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第三十三話

 徹也は真未とのデートを終え、真理も加えて話し合いをした後、財務大臣室に向かっていた。その財務大臣室には、ヘンリーだけでなく、クリスに治伽に舞、刀夜もいる。


「……すいません。お待たせしました」


「いや、そこまで待っていない。……それで?どうだった?」


 徹也の謝罪に対して、ヘンリーがそう返し、徹也に質問をした。今回で徹也が何を得たのか、気になったからだ。


「はい。これで、ま……双見妹は確実に力を貸してくれるはずです。更に後二つ程、収穫がありました」


「……詳しく聞かせてもらおうか」


 ヘンリーが徹也の言葉にピクリと反応し、続きを促した。徹也が収穫と言えるということは、それほどのことがあったのだろうと考えたのだ。


「まず一つ目は、予想外にも協力してくれる人物が増えました。双見姉も、手伝ってくれるそうです」


「ほう……!それはありがたいな。【魔法】の才能を持つ双見真理さんが協力してくれるのは大きい」


 ヘンリーは徹也の説明を聞いて、驚きながらも感心し喜んだ。【魔法】の才能は汎用性が広い才能であり、協力してくれるなら対策の幅が広がるからである。


 だが、治伽と舞は別のところが気になったようだ。治伽と舞は徹也をジト目で見て、気になったところを問いただす。


「……徹也君。姉の双見さんとも交流があったの?」


「そうだよ。どういうこと?徹也君?聞いてないよ?」


 治伽と舞の追求に対し、徹也は狼狽える。まさかそこを追求されるとは思っていなかったのだ。


「い、いや、そのだな……」


 徹也はどうやって誤魔化すか悩んでいたが、思わなぬところから言葉が飛んできた。刀夜である。


「確か、双見さん姉妹と土屋さんと才無佐君は同じ中学だったわよね。双見さん姉妹とは小学校も一緒で、家も隣だとか」


「……え?」


「……ふーん」


 刀夜の言葉に、治伽と舞のジト目が更に増す。それを見た徹也は、更に狼狽えてしまう。


(せ、先生!それ個人情報!まあ、異世界に来てる時点でないようなものだけどさあ……。それでも、今は言わないでほしかったなあ……!)


 そう思った徹也は、刀夜を恨めしく見た。だが、そんなことは関係なく治伽と舞は徹也を責め立てる。


「なんだ。そうならそうと言えばよかったじゃない。ねえ舞?」


「うんうん。なんでそんなことを隠そうとしてたのかな?」


 治伽と舞の言葉自体は優しそうな感じであったが、表情はそうではなかった。徹也はビクビクと震えながら、なんとか二人に言葉を返す。


「い、いや……。その……。べ、別に隠そうとしていたわけじゃ……」


「「うん?」」


「ひっ!」


 徹也が返した言葉は、治伽と舞の一言で一蹴された。これはまずいと思った徹也は、話題を変えようと刀夜に話しかける。


「そ、そうだ先生!渡したいものがあるんです!」


「えっ?な、なにかしら?」


 この状況で、と刀夜は思ったが、徹也の言葉に辛うじて反応する。すると徹也は、予め持ってきていたヘアピンを刀夜に差し出した。


「これ、お礼です。先生にはお世話になったので……」


「……あ、ありがとう?」


 差し出されたヘアピンを受け取った刀夜は、困惑しながらも徹也に礼を返す。刀夜はそのヘアピンを自らの髪につけた。


「一応、付けては見たけれど……。そんなに似合ってないでしょう?せっかく買ってくれたけど……」


 刀夜はそう言うと自虐的に笑い、付けたヘアピンを取ろうとする。だが、それを徹也が言葉で止めた。


「え?なんでですか?似合ってますけど……」


「……え?」


 徹也の言葉を聞いた刀夜は、それしか返せなかった。それほどまでに、徹也のその言葉は刀夜にとって衝撃的だったのだ。


 刀夜は今まで、ファッションなどとは無縁だった。だからこそ、ヘアピンを付けて似合っていると言われるとは思わなかったのだ。


「あ、ありがとう……」


 瞬間、刀夜の顔が赤く染まった。そしてそれを隠すように徹也から顔を背け、徹也に礼を告げる。


 そんな刀夜を見た徹也は、目を見開いた。そんな刀夜を初めて見たからだ。


 だが、徹也はそんな刀夜を長く見ることは叶わなかった。なぜなら、後ろから刺すような視線を感じたからである。


「「……徹也君?」」


(や、やばい……!話を変えて機嫌を戻そうと思ったが、更に機嫌を損ねてしまった……!)


 そう思った徹也は、視線をヘンリーとクリスに向けて助けを求めた。しかし、クリスは徹也の視線に気付きながら、それを無視して視線を外す。治伽達と同じ女性として、思うところがあったのだろう。


 これで、徹也の頼みの綱はヘンリーのみとなってしまった。ヘンリーはため息を吐いてから、徹也に助け舟を出す。


「そろそろ、次の話を聞かせてくれないか?才無佐君」


「は、はい!もちろんです!」


 徹也は嬉しそうに、ヘンリーの言葉に応じた。そして徹也は、助け舟を出してくれたヘンリーに感謝しつつ、二つ目の収穫について話始めるのだった。


読んでくださりありがとうございます!

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