14 「ないほうがおいしい」
朝の光はまだ受付台の奥に掛かった鏡まで這い上がってこず、ただホールの中ほど の木の床に、寝不足の人間がベッドの縁に足を垂らしたかのように、だるそうに留まっていた。木目の一つ一つに、ねっとりとした暖かさが染み込んでいた。依頼掲示板がばさばさと煽られ、紙の端がめくれ、落ち、まためくれ、紙同士が擦れ合う乾いたざらざらした音が、まるで布地が肌を軽くこすったときに生まれる、あの微かな静電気の痺れのような響きを立てていた。
小櫻ちゃんは顔全体を木板に押しつけるようにしてそのポスターを覗き込み、鼻先が紙面から三センチしか離れていなかった。目を大きく丸くして、海報の「古精霊」という三文字を声に出して読んだとき、喉の奥で小さな弾みがあり、その弾みが鎖骨を伝って胸元へ滑り落ち、胸の布地が呼吸でわずかに張りつめた。
「古精霊!古精霊時代!残跡調査!」
読み終えて振り返ったとき、辮髪が空中に弧を描いて振り、ソフィアがちょうど階段を降りてきたところの手の甲を掃いた。ソフィアは無言で手をポケットに収めたが、指先はポケットの布地の中で、無意識にさっき掃かれた部分をこすっていた。小櫻ちゃんはそれに全く気づかず、その場でつま先立ちを二度した。つま先立ちをするたび、彼女の興奮が一段階ずつ高まり、短いスカートの裾が軽く揺れ、布地が脚の側面で細かな熱を擦り出していた。
「団長団長団長」
団長は低いソファに座ったまま動かず、カップを手に持っていた。茶の表面に光の紋様がゆっくり揺れ、彼の声は手よりもさらにゆっくりと落ちた。
「聞こえた。」
階段のほうで「どん」と音がして、ソフィアがようやく眠りから全身を引きずり出すようにホールへ降りてきた。髪が一面に乱れて片側からもう片側へ崩れ落ち、彼女は誰の顔も見ず、まず床を軽く蹴った。その蹴りで寝巻きの下襟が半寸ほど捲れ上がり、太ももの付け根の蜜色の褐色肌が一瞬露わになったが、すぐに布地に押し戻された。
「No no no、私は今週は山道を歩きたくない。」
彼女はもう一度蹴った。脚の線が布の下でよりはっきりと張った。
「『非戦闘任務は受けない』という札を首に下げておくべきなんじゃないかしら。」
カウンターの奥の影がようやくゆっくりと立ち上がった。薇がカウンターの後ろから立ち上がり、肘を台に預け、低めの胸元を前に傾けた。朝の光がどこかの角度から彼女の襟元の陰影に差し込み、布地が垂れ下がる弧が肋骨で支えられ、また胸で押し返され、光がその凹みの中にしばらく留まってから滑り落ち、淡い暖かな痕を残した。視線はソフィアが階段を降りたその一歩から、眠りから引きずり出されたばかりの、髪の乱れた線を足先まで滑り、ゆっくりと顔へ戻ってきた。その間、口角の弧は一ミリたりとも動かなかった。
「それは名札じゃなくて、死亡記事を掛けるものよ~」
「早安、ソフィア~」
ソフィアはまぶたを上げるのも面倒そうだったが、首だけは無意識に半センチほど横へ傾けた。
「早いもんか。」
「ずいぶん粗野ね」
薇は笑いながら、団長のカップにまだどれだけ残っているかを一瞥し、その視線が団長の指の上で半秒余分に留まった。
八千代が空いた廊下からふわふわと現れ、二杯の朝茶を運んできた。銀粉がグラデーションになった髪が朝の光の中で一瞬揺れ、髪先の深薔薇色の房は今日もまだ薄れていなかった。彼女は一杯を団長の肘のすぐそばのちょうどいい位置に置き、もう一杯をソフィアが手を伸ばせば届く卓の角に置いた。彼女の笑みは光よりも軽く、ロングローブの下襟が移動の最中に太ももに軽く貼りつき、布地の重みがその一歩をさらに緩やかにしていた。
彼女は依頼掲示板を回り込み、視線をポスターに一秒留めた。その一秒の間、瞳孔がわずかに縮んだ。まるで何かの古い記憶を呼び戻しているかのようだった。
「廃墟、D級ね。見てみましょう。あら、山の中、三時間歩くの。」
ソフィアの手はすでにその茶を受け取っていた。彼女はもう一度繰り返した。まるで誰かが自分の死刑判決を読み上げているのを聞いたかのように。カップを握る指が、茶碗の壁の上で無意識に一度こすった。
「三時間。」
小櫻ちゃんは歩く時間がどれだけかを全く聞いていなかった。彼女はもう一度つま先立ちをし、踵が床から離れたとき短いスカートの裾がわずかに持ち上がった。
「古書が見られるの。」
二度目のつま先立ちで、彼女の身体はより前に傾いた。
彼女は振り返って薇を見た。目が理不尽なほど輝き、顔全体の表情がポスターの文字よりも大きかった。辮髪の先端が自分の肩を軽く掃いた。
「薇姉、私の見間違いじゃないよね? これって、残跡の中の本は翻せるって書いてあるんでしょう?」
「翻せるわ。」
薇の語気が半拍遅れた。胸が呼吸と共に軽く上下した。
ソフィアはさっき受け取ったばかりの茶に顔を埋めた。茶の表面の熱気が、眠りから覚めたばかりの眉骨にぼんやりと貼りつき、彼女はスペイン語で誰にも聞き取れないような汚い言葉をぶつぶつと呟いた。首筋の細かい汗が、寝巻きの襟を肌にわずかに張りつかせた。八千代は笑いながら彼女の肩を軽く叩いた。その叩き方は、まるで毛並みを順でやさしく撫でるかのようで、指腹が肩の線に半秒留まってから引き戻された。そして彼女は振り返って自分の外套を取りに行き、髪先の薔薇色の房がまたその回転の動作について揺れ、ロングローブの袖口が振り返ったときに腕の内側を軽く擦った。
団長はカップを置き、指が杯身を離れるときにまだ少し茶の余熱を帯びていた。「行く。」
小櫻ちゃんは「イェイ!」と飛び上がり、辮髪をもう一度振り、今度は自分の耳に当てた。耳たぶが掃かれてわずかに熱を持った。薇はカウンターの後ろから回り出て、装備袋を取りに行った。シャツの下襟が彼女の歩くリズムに合わせて揺れ、腰側の布地が動作で引きつめられ、尾音を誰よりも長く引いた。
「それじゃあ行きましょう~」
ソフィアは顔全体を雑巾のように皺めさせ、茶碗をまだ手に持ったまま、それでも立ち上がった。立ち上がった瞬間、寝巻きの下襟がまた少し下がり、ふくらはぎの線が露わになった。
ギルドの扉を押したとき、石畳の道の朝の光はまだ斜めで、向こうの路地からパン屋の引き戸が「から」と滑り開く音が聞こえ、焼きたてのパンの香りが魚屋が石畳に水をぶちまける塩気の湿った空気と一緒に流れ込んできた。通り全体がまるで蓋を捻り開けられたばかりの漬物甕のように、熱気と湿気が同時に顔に吹きつけ、空気の中にねっとりした甘じょっぱい匂いが混じった。
小櫻ちゃんは半分空のバックパックを提げて先へ飛び出し、バックパックのファスナーが最後まで閉まっていなかった。途中で「ぱた」とノート一冊、リンゴ二個、クレヨン一箱が落ちた。リンゴが石畳の上で二回転がってソフィアのブーツの先で止まり、転がる間に巻き上げた細かい埃がブーツの表面に付いた。
「あ、この後で」小櫻ちゃんは腰を曲げ、辮髪の先が地面の埃を掃いた。腰を曲げる動作で上着の前襟がわずかに前に傾いた。
ソフィアはしゃがまず、ブーツの先でリンゴを正確に蹴り返した。その角度はリンゴがちょうど小櫻ちゃんの手の届く位置に転がるように計算されていた。薇が隣で先に笑い声を上げ、笑うときに肩が軽く揺れ、シャツの襟口がわずかに震えた。「あなたは調査に行くつもりなの? それともピクニック?」
「空腹だと読めないもん。」
「どこに研究家がリンゴなんか持っていくのよ。」
「あなたが食べたいだけでしょう。」
「そう。」
ソフィアは面倒くさそうに首を振り、自分のブーツの紐を直しに行った。紐を直す動作で指がブーツの表面に半秒余分に留まり、褐色の肌が革の縁で特に鮮やかに浮かび上がった。
八千代が最後にふわふわと出てきて、手に保温ボトルをもう一つ持っていた。銀粉グラデーションの髪先が門枠の辺で一瞬揺れ、自然に団長の隣、半歩後ろの位置へ歩み寄った。まるでその空気が元々彼女のものだったかのように。「お茶は二人分あるわ、私が持ってあげる。」ローブの袖が近づいたときに団長の腕の外側に軽く触れた。
薇は笑いながらその半歩の隙間を斜めに睨み、尾音を誰よりも長く引いた。「あら、本当に座る位置の選び方が上手ね~」視線が二人の間の空隙に一拍余分に留まった。
「どういう意味よ、薇?」八千代は振り返らず、声は柔らかかったが、肩の線が無意識に少し緩んだ。
「別に何の意味もないわ~」
団長はいつものように手を滑らせて、薇が投げてきた装備袋をしっかり受け止め、先頭に立って城門の方へ歩き出した。手が袋の紐を握ったとき、指がわずかに力を込めた。
小櫻ちゃんは道中ずっと物を落とし、拾い、リンゴ、ノート、クレヨンを交互に落とした。ソフィアは三度目のリンゴ落下を見てようやく手を伸ばし、バックパックを奪い取った。「貸して。」
「え?」
ソフィアはファスナーを一気に最後まで引き、 中のクレヨンとパンとがごちゃ混ぜになっている内容を睨み、顔を三度使った雑巾のように皺めた。「こんな状態で山の下まで歩いたら、全部なくなってるわよ。」一息に吐き切り、胸がその息で上下した。「あなたは五歳なの。」
「……私の誕生日は春よ」
小櫻ちゃんは心底困惑した顔をした。薇は笑って息ができないほどに笑い、肩ごと隣のパン屋の木の壁に寄りかかり、一方の手でお腹を押さえ、笑うときに腰側の布地がより体に密着した。
ソフィアはクレヨン箱を開け、団長の装備袋の口へ手を素早く突っ込み、まるで盗むように中へ詰め込んだ。
「あらやだ、冒険隊が出動だね!」
路地の角で白髪混じりの髭のおじいさんが、歩くたびに前脚と後脚が同じ側に出るほど太った黄色い毛の犬を連れていた。犬のお腹は石畳に垂れ下がって薄い灰色の痕を引いていた。おじいさんは目を細めて一行を一通り見回し、最後にソフィアの、まだ団長の袋の中に突っ込まれたままの手の上で視線を止めた。目尻に、老いた男特有の含みのある弧が浮かんだ。「おや、夫婦づれかい?」
