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天声だだ漏れ転生〜女神の温もりと共に〜  作者: 白銀鏡
【第二部】 第四章 力と共に
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第34話 一人じゃない

カガミとマリラのパートです。

一刻も早く彼の元へと辿り着きたいのですが……。


一人じゃない


どうぞ。

(——消えた……うそだろ)


『カガミさん? 消えたって一体——』


 魔窟へと続く薄暗いの空を、ただひたすらに北上していた俺は——その体を止めた。


(マルクの気配だ……一度大きく反応したんだけど——)


 突然の出来事に、俺は言葉を失った。

 このままでは、皆に合わせる顔がなくなってしまう。


『カガミさん——』


 マリラは俺に手を添えた。


『きっと大丈夫よ——今は傷を負って弱っているだけ……そのうちまた持ち直すわ』


(……そうだよな)


 希望を失った俺は、彼女の優しい言葉に縋る。


『ふぁーあ——暗くなったからかしら、なんだか眠くなってきたわ……』


 少し疲労の色を見せるマリラ。

 かく言う俺も、日中飛びっぱなしだったせいか、体が少し重く感じた。


(俺も疲れたし、今日はそこらで休憩しよう——)


『ええ、そうしましょうか』


 歩みを止めた俺達は、休息を取るべく、林に佇む木の上へと体を進めるのだった。


* * *


 ——二人の間に、しばらく沈黙が続いていた。


(マルク……俺の()()で、また一人になってしまった)


 夜闇につられ、俺はまた弱気な台詞を吐く。


『マルクさんって、一体どんな人なの? ルミナさんが愛した人の事、もっと知りたいわ——』


 その気を紛らわそうと、マリラは俺に微笑みかけた。


(ああ。マルクはかつて繁栄していた国、アリヴェルの”女神の騎士団”の一人だ——)


 女神の騎士団——その国において、最も強く気高い、選りすぐりの戦士達。


『ギルバディアでいう、上位六騎士のようなものかしら——マルクさんって、そんなにすごい騎士様だったのね!』


 祈るように両手を合わせたマリラは、恍惚とした表情を見せる。


(そのようなものだな——彼は()()()()に渡る活躍を見せ、皆からも信頼され順風満帆な生活を送っていた……だけど)


 興味津々な彼女に俺は続けるが、その結末は期待に応えられるものではなかった。


(その国には、パルメシア皇帝があらかじめ送っていた——裏切り者の戦士がいたんだ……)


 彼は忌まわしくも、大国アリヴェルに反逆の種を蒔いていたのだ。


(やがて皇帝は、その男を使って内部からの破壊工作を進めていった。妖魔を使って兵を襲わせるなど——中には、子供を()()残し、滅んだ村もあった)


『——それで、女神の国はどうなったの?』


 続きを促すマリラに、俺は徐に口を開いた。


(……一夜にしてその国は滅んだよ。そして、最後に残ったマルクを逃がし、アリステラは囚われの身になってしまった——)


 辺りに再び、静寂が舞い戻る。


 孤独な彼の過去を語り終えた俺は、なんだか申し訳ない気持ちになり、少し後悔した。


 だが、彼女は違っていた。


『それでそれで——ルミナさんとの出会いは、どうだったの?』


 細めた目で、その物語の先を求めていた。

 その笑顔に乗せられた俺は、重くなった口を再び開く。


(あ、ああ……その後全てを失い、行き倒れになっていたマルクを介抱した者がいた。それが、彼が密かに想っていたアリシア姫——ルミナだ)


 ……そういえば、ここからだったな。

 俺がみんなと一緒に旅を始めるのも——確か、この先は。


(生意気な少年ルキと、頼れる男アバンとの出会い。かつての友人だったテスカに、それから、彼をよく慕っていた戦士、フラッツにも再開できた——)


 ——彼との旅を振り返りながら、俺は思い出していた。

 一度は心が冷え切ってしまったマルクに、様々な出会いが、再び温もりを与えてくれた事を。


 ああ、そうか……そうだったな。

 あいつは、マルクはもう——。


『一人なんかじゃ……ないじゃない』

 

 マリラが、俺の気持ちを繋いでくれた。


『一人になってしまったって言うから、マルクさんって友達も少なくて、嫌われてるのかと思っちゃったわ』


 そして、ホッとしたようにため息を吐き、彼女はその場に手をついて力を抜く。


(ははは……悪い悪い。だけど、不器用で友達がいないのは少し当たってるかもな——)


 くすくすと笑いながらこちらを見つめるマリラを見て、俺はしてやられた気分になった。

 きっと彼女は、思わず弱音を吐いた俺を元気づけたかったのだろう。


(ありがとうな、マリラ……気を遣ってくれて)


 いつもの調子に戻った俺に、マリラは安心したように大きく頷きそっと拳を握る。


『マルクさんの無事を、みんなが祈っているわ。だから、私達の手で——その想いを繋げてあげましょう』


 その言葉を受け取り、俺がマリラにおやすみと伝えると、彼女の姿は、やがて闇夜の中へと溶けていった。


 ——そして俺は一人、夜空を見上げる。


 マリラがいなければ、俺はここで諦めていたかもしれない。

 彼女が一緒にいてくれて、一人じゃなくて、本当によかった。


 だからこそ——今、一人で戦っているマルクを、なんとしてでも救わなければならないと、心で強く思った。

いつでも心の癒しになってくれる、素敵なヒロイン回でした。

まだまだマリラの株は上がっていく予定ですのでこれからもよろしくお願いします。


お次は火曜日!

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