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「ここだな……」
男はつぶやく。政府建物は6階建てで、周りはそれよりも3階分は低いものばかりだ。当然、政府側が見やすくしているということもあるし、威圧感を与えるため、ということもあるだろう。
「……やあ」
そこに、声をかけてくる人が一人。男はその人物を見るなり、すこし周りを気にするそぶりをしてから、声にこたえた。
「これはどうも。どうですか、最近の状況は」
「商売のほうはまあまあ進んでいますよ。ただ天気次第なところはありますね」
来た人物は地面に足を使って、立ち話をしながらも上半分の楕円を描く。わずかに考え、男もそれに答えていった。
「明日は雨にでもなるという話ですな。雨になると人も来ますまい」
楕円につながるように、同じような下半分の楕円を付け加えていく。
「そうですか。ならば明後日に期待しておきましょうか」
もう一人はここでようやく楕円の真ん中を切り裂くように一本線を引いた。そしてこれを確認したがいに目配せをしてすぐに図形を足を使って適当に消し去っていく。