ソフィアの手は火傷したかのように引っ込め、クレヨンが「さらっ」と半箱石畳に散らばった。褐色の肌が首の付け根から耳先まで一気に赤くなり、その速度は朝の太陽よりも速く、赤みが鎖骨を伝って下へ広がった。「¡No no NO!」
小櫻ちゃんはすでにしゃがみ込んでクレヨンを拾いながら、非常に真面目な顔で顔を上げて答えた。「えー、私たち夫婦じゃないよ、私たちはギルドだよ。ギルドの証明書があるよ。」
「ああ、ギルドか。」おじいさんは頷いた。「それも家族みたいなもんだよな、一家だ。」
小櫻ちゃんは首を少し傾げ、本気でその言葉を一秒考え、頭がわずかに傾いたときに辮髪が頰を掃いた。「……そう言われればそうだね。」
ソフィアは彼女のその真摯に受け止める横顔を睨み、スペイン語で二度目の罵りを吐き、今度は音がさっきより半度高く、顔の赤はまだ完全に引いていなかった。薇はすでに壁から半分滑り落ちるほど笑い、笑うときに片方の手を腰に当てて支えていた。
八千代が前からゆっくり戻ってきて、おじいさんに芸妓のような軽やかなお辞儀をした。肩の線が一度収まってまた開き、八千年経っても磨り減らないあの古い余裕が現れた。「おはようございます。今日もお散歩ですか。」お辞儀のときにローブがわずかに前に傾き、首筋の後ろに細かい汗が一筋露わになった。
「おお、八千代先生か! 今日はどこへ行くんだい?」
「山の中の、あの古い学派の廃墟よ。」
おじいさんの顔の笑みが突然少し沈んだ。「おおお、あそこか。あそこに入るときは気をつけなさいよ。昔、隣の老兵たちが、あそこは――」彼は言葉を止めて考え込み、また手を振った。「いや、老人の昔話だ。お前たちは信じないだろう。とにかく、気をつけるんだよ。」
「ありがとうございます。」八千代の笑みは変わらず、上粉下青の瞳孔が光の中で一瞬揺れた。視線が団長の背中に軽く滑った。
おじいさんは手を振って去り、黄色い犬は尻を振りながらついて行った。尻を振った拍子に隣の家の門口の植木鉢を一つ斜めにずらし、土が少しこぼれた。
八千代がふわふわと近づき、ソフィアのバックパックのファスナーを素早く閉めた。指腹がファスナーを滑るのに温度が少し乗っていた。「さあさあ、城門を出る前にまた散らかさないでね。」
「散らかさない!」
「私は散らかすと思うわ。」薇が横から口を挟んだ。
「薇、cállate」
一行はがやがやと城門まで歩いた。衛兵は彼らを Recogn し、面倒くさそうに手を振って通した。石畳はここで土の道に変わり、足下が硬いものから柔らかいものへ、両側の低い壁の菜園がゆっくりと野原へ、後ろへ退いていき、やがて露に濡れた草の斜面が視界を「ぱっ」と開いた。遠くの山の輪郭が青灰色に幾重にも重なり、稜線に霧がまだ晴れず、まるで誰かが何枚もの水墨の紙を重ねて置いたように見えた。空気の中の湿気が服を少しずつ肌に張りつかせ始めた。
小櫻ちゃんは山辺の風を大きく吸い込み、振り返って皆を見た。辮髪が風の中で半円を描き、風が上着をより体に密着させた。「出発!」
ソフィアは足元にあった小さな石を一蹴りした。石が「どん」と城門脇の石段に当たって跳ね返り、また彼女自身の足元へ転がってきた。彼女はその石を睨み、二度目はもう蹴らなかった。ブーツが土の上で浅い跡を残した。
両側の低い壁の菜園はとうに退き、土の道は足の下でゆっくりと緩み、一歩ごとに浅い足跡を押しつけていた。前を行く誰かの足跡が、まだ風に埋められずに残っていた。山の輪郭が彼らの前で一格低くなり、霧の縁は太陽に半分食べられていた。露の匂いが草の斜面から浮かび上がり、遠くの松の香りと混じり、吸い込むと鼻腔がまず冷えて、その後胸の奥で少し暖かくなるのだった。
小櫻ちゃんは書包の肩紐を引いて三歩に一度跳ねながら隊列の最前列へ走り、走りながら振り返って顎を八千代の方へ大きく振りつけた。その振り幅は彼女自身の辮髪が口元まで飛んでくるほど大きく、彼女は気にも留めず、もう三つ目の質問を前の答えが終わるのを待たずに連発していた。走るたび短いスカートの裾が太ももを軽く叩いていた。
「八千代先生」
「いるわよ。」
「古精霊って、三対の耳があるの?」
薇が笑い声を上げた。その笑いは喉の奥からゆっくりと滑り出し、半道で彼女自身が尾音で囲い込んだ。笑うと胸がわずかに震えた。
八千代はいつもの姉のような姿勢で、半歩後ろから団長について歩き、銀粉グラデーションの髪先が山風の中で一瞬揺れた。「ないわよ。小櫻ちゃん、どこで見たの?」ローブが風に吹かれて腰の線に貼りついた。
「小雪の魔導の教科書の挿絵!」
「それは挿絵描きが勝手に描いたものよ。」
「嘘!」
「本当よ。」
小櫻ちゃんは足を止め、非常に真面目な顔で人差し指で自分の耳の位置を数え始めた。人差し指をまず右耳に当て、眉を寄せ、左耳へ回し、二度目を数えたところで自分に耳が一対しかないことに気づき、その場で固まって考え込んでしまった。後ろから追いついてきたソフィアに肩を押しのけられ、歩く軌道を乱された。手が小櫻ちゃんの肩に半秒余分に留まった。
「道を開けて。」
「え?」
「あなたが道の真ん中に立ってるのよ。」
小櫻ちゃんはすっと横へ飛び、すぐにまた八千代の隣へ駆け寄った。「あーじゃあ古精霊の髪の色が変わるのは本当?」
「本当よ。」
「誰の?」
八千代は淡く笑い、目尻のその一点の温度が髪先と一緒に風の中で揺れた。「私の。」
「見せて!」
「もう見てるでしょ。あなたは毎日見てるわ。」
小櫻ちゃんは全身を一瞬硬直させ、目を丸くした。一拍遅れてようやく反応した。「……あ、そっか!」
薇が後ろから「ぷっ」と噴き出した。ソフィアは中国語でとても適当な「天啊」を呟き、扁平になった尾音の中には、もう何度目かわからないこの天然な妹を理解するのを諦めた気配が混じっていたが、彼女は無意識に手をポケットの奥までさらに深く突っ込んでいた。
団長の歩調は安定して山の方角へ向かっていた。彼のブーツの底が泥道の緩い土の上でとても軽い「ぷっ」という音を立て、一歩ごとにその緩い土を足の甲の弧を描くように押しつけていた。数歩歩いたところで、彼は振り返ってまだ八千代の隣にくっついている小櫻ちゃんを一瞥し、何も言わず、歩き続けた。
泥道は足の下でゆっくりと急になり、足元にぽつぽつと灰白色の砕石が顔を出し始めた。縁はまだ踏み固められておらず、ブーツの底がその上を通ると「か」と軽く半センチ滑った。空気の温度が知らず知らずのうちに一度下がっていた。
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団長が突然振り返り、一方の手を小櫻ちゃんの書包の肩紐に掛け、彼女を八千代の隣から隊列の中央へ引き戻した。動作は重くなく、まるで道を塞ぐ草をさっと払うかのようで、指先が肩紐に軽く一回引っかかった。
「小櫻ちゃん。」
「ん?」
「あなたが拾ったあのリンゴを、一つちょうだい。」
団長は袖口でリンゴについた埃の層を軽く擦り、一口かじった。「か」と軽く脆い音がした。彼がリンゴを噛むリズムは、山道を歩く彼の歩調と同調していた。果汁が唇の端を伝って少し滑り落ち、また舌先で無意識に巻き戻された。
小櫻ちゃんは隣に立ち、興味の線が古精霊、耳、髪色、教科書の挿絵などから、全部「団長が私のもらったリンゴを食べている」ということに完全に移っていた。彼女は両手を背中に回し、顎をわずかに上げ、誇らしげな顔で、胸が興奮で軽く上下していた。
「甘い?」
「うん。」
「でしょ!」
ソフィアはこのやり取りの全過程を睨み、さっきのバックパック整理が一体何のためだったのかという表情を浮かべ、無意識に両手を外套のポケットの奥まで深く突っ込み、顎を襟口に挟んだ。襟口の布地が顎で押されてわずかに凹んだ。薇は笑って座り込みそうになり、水筒を手に持って振り、杯壁の中の水が彼女の肩の震えについて揺れた。笑うときに片方の手を腰側に当てて支えていた。
八千代が隣で静かに一言、半分は小櫻ちゃんに、もう半分は団長に向けたように言った。「可愛いわね。」声は柔らかく、視線が団長がリンゴを噛む唇の上を軽く滑った。
山道は続いた。隊列のリズムはその一つのリンゴで軽く逸らされたあと、再び歩き始めるときには小櫻ちゃんはもうさっき何を聞いていたかを完全に忘れていた。
道はさらに急になり、砕石がブーツの下で「からから」と触れ合い、低い灌木がズボンの裾を掃き、松葉の香りがより奥の林から漂い出て、鼻腔がまず微かな冷たい辛い香りを受け取った。薇は水筒を振りながらゆっくり歩き、ソフィアが後ろで時折道端の石を蹴っていた。
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「団長~」
薇は歩きながら手に持った水筒を振り、横を向いて、笑みを尾音からゆっくりと滲み出させた。「あのリンゴ、おいしかった?」歩くたびシャツの下襟が腰側を軽く叩いた。
団長が返した。「ないほうがおいしい。」
薇の足が半歩止まった。
その半歩の停止は、彼女が普段長く引く尾音よりもはっきりと目立ち、水筒も少し揺れた。杯の縁から一摘みの水滴が飛び出しそうになり、彼女の空いている手が反射的に受け止め、指腹に落ちて冷たくなった。彼女は面白そうに息を吐いたが、胸はわずかに縮んだ。
「……ふうん?」
「うん。」
「うんってどういう意味?」
「文字通りの意味。」
薇は笑い声を上げた。今度は本気で笑い、肩まで一度震わせた。その震えで水筒がまた揺れ、彼女の空いている手が無意識に自分の顔を触った。笑うときに下唇を歯で軽く半秒噛んだ。
小櫻ちゃんは足を止め、振り返って二人を非常に困惑した顔で見つめた。「団長、薇姉を食べるの?」目を丸くし、身体を前に傾けた。
