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天声だだ漏れ転生〜女神の温もりと共に〜  作者: 白銀鏡
【第二部】 第四章 力と共に
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第48話 四天王の意地

ついに四天王同士の決着⁉︎

意地を見せた彼らの激闘を見逃すな!


四天王の意地


どうぞ。

 一人、また一人と、敵を切り捨てる(ガンツ)

 

「——おらおらぁ! そんなもんかお前らぁ!」


 未だ躊躇を見せる帝国兵たちは、その勢いに押されていく。

 しかし——。


「何をやっているっ⁉︎ さっさと殺せぇ!」


 遅れをとる部下たちに、今一度、叱咤を浴びせるシュダ。

 心臓を射抜くような鋭い眼光で、彼らを見下ろす。


「うう……」

「……シュダ様」


 同じ釜の飯を食った人間だが、謀反を起こした以上は救えない。

 震えながらも、反逆者へと向ける剣に力を入れる。

 やがて——。

 

「ぐっ! ……来たなぁ」

 

 迷いを捨てた戦士たちが、ようやくガンツを襲い始めた。


「……これまでだ!」

「悪く、思うなよ……!」


 数の力で押さえつけられ、戦況は大きく反転する。


「くそぉ……()()()じゃ、押し返せねぇな」


 ——ガンツは、慣れない体に四苦八苦していた。

 

 筋肉量も手足の長さも違う体。

 憑依した借り物では、持ち前の剛剣は発揮できない。


 そして、ついに——。


「——ぐわぁぁぁ‼︎」


 背後から襲い来る剣に、()の体は貫かれた。

 孤独な反逆も幕を閉じ、倒れ伏した男は絶命に至ってしまう。


「アッハッハ! 裏切り者は、皆死ぬのですよ——それでは」


(まだだよ——馬鹿野郎)


 ——油断を見せた高笑いに、俺は言い放った。


「へへっ——おらぁ!」


「うぐぁ!」


 言葉と同時に、斬り殺される帝国兵。

 その剣の持ち主は、ガンツにトドメを刺したはずの男だった。


「——なっ⁉︎ なにを……」


 終わりではない。

 それは、第二の反逆の矢。


 血迷った部下を目前にしたシュダは、みるみるうちに顔を紅潮させる。


「貴様らぁ……どこまで私を舐めてるんだぁ!」


 癇癪を見せる彼に、ますますとまどう帝国兵達。

 また一人と、迷ったものから順に、新たな反逆者の剣を頂戴する。


「はっはぁ! ——こりゃ喧嘩し放題だな!」


 暴れる男の表情には、わずかな笑みが浮かべられていた。

 そう、今この男の中にいるのは——ガンツ。

 

 俺の力によるものだ。


 ——憑依を果たし戦っていても、傷を負えばその力は消耗する。

 だが、その前に彼のエギルを取り出してしまえば、死に至ることはない。


 彼の力を操ることで、俺は永遠に戦える戦士を作り出していたのだ。


 卑怯な戦術かもしれないが——帝国の奴らに、俺は遠慮なんてするつもりはない。


「小癪な……!」


 憎らしそうに歯軋りを立てるシュダ。

 大きく見開いた瞳でこちらを睨んでいる。

 

 ——彼の視線を浴びていると、エギルの戦士に再び危機が訪れていた。


「うわぁぁぁ‼︎」


 新たな反逆者となった男が、仲間たちの剣撃を受ける。

 しかし、その直前に、俺はすぐさま()を抜き取った。


(危ない危ない——次はこいつだ!)


 そして、次なる標的に向かって、ぶつけるようにエギルを飛ばす。


「よっしゃぁぁぁ! いくぜ——」


 叫びと共に、三度覚醒する反逆者。


 しめしめと笑いながら、俺は次の戦士の候補を探していた。


 だが、次の瞬間——。


「うがっ……!」


 反逆者の腹部を捉える、疾風の一撃。


「……ぐぐ、ぬかった」


 血反吐を吐くガンツ。

 その背後には、翼の男シュダが剣を突き立てていた。


「——調子に乗りすぎです……私の目を欺けるとでも?」


 黒い羽が、ひらりと舞い落ちる。

 鋭く細められた瞳には——青白い光が映っていた。


(こいつ……見てやがったな)


 勘のいい男だ。

 奴は、俺が動かしていたエギルの流れを追い、その正体へ瞬時に辿り着いたのだ。


 四天王にまで上り詰めた確かな実力——甘く見てしまっていた。


「私の実力のほどがわかりましたか? その辺の雑魚とは訳が違うのですよ」


 ——千里眼の力によって俺たちの快進撃は、とうとう終わりを見せる。

 

 誰もが息をつき、ゆっくりと口角を上げたシュダが声を漏らそうとした、その時だった——。


「——んぐぁ!」


 響いたのは、鈍い声。


「うぎゃぁぁぁ‼︎」


 さらに、大量の血を撒き散らしながらシュダは絶叫する。


 彼の腹からは、剣先が突き出していた——。


(ま、まじかよ……)


 俺は、その意地の行動に言葉を失う。

 

 なんと、ガンツが自分の体ごと、背後にいる男を串刺しにしていた。


「はぁ……はぁ……どうだぁ?」


 己に突き立てる剣を握りしめながら、荒い息を吐く。


「あなたは……正気ですか?」


 不利な状況ではあったが、彼の命を賭けた一撃が、ついにシュダをも止めた。


 彼とて同じ四天王。


 エギルだけになっても、その覚悟は健在だった。


「へっ……これからは、せいぜい気をつけるんだな——お前の顔を見るたびに、ぶん殴ってやるからよ」


 最後の力を振り絞り、言い放ったガンツは、ようやく崩れ落ちる。


(お前……よくやったよ——戻れ)


 呼びかけに応えるように、弱りきった彼のエギルが俺のもとへとゆっくりと姿を消した。



 ——やがて、重傷を負い膝をついたシュダは、去っていく俺へと手を伸ばす。


「ま、待てぇ転生者……ググ——貴様の仕業だなぁ?」


 帝国兵も、残るはわずか。


 十分に時間は稼げた。

 そのまま立ち去ろうとした俺は——ふと体を止める。


 そして、今まで散々向けられてきた嘲りを、そのまま返してやった。


(知らねえよバカ! んじゃ——また裏切られねぇように、部下には優しくすることだな)


 しつこく追い回してきた憎き相手に、一泡吹かせる。


 胸のすく思いで、俺は奴に背を向けた。


 このときほど、尻をぺんぺん叩きながら去りたいと思ったことは、なかっただろう。

エギルを見抜くシュダとは相性の悪い相手でしたが、ガンツの覚悟が見事上回りました。


第二部は、あと二話で完結となりました。

どうぞ最後まで彼らを見守ってやってくださいませ。


お次は火曜日!

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