ep3 四条護香
「第4回試合開始」
さて、まずは様子見から入ろう。相手の武器は棍か。珍しい。
「はっ!」
―彼女は踏み込む。だが当たらない。戻る。
反対、彼は詰める。拳の一撃。受けられる。両者拮抗。
(やるな…だがまだ様子見だ。これは相手も同じ。)
―彼らは見合う。隙を探し突くために
「動かないならこちらから行く」
―同じく拳の一撃。だがそれは読まれている。避けられる。
反撃、一撃入る。彼は後退。
(一撃入れられたか…かなり強い。紫髪なんて呼び方は悪いな)
「お前名はなんだ」
「名前?聞きたいのなら先に名乗りなさい。それがマナーってものじゃないかしら?」
「それもそうか。俺は扇真だ。」
―大魔王に名はない。偽名である。
「扇真ねぇ。私の名は四条よ。四条護香」
「そうか。四条。戦いを再開しよう」
「元からそのつもりよ。」
―突如扇真は踏み込む。狙いは鳩尾。
(貰った)
―その時四条が能力を使う。
「なっ、!」
―驚き。それもそのはず。反応も出来ていない状態なのに当たったはずの攻撃が外れた。
「ふふふ。驚いているのね 無理もないわ。」
「何をした」
「手の内を自分から晒す馬鹿がどこにいるのよ」
(何をされた。確実に当たっていたはずだ。何かに曲げられたような感覚だった)
―四条護香。彼女の能力は『護身』。発動中はどんな攻撃でも避ける。対象は1人。
(これが噂に聞く能力とやらか。想像以上だ)
「あら?もう終わりかしら。なら今度は私からの行くわよ!」
―一閃。四条の攻撃が腹部に命中する。
「がっ、!」
(まずいな。こちらからは当たらず、相手からは当たる。何か抜け穴を見つけろ)
―その時扇真の脳内に1つの案が生まれる。
「どうかしら?貴方からは当たらず私からは当たる。勝ち筋なんて無いわよ?」
「そうかもしんねぇな。だが1つ試してみよう」
「何か案でもあるのかしら?」
(これが正解ならば攻撃は入れられる。)
―踏み込み。先程よりも速い。だが四条も能力を発動している。一撃目は外れる。だがその瞬間。0.1秒にも満たない時間でもう一撃。
(これで当たるか、!)
―ヒット。四条の体は端まで飛んでいく。
(一撃入った。これなら勝てる!)
―四条は飛ばされながらも体勢を整え、また扇真へ向かった。
「貴方今何をしたの?」
―四条の声には警戒が含まれている。
「お前が言ったんだ。自ら手の内を晒すわけないだろ?」
「それもそうね。なら次はカウンターを前提とするだけよ。」
「やってみろ」
―両者拮抗。扇真は大魔王の力を使えない。護りを重視し始めた四条には攻撃が当たらず。四条は守護の能力のため決定力に欠ける。
その時、四条が動く。
「能力解放『万物守護』」
―能力解放それは代償を元に一定時間能力を強化する力。代償は能力と時間によって異なる。
四条の『万物守護』は一時間程能力が使えなくなる代わりに全ての物に『護身』を付与し護る技、四条はこれを護身の上に護身を重ねるという荒業として使用。護身で護られた状態でぶつかることにより相手にだけ武器が当たりダメージを入れられる。戦闘中決め手として使える力。
(能力解放だと?聞いたことがないな)
「これで倒れなさい。」
―そして四条の連撃。扇真は一転防御に転じる。だがよろける。そこに…
「貰った!」
―四条による一撃。宙を舞う扇真。追撃。地面に頭から叩きつけられる。大魔王時代なら意味も成さぬ攻撃が大魔王の力を使えぬ扇真には効果覿面であった。
(っ、しくったか。久し振りに感じる気絶の感覚だ…な)
「第4回試合終了!」
作者のお話
この世界は今回のお話のように、能力を使った戦いがほとんどです。
※大魔王=扇真 これからは大魔王のことは理由がない限り扇真と呼びます。