八千代がゆっくりと近づき、小櫻ちゃんの頭の上に軽く手を置いて叩いた。掌が留まる時間が普段より半秒多かった。「比喩よ、小櫻ちゃん。」指腹が髪の上で軽く圧した。
「へー! どんな比喩?」
「大人の比喩。」
「おお!」
小櫻ちゃんは「大人の比喩」という説明を真摯に受け止め、頷き、頭の中の分類引き出しに「大人の比喩」をそのまま収納した。次に同じような言葉を聞いたときも、おそらく同じように処理するだろう。薇は水筒を支えながらまだ笑い、空いている手で自分の顔を触り、肩を震わせながら止まらなかった。彼女は二歩近づいて団長の隣へ行き、肩を「どん」と彼の腕にぶつけた。ぶつけた力は軽かったが、留まる時間が長く、ぶつかった部分の布地が互いに擦れ合って微かな熱を生んだ。
「あなたね……」
「うん。」
「次に同じようなことを言ったら、本当にあなたを食べるわ。」
「うん。」
薇はまた笑い声を上げ、笑うときに身体がわずかに前に傾いた。
「二人とも変態。」ソフィアが後ろで冷たく一言付け加えた。掌から放たれる視線はすでにいつもの「私はあなたたちを知らない」という状態に戻っていたが、彼女は無意識に外套のジッパーを少し上に引き上げていた。
山道はさらに急になった。前方の林の高さがゆっくりと下がり、廃墟がもうすぐそこに見えてきた。
山道の最後の区間が一つの突き出た大きな岩を回り込む。岩体はまるで誰かに斜めにナイフで削られたかのようで、灰白色の断面に一筋二筋の乾いた苔が付着していた。道が岩体を回り込むところで半人分ほどの幅に狭められ、砕石と前夜に風で落ちてきた落ち葉が一面に広がっていた。ブーツの底がその上を踏むと、まず「さっ」というこもった音がして、次の足が「らっ」と音を立てた。
ソフィアが外側へ曲がるその一歩で、足下が突然空いた。
その半寸で彼女の全身の重心が外側へ引きずり出され、身体が外へ傾いた。二つの選択肢が半秒のうちにすべて無効になった。立ち直るのは不可能、声を上げるのは死ぬほど恥ずかしい。彼女は本能的に手を伸ばし、五本の指が空気の中で開く速度が頭より一拍速く、 自分に一番近い布地を掴んだ。それはちょうど団長の外套の袖、肘窩に近い一截だった。
粗い布の外套の浅い灰色が、彼女がぎゅっと握った瞬間に斜めの皺になった。褐色の肌がその浅い灰の上に特にくっきりと浮かび上がった。五本の指がその截の布の皺をぎゅっと握りしめ、指の節が力で白くなり、白が爪の根元の一周から上へ染み、 その白い輪が彼女の蜜色の甲に、誰かに押して印を押されたかのように浮かんだ。団長の身体が彼女の方へわずかに数センチ傾いて、ようやく彼女の重心を受け止めた。過程はわずか半秒だったが、その半秒は誰かにスローモーションを押されたかのようで、一本一本の指が握りしめる角度がはっきりと見えた。布地が指の間で引っ張られる感覚が、空気を一瞬ねっとりさせた。
ソフィア:「ごめん!」
団長は何も言わず、ただわずかに腕を上げて肘窩のその截をもう少し彼女の方へ送り、彼女が力 を借りて立ち直れるまで支えた。腕の筋肉が布の下でわずかに張った。
彼女の手は緩まなかった。
薇の声がもう片側から、まるで眠りから覚めたばかりの猫のようにゆっくりと漂ってきた。
薇:「本当にかわいいわね」
彼女は言いながら手を伸ばし、団長のもう片方の手がまだ握っていた、かじりかけのリンゴをそのまま奪い取った。動作は流れるように滑らかで、まるで道中何時間も練習していたかのようだった。リンゴが彼女の手に入ったあと、彼女は急いで食べず、堂々と団長の隣へ歩み寄り、皆の視線に向かってそのリンゴを少し持ち上げ、そしてその元々の歯痕のところに、もう一口かじった。
「か。」
リンゴの果肉が裂ける脆い音が山風の中にくっきりと聞こえた。果汁が彼女の下唇の縁を伝って短い光の筋を流した。彼女は拭かず、舌先が口角の内側からゆっくりと一巻きした。その巻き方が遅く、まるで偶然ではなく、彼女が余裕で一連の受け取り動作を全部終えてからようやくこの一口のリンゴを飲み込もうとしているかのようだった。舌先が下唇の内側へ戻ったとき、まだ一秒留まった。まるでさっきの歯痕と自分の歯痕の間の距離を記憶しているかのように。唇が果汁で濡れて光っていた。
薇:「やっぱり甘いわ。」
八千代がソフィアのもう片側から手を伸ばし、ちょうど彼女の肘の下の部分に添えた。指腹が肌に触れたときに温度がわずかに伝わってきた。
八千代:「気をつけて。山道はまだ終わってないわ。」
声は柔らかく、姉のような笑みがまだ口元にあった。
ソフィアは「ふん」と一つ言い、言葉を返さなかった。褐色の顔全体が耳先まで赤くなり、彼女は両手を外套のポケットの奥へ深く突っ込み、顎を襟口の高い位置に挟んだ。その姿勢はもう三度目だった。襟口の布地がより強く押された。
この七嘴八舌がまだ収まらない瞬間に
小櫻ちゃんが突然足を止めた。
彼女の目は薇の手に持ったリンゴから上がり、樹冠を越えて、山道の最後の曲がり角を回った先、前方の林が開いた切れ目の方へ向かった。その切れ目を通して、一面の灰白色の石造建築群が静かに山腹の反対側に広がっていた。半ば倒れた柱廊が一本一本外周に並び、まるで切り落とされた歯の列のようだった。蔦が半分を覆ったアーチ門が柱廊の後ろから顔を出し、蔦の葉がアーチ頂から垂れ下がって、もう半分の門の穴を緑の帳に変えていた。もっと奥の方、教室棟の屋根と思われる残骸が一角崩れ、 中の折れた梁を露わにしていた。さらに奥へ、一列の長方形の、元々の用途がわからない建物が山腹に沿って平らに広がり、すべて午前の陽光に照らされて輝き、灰白色の石の表面が極めて薄い金色を反射していた。まるで誰かがとても薄い蜂蜜の層でその廃墟全体を封じ込め、彼らを待っていたかのようだった。
小櫻ちゃん:「着いた。」
八千代の足がとても安定して止まった。
彼女の視線は薇の手に持ったリンゴを越え、遠くの樹冠の切れ目から透けて見える灰白色の石造建築群を越え、彼女が長い間見つめていたある位置に留まった。彼女が千年前から知っていたその地平線に。瞳孔がわずかに拡大した。
銀粉グラデーションの髪先が山風の中で一瞬揺れ、ピンク色の端へ極めて軽い半階分偏った。
薇が最後にリンゴを一口食べ、果核を路側の茂みへ投げ、横を向いた。
彼女は八千代を二秒見た。何も言わなかった。風が山腹の方から吹き上がり、廃墟方向の匂いが初めてこの一行の鼻先へ届いた。石が一日中陽に当たっていた乾燥した匂いと、 とても薄い、どこからか漂ってくる、古い紙のような香りが混じっていた。
山道はまだ最後の小さな区間が残っていた。
八千代は側腰の小さな革袋から、細い筒に巻かれた羊皮紙を一本引き出した。引き出すときに紙の端が革のベルトのバックルに擦れて、軽く脆い音を立てた。まるで今にも裂けそうで、しかしずっと裂けなかった紙のような音だった。彼女は二度振って開き、勢いで山道脇の一番大きく平らな灰色の岩の前にしゃがみ込み、地図を石面に広げた。角の四つの小さな石をさっと置いてその四つの位置を均等に押さえ、まるで彼女が千回このような岩の上で地図を広げた記憶の中から取り出した基準のようだった。しゃがむときロングローブの下襟が広がり、膝の部分の布地がぴったりと密着した。
「見てみましょう。」
小櫻ちゃんが最初に飛びつき、膝が石面に「どん」と音を立てた。辮髪が振り出されて地図の端を掠めそうになった。薇がゆっくりと足を運んで反対側へしゃがみ込み、しゃがみきれず、肘を石面に預けて半ば這うようにして近づき、胸を石面に軽く押しつけた。ソフィアは手を背中に回して小櫻ちゃんの後ろに立ち、顎をわずかに上げて関心なさそうなふりをしたが、目はすでに地図の印を掃いていた。団長は四人の外側に立ち、ちょうど地図全体を見下ろせる高さで、視線が八千代のしゃがむ姿勢に一拍余分に留まった。
地図は浅い茶色のインクで一画の建築を描き出していた。中央に主楼、左に連なる研究室群、右に図書館。後方の山腹に三棟の小さな建物、用途はわからない。一番下に一面の荒れた庭園。各棟の傍らに一列の古精霊文字、字跡は羊皮紙の紋理に溶け込みそうに褪せていた。
「これは誰が描いたの?」薇が聞き、声に笑みが混じっていた。
「ギルドの書庫よ。委託書に付いていたもの。」八千代の指先が主楼の位置に軽く触れ、また左へ滑り、一本の濃く描かれた線に沿って入口から左翼の研究室群へ指を走らせた。「ここ、私たちはこの入口から入るのが順当ね」指が滑るたびに羊皮紙に淡い温かな痕が残った。
「研究室があそこ!」小櫻ちゃんの目が一瞬輝き、全身が地図へさらに一寸近づき、鼻先が羊皮紙にほとんど触れそうになった。
「ええ。」
「私たち直接――」
「待って。」ソフィアが後ろから手を伸ばし、人差し指で別の場所を指した。「入口の隣の、この記号は何?」
八千代が横を向いて一瞥した。「注意喚起。古精霊の通用標識よ。つまり『ここに何かあるから気をつけて』という意味。」
「……何があるの?」
「たいてい床が崩れているか、蛇よ。」
ソフィアの「蛇」に対する反応は、この委託自体に対するものよりずっと大きかった。彼女は半歩後ずさり、背筋をまっすぐに伸ばし、声まで半度高くなった。「¡No no no、蛇がいたら私は――」外套がより強く引きつめられた。
「それなら私がおんぶしてあげるわ。」薇が横から口を挟み、尾音を長く、だるそうに引いた。まるで午後の寝椅子で寝返りを打つかのように。「お姫様抱っこよ~」笑うときに視線がソフィアの腰の線を軽く一掃した。
「消えなさい。」
団長が手を伸ばし、薇の肩を越えて、指先を地図の右上の、比較的完全な研究室東側の建物に落とした。一度。無言。八千代はその指先を一秒見て、頷いた。「あそこの屋根は比較的完全ね。入るのが安全そう。」
「決まり!」小櫻ちゃんが手を一つ叩き、掌が打ち合って清らかな音を立て、空気の中のその少し固まった尾音を打ち散らした。
