第44話 見捨てないで
二話に切ったせいで今回はかなり短めです!
そして、マリラがピンチです。
見捨てないで
どうぞ。
倒れ伏すマリラ。
俺の瞳には、彼女へと走る光が、確かに見えていた。
さらに——。
『あうっ‼︎』
閃光が走り、彼女は身を翻す。
——俺は目を疑った。
実体を失ったはずのマリラが、何らかの攻撃を受け、その顔を苦痛に歪ませている。
その先に視線を向けた俺は、言い放った。
(デノイル! お前だな⁉︎)
「む? 転生者か……」
こちらを横目に入れながらも、その男は、かざした手に何かを込める。
「マナを凝縮し飛ばしただけだ——先ほどから、その光が邪魔ばかりするのでな」
殺意に満ちた瞳は、やがて、隣にいた翼の男に移る。
「どうだ?」
「——予想通り。エギルが小さくなっていきますよ」
光の消耗を確認し、笑うシュダ。
——間違いない。
奴はマナに干渉し、それを攻撃へと転用する術を、完全にものにした。
つまり、俺たちエギル体は——無敵ではない。
その気になれば、おそらく……殺される。
「——何者か知らんが、おいたが過ぎたな。それ、もう一発」
『——あぁぁぁ‼︎』
憎しみが弾となり、容赦なく襲われるマリラ。
その惨劇は、地下水路を照らすほどに輝きを放っていた。
「やつは、一体何をしているんだ……?」
あらぬ方向へ敵意を向ける二人に、マルクは首を傾げる。
だが——彼女の声が届くのは俺だけだ。最悪の状況が、脳裏に浮かんでいた。
このままでは——マリラが完全に死んでしまう。
それだけは避けなければいけない。
(マリラぁぁぁ‼︎)
俺は無我夢中で飛び込んだ。
全ては、彼女がこの世に留めたエギルを守る為——。
すると、それよりも早く、横から何かが通り過ぎた。
「——ぐっ……!」
鮮血に染まった氷の刃を腕に喰らうデノイル。
痛みに眉を顰めた彼は、その方向へと顔を向ける。
「お前ら……何かよからぬことしてるだろ? 俺にはわかんだよ——」
そこには、肩に風穴を開け、流血にまみれたガンツが手を伸ばしていた。
何かに気づいた彼は、どういうわけか——彼女へ救いの手を差し伸べる。
「全く……関係ないあなたは、大人しくしていなさいな——」
瀕死の体で抵抗を続ける姿を見て、シュダはため息を吐き、余裕を見せる。
だが、ガンツは言い放った。
「関係ない? おおありだ……!」
(ガンツ……?)
彼には、顔も知らない彼女を助ける理由があった。
「ぼんやりだが、やっと見えてきたぜ……さっきから、俺を助けてくれた光が——」
『ガンツ……さん……』
血眼になりながら自分を守る戦士に、マリラは涙を流す。
ガンツはずっと、肩に背負う温もりに気づいていたのだ。
「貴様……。見えていたか」
「そういうことだ……よっ!」
さらに、体に受けた飛び道具を使って、二人に応戦する。
——その一瞬の隙に、俺はマリラの元へと飛んだ。
(——マリラ! 君はもう、休むんだ)
『カガミさん……!』
十分に戦ってくれた彼女を引き戻そうとするが、その瞬間——彼女は俺の体を掴むように触れた。
『お願い——あの人……あの人だけは、見捨てないで』
半目になりながらも、震える手に力を込める。
(ガンツが……?)
『だってあの人……かわいそうだもの』
——決死の懇願。
マリラの瞳からは、彼への強い執着が感じられた。
命を助けてもらったこととは他に、彼には何かがあったのだろうか……。
少し違和感を感じたが、俺は彼女を安心させるため、声を送る。
(……わかった——なんとかする)
マリラは微笑み、頷いた。
(おやすみ、マリラ……)
やがて、そっと祈るように、ガンツへと視線を向けた彼女は——ゆっくりと消えていった。
ガンツは見えない何かにも感謝をしてたんですね〜
そして、カガミは彼を救えるのか。
次回! ついに帝都を抜けられるか⁉︎
お次は火曜日!




