前に歩いていた。
小櫻ちゃんがソフィアに押されながら彼らの間を歩き、護甲垫の肩紐が肩の上でわずかに揺れていた。
小櫻ちゃんがソフィアの腕の下から飛び出たその秒が、さっきのどの時よりも速かった。護甲垫の上の三つ目のまだ扣えられていない環が陽光の中で一瞬一瞬光った。彼女が斜めに商業街の中間の通路を横切り、向かいの星辰の道具店の方へ飛んで走った。動作の中で布地が胸口にぴったりと貼りついていた。
ソフィア:「小櫻ちゃん!」
小櫻ちゃん:「ちょっと見るだけ!」
ガラスの扉が全体で押し開かれ、彼女が二秒で後ろのあのガラスの棚を捕捉した。棚の上に拳大の照明石が置かれ、木製の台座の上に、非常に遅い頻度で白い光を点滅させ、一明一暗でまるで呼吸をしているかのようだった。
店員:「それは展示品です」
小櫻ちゃんはすでにそれを手に取っていた。
小櫻ちゃんが何度も何度も見て:「わあ 軽い! ええ 光はどこから」
ソフィアが店の入口に突進してきた時、全身がまだ息を荒げていた。「小櫻ちゃん! それを置きなさい!」
小櫻ちゃんが照明石を半寸放し、また受け取った。それが空気の中にある時に光が明るくなるのに気づいた。「私はただ見てるだけ! おお!」
ソフィア:「投げないで!」
小櫻ちゃん:「私はそれを見てるの」
ソフィアが前へ突き出し、小櫻ちゃんがもう片側へ閃いた。閃き方があまりに急で、照明石が彼女の指先から滑り出し、まっすぐに店の中央の通路の空へ飛んで行った。店全体の人が一緒に頭を上げた。
ソフィア:「いや!」
団長が約三歩の距離で手を伸ばした。突進して行ったのでもなく、加速したのでもなく、あの種の的確に見極めて歩いて行き手を伸ばすものだった。指先がわずかに開き、ちょうど照明石が落ちる軌跡の上に。「ぽん」と一発、石が軽く彼の掌心に落ちた。あの石が彼の手の中で一瞬白く輝いた。まるで新しい主人の反応を受けたかのようで、店全体の光度が上へ一段引き上げられた。店全体が沈黙した。小櫻ちゃんとソフィアが通路の中間で、二匹の固定された小動物のように同時に彼を見た。団長が歩いて行き、照明石を台座の上に戻した。明るさが一瞬で展示レベルに戻った。店員が口を開けていた。
ソフィアがまず生き返り、一本で小櫻ちゃんの手首を掴んで店の入口の方へ引きずった。「……もういいわ、行きなさい! 次の店!」
小櫻ちゃん:「でもあれまだ光ってるよ」
ソフィア:「行きなさい!」
薇が店の入口の外でしばらく立ってから入ってきた。彼女はさっき八千代に止められて話していた。今は団長が照明石を戻す背影を見つめ、笑意がまた一段深くなり、指先が袖の中で無意識に軽く摩っていた。
八千代が薇の後ろから入ってきて、薇の耳の傍らへ行った。「先輩 彼の手は本当に的確ね。」
薇が団長を見ていた。「うん。昔はきっとたくさん物を取っていたわね。」
八千代:「でもボールじゃないわよ~」
薇が頭を回して八千代を一目見た。八千代が笑い、耳尖がわずかに震えた。
小櫻ちゃんが半分店の出口へ引きずり出された時に頭を回して大声で叫んだ。「団長! あなたの手本当に強いよ! じゃあ次は私投げてもいい?」
団長:「……だめだ。」
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ソフィアの手がまだ小櫻ちゃんの手首に扣えられ、ようやく彼女を道具店の出口へ引きずり出した。ちょうど一息吐ろうとした時、小櫻ちゃんのもう片方の手がすでに指し出していた。動作の中で彼女の護甲の肩紐がまたわずかに滑動した。
小櫻ちゃん:「あの店の入口のあれは何?」
ソフィアが頭を上げ、視線が商業街の午後の斜照の陽光を横切り、彼らの左前方約五十歩の外のあの店の入口で一瞬固まった。あの店ははっきりした看板を掛けていなかった。ただ一枚の小さな濃い紫の木の札に「成人商行・ようこそ光臨」と書かれていた。入口に一台の展示台が置かれ、展示台の上のあの造型は某かの細長い形の物がうねる弧を描いて立っており、先端がやや太く、表面にいくつかの規則的な紋様があった。ソフィアがまだあの造型が一体何かを認識している時、小櫻ちゃんはすでに彼女を放してあの方向へ歩いて行き、視線があの展示品に長く留まって離れようとしなかった。