薇が地図を畳んで八千代へ返した。畳むときに羊皮紙がまた軽く脆く鳴った。差し出すその瞬間、彼女の指先が八千代の手首の内側の一番薄く白い皮膚の上を軽く擦った。
隊列が立ち上がり、隊形を整え直して、廃墟への最後の区間を歩いた。陽光が一枚の割れた雲の隙間から金の筋を切り落とし、斜めに彼らの前方の、蔦に覆われた石造のアーチ門――彼らが最初にくぐる門に落ちた。
小櫻ちゃんが最初にアーチ門の下へ走り、顔を仰向けに細めた。「上に何か字があるみたい」彼女はつま先立ちをして垂れ下がる常春藤を大きくかき分け、蔦の上の埃がさらさらと落ちて彼女の睫毛に付いたが、気にも留めず、顔全体をその石板の下へ近づけ、唇の形が一文字一文字について動き、つま先立ちのときに短いスカートの裾がわずかに持ち上がった。
「ん……『永遠にここに』、『歓迎』……」彼女は首を傾げ、学院の先生が教えてくれた語根を本気で思い出そうとしているようだった。「この二つはわかる、前に先生の授業で習った。次は……」彼女の指が一本の刻み目をゆっくりと辿り、眉が軽く寄った。「……『撫でられた』、『魂』?」
彼女ははっきりとその一連の文字を読み終え、振り返って両掌の埃を払った。身体はさっきの動作でまだわずかに熱を持っていた。
場面が一瞬止まった。
「な、なんだこの学派は」最初に声を出したのはソフィアで、声が高く上がり、胸もその息を急に吸いすぎて上下した。外套が胸で強く押し上げられた。
八千代が後ろで小さく笑った。その笑いは自然だったが、笑みが彼女の口元に普段よりはっきりと一拍留まった。ただ一拍。彼女はすぐに言葉を継ぎ、視線はあの石板の方へは向けず、最初から最後まで小櫻ちゃんだけを見ていた。「教育学派よ。」
「……教育学派?」
「古精霊にはたくさんの流派があるの。現代みたいに分類されていないわ。」
「じゃあこの流派は……『魂を愛撫する』流派なの?」小櫻ちゃんは首を傾げて真面目に確認し、目が輝いていた。
「字面の上ではそうね。」
「じゃあ実際は?」
「それは学派内部の言い方よ。」八千代はそれ以上言わず、小櫻ちゃんの質問を優しく、まるで水を両手で包むように受け止め、外へ平らに伸ばし、指が小櫻ちゃんの肩を軽く叩いた。
ソフィアが後ろで拳を握りしめた。「わ、私、どんな石板の文字も見ないって宣言する。」拳が握られて指の節が白くなった。
「ぷっ。」薇が笑い声を上げた。「ソフィア、今日は恥ずかしがり屋さんね~」
「黙りなさい。」
団長はアーチ門の下に立ち、顔を上げてあの石板を一瞥し、また八千代を見た。
アーチ門をくぐった瞬間、外の山林の陽光が突然石造の屋根に切り落とされた。廃墟の内側の光は半ば崩れた円蓋の隙間から斜めに垂れ下がり、一本一本平行の金の筋が埃に覆われた石の床を切り、埃の中を舞う綿のような粒子を一節一節輝かせていた。空気は外より数度冷たく、最初の呼吸で、鼻腔にはまず百年にわたって陽に当たり、影に閉じ込められた古い石の乾いた匂い、そしてその乾いた匂いの下に、 とても薄い、古い紙のような腐った甘い匂いが混じっていた。隅の蔦がゆっくりと腐って放出する香りで、立ち止まって一秒経たなければわからない。空気の中にぼんやりとしたねっとりしたものが加わっていた。
最初の部屋は入口のホールだった。円蓋が半分崩れ、残った半分に外から伸びてきた常春藤が一面に這っていた。地面に彫刻のある柱礎の破片がいくつか散らばり、彫刻が一番精緻なところで途切れていた。一本の廊下がホールの奥から内へ伸び、分岐して二つに分かれていた。左は狭く、研究室群へ。右は広く、ホール外側の荒れた中庭へ。
小櫻ちゃんはすでに研究室の方の道へ三歩駆け出していた。
「待って!」ソフィアが一跨ぎで追いかけ、彼女の肩を引き戻した。「あなたは先に勝手に走らないで!」引きの力で指が小櫻ちゃんの肩に一秒余分に圧した。
「でも」
「蛇がいたらどうするの」
「蛇は教材を齧らないよ。」
「その問題じゃないの!」
「あなたたちが喧嘩するならここでしなさい」薇はすでにゆっくりと左側の廊下の入口へ歩き、半身をアーチ柱に寄せ、振り返って笑いながら二人を見ていた。視線がだるそうにソフィアと小櫻ちゃんの間を掃いた。「喧嘩しないなら私についてらっしゃい」柱に寄りかかる動作でシャツの側面が軽く押されて凹んだ。
「私は団長とこのホールを少し見てくるわ。」八千代はすでにしゃがみ込み、指腹を地面の柱礎の破片の一つに押しつけ、表面の埃の層を掃いていた。彼女の姿勢は自然で、まるで最初から左側の廊下を見るつもりがなかったかのようだった。しゃがむ姿勢でローブが腰から臀部にかけて柔らかな弧を描いて密着した。
陽光の金の筋が団長の左から滑って八千代がしゃがんだその截の肩へ落ち、さらに先へ、彼女が今掃いている石の破片へ落ちた。隊列は自然に二手に分かれた。
「ソフィア、ごめん!」
小櫻ちゃんはソフィアの横から弾け出したビー玉のように滑り出し、辮髪が廊下の角を振り切ったとき、謝罪の言葉がまだこだまの中に残っていた。靴底がぱたぱたと薇の後ろ三歩の位置まで追いかけ、ようやく普通の歩く速度まで落とした。まるでさっきの急な追跡が幻だったかのようだった。
ソフィア:「おい!」
薇は頭も振り返らず、あのゆっくりとした尾音で彼女を受け止めた。
薇:「来なさい~」
小櫻ちゃん:「うん。」
薇:「ソフィアは?」
小櫻ちゃん:「罵り中、すぐ追いつくよ。」
薇:「うんうん~」
廊下はホールから見たときより長かった。両側の石壁はまだ比較的完全で、一定の間隔で壁面に小さな壁龕が凹んでいた。元々は燭台や小さな彫像を置くはずだった場所に、今は隅にクモの巣が張りつき、爪で字が書けるほど厚い埃の層が残っていた。床の石畳はいくつか陥没し、いくつか浮き上がっていた。薇が先頭を歩き、自然にそれらの位置を避けた。小櫻ちゃんが後ろについてでたらめに踏み、目は壁に残る紋様に夢中になり、浮き上がった煉瓦の一つに足を引っかけそうになった。薇は頭も振り返らず、左手を後ろへさっと伸ばし、指が小櫻ちゃんの手首を軽く掴んで一引きした。彼女の重心が安定するまで待ってから離し、指腹が手首の内側に半秒余分に留まった。
小櫻ちゃん:「え?」
薇:「目で道を見なさい~」
小櫻ちゃん:「うん!」
後ろからソフィアの足音がようやく追いついてきた。彼女のその区間の歩き方は想像より急で、おそらくホールに一人で監察員と残された記憶がまだ新鮮で、二度と体験したくないのだろう。低い中国語と英語の混じった声が聴力の範囲に入り、全部不満だった。二歩近づいたあと、その声が突然収まった。
ソフィア:「あなたたち二人とも人間じゃない」
小櫻ちゃん(振り返って):「……ソフィア。」
廊下の奥は半開きの木の扉だった。扉枠は暗い色の古い樫で、 上に彫刻の痕跡がまだ見えたが、ほとんどが歳月で磨り減っていた。扉板の中央に一行の古精霊文字が半分褪色し、真ん中の二文字の輪郭だけがまだはっきりしていた。「研究」。
薇が扉の前で止まり、横を向いて小櫻ちゃんを先へ入れた。「あなたは本を見たかったんでしょう?」
小櫻ちゃん:「うん!」
小櫻ちゃんは両手でその扉を押し開けた。扉板の下縁が地面でこすれて、こもった「ぎし」という音を立て、何かが起こされたかのようだった。押し開けた途中で、扉枠の上に何年も積もっていた埃が突然緩み、一面に傾いて落ちてきた。
小櫻ちゃん:「ごほっ、ごほっ、ごほっ、ごほっ、ごほっ、ごほっ!」
薇が後ろから小櫻ちゃんの背中を軽く叩いた。「ぷっ。一度にそんなに大きく息を吸っちゃだめよ。」叩き
埃がゆっくりと落ちてから、扉の奥の部屋の輪郭が一層一層浮かび上がってきた。三面の壁が床から天井まで木製の書棚で、どの段にもまだ本が並んでいた。背表紙が黄ばみ、金箔が剥がれたものもあれば残っているものもあり、きれいに一列一列、一段一段、まるで誰かが丁寧に並べたあと誰も動かさず、長い間待っていたかのようだった。正面の壁の前に頑丈な大きな書桌があり、卓上には何冊か開かれた古書が散らばり、インク瓶が横に倒れて割れ、インクが乾いて暗褐色の痂になったものが残っていた。羽根ペンが一本まだペン立てに刺さり、ペン先を上に向け、羽がすり減っていた。書桌の後ろに一列の古い木の棚、左の二つは書棚で扉にガラスが嵌められ、一番右の二枚開きの高い棚はガラスがなく、扉板に「教務」の二つの古精霊文字が刻まれていた。
小櫻ちゃんは全身がその部屋に吸い込まれ、一歩一歩中央へ歩み寄った。指が身体の側面で無意識にわずかに震えていた。怖いからではなく、研究者が新しいデータを見たときに手が自分で震える、あの震えだった。彼女は書桌の前で止まり、手を伸ばして卓上の最初に開かれた古書を手に取り、すぐに開かず、まず二本の指で表紙の浮彫の縁を一周触った。その動作はまるで子供の頃に特に愛した本を触ったあと、もう一度確かめ直すかのようだった。本はまだここにある、浮彫はまだここにある、これは本当だ、指先が浮彫の凹凸の部分に半秒余分に留まった。
ソフィア:「どうしたの?」
小櫻ちゃんは答えず、その本をそっと置き、一番近くの書棚の前へ行き、手を伸ばして一冊引き出し、三秒眉を寄せて見た。また一冊引き出し、また一冊。眉はますます寄り、目はますます輝き、本を引き出す動作で腕が動き、上着の袖口が上がった。
小櫻ちゃん:「これ、これ、全部教材だよ。」
ソフィア:「どういう意味、全部教材って?」
小櫻ちゃん:「本棚全体! 一面の壁! 全部!」
ソフィアはようやく引き込まれて門の内へ二歩入り、書桌を回って小櫻ちゃんの横に立った。小櫻ちゃんはすぐにさっきの本を卓上から取り戻して差し出した。表紙は非常に細やかな浮彫画で、図案は二人の古精霊の人物が、ある種の……あまり分類しがたい姿勢で互いに寄りかかっているものだった。浮彫の線は磨かれて柔らかく、浮き上がった部分がまだ淡い金色を反射していた。
