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天声だだ漏れ転生〜女神の温もりと共に〜  作者: 白銀鏡
【第二部】 第四章 力と共に
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第50話 癒しと力を携えて

第二部、完結となります。

まさか、マルクとは再び別れることとなりました。

色々ありました。

本当に色々ありましたが、カガミはギルバディアへと帰るのでした。


癒しと力を携えて。


どうぞ。

 命を賭して、仲間を救ったガンツ。

 そんな彼の想いを果たすため、マルクは再び、アリヴェルの地へと向かうことを決意する。


 その気持ちを汲んだ俺は、再会を約束し、笑顔で別れを告げた……はずだったのだが。


(はぁ……まいったなぁ、こりゃ)


 ため息が止まらない。


 朝日も昇り、ギルバディアを目指しつつも、俺は少しだけ後悔していた。


(“連れて帰る”って言ったんだけどなぁ……ルミナたちにはどう言い訳しよう……はぁ)


 果たせなかった約束に、さらにため息を吐いていると——。


『——えいっ!』


 明るい声と共に、マリラが姿を現した。


『おはよう。カガミさん』


(マリラ! おはよう)


 すっかり元気を取り戻した様子に、俺はほっと胸を撫で下ろす。


 だが、彼女は辺りを見回し、すぐに()()()()に気づいた。


『カガミさん……マルクさんは、一体どこに行ったの?』


 慌てた様子のマリラに、俺は事情を説明する。


 ——マルクは、友の願いを果たす為、故郷の地へ向かってしまったと。


『——なるほど……ルミナさんは寂しがるけど、それなら、仕方ないのかしら』


 望まない結果だったが、なんとか納得してくれた様子のマリラ。

 すると。


『それから……』

 

 後ろに腕を組んだ彼女は、微笑み、こちらを覗き込んでいた。

 まるで、何かを待っているように——。


 その意図に気づいた俺は、すぐに()の名を呼んだ。


(わかってるよ——ガンツ!)


 空気がかすかに震える。

 呼びかけと共に——あの男が姿を現した。


『ふあぁぁ〜あ……ようし! 次の相手はどいつだ⁉︎』


 元帝国四天王の戦士ガンツ。

 拳を構えた彼は、早くも臨戦体制に入っていた。


(違う違う! もう終わったんだよ……おかげさまでな)


『なんだよぉ……』


 肩を落とすガンツを見て、マリラはくすくすと笑う。


(ははは……これからはよろしくな、ガンツ)


 俺の言葉に目を向けると、彼は頭を掻き始めた。


『お、おう——まぁ、なんつーか……あの時は、ありがとよ』


『あの時?』


 きょとんと首を傾げるマリラ。


(あの後、色々あってな——)


 彼が再びこの世に留まった経緯を、俺はゆっくりと話し始めた。


 * * *


 氷の男デノイルから逃れた俺は、水流が叩きつけられる滝壺の底を彷徨っていた。


(——どこかに……残ってるはずだ!)


 水煙が舞う中、探していたのは、爆散したガンツの()()()


 すると——。


(あれは……)


 それはすぐに見つかった。


 焼け焦げて無惨な姿になってしまっても、水面に浮かぶ大きな亡骸は、間違いなく彼のもの。


(頑丈な体だな——おい! ガンツ!)


『——な、なんだぁ?』


 声を発すると、案の定、近くに漂っていた彼のエギルが反応を示してくれた。


『まさか、死神か……? なんてことだ……地獄から俺を狩りにきたのか!』


 そこには、ガンツの狼狽える声だけが響く。

 ホッとしながらも、俺は彼へと訴えかけた。


(なんでもいいが、落ち着いてくれ! それより、フラッツに——会いたいんだろう⁉︎)


『この声……さっきの転生者か? ていうか、なんでフラッツのことを——⁉︎』


 その言葉に、なおさら落ち着くことができないガンツ。


(訳あって、お前たちのことは全部知ってる——)


 それでも俺は、必死な声色でたたみかける。

 彼をこの世に留まらせるには、()()を強く想う必要があったからだ。

 

(とにかく! 今はフラッツのことを強く念じろ!)


