第三十二話
徹也は穏恵を農場に送った後、王城に戻ってきていた。そんな徹也の前には、議会を終えたヘンリーがいる。
「では、まずは私から話そうか」
「はい。お願いします」
今この財務大臣室には、徹也とヘンリーしかいない。治伽と舞は、クリスに刀夜と共に才能及び魔法の特訓中なのだ。
「一応、計画の許可は取れた。責任は全て私がとることになったがな」
「っ!?そ、そうですか……。すいません……」
ヘンリーの言葉を聞いた徹也は、申し訳無さそうにそう言った。全ての責任をヘンリーに押し付けてしまったからである。
「いや、問題ない。成功すれば問題ないのだからな。それと、伝えておくべきことがある」
「な、なんですか?」
「ヴィルク・ルーカスが怪しい。恐らく、何か仕掛けてくるだろう。どうする?」
ヘンリーのその報告に、徹也は顔を顰めた。徹也はルーカス派が何かやってくることは予想していたが、それでも何事もなければそれがよかったのだ。
「……まあ、それも利用できればいいですよね。そこも、対策していきましょう」
「……そうだな。そうしていこう。さて、才無佐君はどうだった?」
徹也の言葉に対して、そう言って頷いた。そしてその後、徹也に質問を返す。
「一応、協力してくれる事になりました。ただ、一つ条件がありまして……」
「む?なんだ?」
徹也はそう言うが、最後の方の歯切れが悪かったのでヘンリーがその先を促す。徹也は顔を顰めながら、続きを語った。
「その、デートをすることになりました……」
「……なんだと?」
徹也のその言葉に、ヘンリーは聞き返した。何かの冗談かと思ったのである。
だがもちろん、冗談などではない。ヘンリーはため息を吐いた後、徹也に説明を求めた。
「……詳しく説明してくれ」
「は、はあ。手伝ってくれと頼んだら、デートしてくれたらと言われただけですけど……」
そんな徹也の説明を聞いたヘンリーは、またため息を零す。今回のため息は前回よりも大きかった。
「……とにかく、話をつけれたのなら万々歳だ。彼女等に詳細を伝えておいてくれ」
「分かりました。では……」
「ああ。ここから計画の実行日まで、じっくりと対策を練っていこう。他の者達も集めて、な」
「はい。よろしくお願いします」
徹也はヘンリーの言葉に対して頭を下げて礼をした。そして、互いに握手を交わし、この場はお開きになったのだった。
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