ソフィアが二歩追いかけた。「待って」
小櫻ちゃん:「あの形すごく変! 某种の杖じゃない? ここを握るのかしら? え、でもあの紋様は」
ソフィアが矢のように一歩突進し、後ろから彼女の口を覆い、全身で抱えて側へ引きずり、腕が死ぬほど彼女の肩に回り、彼女が指し続けるのを許さなかった。「黙りなさい! あれは見てはいけないの! 聞いてはいけないの!」彼女の腕が小櫻ちゃんの肩の上で引き締まり、小櫻ちゃんの胸口の上下が布越しに伝わってくるのを感じていた。
小櫻ちゃんの声が掌に覆われて悶えていた。「どうして! ただの展示品じゃない」
ソフィア:「ダメ!」
八千代が歩いて来た時、ちょうどソフィアが小櫻ちゃんの口を死ぬほど覆って成人用品店の入口の傍らを突進して来るのを見、足を止めてあの展示台を一目見た。
八千代:「あら 本当ね あの造型は」
ソフィアの声が小櫻ちゃんの口の上の指の隙間から半音階跳ね上がった。「八千代さん! それを描写しないで!」
八千代が手を振った。「ごめん~ 私は描写してないわ、私はただ」
薇が八千代の後ろを半歩歩き、顔に全く表情がなかった。この全く表情がないこと自体が表情だった。斜め前方の団長の背影をまっすぐに見つめ、口角も動かず、眉も動かず、しかし右肩が非常に規則的に震えていた。まるで呼吸型の震えだった。団長が前に一番遠い位置を歩き、すでにあの店から二十歩外にいた。商業街全体の人流が自然にあの店の入口から分流し、彼の位置がちょうど分流線の外側に、最初からそこにあった。
小櫻ちゃんがソフィアの腕の中で掙扎しながらまだ聞きたがっていた。「でもあの紋様は」
ソフィア:「止まりなさい!」
小櫻ちゃん:「わかった」
ソフィアが小櫻ちゃんを抱えて成人商行の入口を通り過ぎ、顔が紅く褐色の肌まで透けて見えるほどで、目は死ぬほど真正面を見つめ、側へ一公分も見ようとしなかった。八千代が笑ってすでに壁に寄りかからなければ歩けないほどだった。薇の右肩がまだ震えていた。団長が前に歩き続けた。
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薇が目を拭う指がまだ半空にあった時、八千代がすでに貼りついて来ていた。珠光白の耳の側面が薇の鬢の角に貼りつき、声がさっきの笑いよりさらに軽く、まるで貼紙が面を滑り過ぎるかのようだった。
八千代:「先輩 さっきのあそこに一件は私たち精霊族の贈り物の文化の中で使われる、若い世代の間の贈り物よ。交換がとても流行ってるの 違う材質、違う形、聞いたところでは附魔もされるらしいわ」
薇が彼女を遮り、声が喉の下から絞り出された。まるでさっきの笑いをまだ全部注ぎきれていないかのようだった。「八千代。」
八千代:「ん?」
薇:「……あなたはわざとね。」
八千代が一回瞬きし、ピンクの紫の耳尖が上へ一回動いた。「どこがわざとなの~ 先輩さっきあんなに楽しそうに笑ってたから、私はただ話題に沿って話しただけよ。」
薇:「これが話題に沿うってこと?」
八千代:「じゃあ何て言うの?」
薇が深く一回息を吸った。さっきのどの時よりも深く。そして表情を再び敷き直した。今回は前回のどの時よりもゆっくりと、まるで顔のすべての寸の上で一点一点押し直しているかのようで、すべての漏れ点が塞がれるまで。彼女が頭を回して前方三十歩外に立っている団長を見つめた。彼は本当に止まっていた。側身で商業街の陽光の中に立ち、振り返らず、しかし歩き続けもしなかった。背影の肩の線が陽光の下でわずかに熱を持っていた。
薇が標準の尾音に波を帯びた狐の笑みを使って、前方へ声を少し上げて言った。「会長」
団長は振り返らなかった。