ソフィアは受け取り、一秒見て、顔色が正常からすぐに「なぜこの本を開けたのか」という表情へ移り、そして非常にゆっくりと、まるで危険な物品を扱うかのように本を小櫻ちゃんの手へ返した。指が背表紙に一拍余分に留まった。
ソフィア:「私は見ない。」
小櫻ちゃん:「これはただの挿絵よ」
ソフィア「見ない。not looking。」
小櫻ちゃんは困惑した顔のまま、それでも本を収め、胸に抱いた。本が胸に圧されて布地がわずかに凹んだ。
薇はこのときすでに部屋の一番右の高い棚の前へ回り込み、手を把手にかけて軽く試した。鍵はかかっていない。彼女は一筋の隙間を開け、中を覗き込み、半秒留まり、そして両手で扉を完全に引き開けた。
扉が開いた瞬間、まず匂いが漏れ出てきた。三層が重なっていた。一番上は樟脳の乾いた冷たさ、その冷たい、鼻腔の中で少し留まってから広がる化学的な清涼感。中間の一層は古い布地が何年も陽に当たったあとに出てくる、少し甘い微かな酸味で、干した布団のような、しかしもっと古いもの。一番下は埃が掻き回されてようやく放出される乾いた匂いで、前の二層に混じって全体の匂いを重厚なものに変えていた。
薇:「……わあ。」
小櫻ちゃん:「何?」
薇:「見て。」
小櫻ちゃんは本を抱えたまま駆け寄った。
棚の中には、きれいに一列に古式の長めの束腰外套と短いスカートが掛かっていた。木の衣桁の金属のフックは少し酸化していたが、まだ錆びてはいなかった。布地は想像よりよく保存されていたが、「よい」のは虫に食われていないからではなく、裁断がはっきりと当時の設計意図を露わにしていたからだった。腰の線が高く、ほとんど肋骨の下縁まで。胸の前の布の裁ち方は平らではなく、肩から斜めに下へ二本の収線が胸の下へ集まるように作られていて、ちょうど胸の線を布地で浮かび上がらせる、隠せないようになっていた。短いスカートのプリーツはとても細かく強く押され、プリーツとプリーツの間の距離が狭く、歩くとスカートの裾が必ず反対方向に振れるようになっていた。どの制服の腰にも一本の暗い色のベルトが締めてあり、ベルトのバックルは小さな古精霊の記号で、入口のアーチ門にあったあの「教育学派」の図案と同じ系列だった。
三人が棚の前に立ち、誰も言葉を発しなかった。匂いが棚の中からゆっくりと広がり続け、さっきの廊下の埃の匂いと混じり、部屋全体の時間を何百年も前へ引き戻した。空気の中の甘酸っぱい匂いが人の鼻先をわずかに痒くさせた。
小櫻ちゃん:「座ってもいい?」
薇:「座るの?」
小櫻ちゃん:「読みたい。」
薇:「どれくらい読むつもり?」
小櫻ちゃん:「読み終わるまで。」
薇は静かに笑った。「小櫻ちゃん~、あなたはまず一冊読みなさい、私たちにはまだ任務があるのよ?」
小櫻ちゃん:「……一冊。」
薇:「一冊。」
小櫻ちゃんは素直に手に持った浮彫の本を抱えて書桌の傍らへ戻り、ゆっくりと木の椅子に腰を下ろした。座る姿勢はまるで子供が初めて動物園へ行き、虎の檻の前に着いた瞬間、お尻がまだ完全に椅子に触れていないのに、目はすでにページに貼りついているかのようだった。座る姿勢で短いスカートが椅子の面に広がった。
薇は研究室の半開きの木の扉から退出し、靴の踵が敷居の外のわずかに沈んだ石畳の上で一度止まり、また自分で普通の歩調へ滑らかに戻した。廊下はホールから見たときよりずっと長く、彼女は左側の石壁の列に沿ってゆっくりと戻り、靴底が石板に当たる音が両側の深く黒ずんだ石壁に半分吸い込まれ、残りの半分が廊下を前へ押し、まず大ホールへ届いた。
彼女があの曲がり角を回ったとき、足が自然に緩んだ。ホールの円蓋は半分しかなく、残りの半分の空がそのまま頭上に掛かっていた。一本の光の柱が破れ目から斜めに落ち、中央に落ち、連動して光の柱の中を漂う埃をゆっくりと浮かぶ金粉に変えていた。
八千代がその光の柱の中にしゃがみ、ロングローブの下襟が石の床に一画広がり、光が彼女の肩の線を斜めに切り、彼女の全身を半分明るく半分暗く分けていた。頭がわずかに低く、一方の手が軽くあの彫花の柱礎の縁に触れていた。彼女は埃を拭いているわけではなかった。ただそこに手を置いているだけで、まるでその石が何かを話しているのを聞いているかのようだった。指腹は下へ押しつけず、ただ石の表面の薄い埃の層の上に留まり、埃すら驚かせなかった。まるで触れなくても、その石が前の千年から運んできたメッセージをすでに読めるかのようだった。ローブの肩の線が光の中で特に柔らかく見えた。
団長が光の柱の外、三歩の距離に立ち、腕を組み、一本のまだ完全な柱にもたれ、無言だった。
薇は廊下の口に立ったまま動かず、二秒、そしてゆっくりと体重を片足からもう片足へ移した。その小さな動作がわずかな音を生んだ。ブーツの底と石の床の間で微かな「さっ」という音がし、ちょうど光の柱の中にしゃがむ人に聞こえる程度だった。
八千代はすぐに顔を上げ、笑みが顔に戻った。
八千代:「あ、薇。」
薇:「邪魔したわ~。でもあなたたち二人は来てみた方がいいと思うわ。」
八千代:「何を見るの?」
薇は一瞬言葉を切り、尾音に笑みを引っかけた。「私たちの小櫻ちゃんが一面の壁の教材を見つけたのよ。それに一棚の古精霊の制服、そして……いくつか、団長がぜひ自分の目で確かめた方がいいと思う展示品。」
団長が軽く眉を上げた。
八千代:「展示品?」
薇:「ネタを明かさないわ。あなたたち自身で見て。」
八千代:「それじゃあ行きましょう。」
団長が柱からまっすぐに立ち、腕組みの手を自然に下ろした。薇が彼の横を通り過ぎるとき、横を向いて静かに言った。
薇:「団長~、あそこの絵、あなたは好きだと思うわ。」
団長:「どんな絵。」
薇:「学術的な絵。」
団長:「……。」
八千代が後ろで静かに笑い声を上げた。
三人が一緒に研究室へ向かい、薇が先頭だった。八千代のローブの袖が歩く最中に団長の腕に軽く触れた。
廊下の中の空気はさっきよりさらに静かで、足音がさっきより大きかった。小櫻ちゃんが書桌に伏せたその背中が、廊下の奥の扉の隙間からすでに見えていた。彼女は一頁の紙を光の下へ近づけ、影絵のように細かく、忙しく動かしていた。まるでリスが堅果を穴の中へ運び、また出して、また運び込んでいるかのようだった。
三人が研究室の扉を押し開けた。扉の蝶番がまたこもった「ぎし」という音を立てた。それが小櫻ちゃんを誘発した。
小櫻ちゃんはバネで弾かれたかのように椅子から飛び上がり、手に持った浮彫の本を一本丸ごと頭上に掲げた。「先生!」
小櫻ちゃん:「これを見て! これを見てこの動作! これ可能? 人間にはできないでしょ! でも古精霊ならできるかも! 古精霊はできるよね!」
彼女は高く掲げ、両手で背表紙を支え、書頁を門口に向かって一番大きく開いた。その二頁がちょうど入ってきた三人の方に向いていた。
掲げられたその頁の上に、二人の古精霊の人形が、普通の人間の骨格関節では絶対に達成できない姿勢で互いに絡み合っていた。手と脚の方向がいくつかのところで逆方向に曲がり、中間に三番目の、あまり人間らしくない影が後ろから抱きつくように回っていた。挿絵の筆致は非常に精緻で、線は古精霊の画師特有のあの絹のように滑らかでしなやかなものだったが、内容は全く別のものだった。
研究室の空気の中に漂っていたあの埃が、小櫻ちゃんが本を掲げた瞬間に全部半空中で止まり、誰も動けなかった。
八千代は笑いながら近づき、自然に小櫻ちゃんの手の本を軽く押し下げ、その頁を表を下にして書桌上へ貼りつけた。手を伸ばしたその距離は普段の半分しかかからず、掌が本の背を覆ったとき、埃を払う余分な動作すらなく、笑みは一秒も変わらなかった。ローブの袖が動作の中で小櫻ちゃんの腕を軽く擦った。
八千代:「小櫻ちゃん、こういう図はゆっくり見ましょう」
小櫻ちゃん:「でも」
八千代:「ゆっくり見るわね?」
薇が隣ですでに笑って言葉を発せないほどで、彼女は一番近くの書棚に寄りかかり、肩を震わせていた。
団長の指が一歩先に書桌の端の、その押し下げられた本の表紙に触れた。浮彫の感触は冷たく、少し埃のざらつきがあり、指腹が無意識に半秒余分に留まってから本気で力を込めた。彼は実は開くつもりはなかった。ただ指腹で最上層の埃をゆっくりと掻き取り、動作が遅く、まるで何かの隠された線を辿っているかのようだった。浮彫の凹んだ曲線に沿って滑る最中に、皮膚がその溝と軽く噛み合い、表紙の二人の古精霊の人像が寄りかかる姿勢が、突然さっきより一階はっきりした。互いに寄りかかるその姿勢は、人の視線を少しねっとりさせるものだった。
彼はそのまま二秒見てから、顔を上げて八千代に口を開いた。
団長:「これは学術用の本か?」
八千代:「ええ。」
団長:「じゃあさっき『教育学派』と言ったのは本気だったのか。」
八千代:「ええ。」
団長:「何を教えるんだ。」
八千代:「団長、古精霊の教学の範囲はあなたが想像するより広いわ。」
団長:「わかった。」
小櫻ちゃん「……他のも見てもいい?」
八千代:「見ていいわ。優しくね。」
八千代:「でももう大声で読み上げないで。」
小櫻ちゃん:「どうして?」
八千代:「大人の比喩。」
小櫻ちゃん:「おお!」
ソフィアが額に手を当ててまたスペイン語で一言呟いた。その声の中に夏の湿った熱気が混じり、聞く人を笑わせ、また二秒多く聞きたくさせるものだった。
八千代は小櫻ちゃんの頭の上でその撫でが終わったあと、自然に手を引き、指腹が髪の間から滑り離れる瞬間に、小櫻ちゃんの目はまだ書桌上の一冊の開かれたあと閉じられた浮彫の本に貼りついたまま、「私はここに座って天地が荒れるまで読める」という敬虔な表情だった。八千代が薇と団長の方へ顔を向けたとき、銀粉グラデーションの髪先が肩の線に沿って半回転滑り、その髪が肩で擦れ合う微かな感触が、空気を少し熱くしてから止まった。
