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断罪された聖女ですが幼なじみの聖騎士と他国で幸せに暮らします  作者: 小兎


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10/11

10 新居


それから数週間後。


喧騒を離れた王都の端、緑豊かな丘の上に、私たちが選んだ小さな家がありました。


「ホリー、こっちの窓からは聖堂の鐘が見えるよ。君が気に入っていた景色だ」


セイドリックが、まだ荷解きも終わっていない居間で、背後から私を優しく抱き寄せました。


「ええ、本当に素敵。セイドリック、夢みたいだわ。あんなに冷たかった場所から、こんなに温かな場所に辿り着けるなんて」


私が振り返ると、そこにはかつての「鉄の規律に縛られた聖騎士」の姿はありません。

今、目の前にいるのは、一人の愛する男性としての、甘く蕩けるような眼差しを向けてくれる私の夫です。


「夢じゃないよ。これからは毎日、この景色を二人で見よう。……もう、誰にも邪魔はさせない」


セイドリックは私の額にそっと唇を寄せ、さらに腕の力を強めました。

彼の体温と、窓から吹き込む爽やかな風が、ここが私の新しい居場所なのだと教えてくれます。


ドゥシヨモネ王国で冷たい言葉を浴びせられ、絶望の淵にいたあの日。その先に、こんなにも穏やかで、愛に満ちた時間が待っているなんて想像もしていませんでした。


「ねえ、セイドリック。私、今とっても幸せよ」


「私もだ、ホリー。君が隣にいてくれるだけで、他に何もいらない」


私たちは見つめ合い、どちらからともなく微笑みを交わしました。


「夢じゃない。これからは毎日、俺が君の隣でそれを証明し続ける。……まずは、このキッチンで君に美味しい朝食を作ることから始めようか」


私の不安を溶かすように、セイドリックはそう言って優しく微笑みました。


彼は私の手を取り、白い指先に輝く銀の指輪――二人の誓いの証――の上から、何度も、何度も、慈しむように口づけを落としました。


「ふふ、騎士様がお料理? じゃあ、わたしもお手伝いしますね」


私が袖を捲ろうとすると、セイドリックはそれを優しく押しとどめました。


「いいや、今日は座っていて。君は今まで、あの国に尽くしすぎてきた。これからは、俺が君を世界で一番甘やかしたいんだ」


「あ……っ」


驚く間もなく、彼は私を軽々と横抱きにしました。

ドゥシヨモネ王国から脱出したあの時と同じ、逞しくて安心する腕の中。

でも、今の彼の瞳には、戦うための鋭さではなく、私だけに向ける深い情熱が宿っています。

セイドリックは私を抱えたまま、日当たりの良い柔らかなソファへと運び、まるで壊れ物を扱うようにそっと降ろしました。


「セイドリック、恥ずかしいわ! 護衛騎士の皆さんが外で荷物を運んでくれているのに……っ」


顔が火照るのを感じながら私が抗議すると、セイドリックは悪戯っぽく口角を上げました。


「彼らには後でたっぷりと酒を振る舞っておくよ。今は、俺と君だけの時間だ」


そう言って私の頬を優しく撫でる彼の指先からは、隠しきれないほどの独占欲と、それを上回る深い慈しみが伝わってきます。

窓から差し込む柔らかな光の中で、私たちは新しい生活の香りに包まれていました。


「……大好きよ、セイドリック」


私が腕の中で小さく囁くと、彼は「俺もだ、ホリー。命に代えても君を幸せにする」と、誓いのように返してくれました。




聖教国での新居に引っ越して、初めて迎える夜。

窓の外では、穏やかな夜風が庭の木々を優しく揺らし、遠くから聖堂の鐘の音が微かに響いてきます。

新居に灯された魔導ランプの柔らかな光が、まだ荷物の少ない室内を暖かく照らしていました。


「ふう……。やっと、落ち着いたわね」


窓を閉めようと手をかけたその時、背後から逞しい腕が回され、私は温かな体温に包み込まれました。


「……やっと、誰にも邪魔されない夜だね、ホリー」


耳元で囁くセイドリックの低い声。肩に顎を乗せて私を閉じ込めるその仕草には、昼間の凛々しい騎士としての姿はどこにもありません。

今の彼の声には、私を片時も離したくないという、隠しきれない独占欲と熱い情熱が混じっていました。


あまりの密着感に、心臓の音が外まで聞こえてしまいそうになります。


「セイドリック……?」


「この数日間、皆がいて賑やかだったけれど……俺は、早くこうして君を独り占めしたかったんだ」


首筋に触れる彼の吐息が熱くて、私は言葉を失ったまま、ただ彼の腕の中で幸福な鼓動に身を任せていました。











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