第三十八話
教会に着いた徹也達は、治伽と舞が教会の扉を開いて教会の中に入った。徹也達が教会の中に入ると、優愛がすぐに駆け寄ってくる。
「て、徹也君!?どうしたのその怪我!?」
「……模擬戦で怪我をしたのよ。早く治してあげて」
「う、うん!もちろんだよ!そこに座って!」
徹也の怪我を見た優愛は、すぐに徹也を椅子に座るように促す。治伽と舞はそんな優愛の指示に従い、徹也を椅子に座らせた。
「すぐに治すからね……。《セル・ヒール》」
優愛がそう言って、徹也の胴に手をかざす。すると、徹也の胴を光が包み込んで傷を癒していった。
「ひどい打撲だね……。どうして模擬戦でこんな……」
「檜前君がね、徹也君の胴に思いっきり剣を叩きつけたの。それで……」
舞が徹也が怪我をした時の状況を包み隠さず話した。舞自身が、悲しんでいたこともあったんだろう。
だが、そんな舞の話を聞いた優愛は顔を曇らせた。そんな優愛の顔を見てしまった徹也は驚き、恐怖する。
(ひっ!な、なんて顔してんだよ優愛!?怖すぎるだろ!?で、でも、それだけ怒ってくれているってことなのか……?)
「……ふーん。そっか。檜前君が……」
「ゆ、優愛……?怒ってる、のか……?」
「え?当然だよね?徹也君を傷つけたんだもん」
優愛のその言葉を聞いた徹也は、いくら何でも怒りすぎだろうと思った。徹也から考えればそうだろう。なぜなら、被害を受けたのは徹也一人で他の者にはほとんど実害はなかったのだから。
しかし、優愛達からすれば怒るのも当然である。自らの好きな人、大切な人を傷つけられて、怒らない者はいない。
「……それにしても、怒りすぎよ。一旦落ち着きなさい。ほら、徹也君の治療は?」
「あ、うん。大丈夫。もう終わるよ」
そんな優愛の言葉通り、徹也の治療はすぐに終わった。優愛は徹也にかざしていた手を戻し、徹也に話しかける。
「……うん。どうかな?徹也君?」
「……ああ。ありがとう。もう痛くも痒くもない」
「よかった……。さて、と。檜前君に会いに行かなきゃ……」
徹也の治療を終えた優愛は怖い顔に戻ってそう言い、立ち上がった。徹也と治伽はそんな優愛を必死に引き留める。
「ちょっ!?ゆ、優愛!落ち着けよ!ほら、俺はこの程度の怪我ですんで――」
「だからなに?檜前君が徹也君を傷つけた事実は変わらないよね?」
「やめなさい優愛。徹也君がいいって言ってるんだから」
「……そうだね。分かったよ。ごめんね?徹也君」
治伽の言葉を聞いて思いとどまった優愛は、申し訳なさそうな顔をして徹也に謝った。そんな優愛の謝罪を聞いた徹也は、その謝罪に対して返事をする。
「い、いや……。そ、そうだ。優愛に話したいことがあったんだ」
「うん?何かな?」
「俺達、また村に向かうんだが……。それに付いて来てくれないか?」
「……え?わ、私が?」
徹也の誘いに対して、優愛は驚く。まさか、自分が誘われると思っていなかったからだ。
「ああ。もしかしたら、村で病気が流行ってるかもしれない。それを直すために、優愛に来てほしいんだ」
「う、うん!もちろん行くよ!教会の人に話してからになるけど……。絶対行けるってなったらまた言うね!」
「おう。よろしく」
優愛はまた表情を変え、今度は嬉しそうに徹也にそう返した。そんな徹也と優愛のやり取りが終わると、舞が徹也に話しかける。
「ねえ徹也君。先生達も心配してるだろうし、そろそろ戻ろ?」
「そうね。少なくとも私達は、報告に戻らないと……」
「いや、俺も戻る。戻ったら、まだ訓練ができるかもしれないし……。じゃあ、そういうことだから、またな。優愛」
「うん。またね。徹也君」
徹也が優愛に別れを告げると、優愛もまた頷いて徹也を見送った。そして徹也は、治伽と舞と共に訓練場に戻っていくのだった。
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更新が遅れて申し訳ありません!
大学が始まり、オリエンテーションや時間割を作るなどのことで手間取ってしまい、投稿が遅れてしまいました。
今日からまた、更新を再開します。
大学生になりましたが、これからも辻谷戒斗をよろしくお願いいたします!