『念じろって……急に言われても』


 急がないと、彼の想い(エギル)がこの世から消えてしまう。

 

 彼を救いたい——。

 俺もマリラも、そう思っている。


 迫る最期の時。

 俺は無我夢中で彼の名を叫んだ。


(さあ——蘇れ! ガンツ‼︎)


『なんかわかんねーけど——待ってろよぉフラッツぅ! すぐに行くからなぁぁぁ‼︎』


 ——天の声に応えたその瞬間。


 激流の中で、弾けるように音を立てたガンツの魂は、再びこの世へと呼び戻されたのだった。


 * * *


(——と、いうわけなんだ)


『へぇ。弟さんをずっと心配してるなんて——優しいお兄さんなのね』


 ガンツの知らない一面を聞き、関心を示すマリラの横で——彼は思い出したかのように俺へと詰め寄る。


『おい待て! これからフラッツを探すってのに——それを知るマルクの野郎がいねぇじゃねえか!』


 騙されたと言わんばかりに、早速怒りをむき出しにしていた。


(色々事情があるんだよ——フラッツのことなら、いずれ必ず会えるから、安心してくれ)


 その言葉を聞き、強く握っていた拳がゆっくりと解かれ、俺は少し安心する。


『やれやれ……本当だろうなぁ? 嘘なんかつきやがったらぶっ飛ばすぜ』


(……わ、わかってるよ)


 ——せっかちなやつ……。

 やれやれと言いたいのはこっちの方だ。

 もはやこいつの頭の中は、弟のことでいっぱいらしい。

 

 彼が生きていた事が、よっぽど嬉しかったんだろうな。


(それより今は、ギルバディアに帰ろう。他にも仲間がいるし——死人同士仲良くしような)


『死人……?』


 すると、その言葉に引っかかった彼は、まじまじと俺を見つめる。


『姿のない転生者のお前も——元は人間だったのか?』


 そして、せわしなく首を傾げる彼に——俺は、ようやく正体を明かした。


(ああ。俺の生前の名は——白銀鏡(シロガネカガミ)


(信じられないかもしれないが、違う世界で命を落とし、この世界に転生してきた)


 聞き馴染みのない名前に、ガンツは眉を顰める。


『カガミ? なんだかへんてこな名前だな……』


 ——()()()()()の反応だ。

 この名前を気に入る変わり者は——ラキぐらいのもんだからな。


 さらに。


『それと……』


 ガンツの目は、恐る恐るその隣へと移った。


『——うふふ』


 目が合ったのは、例の幽霊女。

 嬉しそうに笑う彼女は、ゆっくりと彼に近づく。


『あの時、助けてくれて——どうもありがとう』


『は、はぁ……』


 敵の脅威から、マリラを守ってくれたガンツ。

 当の本人は全く気づいてなかったが、マリラはやがて、スカートの裾を摘み、静かに一礼を見せた。


『はじめまして、私はマリラ——よろしくね()()()()()


『——ガ、ガンツくんだぁ?』


 彼は照れ臭そうに振り返る。


『急に馴れ馴れしいぜ……』


 だが、その背中から彼女は顔を覗き込ませた。


『いいじゃない。これからは友達なんだから——あなたも気軽に、マリラちゃんって呼んでくれてもいいのよ。ふふ』


(むふふ……そーだそーだ)


 本来の物語では、決して出会うことはなかった二人。


 ラキじゃないが、彼らの微笑ましい掛け合いに、俺は思わず息を漏らしていた。


『——ぜ、絶対呼ばねー! いくぞ!』


 すると、からかわれ続け、ついに居た堪れなくなったガンツは、その場から逃げるように飛び出す。


『ちょっと! 待ってよ、ガンツくん!』


 そしてマリラも、慌ててその背中を追いかけていった。

 その顔に、隠しきれない嬉しさが浮かべながら。






 ——飛び去っていく二人を見て、俺は確信していた。


 癒しの戦士マリラと、力の戦士ガンツ。

 同じ痛みを背負い、この世に想いを留めた彼らがいれば——この物語の未来を、必ず救うことができるだろうと。

挿絵(By みてみん)

(ラキ——待ってろよ)


 やがて、そう呟いた俺は二人の背を追う。


 ギルバディアで待つ、笑顔の少女の元へと帰るために——。

ここまで読んでくれた皆様、本当にありがとうございましたm(_ _)m

第二部、これにて終了でございます。


連れて帰る予定だったマルクとは別れ、代わりに新たな仲間ガンツと、旅を共にすることになりました。

大変心強い仲間です。


さて、物語は第三部へと続きます。

詳しい事はXや近況報告などで!!!


それでは皆さんごきげんよう!

これからもだだ転をよろしくお願いします!!!


白銀鏡でした。

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