薇:「次の店よ 私 日用品店が前にあるのを知ってるわ、私たちまだ買い揃えてないのよ~ 子供のバスローブだの、清潔用品だの、日常の補給品だの こういうのは私が詳しいわ~」
小櫻ちゃん:「あなたさっき精霊族って 精霊族の何て?」
八千代が小櫻ちゃんの頭を軽く触った。「何でもないわよ~ 私と薇先輩の内緒話。」
小櫻ちゃん:「え?」
ソフィアが小櫻ちゃんの頭を回した。「行きなさい 行きなさい。聞かないで。」
商業街全体の陽光が五人の身上にそれぞれ異なる長さの影を引き出した。団長のものが一番長く、薇のがぴったり続き、八千代のが最も斜めに引き伸ばされ、ソフィアと小櫻ちゃんのが結びついていた。彼らは日用品店の方へ歩いて行った。
小櫻ちゃんがソフィアの腕が緩んだあの半秒の隙間から飛び出した。ソフィアがちょうど振り返って八千代が一体どうしたのかを見ようとしていた時、小櫻ちゃんの足音が一気に前方のあの家 の日用品店の方へ飛んで行った。護甲の肩紐が走る中で軽く揺れていた。
「Dios また来る!」ソフィアのスペイン語がまた漏れ出し、手がまだ空気の中で空を掴んでいた。
あの店の入口にはガラスの展示台がなく、一本の直接通りから中へ通じる貨架の通路だった。一整列の自動で温まるやかんが白い蒸気を吐き出しており、隣の棚の上に各種の清潔魔石がビロードの垫の上でわずかに震え、さらに奥に一積みの自動で柔らかさを調整するバスタオルが、それぞれの縁に細い金線で「魔力フィードバック付き・使用者体温を記憶可能」と刺繍されていた。一番奥のあの自動冷凍保鮮箱の銀色の箱の蓋に薄い霜が一層結んでいた。
小櫻ちゃんが手を伸ばして一粒の清潔魔石を掴んだ。そのものが彼女の掌心で即座に震動し始めた。彼女の手が一回震えると魔石が指の隙間から滑り落ち、傍らに眼鏡をかけた若い女性店員が片手で下からしっかりと受け止めた。動作が熟練で、まるで毎日受け止めているかのようだった。
「あ え、すみません」
「大丈夫よ。」店員が魔石を棚に戻し、笑みがとても穏やかだった。「新しいお客さん? 魔力日用品の使い方を紹介しましょうか?」
「して!」
ソフィアが息を荒げて店の入口に追いついた時、小櫻ちゃんはすでに店員についてやかんのある列へ行っていた。彼女が全身で門枠に寄りかかり、肺にその息をゆっくりと戻させ、掌心にはまださっき小櫻ちゃんを掴んだ時の熱意が残っていた。
「……私はこれから絶対に一本の縄を発明するわ。」
薇が彼女の背後からゆっくりと追いついて来た。狐の笑みが再び掛け直され、元よりさらに一段深かった。彼女が手を上げてソフィアの肩を軽く二回叩き、手触りが同僚を慰めるかのようだった。「お疲れ様」指先が叩いた瞬間、ソフィアの肩頭の熱度を感じていた。
「黙りなさい。」ソフィアの声に少し悶えがあり、肩がわずかに縮んだ。
「うん。」薇は足を止めず、店の中へ歩き、声が浮かび戻ってきた。「八千代~ 日用品 あなたに何かおすすめはある?~」
八千代が店の入口の外から漂って入り、肩のあの縷の髪がすでに白銀の底へ戻っていた。笑意が口角にしっかりと置かれていた。彼女が足取りについてバスタオルの区画へ歩き、指先が自然に一番端のあの条の上に落ちた。布地の柔らかい感触が彼女の指腹をわずかに一回沈ませた。
「うん~ バスタオルのあの列の品質は実は魔力の縫い目を見るのよ、この店の縫い方がいいわね~」
薇が彼女を一目見た。何も言わず、八千代も彼女を一目見た。同様に何も言わなかった。二人が肩を並べてバスタオルの棚の前に立ち、まるでさっき成人店の入口であの段の伏線の対話が一度も起こらなかったかのようだった。指先がバスタオルの縁で軽く摩る時に細かな摩擦を帯び上げた。
団長が店の外で中を一目見た。小櫻ちゃんがやかん区画に、ソフィアが門枠に寄りかかり、薇と八千代がバスタオル区画に。それから足を上げて入り、店の中央のあの清潔魔石の棚の前に止まり、手を伸ばしてさっき小櫻ちゃんの手に持っていた時に震えて落ちたあの粒を拾った。魔石が彼の掌心で穏やかに一回転がってから止まった。彼はそれを元の位置に戻し、指先と魔石が触れ合った瞬間、一点の魔力の軽い震動を感じていた。
