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第四十三話

 刀夜への説明を終えた徹也は、財務大臣室から出た。すると、財務大臣室の扉の近くに治伽がいた。なぜまだここにいるのかと疑問に思った徹也は、治伽に話しかける。


「まだいたのか?てっきり、もう帰ってるものだと……」


「……話したいことがあったのよ。だから、あなたを待ってたの」


「話したいこと?」


 治伽が話したいこととは何なのか。徹也は想像も出来なかった。わざわざ一人で待っているということは、二人で話したいことなのだろう。


 ……まさか――、いやいやと、徹也は自らの考えを切り捨てる。治伽が自分に告白などありえないと、徹也は考えたのだ。一瞬でもこんなことを考えてしまった自分が馬鹿らしいと、徹也は思う。


 そんな徹也の思いなど知る由もない治伽は、徹也を真剣な目で見つめた。そして、その目をしたまま治伽は話を切り出す。


「……徹也君。あなた、最近あまり寝れてないでしょ?」


「……え?」


 治伽の言葉を聞いた徹也は、驚きに包まれた。現に徹也は、この計画の対策を考え始めてからあまり寝れていない。夜も色々と考えてしまい、結局寝るのが遅くなっているのだ。


(な、なんで分かったんだ……?悟られないように気を付けていたはずなんだが……)


 徹也はそんなことを思うが、もちろん答えなど出るはずもない。徹也があまり寝ていないことに、治伽が気付いた理由。それは、徹也の行動にあった。


 徹也があまり寝ていないかもしれないと治伽が感じたのは、徹也が本格的に対策を考え始めた時だ。その時、徹也は隠しているつもりだっただろうが、治伽には分かった。徹也がいつもよりも、目を気にすることが多くなったのである。


 それで治伽は、徹也があまり寝れていないのだと結論付けたのだ。そしてそれは事実であった。


「い、いや。別にそんなことはないが……」


 だが、徹也は治伽に事実を告げず、誤魔化した。治伽に余計な心配をかけたくなかったのである。それに、見栄を張ったというのもあった。


「嘘。だって、いつもの徹也君と違うもの。……あまり、一人で背負い込まないで。それが徹也君だって、分かっているのだけど……。それでも、心配なの」


「っ……!悪い……。その通りだよ。最近、そんなに寝てない」


 治伽にそう訴えられた徹也は、寝ていないことを事実と認めた。ここまで言われたら、隠すわけにはいかないと感じたのだ。


「……明日のことで、今日の夜も考えなきゃいけないことがあるかもしれない。けど、ちゃんと寝てほしいの。徹也君自身のために」


「……ああ。分かった。ちゃんと寝るよ。明日に支障が出たら、元も子もないしな」


 徹也の返答を聞いた治伽は、満足そうに微笑んで頷いた。そんな治伽を見た徹也は、治伽から視線を逸らして人差し指で頬をかく。


「……じゃあ、俺は戻るな。おやすみ治伽。明日はよろしくな」


「ふふっ。ええ。おやすみなさい徹也君。また明日ね」


 徹也は少し恥ずかしくなったので、唐突に別れを告げた。治伽はそんな徹也の言葉を聞いて小さく笑いながらも、その別れに応じる。


 徹也と治伽はお互いに手を振り合い、各々の部屋に帰っていった。


 ここまでが、今回徹也が行った対策の全てである。


読んでくださりありがとうございます!

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