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「……それで、あたしに何の用だい」
ドカッと壁際にあった椅子に女は座る。手持ち無沙汰のようで、指を組んだり、あるいは腕を組みなおしたり、いろいろ忙しいようだ。
「ここから逃がしてほしい。あなたならできるという話を、昔聞いたんだ」
「……高くつくけども、いいかい」
「ああ、もちろん」
まるで得物を見る狩人のように、品定めをする。
「さっき言った寄付の話だがね、あれをよこしてくれたらいいさ。1メルともまけはしないからね」
メルはメルタムの略称だ。ようは値引き交渉は応じないと言いたいらしい。




