第三十五話
徹也が久しぶりに訓練に顔を出すと、他の騎士団所属の生徒達は徹也を見て驚いた。最近めっきり来なくなっていた徹也が、訓練場に現れたからである。
徹也は周りをキョロキョロと見渡し、クラスメートの状況を観察する。その多くが、自分の適性属性の魔法を纏うことを練習しているが、中には魔法を放つ練習をしている者もいる。
徹也がそんな風に周りを観察していると、治伽と舞が徹也に近づいてきた。そして二人は、徹也に話しかける。
「来たのね。徹也君」
「徹也君!今日は頑張ろうね!」
「ああ。よろしく頼む。二人は何の訓練をしてるんだ?」
徹也は治伽と舞に、訓練で何を鍛えているのかを尋ねた。財務大臣預かりになった今、舞が戦闘訓練をする必要はそこまでない。だから、訓練で何をしているのか気になったのだ。
「私は魔法の訓練よ。まだまだ分からないことだらけだし……」
「私も、魔法の訓練かな。踊りに使えるかもって思って!」
「……そうか。俺は、模擬戦がしたいけど……。今はその時間じゃないみたいだな」
徹也はそう言うと、周りを見渡す。どこを見ても、魔法の訓練をしている者しかいない。故に徹也は、そう判断したのだ。
「模擬戦なら、時間的にもうすぐ始まるはずよ。舞は参加しないけどね」
治伽はそう言ってクリスの方を見ると、丁度クリスが模擬戦の合図を出したところだった。
「はい。では、いつも通り模擬戦を始めてください。念の為言いますが、間違っても真剣は使わないように」
クリスにそう言われた生徒達は、それぞれ模擬戦を始める。そしてそれは、徹也達も例外ではなかった。
「徹也君。私とする?」
「……お、おう。模擬戦な」
徹也は治伽の言葉に、少し顔を赤らめてそう返した。徹也の名誉の為に言っておくが、徹也は決していかがわしい妄想をしたわけではない。ただその言葉が、そのようにも捉えられると思っただけである。
徹也はそんな考えを振り払い、治伽から少し離れて模擬剣を構える。治伽もまた剣を構え、舞が手を上に挙げる。
舞の手が降ろされた瞬間、徹也と治伽は同時に駆け出した。そして各々、魔法を使う。
徹也は《腕力上昇》を、治伽は光を剣に纏わせた。それぞれの剣がぶつかり合った時、徹也の剣が真っ二つにされた。
「……は?」
「え、えっと……」
気まずい空気が、この場を支配した。徹也も治伽も、まさか剣が真っ二つになるとは思っていなかったのだ。
「……す、すごいな治伽。これが、光属性か……」
「ご、ごめんなさい徹也君。斬っちゃって……」
「いや、仕方ない。なあ舞。変えの剣ないか?」
徹也は真っ二つになった剣を舞に差し出し、そう尋ねた。舞は申し訳そうな顔をして、徹也に返事をする。
「ご、ごめんね徹也君。私、模擬戦はするつもりがなかったから持ってないんだ」
「そうか……。仕方ない。新しい剣を――」
徹也がその言葉を言い終わる前に、徹也の元に新たな剣が飛んできた。その剣が飛んできた方を見ると、そこには刀夜がいた。
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