八千代:「じゃあこうしましょう。小櫻ちゃんはここで読むわ。彼女には時間が必要。」
薇:「うん。」
八千代:「私たちは外へ出て少し食べて、風に当たって、半時間後に戻ってきて様子を見ましょう。」
小櫻ちゃん:「二時間!」
八千代:「半時間。」
小櫻ちゃん:「一時間!」
八千代:「四十分。」
小櫻ちゃん:「……」
ソフィアはすでに先に門口へ向かって歩き出し、歩きながら自分と値切るかのようにスペイン語で独り言を言い、その抑揚に夏の湿気が混じり、愚痴さえ聞く人を笑わせた。腰の線が歩くときにわずかに揺れ、布地と肌の間の隙間もそれについて熱くなったようだった。
薇が小櫻ちゃんの横を通り過ぎるとき、さっと一つの赤く輝くリンゴを書桌の端に置いた。そのリンゴがいつ彼女のバックパックからまた現れたのか、さっきの小さな鉄の箱を開けたときはコーヒー豆しか見えなかったのに、リンゴは静かに書桌の角に落ち、まるで書き終わったメモのように、果皮の反射が人の視線を半秒余分に留まらせた。
薇が小櫻ちゃんの頭の上を軽く叩き、掌が髪の上で少し余分に圧してから引き戻した。「ご飯よ」
八千代が最後に出た。彼女は門口へ行き、振り返って研究室全体を一瞥した。視線が書棚を掃き、書桌を掃き、そして壁際のその制服棚に落ちた。その隙間から漏れる光がちょうど制服の袖口に当たり、布地の縁が少し透けて見えた。
団長が廊下で彼女を待っていた。壁にもたれ、両腕を自然に垂らしていた。
八千代:「お待たせ。」
団長:「うん。」
廊下は三人をホールへ連れ戻した。ホールの側面のそのアーチ門が外側の一面の中庭へ通じていた。元々は学派の庭園だったのかもしれず、今は山野に半分飲み込まれていたが、残りのもう半分の石造の囲壁はまだ完全な円を描き、中央に一本の老木が元気に生き、樹冠が中庭の半分をふるい落とされた緑陰に変え、光が葉の隙間から漏れて石畳の上に揺れる銅貨のような小さな斑点を打っていた。木の下にいくつかの石がちょうど円を描き、人が座れるようになっていた。その石の表面は陽光に焼かれてわずかに熱く、座るとき布地がまずその熱を感じるのだった。
ソフィアが先に一つの石にへたり込み、全身の重さを後ろのその截の粗い樹皮に預け、顔を天に向け、散らばった髪すら拾うのが面倒そうだった。「私はもう二度とあの研究室に入らない。」
薇:「あなたはまた入るわ。みんな戻るのよ。」
ソフィア:「入らない。」
薇:「入るわ。」
ソフィア:「Me vale.」
団長は自分の石を見つけて座り、バックパックを足元に置き、自然に薇が差し出した小さな鉄の箱を受け取ってコーヒーを淹れ始めた。彼が豆を挽くときの手首の回転の角度、粉を叩くときの肘の軽い震え、熱湯のやかんを持ち上げてフィルターカップの縁を一周描くあの弧――すべての動作の順序があまりにも滑らかだった。中間に二度、彼が横へ手を伸ばして何かを探したとき、薇の手がすでに一歩先にその品を彼の指先の下へ差し出していた。二人は最初から最後まで言葉を発しなかったが、動作が交差するところはすべてぴったりと合っていた。薇が彼の隣に座り、肘を自分の膝に預け、顎を手の甲にのせ、そのまま彼が淹れるのを見ていた。その姿勢で彼女の鎖骨の上の小さな一片の皮膚が陽光の下で特に薄く見えた。
八千代は座らなかった。彼女は中庭の反対側に立ち、背を皆に向け、顔を上げてあのまだ完全な石造の囲壁を見ていた。その壁の外側、頂点に近い位置に、保存状態が信じられないほど完全な長方形の壁画が嵌め込まれ、一片の蔦に三分の一を遮られ、ぼんやりとその上に一列の古精霊の人像が何かの隊列を組んでいるのが見えた。彼女は動かなかった。ただ見ていた。その仰ぎ見る動作で彼女のロングローブの下襟が太ももに軽く貼りつき、布地の重みが突然はっきりした。
その壁画の内容が陽光の中でゆっくりとはっきりしてきた。一列の古精霊の人像が、何かの儀式ともわからない隊列を組んでいた。手には何かを持っている者もいれば、何か別のものを掲げている者も、互いに腕を絡めている者もいた。画の一番下の一行の文字が蔦に半分遮られていたが、彼女が立っていた角度からちょうど側面からその一列の刻みの筆致が見えた。
木の下の方で、ソフィアがようやく最初のいびきをかいた。とても小さく、とても細く、まるで満腹になった猫が夢を見ているかのようだった。木の葉が揺れ、木陰が彼女の顔の上で揺れた。そして彼女のいびきが突然彼女自身の寝言で中断された。
ソフィア:「……yo también quiero……」
薇:「?」
ソフィア:「……el postre……」
薇:「デザート?」
団長:「彼女は夢の中でデザートをもらえなかったと不満を言ってる。」
ソフィアの眉が寄り、唇が不満そうに突き出され、その唇の形が陽光の下で特に柔らかく見えた。「……sin crema……お願い……やめて……クリームを……」
薇は笑いながら体を震わせて言った。「彼女、クリームに文句があるの?」
団長:「うん。」
薇はコーヒーカップを置き、バックパックの中から彼女のあの厚いノートを取り出し、中ほどの一番新しい頁をぱっと開いた。万年筆を耳の横から取り出したとき、蓋すら落ちなかった。彼女は手を伸ばしてソフィアの、横に傾いて石から滑り落ちそうだった身体を軽く正した。その動作でソフィアは夢の中で全く感じず、引き続き次のスペイン語をぶつぶつと呟いた。今度は「esa fresa no……」のようだった。彼女が支えるとき、掌がソフィアの腰側に半秒余分に留まり、そこに布地の下の体温を感じ取った。
薇:「いちごもだめ?」
団長:「書き留めておけ。」
薇:「うん。」
薇は頭を下げてノートに「ソフィア拒否:クリーム、いちご」と書いた。字がとても美しく、一本一本の横画の力加減がペン先の弧の同じ位置にちょうど圧され、括弧の中の二つの小さな字さえ端正で、まるで彼女が一節の重要な研究結論を書き留めているかのようだった。団長はコーヒーカップを口元へ掲げて遮り、杯の縁がちょうど彼の唇角のその一点の震える弧を隠した。そのカップを手に握る熱さが、彼の掌を一緒に熱くさせた。
その一方で。
八千代の身体は思考より先に動いた。彼女は三歩前へ歩き、そして四歩目、五歩目。彼女は振り返って誰かを呼ばず、どこへ行くとも言わなかった。ただあの壁の下へ行き、顔を上げて見つめ、その仰ぎ見が長く続いた。ロングローブの下襟が歩くときにふくらはぎを軽く掃き、布地が擦れ合う熱気が一路上へ這い上がった。
木の下の方ではコーヒーの香りがすでに溢れ出し、淡い蒸気が光の柱に沿って上昇し、中庭のその層の緑陰に混じっていた。薇は横を向いて八千代の背中を二秒見、また団長を一瞥し、無言だった。その二秒の視線に少し重みがあった。団長は挽いたコーヒー粉を軽くフィルターカップへ叩き入れ、叩き終えたあとフィルターカップを戻し、動作は止まらなかったが、彼の視線と薇の視線が中間のあの空気の中で一度触れ合い、また離れた。二人はそれを見ていた。その衝突で空気が半拍張りつめた。
八千代が手を上げ、指先で壁画の縁のその叢の蔦の一番下の葉を軽く触れた。蔦がさらさらと揺れ、葉の裏の反射が壁に一瞬閃き、指先から伝わる冷たさが彼女の肩を軽く震わせた。
八千代:「……この学派、聞いたことがあるような気がする。」
彼女はそれ以上言わなかった。仰ぎ見る姿勢を保ったまま立ち、肩も動かず、銀粉グラデーションの髪先が背後に垂れたまま動かず、彼女が触れたその叢の蔦が揺れ終わったあと元の位置へ戻り、二度と動かなかった。空気の中に残った音は風が樹冠を吹き抜けるさらさらという音、遠くのどこかの山鳥が長く伸ばした一声の鳴き声、そして薇の万年筆が紙面で止まった、あの全く音のない静けさだった。
その沈黙はおよそ半分だった。中庭の中で半分は人が聞こえるほど長く、木の葉が息をするリズムが聞こえ、石が陽光の下でゆっくりと焼かれて極めて軽い膨張の音を発するのが聞こえ、団長の手に持ったフィルターカップから最後の数滴のコーヒーが杯底に落ちる音が、はっきりと小さな鐘のように聞こえた。その沈黙の中で皆の呼吸がよりはっきりし、胸の上下と布地が密着する感覚が突然鮮明になった。
そして八千代がとても自然に振り返り、笑みがまた顔に戻った。まるで何も起こらなかったかのように。その振り返りで髪先が肩の上でまた一度滑った。
八千代:「そっちのコーヒーは淹れた?」
団長:「ちょうどいいところだ。」
八千代が壁の下から木の方へ戻り、自然に薇が差し出したそのカップのコーヒーを受け取り、石の円を回り、団長の隣の元々空いていた位置に座った。その位置は団長の石からおよそ半腕分の距離だった。彼女のロングローブの下襟が座ったその瞬間に彼女と彼の間のその截の石面を覆ったが、下襟の下の二人はまだその截の精密で、人が計算できる距離を隔てており、布地の縁が石に圧しつけられる重みが感じられた。
ソフィアはまだ眠っていた。今度は寝言も一時的に止まっていた。中庭に残った音は風が樹冠を吹き抜ける音、遠くの山鳥の長い鳴き声、そして八千代がコーヒーカップを石面に軽く置くその一音だった。その一音が中庭の中で静かに落ち、反響せず、杯底と石が触れた瞬間に熱が石の中へ伝わった。
研究室の方の廊下から突然急な足音が聞こえてきた。一聴して後ろに止まりきれない人間がついてきているとわかる踏み鳴らすリズムで、「ぱたぱたぱた」と石の廊下の向こうから駆けつけ、近づくにつれ、ますます速く、中庭の石畳さえそれについてわずかに細かな反響を立てていた。
