203 次は……
(ルーク)
【光の精霊王】
<絶対王者エリア(光)>
対象が一定以下のステータス値である場合、自動的に展開される光属性の防御バリア。
一定以上の攻撃値での攻撃以外、全ての攻撃を無効化する
「自動発動するバリアかな。……めんどくさ。」
「……お前もおかしいな。『人』の定義から逸脱している。」
エリオはそこでやっとアッシュの方へ視線を向け訝しげな表情をしたあと、また手を動かし指先をアッシュに向けようとしたが、それと同時にエリオの足元を狙ってレイピアを振ったのはセレンだった。
「ふざけた真似を……っ!!」
「…………。」
そのせいでエリオは手を降ろしたが、やはり光のバリアの様なモノでセレンの攻撃も防がれて届かない。
エリオは今度はセレンの方へ視線を向けて、やはり訝しげな表情を見せる。
「お前も……。一体どうなっている?────まぁ、いいか。」
無感情な目で二人を交互に見たエリオは、パチンッと指を鳴らした。
すると、突然そこら中に魔法陣が出現し、そこから白く輝く人間の手の様なモノが大量に出来て二人に襲いかかる。
【光の精霊王】
<”審判”の手>
光属性の魔力で創られた術者の手のレプリカ
自在に操ることができ、更にダメージを負わない限り無限に創り出すことができる
「うわぁぁぁぁ!!!光の手……手が……!」
「精霊王様になんて無礼なことを!!このままでは私達もっ!!」
「いやぁぁぁ!!まだ死にたくない!!」
教員達や他の生徒達は、最初何が起きたのか理解しておらずポカンとしていたが、エリオのスキル?で出したらしい手が大量に出現したことで正気に戻ったらしい。
アチラコチラで絶叫の様なモノが飛び交う。
「な、な……な、なんで!?なんでこんなことにっ!!」
そんな絶叫の中、リリスは原作にない展開に完全に取り乱し尻もちをついているし、ミザリー先生を始め、他の教員達も王族組も真っ青に青ざめていて固まっているしで、この場で動いているのは、エリオの出した沢山の白い手達と我が弟子達だけの様だ。
「……出遅れた。」
セレンはレイピアで白い手を弾きつつなんとか避けていて、アッシュに至っては攻撃を弾きながら反撃のチャンスを伺っているのが伺えた。
なぜ突然二人が攻撃をしたのか、それはエリオが俺を殺そうとしたからなんだが……。
「いやいや、何で急に俺を殺そうとしたんだ??」
先程向けられたエリオの指先には信じられない程凝縮した魔力が込められていて、それを俺の顔に向かって打とうとしていたのが分かった。
お、何だ何だ〜?
もしかして俺、喧嘩売られてる?
ハハハッ〜!と笑いながら、正当防衛パンチを打とうとする前に、アッシュにその役目を奪われてしまったのだ。
俺を殺そうとしたエリオに殺気は感じられず、サイレントに俺を殺そうとしていたのだが、そういったモノに敏感なアッシュ君はそれに気づいたらしい。
護衛スイッチオン!
普段は不真面目、だけどお仕事では意外に真面目な一面を見た!
その直後、セレンもそれに気づいたらしく、いつも真面目一本、冗談は基本通じないぞ☆なセレンまでも戦闘に参加。
こうして修羅場っぽいのが出来上がってしまったと、そういうことだ。
「とりあえず良い修行にはなっているし……もう少しこのままでもいいかね?」
少し迷ったが、周囲の様子を伺えば結構なパニックになっているので、ここいらで引いてもらった方が良さそうだと判断した。
それにさっさと終わってくれないと、俺達の青春が出遅れるだろ〜?
全く!と元凶である光の精霊王様エリオ様へと近づいていった。
「…………。」
するとエリオはそれに気づき、白い手を次々に俺の方へと向けて放ってきたが、優秀な弟子達がそれを全て弾き返してくれる。
そのお陰で俺はエリオの目の前に余裕たっぷりな様子で立つと、軽く握った手をゆっくりとエリオの眼前に近づけていった。
「……その手はなんだ?」
「んん〜デコピン♡」
俺がそういった瞬間、一瞬馬鹿にした様な目でエリオは俺を見たが、その顔の目の前で俺が軽く指を弾くと、大きく背をしならせ後ずさる。
「────っ!?」
「お、いい反応してますねぇ〜。」
さっきのブレア先生がやっていたのと同じ様に、空気を凝縮して打ってやったのだが、エリアは流石は精霊王というべきか、すぐに気づいてそれを避けたのだ。
「…………?」
目を僅かに見開いた後、俺を睨みつけたエリオはすぐに体勢を正し、白い手を俺に向かって伸ばそうとしたのだが────……。
────パリーン……ッ!!
白い手は、まるでガラスの様に次々と砕けては消えていく。
「────っ??!なぜ……?」
戸惑うエリオだったが、すぐに頬を伝う赤い液体に気づいたのか、それを手の甲で拭った。
どうやら俺の放った空気圧は、直撃は免れたようだが避けきれず、頬を少しだけかすっていた様だ。
その結果、エリオが少ないながらダメージを負ったことで、白い手のスキル?が解除されてしまったらしい。
俺は自分の弾いた指にフッと息を吹きかけて、意地悪そうに笑ってやった。
「弟子達が失礼してすまなかったな。二人ともそれはそれは優秀な護衛なんで、つい飛び出しちまったみたいだ。
あ、そうそう、そういや〜お前、精霊王様なんだって?
じゃあ、人間のルールってのを知らねぇみたいだから、一つ教えておいてやるよ。」
「ダメージ……?この私に……?」
手の甲についた自分の血を見つめボソボソと呟いているエリオに向かい、今度は人差し指を近づける。
すると自動的に光のバリアが張られたが、それを突き破りエリオの額を突く。
「『やったらやり返される』。人間はよ、基本は同じモノしか返さねぇんだ。
優しさには優しさを。誠意には誠意を。そして……殺意には殺意を。
一応これから人間と関わるつもりなら覚えておけ。
あぁ、ちなみに俺は、100倍返しが基本だからな〜。やるつもりなら覚悟しろよ?」
「…………。」




