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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第七章【召喚の儀式編】

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202 光の精霊王

(ルーク)


やはり脳裏に浮かんだのは、ジョアンの父親の契約モンスターのヘビで……苦笑いしながらその妄想を吹き飛ばしていると、とうとうリリスの出番がやってきた。


「では、リリス様、どうぞ魔法陣の前へ。」


「は〜い♡」


リリスは元気よく返事をし、その後はオズオズ……と自信なさげに魔法陣の前に立つ。

その姿を見てセレンは鼻で笑い、アッシュから感情が消えたが、俺は菩薩の様な笑みを浮かべて見守った。


原作のストーリー通りなら、ここで────……。


あらかじめ結果を知っていた俺は、突然魔法陣がカッ!!と光り輝いたのを見ても動揺はしない。

しかし周りはそうではなかったらしく、突然今までにない光が魔法陣から発したのを見て一斉に声を上げた。


「なっ……なんだ!!」


「まさか召喚が……成功した?!」


「一体なんのモンスターが……!」


全員が驚愕に目を見開く中、リリスはニヤッと口端を一瞬上げたが、すぐに「きゃ〜!」と悲鳴を上げて両腕で顔を隠す。

そして「何?!この光は!」というゲームの中のリリスと全く同じセリフを言った直後、今度はバチバチバチ!!と小さな雷の様なモノが空間中を走り回り、そのせいで周りの生徒達からは悲鳴が聞こえ始めた。


「────くっ、これは普通の召喚ではないぞ!」


「…………っ。」


オーティスとエヴァは、召喚に成功したのを見たことがあったのか、恐らく今までとは違う反応にビックリしている様だ。


そりゃそうだ。なんたって召喚されるのは────……。


次第に雷は魔法陣に吸い込まれる様に消えていき、魔法陣の上に光が集まって形を形成していく。


「ひ……人……?」


「あのお姿は……まさか……っ。」


光が収まっていき、そこから姿を現したのは、それはそれは美しい外見をした青年だ。


白く輝く白銀の髪に、透明感のある白い肌。長くて白いまつ毛は伏せられていて、その奥には金色の瞳がまるで宝石の様にキラキラ光っている。

人間味を感じないその外見と、全く何も感じられない静かな存在感は、生きているモノと認識するのが難しい。


ヤツこそ、七大精霊王の中でも最強と言われている光の精霊王────<エリオ>だ。


「あ、貴方様は……っ。」


最初にその正体を察したのは、ミザリー先生で、すぐにその場に跪く。

するとそれとほぼ同時にオーティス王子とエヴァ王女も気付いたらしく、すぐにその場に跪くと、他の教員達や生徒達も全員が同じ様に膝を床につけた。


「まさか精霊王様がこの外界に召喚されるなど……コレは奇跡です!

聖后、リリス様!アナタこそ精霊に愛されし奇跡の愛し子でございます!」


「えっ……?私が、愛し子……?」


リリスはとてもビックリした様子でおどおどしながら、エリオを見上げた。

これこそが、リリスとエリオの初めての出会いのシーンだ。


「まさか光の精霊王を召喚するとは……。流石に驚きました。」


セレンはリリスに対していい思いはない様だが、一応精霊神をリスペクトしている孤児院出身のためか、感動はしている様子だ。

しかしアッシュの方は毛ほども興味もましてや尊敬する気持ちもないようで、早く終わらないかな〜と言わんばかりにそっぽを向いていた。


アッシュぅ〜……。まぁ、気持ちは分からんでもないけどな!


精霊王やら精霊神やら、正直ピンとこない地球出身の俺としては、『とりあえず、おめでとう。』くらいしか感動がない。

だから、同じく興味なさげにボンヤリ突っ立っていたのだが、それに気づいた周りの貴族令息や令嬢達が、『無礼者!』と言わんばかりにキッ!と睨みつけてきた。


ハイハイ、分かりました〜。

俺達も跪きますよ〜。


どっこらせっとその場に座ろうとした瞬間────……まるで瞬間移動の様な速さで、エリオは俺の前までやってきた。


「?」


えっ?なんだ?コイツ、突然近づいてきたぞ?


結構な速さだったためか、周りの奴らはその動きについてこれず、一瞬でリリスの前から消えたエリオを探しキョロキョロしていた。

俺にはそんなエリオの動きが見えていたので、『コイツ、もしかして人の距離感が分からない系の人じゃね?』などと呑気に考えていたが、その目には明確な驚きの様なモノが見えてこっちも驚かされる。


「────お前……『何』だ?」


「────はぃ???」


低音イケメンボイスで突然話しかけられビックリ。

しかもその内容が意味不明だったから、更にビックリだ。


「いや、何って言われても……。」


「…………。」


困ってしまって汗を掻く中、やっとエリオを見つけることができた周りの奴らは、目を大きく開いたまま俺達を凝視している。

セレンとアッシュも驚いたらしく、ピリッとした緊張が後ろから漂ってきた。


……どうなってるんだ??


『君はとても清らかで美しい魂を持っているね。君が何を望み何を成すのか、それを見届けたい。』


それがエリオが召喚されて初めて口にする言葉のはず。

それなのに、なんか知らんが間抜けな一言になっちまったぞ?


リリスの方へ視線を向けると、やはりリリスもわけが分からないと言わんばかりに、口をぽかーんと開けてエリオを見ていたが、突然エリオから妙な気配を感じ意識はそっちへ。

エリオは無表情のまま右手をゆっくりと上げ始め、更にピンと伸ばした人指し指を俺の鼻先に向けてきたその瞬間────……。



────ガッ!!!!!



アッシュの本気の蹴りが、エリオの顔に炸裂した。


「────ふざけるなよ、このクソ野郎。」


アッシュの顔にはいつもの余裕はなく、本気で殺意を抱いているのが分かる。

そんなアッシュの本気の蹴りは、常人ならとっくに首が吹っ飛んでいると思われるが……。


「…………。」


「────っクソッ!」


まさに電光石火な攻撃にも関わらず、エリオはピクリとも動かず平然とした様子で立っている。

それとは逆にアッシュはかなり苛立っている様子で、更にもう一発、反対の足でエリオの顔を狙ったが同じくエリオは微動だにしない。

それを見たアッシュは、すぐに俺の首根っこを掴み、後ろへ大きく飛んで距離を取った。


何故エリオが平然と立っているのか、それはアッシュの足がエリオの顔に届いていないから。

エリオとアッシュの足の間に、正体不明の光のバリアが張られていて、それが邪魔をしているからだ。


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