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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第五章【入学院テスト編】

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131 主人公ポジ?

(ルーク)


セレンは後略対象であるアッシュと、今後も行動を共にする事が多いはず。

つまり、セレンもそのイジメの対象になるのでは……?


サァ〜……と血の気が引いていくのを感じながら、心の底から心配する。

────イジメをする女子生徒達の方を。


「……セレン、例えイジメてくる相手でも、少しは優しくする努力はした方がいいかもしれない。

ほら、どこか良いところもあるだろうし……。」


「……申し訳ありませんが、これからアッシュに優しくする事はないです。絶対に。

良いところは、一つもありません、残念ながら。

全力で叩き潰します。ご了承下さい。」


俺に申し訳なさがあるのか、困った顔を見せた後は、アッシュへと視線を戻してそれはそれは殺意に満ち溢れた目で睨んでいた。


セレンを変えるのは無理。

なら俺が見張るしか……。


青春に少しだけ亀裂が入った様に思えて、ズンッと重たくなった心のまま肩を落としていると、アッシュもセレン同様、試験官から木刀を受け取る。


「剣は使った事ほぼないけど、あえて苦手分野で勝つ方がダメージが大きいよね。

刈っては出て、引きちぎっても出て……最後は大地全てを覆い尽くす碌でもない雑草は、定期的に刈らないと。

真っ直ぐ伸びる雑草は、本当に邪魔なんだよね、鬱陶しい。」


「ざ、雑草??」


なんだなんだ??

アッシュが突然庭師みたいな事を言いだした!


ハテナマークを飛ばす俺の横で、セレンがフンッ!と鼻で笑う。


「温室育ちの派手で下品な花は可哀想だな。お世話されないと生きてはいけないから。

そろそろルークに迷惑を掛けるのは止めるんだな。

雑草が1番好きだとルークは言っていた。」


「は??お、俺??」


俺、花なんて育ててない。

それに俺は育てる才能が皆無で、直ぐ花を枯らしてしまうから、多分雑草が一番いいんじゃね?って言っただけだ。


「…………。」


「…………。」


無言で睨み合う二人の間には激しい火花が散っていたので、とりあえずセレンの目元を隠しておいた。


「────では、始め!」


試験官の開始の合図を受け、アッシュは特に構える事もせずに動きもせず……。

それを見た試験官や受験生達は、『魔法特化だったのか〜。』などと安心していたようだが────?


ズガンッ!!!


突然凄まじい打撃?音が的の方からして、そのまま人型人形が衝撃に大きく仰け反るように揺れる。

動いた人形を見て、全員言葉もなくその様を見つめた。


「……えっ、な、なに??」


「凄い音が……?えっ?なにが起きたの……?」


異常な程サイレントな剣の横振り攻撃。

攻撃の余波すら感じさせぬ攻撃は、その場に衝撃と恐怖を与えたが……それに浸る暇もなく、遅れて波紋の様な衝撃波が人形を中心に発生した。


「…………っ。」


「────ひっ!!!」


わけも分からず突然襲ってきた衝撃波に、今度は全員腕を前にして防御態勢を取る。

中には膝を付く者達もいる中、そこでやっとアッシュが的を打った事に気付いた様だ。

受験生達は言葉無く的を見つめ、試験官の方も同じく無言で的を見つめていたが、やがて『計測不能』と描かれたプレートを見て滝のような汗を流した。


「ア、アッシュ……そ、測定不能……。」


『気がつけば終わっていた。』

そのせいで、全員が狐につままれた様な顔でアッシュを見つめる。

そんな中、震える声で告げる試験官に、アッシュは木刀を返して俺達の元へと戻って来きた。


「ま、こんなモンかな。ド派手に打つのは下品というか、一々派手な攻撃はちょっと……ね?戦いは常にサイレントが基本だからさ。」


「……カッコつけたがりのスカしたスポンジ男が。中身がスカスカだから気配がないだけなんじゃないか?」


喧嘩を売る。そして買う。

どうしてこの二人って、揃うとこんな喧嘩ばっかりするんだろう?


またポカスカと喧嘩を始めた二人を見て、ため息をもらしながら両脇に頭を抱えて物理的に離してやる。


まぁ、アッシュの方が強いのにこうして同レベルで喧嘩してるから、じゃれ合いというか……これが二人のコミュニケーションなんだろうけど。


俺を間に挟んでまだ掴み合っている二人を見ると、本当に小さな子供二人が喧嘩している様で……。

しかし、ここでフッと思うのは、『もしかして、これって有名なケンカップルってやつ?』だ。


……セレンが主人公ポジになってない?


殺意に満ちた目でアッシュの髪を鷲掴みにしているセレンは、とてもじゃないが乙女ゲームの主人公には見えないが、立場的にそうなってるぞ?


挟まれてわちゃわちゃしながら、ニッコリと微笑んでいる間にも試験は続き、やっと俺の名前が呼ばれたのはなんと最後。

そのためか、だらけたムードが受験生の中で漂っていた。


「あ、さっきの0点の人だ〜。」


「0点って凄いよねぇ〜。相当魔法が苦手だったのかな?

あ、でもグリード家だし……もしかして物理攻撃は得意なのかな?」


「でもさ、正直あんまり強そうに見えないよね。護衛二人の方は凄く強そうに見えるけど……。そもそもグリード家の当主様に似てないし、もしかして……。」


好き放題ヒソヒソする声を耳でキャッチし、口元を大きく歪めて笑う。


「よ〜し、セレン、アッシュ、見てろよ〜?俺の目立てるチャンスがやっときた。いっちょ、誰がナンバー・ワンか、教えてやるよ。」


「!はい!頑張って下さい。」


「……いや、ナンバー・ワンって、魔法0点だから無理だよ?総合点なら。」


アッシュが水を差すような事をいったので、脇から外れた瞬間、おでこをベシッ!と叩いて黙らせた。

そして意気揚々とリングの上に上がると、あきらかにだらけムードの受験生とは違い、結構な熱量で悪態をついてきたのは、サミュエル君だ。


「おやおや、アレは前代未聞の結果を残したルーク様ではないかな?

物理攻撃は少しはできるのだろうか。

まぁ、貴族の中には俺の様に実力の高い者もいますが、時に優秀な従者や護衛に全てをやらせ、その結果だけを手に入れる輩もいるのだとか……。

ハァ〜!私にはできませんねぇ!そんな恥知らずな事!」


ハハハッ!と笑うサミュエルは、取り巻きらしき受験生達と笑いあっては、こちらをチラチラと見てくる。


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