第三十六話
刀夜は徹也に渡した剣とは別の剣を持ったまま、徹也の方に近づいて来た。そして、徹也に話しかける。
「剣ならそれを使って。だから、私ともしましょう?才無佐君」
「せ、先生……。わ、分かりました。模擬戦、しましょう」
徹也は治伽の時と同じように、顔を少し赤らめながら言葉を返した。徹也の名誉の為にもう一度言っておくが、徹也は決していかがわしい妄想をしたわけではないのだ。
徹也が刀夜から少し離れると、剣を構える。するとそれを見た刀夜が、慌ててこの模擬戦のルールを言った。
「ま、待って才無佐君!この試合、魔法は使っちゃ駄目よ。私も使わないから」
「了解です。じゃあ治伽。合図頼む」
「ええ」
徹也の言葉に返事をした治伽は、右手を挙げた。それを見た徹也と刀夜は、それぞれ剣を構える。そして治伽の右手が降ろされた瞬間、徹也と刀夜は同時に動き出した。
(っ!早い……!)
同時に動き出したのにも関わらず、徹也よりも刀夜の方が断然早く動いていた。それに気付いた徹也は、すぐさま防御体勢を取る。すると案の定、刀夜の剣が徹也の剣にぶつかった。
徹也はそれをなんとか受け止めて弾き、右に動く。そして徹也は剣を振るうが、刀夜はそれを避けてカウンターをしてきた。
徹也はそれに対する防御が間に合わず、刀夜の剣の衝撃に備える。だが、その衝撃がくることはなかった。刀夜が剣を寸止めしたからである。
「私の勝ち……で、いいわよね?」
「……はい。強いですね。先生」
「ふふっ。才無佐君も、動きは悪くなかったわよ」
「そ、そうですか?」
刀夜にそう褒められた徹也は、照れながら返事をした。そして徹也と刀夜は握手を交わす。
「……やっぱり、先生はすごいですね。徹也君の動き、予測していたんですか?」
「ええ。才無佐君なら、側面から攻撃してくるかなと思ってね。才無佐君の得意な傾向と対策、かしら?」
治伽の問に、刀夜はいたずらっぽい笑みを浮かべてそう答えた。そんな刀夜の回答に、徹也は驚きつつも悔しがる。
(まさか、予測されてたとは……。やっぱり、ワンパターンじゃ通じないか)
もっと考えて、バリエーションを増やしていかなければと、徹也は思う。そんな風に徹也が考えていると、徹也に話しかけてくる男がいた。
「おーい!才無佐!次は俺とやろうぜ!」
徹也に声をかけたのは、忠克であった。徹也は忠克の発言に少し引きながらも、きちんと言葉を返す。
「お、おう。まあ、別に構わないが……」
「待て友居。俺が先に才無佐とやる。構わないな?」
徹也は忠克の言葉に頷いたが、それに待ったをかける者がいた。忠克の後ろにいた、洋助である。
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