小櫻ちゃんはそんな命知らずの足音の中で側面のアーチ門から飛び出してきた。彼女は胸に自分の身体の半分の体積ほどもある本の山を抱え、走る様子は次の瞬間に本人ごと本ごと地面に転がり落ちるのではないかと心配になる速度で、一番上の三冊の本の頁が飛び出してきた風でばたばたとどこまでもめくれていた。しかし一本も落ちなかった。なぜなら彼女が両手で死に物狂いで本の山全体を胸に環のように抱え、顎を一番上の本の背表紙に挟んで自分で第三の手として固定していたからだった。その姿勢で背表紙が彼女の顎の下にぴったりと圧され、胸の布地が本の山で押し上げられてわずかに変形した。彼女が中庭の中央で止まったその瞬間に、顎が背表紙から離れて小さな「ぽっ」という音を立てた。彼女の顎のその截の皮膚はすでに背表紙に細い赤い横の痕を押しつけられ、左側の口角の下から顎の中央を横切り、右側へ伸びていた。
「先生!!!」
彼女は大きく息を吸い、その息が大きいあまり肩全体が持ち上がり、胸が激しく上下した。
「私、決めた。私、決めた」
八千代は笑いながら立ち上がり近づき、自然に一番上から二冊を受け取り、さっと小櫻ちゃんの少しずれた前髪を払った。その指が額に半秒余分に留まった。「あなたは決めたの?」
「私、全部欲しい! 全部欲しい! 一面の壁の教材、全部! すべて!」最後の「部」という字を彼女は響くほど長く丸く引き伸ばし、中庭全体が彼女に共鳴していた。
八千代は頭を下げてその本の山の高さを目測し、優しく片方の眉を寄せた。「……うん……小櫻ちゃん、こんなに一回で持てないわよ?」
「できる! 私、持てる!」
「でもまだ山道が……」
「私、持てる!」
薇が横から無表情に上の三冊を引き抜いた。まるで小櫻ちゃんのために揺らぎかけの塔の頂を崩すかのように。その引き抜く動作で彼女の指が不意に小櫻ちゃんの腕を擦り、二人の皮膚が触れ合う熱で空気に少し粘り気が加わった。「あなたの手、まだ支えられる?」
小櫻ちゃんの顔はすでに耳先まで熱く赤くなり、顎のあの横の痕が赤の中でより赤く見えた。彼女の両手首は確かに震えていた。「支えられる!」
団長が立ち上がり近づき、何も言わず、手を伸ばして小櫻ちゃんの胸に抱えた一番下の五六冊を一度に抱え上げ、肩に担いだ。本が彼女の身体から離れた瞬間に、彼女の上半身が上へ半寸弾み、まるで突然バラストを降ろされた小舟のように。その瞬間に彼女の胸の布地がそれについて緩み、呼吸が半拍順調になった。
薇がさっと彼女の胸からさらに二冊引き抜いた。「制服も持っていくの?」
小櫻ちゃんは一瞬固まり、真面目に、まるで試験問題に答えるかのように真面目に答えた。「……いらない。」
「え?」
「あれは私に似合わない。」
八千代の笑みが顔の上で半秒静止した。
八千代は一瞬言葉を切り、戻した。「小櫻ちゃん、よく考えてるわね。」
ソフィアはようやくこの一連の音に起こされ、ぼんやりと片目を開け、第一声が直接中国語だった。「……デザートは?」
「ないわ。」薇が答えた。
「……?」
「あなたが夢の中で注文したのよ。」
「何?」
「戻ってから説明するわ。」
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下山は上山より楽で、土の道がゆっくりと砕石へ、砕石が再び石畳へ戻り、山辺の風が正面から吹きつけ、数人の背中の汗を一路乾かしていった。ソフィアは歩きながらまだ目をこすり、頭の中のものがまだ完全に収まっていないようだった。彼女は大体十分ほど歩いた。おそらく土の道が終わり、砕石が始まるその区間だった。彼女の足が突然止まった。その停止で彼女の外套の下襟が風の中で半回転余分に揺れた。
「……待って。」
薇が手を背中に回したまま自然に彼女の隣で止まった。「ん?」
ソフィアは眉を寄せ、一本の指を上げて空中で少し描いた。まるで水の中から飛び出してきたばかりの魚を捕まえようとしているかのようだった。「あなたがさっき言った、あの……夢の中で注文した……何?」
薇の笑みがあまりにも余裕で、その余裕の中で一本一本の歯が光を閃かせ、人がもう二度見したくなるものだった。「デザートよ。」
「どんなデザート。」
「あなたが自分で言ったのよ。クリームはいらない、いちごはいらない。」
「私はいつ」
「夢の中でよ。」
ソフィアはそこに立ち、頭がまるまる三秒かけてこの情報連鎖を処理した。私は夢の中で話した → みんな聞いた → しかもしかも筆記本に書き留められた。彼女の目はこの三秒の間にゆっくりとぼんやりから恐怖へ、恐怖から「私は終わりだ」へ変わっていった。その三秒の間に彼女の首の付け根の皮膚がゆっくりと熱を持ち始めた。
そして一秒、褐色の皮膚全体が首の付け根から髪際まで一気に赤くなり、その熱は肌の色を隔ててもわかるほどで、彼女の外套の襟口がきつくなったように感じられた。
「¡¿QUÉ COÑO?!」
二番目の文がすぐに中国語へ切り替わった。「あなたたち聞いたの?」
三番目の文が薇の余裕たっぷりの答えだった。「一言一句。」
四番目の文でソフィアは直接英語へ飛んだ。「¡¿EVERYTHING?!」
「あなたは訂正もしたわよ。」八千代が笑いながら一言補った。「クリームをやめると。」
ソフィア:「……」
「後はいちごよ。」
ソフィア:「……」
「全部夢の中の食べ物の好み、重要な情報よ。」薇が非常に真面目な顔で頷き、まるで学術報告を転述しているかのようだった。その頷きで彼女の胸の布地が軽く動いた。
「薇」ソフィアが一字を絞り出した。
「ん?」
「私は今夜部屋を替える。」
「いいわよ~」薇が超早く答えた。
「私はノートを持ってる人と同フロアに住まない。」
「替えないわ。」薇はまた答えを変えた。
「どうして。」
「私のノートが動かせないの。」
ソフィアは直接スペイン語で一連の、どの教科書にも載っていない罵りの文型を吐き出し、前後およそ二十の音節、速く、響きがあり、リズムがあり、まるで点火された爆竹の一連が彼女の口から転がり出た。薇は聞きながら真面目に頷き、一音節落ちるごとに彼女の顎がそれについて動いた。まるで本当に筆記しているかのようだった。団長が前を歩き、無表情で、肩に担いだ本の山が少し揺れた。彼自身は振り返らなかったが、耳先が笑いを堪えているのがわかり、その堪え笑いで彼の肩の筋肉がわずかに張った。小櫻ちゃんが後ろで胸に残りの二冊を調整し、ソフィアの論理には全くついていけなかったが、それでも一緒に笑っていた。自分が何を笑っているのかわからず、純粋に雰囲気に感染した。その笑いで彼女が本を抱く姿勢が少しきつくなった。
ソフィアが最後の音節を吐き終え、顔を向けて八千代を見た。その視線に最後の一点の生存欲が残っていた。「八千代! 少なくともあなたは私の味方でしょう?!」
八千代は笑いながら袖口から一粒の飴を取り出し、差し出した。その指が伸びたときに袖が小腕へ滑り上がり、半寸の皮膚を露わにした。「……道中、一粒食べなさい。」
彼女は手を伸ばして飴を受け取り、包み紙を剥いて口へ押し込み、二度噛んだ。その二度の咀嚼の中で、飴が舌の上で溶け、味がようやく彼女の味覚に追いつき、その甘さが彼女の頰をまた少し熱くした。
「……これ、いちご。」
「そうよ~」八千代が超甘く笑った。
「夢の中で拒否したやつ。」薇が後ろから笑いながら一刀加えた。
「¡PUTA MADRE!」
山道の下半分の視界が最後の曲がり角を回ったあと、一気に全体が開けた。前方は緩やかに下へ傾斜する開けた草地で、草の先が山風に一波一波押し倒され、また弾み、遠くの山下の町の輪郭が午後偏りに金色の光の中で浮かび上がっていた。屋根、煙突、そしてあの斜めに傾いたギルドの看板。
「私、決めた。」
小櫻ちゃんの声が隊列の後方から突然現れた。その声で彼女の胸に抱えた本の山までが一緒に震えた。
四人がほぼ同時に足を止め、振り返った。彼女の胸に抱えた四冊の教材はまだ下ろされておらず、髪先が風に吹かれて跳ね上がり、目が輝いて、人が一歩後ずさりしたくなるほどだった。その輝きは灯りのような輝きではなく、内部に何かが灯されたような輝きで、とても危険な輝きだった。
「今夜、私は徹夜する。」
「あなた」
「私は今夜全部一巡読む。」
「一巡?」薇が片方の眉を上げ、目を小櫻ちゃんの胸に抱えた本の山から背中のバックパックへ一路掃き、総体積を推算した。その視線が掃いたときに小櫻ちゃんの顎が軽く縮んだ。「あなたは少なくとも二十冊持ってきたわよ。」
小櫻ちゃんの語気が突然、ある種の非常に真面目な、まるで学術発表をしているような精密な抑揚に切り替わり、休止の位置さえとても標準的だった。「第一巡でまず全体の枠組みを築く。第二巡で戻って重点をマークする。第三巡でノートを写す。遅くとも明日の午後には初步の分類を整理できる。」
薇が二秒沈黙し、顔の笑みが一つの非常に微妙な位置で固まり、そして彼女は非常にゆっくりと顔を向けて八千代を見た。その振り返りで彼女の首の側面の線が特に長く引かれた。
「彼女は何を言ってるの?」
八千代の笑みは淡く、銀粉色の髪が風の中で軽く漂った。その笑みはすでにすべてを評価し終え、止めることを決めず、純粋に楽しんでいる種類の笑みで、彼女の目尻のグラデーションの色をまた少し深く浮かび上がらせた。
「学術計画よ。小櫻ちゃんは学術計画を立てているの。」
ソフィアが横でこの段のやり取りを聞き終え、顔のさっきようやく引いた赤が、ある種の非常にソフィアらしい理由でまた半階分上がった。彼女はおそらく我慢できなくなったのだろう。最後の一点の包み紙を剥がし、いちごの飴を口へ押し込んで含み、頰を片側に膨らませ、そして冷たく一言補った。
「OK、じゃああなたは寝ないで。私は明日の朝食を静かに食べたい。」
「私は静かにする。」
「あなたは本を読むのが静かじゃない。」
「……する」
「あなたは今いびきかいてるじゃない。」