店員がちょうど頭を回して彼を見、目が一人のとても馴染みのある常連客を見るかのようだった。「会長 久しぶりですね。」
四人の女の子、やかんの方の小櫻ちゃんを含めて、同時に頭を回した。視線が約束したように団長の身上に落ちた。
薇の足がすでに半歩踏み出しており、方向は店員で、言葉も口の中で準備できていた。「お尋ねします 会長 前回」
団長が彼女より一瞬早く口を開いた。彼は薇を見なかった。
「私に一条 小さいサイズのバスタオルを。」
薇の足が半歩踏み出したあの位置で止まった。彼女が側顔で団長を一目見た。団長の下顎の線が一点も動かなかった。彼女がその半歩を収め、勢いに乗ってバスタオル区画の方へ回る動作に変えた。自然で、まるで彼女が最初から最後まであの側へ行くつもりだったかのようだった。胸口がわずかに一回悶えた。
「うん~ バスタオルね、私も見てみましょうか」
店員の顔の笑みが依然として親切で、むしろさらに親切になっていた。一回頷いた。「はい、こちらへ 体温記憶タイプの小さいサイズは一番左です。色は白、米色、浅い灰色の三種類があります。」
「白い。」団長が言った。
「はい。」
薇がバスタオル区画へ歩いた時、八千代がちょうど彼女の側にいた。指先がまだあの米色のバスタオルの縁の上に置かれ、尾音が極めて軽く浮かび出た。
「先輩 遮られちゃいましたね?」
「うん。」
「彼は明らかにあなたに聞かせたくないのよ。」
「うん。」
「じゃあますます聞く価値があるわね~」
小櫻ちゃんがやかんの方から走って来、手を伸ばして団長の外套の下擺を軽く引いた。あの外套がまだ彼女自身の腕に掛かっていた。頭を傾けて彼を見た。
「団長 あなた小さいサイズをどうするの? あなたは」彼女が頭を下げて真剣に自分の身長を一目見、また頭を上げて団長の身長を見た。「大きいサイズじゃないの?」
ソフィアが門枠の方で直接背中を向けた。額が「こん」と門枠に当たった。店員がバスタオルを包みながら一回咳をした。薇が口角を三度目で収めた。団長が金をカウンターの上に置き、小櫻ちゃんの質問に答えず、店員から渡された紙袋の中からバスタオルを受け取り、振り返って入口の方へ歩き、指先が紙袋の取っ手の上で軽く引き締まった。
「団長! それは誰にあげるの」小櫻ちゃんが後ろで叫んだ。
「小櫻ちゃん~」薇が後ろから手を伸ばして小櫻ちゃんの肩を軽く押さえ、「いくつかの質問は取っておくのよ~」彼女の指先が小櫻ちゃんの肩の上で半秒余計に留まり、護甲の下の熱度を感じていた。
「どうして!」
「なぜなら聞き出したら価値がなくなるからよ。」
小櫻ちゃんが頭を傾げた。八千代が彼女の側を通り過ぎた時、ついでに彼女の髪を一回触った。「先輩の言う通りね 取っておいてゆっくり聞きなさい。」
ソフィアが額を門枠から持ち上げ、顔の半分が赤く印されていた。「……行きます。みんな行きます。」
薇はついて行かなかった。彼女が財布を開き、中から一枚の銀縁の会員証を取り出した。防具店で会計した時と同じ一つのギルド共通のものだった。カウンターの上に置き、店員に向かって笑った。
「私も二条 白と米色を各一条、面倒だけど。」
それから彼女が頭を回して八千代の方へ行き、声が自然で、まるで一人の友達に小さな用事を頼むかのようだった。
「八千代さん~ あの米色ののを取ってくれない?~ 一番端のあの件。」
八千代の手が元々すでにその条の上にあった。彼女は話さず、まず薇を一目見た。目の中に極めて短い疑問符があった。それからバスタオルを棚から取り下ろして渡した。薇が受け取った時、指先が彼女の指先に触れ、半秒、温度が境界でわずかに一回熱くなった。
「ありがとう~ この条はあなたにあげるのよ~」
「先輩?」八千代が極めて短い一瞬固まり、耳尖がわずかに一回震えた。
