第四十四話
時は戻り、ボスリーを捕らえた後。徹也達はコ―フォン家にて夜を過ごしていた。徹也達と言ったが、このコ―フォン家にいるのはクリス以外の者達である。クリスは騎士駐在所にて他の騎士達と共にボスリーの監視に当たっていた。
徹也は皆が寝静まった深夜、一人外に出て星空を見上げていた。今回の対策の反省を一人でするためである。
(結果的には上手くいったけど……。対策不足だったのは否めないな)
徹也はそう思い、ため息を吐く。対策不足になってしまったのは自分の責任であると、徹也は考えた。
では、今回の対策には一体何が足りなかったのか。何を間違ったのか。徹也はそのことについて、考えを巡らせる。
(今回間違ったのは、可能性を絞りすぎてしまったこと、だな。そのせいで、着いてからの奇襲にあった)
徹也は、ルーカス派が道中で襲ってくる可能性が高かいと考えていたので、その対策をした。だが、実際には村に着いて計画を始めてからだった。ここが大きな間違いであったと、徹也は考えたのだ。
(後は、ルーカス派の騎士や王国の者達じゃなく、外部の賊が襲ってきたところか。これは本当にまさかだった。なぜその可能性を考えなかったんだ、俺は……)
徹也は、ルーカス派の者達ではなく、賊が襲ってきた点にも自らの失態を感じていた。もっと情報を集めていれば、賊が存在するという事実をつかめていたかもしれないからだ。
(調べられる機会はいくらでもあった。シャーロットにも聞くことが出来たし、ヘンリーさんにクリスさんにもいつでも聞けた。……それに――)
『あ、あの……。徹也様。他の可能性は考えなくてよいのですか?』
『その村の近くでの良からぬ噂を耳にしました。なんでも、村の近辺で怪しい者が見られたとか……』
(シャーロットもこう言ってたじゃないか……!他の可能性のことも言われたし、賊の目撃情報らしいことも言っていた……!)
この言葉をシャーロットから告げられた時、徹也は賊の可能性を考えずにルーカス派の者達であると断定してしまった。だからこそ、賊の可能性など考えもしなかったのだ。
あの時、少しでも怪しい者について詳しく聞いていれば、もう少し対策できたかもしれない。そう思った徹也は、またため息を吐いた。
「て、徹也様!?」
徹也がため息を吐いた時、後ろから徹也に声をかけてきた者がいた。徹也が声の聞こえた方に振り向くと、そこにはレイヒが立っていた。
「レイヒさん?こんな夜中にどうしたんですか?」
「そ、それは徹也様もでしょう?こんなところで何をしてらっしゃるんですか?」
「俺は、少し反省を……」
「反省、ですか?必要ないと思いますが……」
「いえ……」
徹也はレイヒの言葉に反論しようとしたが、それを寸でのところで止めた。レイヒは徹也がしている傾向と対策を知らないからである。
「……それより、怪我はないですか?レイヒさん」
「え?あ、はい。大丈夫です。あの時は、助けていただいてありがとうございます」
徹也はレイヒに質問をし、話題を逸らした。レイヒもまた徹也に追求せず、素直に答える。そして、徹也に礼を言って頭を下げた。
「気にしないでください。当然のことをしただけですから」
「そ、そうですか……。それでも、何かお礼を……」
「……なら少し、話を聞いてもらってもいいですか?」
「……え?」
徹也は真剣な顔で、レイヒにそう言った。徹也のそんな言葉を聞いたレイヒは、呆けた声を出して、徹也の方を向く。
徹也はこの時、レイヒの素を初めて垣間見た気がした。
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