小櫻ちゃんは全身を半秒固まらせ、頭の中が明らかにさっきいびきをかいたかどうかを遡っていた。そして彼女は非常に正直に少し考え、認めた。その認めることで彼女の耳がまた一回り赤くなった。
「それは私が興奮してるから。」
団長がさっと小櫻ちゃんの胸から一番上の何冊かの一番厚い教材を引き抜いてバックパックの中へ入れた。
薇はその小さな細部を見て、無言だった。しかし彼女が小櫻ちゃんの横へ滑り込む速度は普段のだるさよりおよそ三割速く、肩を小櫻ちゃんの方へ軽く寄せ、声を低くした。
「団長、今夜はあなたが面倒を見てあげなきゃいけなさそうね~」
「どうして?」小櫻ちゃんは全くフックを受け止めなかった。
「徹夜の人はたいていおやつとお茶が必要なのよ。」
小櫻ちゃんは少し考え、眉を寄せてまるで本当に計算しているかのようだった。その計算はおそらく「 おやつを今夜の補給計画に入れるかどうか、誰が提供するのがより効率的か」といった小櫻ちゃん式の問題で、三秒後に彼女は結論を出した。
「……私は自分で持ってくる。」
薇は笑いながら「うんうん~、私もそう思うわ。」
小櫻ちゃん:「……え、薇姉、あなたは何を笑ってるの。」
薇:「別に~」
小櫻ちゃんは首を傾げ、頭がわずかに左へ傾き、髪が鎖骨の上のその截の隙間を滑った。彼女は真面目に、非常に真面目に、三秒考え、眉が寄ってまた緩み、目を二度瞬きした。三秒後、彼女はこのわからない問題を別のフォルダに一旦置いておくことを決め、注意力を自分の力で胸に抱えた本の山へ引き戻した。その首を傾げる動作で、彼女の鎖骨の上に露わになった皮膚が陽光の下で一瞬閃いた。
薇は彼女のその首を傾げる角度を見て、顔の笑みは引かず、それ以上掘り下げもしなかった。
視界が足について下山を続けた。町の屋根がますます近くなり、遠くから鶏の鳴き声が聞こえ、二声、三声、そしてどこかの家で鉄器を叩く鈍い音、井戸端で水を汲むバケツのぶつかり合う音、煙突から出る煙が空気の中の味を一巡り変え、薪を燃やす木の匂い、焼くパンの焦げた香り、誰かの午後に煮込んでいるあの鍋の煮込み肉の湯気。知覚範囲がゆっくりと返されていくようだった。陽光はすでに金黄色に偏り、一人一人の影を長く引き、その影が地面で揺れるとき足について同期し、まるでこっそりもう何度か見つめているかのようだった。
ギルドの看板が最後の曲がり角を過ぎると見えた。あの何年も掛かっていた、左下の角に一本の斜めの亀裂があり、歴年の大雨に流されて字跡が少し褪せた木の札が、夕陽の下で一瞬揺れ、縄がとても小さな、まるで帰ってきた人に挨拶するかのような「きし」という音を立てた。
ギルドの門口の猫――いつからかギルドの非編制メンバーになっていた灰色のぶち猫が、一行が遠くの曲がり道から出てくるのを見たとき、門の段からゆっくり、ゆっくりと伸びをした。前脚を前に押し、尻を上げ、尾の先が一瞬揺れ、そして慌てず騒がず立ち上がった。これは牠が五人に対する最大の敬意だった。牠は一番前の団長を一瞥し、また後ろの、本を抱えて妊娠したかのような小櫻ちゃんを一瞥し、喉の奥で極めて短い、確認し終わったあとのゴロゴロという音を発し、そしてまた尻を下ろして門の段へ戻って座った。そのゴロゴロで空気に少し暖かさが加わった。
「ただいま~」薇が肩にいつしか付いた草の屑を軽く叩き落とし、また手腕を返して袖口の土を少し見て、気にせず払った。その払う動作で彼女の袖が小腕へ滑り、皮膚を露わにした。
「ただいま。」八千代がもう一度繰り返し、語気が薇より安定し、まるでこの二文字を軽い位置から一格下へ押し下げたかのようだった。その繰り返しで彼女の喉が軽く動いた。
ソフィアは返事をしなかった。彼女はギルドの門口まであと三歩の距離で、足が突然緩んだ。鼻をあの馴染みのある、ギルドの厨房が朝から火を消していなかった煮込みの匂いの中へ深く吸い込んだ。玉ねぎが炒められてキャラメルに近づいた甘い匂い、一朝中煮込まれた肉のスープの匂い、そしてギルド特有の、厨房の木があまりに多くの油煙を吸い込んだあと自分で発する匂い。彼女の顔の、朝からずっと張りつめ、山道に引きずられ、三人に交互に刺し通された警戒が、彼女が息を吸ったのと同時に全体が緩み、肩が下へおよそ一センチ落ち、口に含んでいたいちごの飴が無意識に歯の間に押しつけられて砕け、砕ける脆い音が彼女の口の中でとても軽い「こつ」と鳴った。彼女は言葉を発せず、ただそこに立ち、その息をゆっくりと吐き出した。ソフィアがこの場所を信じ始めたわけではなく、この場所がすでに彼女にとって、身体が思考しなくても識別できる一種の匂いになっていたからだった。その吐息で彼女の胸の布地が軽く緩んだ。
そして彼女が吐息をしたのとちょうど同じ秒に
「私は部屋に入る」小櫻ちゃんはすでにギルドの門口へ駆け出していた。胸に抱えた本がダッシュで彼女に抱え直され、一番上の本が少し滑り落ちそうになり、彼女は顎で一度押し上げてそれを押さえ、足は止まらなかった。そのダッシュで彼女の全身の布地がきつくなった。
「飯を食べてから上がりなさい!」ソフィアが後ろで叫び、声の中の「あのさっきようやく緩んだ」気が一瞬で戦闘態勢へ引き戻された。
「持って上がる」
「小櫻ちゃん、」八千代が後ろから非常に優しく言った。「ご飯を食べてからじゃないと二階へ上がれないわよ。」
気圧が少し変わり、小櫻ちゃんの足が一瞬で止まった。まるで見えない手に肩を押さえられたかのようだった。彼女は背を皆に向け、敷居の前に立ち、胸に抱えた本を再調整した。その調整の動作は非常に細かく、彼女がさっきダッシュで緩めた抱え方をもう一度引き締め、きつくして、本の角が彼女の外套の布地に突き刺さり、小さな先端を押し出した。そのきつい抱え方で彼女の呼吸が本の頁の縁に貼りつき、一息吸うごとに、一番上の本の表紙がそれについて上下した。
「……わかった。」
ギルドの門口の猫が門の段で顔を上げて彼女を一瞥し、また目を細め、立つつもりはないようだった。その目を細める様子は、まるで牠も何かを少し理解したかのようだった。
夕食が終わる時間は普段より半時ほど遅れた。理由は食事ではなく話題でもなく、小櫻ちゃんにあった。彼女は最初のスープからずっと座っていられず、全身の重心が椅子の前縁に偏り、足先が一下一下卓の脚の横木を叩いていた。その叩くリズムが後ろへ行くほど速くなり、まるで彼女の頭の中の一山の本の頁が今めくっている速度を、彼女が足先で再生しているかのようだった。彼女が最後のスープを吸い込んだその瞬間に、スプーンが碗の縁を擦って短い「しゅ」という音を立て、すぐに彼女のその椅子が後ろへ押しやられ、彼女は立ち上がった。夕方に抱えて帰ってきた教材のその一摺が、彼女の小さな胸の前で彼女の顎より高く積み重なり、一番上の本の表紙の先端が彼女の顎の下に突き刺さっていたが、彼女は気を取られて調整すらしなかった。全員がそのまま本を抱えてまっすぐ階段へ駆け出した。そのダッシュで彼女の全身の布地が肌にぴったりと張りついた。薇が後ろからスプーンをスープ碗へ戻し、頭もまだ上げずに追いかけて叫んだ。「明日、私に見せて、あなたが何を整理したか。」小櫻ちゃんの「わかった!」は一文字の長さしかなく、後半はすでに階段の角に飲み込まれ、足音すら彼女のその息の尾に圧しつけられ、階段全体がまるで彼女一人に巻き取られたかのようだった。
ソフィアは小櫻ちゃんが消えた方向を二秒黙って見てから、頭を下げて自分の目の前の卓に残った碗皿を少し見、鼻から静かに息を吐いた。その息が長く、今日城に入ってから胸に積もったあの層の細かい埃を一度に吹き飛ばすかのようだった。彼女は椅子を後ろへ押し、立ち上がるときに手で卓の縁を少し支え、支えるときに肩が半分崩れ、次の秒にまたまっすぐに戻した。彼女は薇と八千代に多くは言わず、ただ一言「私は先に湯を沸かしに行く」と言って、振り返って厨房へ向かった。彼女は風呂に入りたかった。山道で一日中ついた埃、汗、飴の包み紙の屑、そして一路ある青髪の小僧に弄ばれて頭皮が痺れるほどの残りの熱を、全部身体から洗い流したかった。その後ろ腰を押す動作で彼女の腰の線が歩くときに少しはっきりした。
ギルドの階段は一歩ごとに「ぎし」と鳴る古い木の構造で、昼間は誰もこの音に注意を払わず、夜中静かになると一階一階が聞こえ、「ぎし」一音、また一音、足の裏が前の段の木板を離れるときの細かな反響が階段井の中で半秒揺れてから飲み込まれた。団長の足音は速くもなく遅くもなく、一階一階上へ向かった。
小櫻ちゃんの部屋の扉は閉まりきっていなかった。扉の隙間の下から暖かい黄色の灯りの筋が漏れ、その光が廊下の床に短い黄色の線を引いていた。
彼がその光の線の辺へ着いたとき、足を緩めた。
扉の中からとても微かな音が聞こえてきた。書頁がめくられるさらさらという音、クレヨンが紙の上に線を引くちゃちゃという音、そして彼女自身が無意識に発している、意味のないただリズムだけの「んん」という音。彼女が真面目なときに喉から漏れるあの気音で、まるで彼女自身が本の中のものと対話しているかのようだった。
彼は扉の辺で二秒止まった。扉の隙間は普段より少し大きく、およそ三指幅で、この角度から部屋の一角が見えた。書桌の一角、一つの油灯、小櫻ちゃんの肘。彼女の肘が動いていた。つまり彼女はまだ何かを描いているということだった。
団長は扉を押さなかった。ただその灯りを一瞥し、またその扉の隙間を一瞥し、そして
「……まだ起きてる?」声は高くなく、ちょうど今集中している人に聞こえる程度で、彼女を驚かせることはなかった。
中からの「んん」という音が一秒止まった。
団長が言った。「寝る前に灯りを大きくしすぎないように。」
「わかった。」
小櫻ちゃんは頭を引っ込め、扉がまた「ぎし」と一つ閉まった。
彼は一秒見た。そして自分の部屋へ向かった。