「私たちの学院に来て見学するの、バスタオルがないと不便でしょう。」薇が笑みが特別に標準的だった。「あなたに一条 体温記憶タイプをあげるわ、縫い目がいいわね。」
八千代が頭を下げてあの米色のバスタオルが自分の手に押し込まれたのを見つめ、ピンクの紫の耳尖が今回は飽和して浮かび上がったのではなく、わずかに一回震えた。まるで何かに掻かれたかのようだった。
「……あら」彼女が笑い、声が軽かった。「先輩 遮られてたんじゃなかったの?」
「うん。」薇が会員証を財布に戻した。「でも私は急がないわ。」
八千代が頭を下げてバスタオルを胸の前に抱え、尾音がこれまでになく柔らかかった。「うん。本当にありがとう~」
「合計三件のバスタオル、こちらへ」店員がレシートを渡してきた。
入口でソフィアが自分の身体で小櫻ちゃんをブロックし、彼女が再び店の中へ突進するのを許さなかった。「買えた? 早く!」
「私はただ店員にやかんを聞きたいだけ!」小櫻ちゃんが彼女の腕の下から潜り出た。
「ダメ!」
薇と八千代が互いに一目見、同時 に軽く笑った。視線が互いの唇の角に軽く一触。
「行きましょ~」
「うん~」
二人が一前一後で入口の方へ歩いた。午後の陽光が店の口から斜めに射し込み、ちょうど彼らの肩を並べたあの輪郭の上に落ちた。八千代の手の中に薇が贈ったあの米色のバスタオルを抱えていた。薇の財布がまだ手に握られ、会員証のあの角が財布の縫い目の中から一寸の金縁を露わにしていた。
団長はとっくに店の入口の外で三歩、彼らが出てくるのを待っていた。彼が薇を一目見、また八千代を一目見、それから振り返り、家の方角へ一歩踏み出した。小櫻ちゃんがソフィアに半推し半引きずりで彼の後ろを歩いた。
五人の影が今回は結ばれていなかった。三前二後、間隔が均等で、歩くリズムがさっき商業街のあの頭から歩いて来た時より一度遅かった。商業街の陽光はすでに午後へ斜めに下がり始めていた。
ソフィアの右の肘がすでに酸くなり始め、左手が依然として小櫻ちゃんの手首を死ぬほど扣え、右手でその二つの買い物袋を提げ、取っ手が彼女の掌心の肉に締め付けて一条の深紅の痕を締め付けていた。商業街の中段まで歩いた時、あの痕が熱を持ち始めた。彼女は言わず、ただ重みを一本の指からもう一本の指へ移し、痛みを交互に場に入れた。掌の熱意が取っ手の下の皮膚をわずかに赤くしていた。
薇の手が側辺から伸ばされて来た時、ソフィアの第一反応は縮むことだった。しかし縮めなかった。なぜなら彼女のもう片方の手が小櫻ちゃんに扣えられていたからだった。薇の指先がまず一つの袋の取っ手に引っ掛け、力は穏やかだが堅く、ソフィアが答えるのを待たずに袋を彼女の掌心の中から半分引き抜いた。指腹が取っ手越しにソフィアの掌心の熱意を感じていた。
「少し私に持たせて。」
「いらない。」
「うん、私はあなたがいらないって知ってるわ。」薇が笑って袋を受け取り、取っ手を全体で自分の腕の曲がりに掛けた。「でも私は持つの。」彼女の腕の曲がりが袋の重みでわずかに引き締まり、布地が皮膚に貼りついた。
ソフィアが頭を別に向け、薇を見なかった。掌のあの深紅の痕が袖口から半截露わになり、熱意がまだ隠れて跳ねていた。
「……Whatever。」
八千代が薇のもう片側へ歩き、ソフィアが薇のもう片側に、小櫻ちゃんが彼女に扣えられていた。四人が一時的に一列に押し込まれ、商業街の一段の広い道の上で歩いた。団長が前を五歩歩き、振り返らなかった。
「え 薇姉さん」小櫻ちゃんが扣えられながら頭を傾けて薇の腕の上の袋を見た。「それは私の護甲垫でしょ? 注意してぶつけないで」
「わかってるわよ。」
「それに」小櫻ちゃんが首を伸ばした。「ソフィア あなたさっきの手」
ソフィアが袖口を下へ引き下げてあの赤い痕を覆った。「何でもないわ。」
「痛いの?」
「……痛くない。」
