第四十五話
「……か、構いませんが、本当にそれだけでいいのですか?」
「はい。お願いできますか?」
「わ、分かりました。お聞かせください」
レイヒは素の表情を戻し、徹也の申し出に頷いた。そんなレイヒを見て、徹也はレイヒにまず本題を言う。
「レイヒさん。俺と一緒に王都に来てくれませんか?」
「……え?そ、それは、そういう意味ですか?」
「……そういう意味とは?」
徹也の問に、レイヒは質問で返してしまう。だが、徹也もレイヒの質問の意味が分からず、更に聞き返してしまった。
「だ、だから、その……。自分についてきてほしい、みたいなことですか……?」
レイヒは恥ずかしそうに、徹也にそう問うた。そう言われた徹也は、ようやくその意味を理解する。
「ああ……。誤解させてしまったのならすいません。王都に来てほしい理由は、レイヒさんの【料理】の才能の力を貸してほしいからなんです」
「私の、才能、ですか?」
「はい」
思っていた内容とは違うものを徹也から告げられたレイヒは、驚きつつも徹也に真意を尋ねる。そんなレイヒの言葉に対し、徹也は頷いて肯定した。
「俺とヘンリーさんは今、このタレン王国の財政を立て直すために行動しています。それに、レイヒさんの才能が必要なんです」
「え、えっと……。まだ分からないです……。なぜ、私の【料理】の才能が、財政を立て直すために必要なのですか?」
レイヒは徹也の説明を聞いても、未だになぜ自分の才能が必要なのか分からなかった。徹也はそんなレイヒに分かるように、詳しく説明を始める。
「俺達は財政を立て直すために、経済を活性化させようとしています。レイヒさんの【料理】の才能は、それに必要なんです」
「私の才能で、経済を……?」
「ええ。レイヒさんの料理が、経済の活性化の原動力になってくれれば、と」
「っ……!」
レイヒは徹也の言葉を聞いて、すぐに返事をすることが出来なかった。言葉に詰まり、なんと返事をするか悩んでいるようだった。
一方、徹也もまた内心では一抹の不安を抱えていた。これで、レイヒが付いて来てくれるかどうか、分からなかったからだ。
(ぶっちゃけ、これは賭けに等しい。さっきの俺の言動だと、レイヒさんとこれ以上の関りは望んでいないと捉えられかねない)
だが、徹也は嘘をつくことはしなかった。嘘をつけば、後々問題になりかねないと考えたからである。
(嘘をつかずに説得して、向こうにもメリットがあると思わせる必要がある。そのために、俺と共に王都行くという事実を先に言った。さあ……どうだ?)
徹也はそう考えながら、レイヒの返答を待つ。一方のレイヒはしばらく何も言っていなかったが、ついにその口を開く。
「……返事は、少し待ってくれませんか?すいません……」
「分かりました。家族の方のこともあるでしょうし、返事は待ちます。ただ、俺が帰るまでには――」
「……もちろんです」
「……じゃあ、俺は戻ります。おやすみなさい。レイヒさん」
「はい。おやすみなさいませ。徹也様」
徹也がレイヒにそう別れを告げると、レイヒもまたそれに応じた。そして徹也とレイヒは、各々の寝床に戻っていった。
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