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団長が分かれ道の角で足を止め、彼女たち四人が彼の前方約二歩のところまで歩いて来た時、彼が手を伸ばした。彼の手が午後の陽光の金色の線を横切り、薇の腕の曲がりのあの袋の取っ手の上へ行った。
「私が持つ。」
「……うん。」
薇がその場に立ち、彼の背影をしばらく見た。
「え?」小櫻ちゃんが頭を傾げた。「どうして団長が薇姉さんだけ持つの、私のは持たないの?」
「なぜなら薇姉さんの方が綺麗だからよ。」八千代がもう片側から笑って言葉を受け、耳尖がわずかに震えた。
「え!」
「冗談よ~ 薇先輩の方が大変だからよ。」
「私も大変だよ ソフィアがずっと私の手を掴んでるんだから!」
「それはあなたが厄介だからよ。」
「だから私も大変なんだよ!」
「違うわ。」
薇が頭を回した時、顔の笑意はすでに回復していたが、一種変わっていた。狐の笑みではなく、より普段の、自分でもまだはっきりどう現れたのかわからない笑みだった。彼女が二歩で団長に追いつき、彼の側を半歩歩いた。彼女はもう話さず、団長ももう話さなかった。二人が肩を並べて歩き、薇の指が空気の中で軽く自分の腰側を触った。まるで自分の財布がまだそこにあるかを確認しているかのようで、指先が布地の温かさを感じていた。
八千代が後ろを歩きながら薇の背影を見つめ、ピンクの紫の耳尖がわずかに一回動いた。
「面白いわね~」彼女が小声で言った。
ソフィアが小櫻ちゃんを引きずって最後について行った。
「ソフィア あなたあの薇姉さんさっきを」
「見ないで。」
「でも」
「見ないで。」
ギルドの大きな扉がすでに商業街の端の角のところから輪郭を現していた。
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ギルドの扉はソフィアが足で蹴り開けた。小櫻ちゃんは角を曲がった時にすでに自分の護甲垫を薇の手から受け取って肩に担いでいた。しかしソフィアの手には自分の袋があり、一つ小櫻ちゃんが試着して残った持ち帰るべき付属品の袋があり、八千代がさっき一路抱えていたバスタオルがあった。八千代がついでに彼女に押し込んだ。「少し持ってくれない?~」ソフィアは拒まず、掌が取っ手に締め付けられて隠れた熱を持っていた。
扉が一開き、ギルド全体の静けさが顔に押し寄せて来た。午後の陽光がちょうどホールの高窓から斜めに射し込み、昨晩まだ長いテーブルの上に置かれていたあの任務公告と空のコップを少し色褪せたように照らしていた。
ソフィアが直接ホールの中央のあの長いテーブルの傍らへ歩き、すべての物を「わら」と一発で地面に積み上げた。バスタオルを含み、護甲垫を含み、自分のあの幾点を含んだ。彼女がテーブルの傍らの椅子に座り、全身を後ろへ寄りかからせ、深く一回息を吸い、肩がリラックスでわずかに一回沈んだ。
「……ふう。」
小櫻ちゃんが自分の護甲垫を肩から振り下ろした。振り下ろし方が少し力強く、垫が地面で一回弾んだ。彼女がしゃがみ込んで物を分類し始め、動作の中で護甲の硬い革が彼女の胸口を軽く摩擦した。
「これは私 これは私 これは」
それから団長のあの小さいサイズのバスタオルを見た。
「これは私のではない。」
ソフィアが目を開けず、椅子の背に寄りかかった姿勢がシャツをわずかに張らせていた。
「うん。」
八千代が最後に入ってきた。彼女が地面のあの積みの物の前に歩き、しゃがみ、指が薇が贈ったあの米色のバスタオルの上で一回留まり、それから拾い上げた。彼女はそれを地面のあの積みに戻さず、腕の中に抱えた。それから彼女が顔を仰向けにし、ソフィアを見た。
「明日訓練場へ行って新しい装備を試す?」
「いいわ。」
「よし!」小櫻ちゃんが一積みの付属品の中から頭を上げた。
薇が笑みを浮かべ、答えなかった。
「会長?」八千代が団長の背影の方を見た。
「午前九時。」団長は振り返らなかった。
「聞こえたわね~」八千代がとても軽く笑い、頭を回して小櫻ちゃんに向かった。
「聞こえた!」




