第三十一話
そしてその次の日。
徹也が穏恵と真未に話をしに行っている時、ヘンリーは議会に出席していた。計画の許可をもらうためである。
「……さて、ヘンリー。何か、やりたいことがあるらしいな?」
王がそう、ヘンリーの方を向いて言った。王のその言葉に、ヘンリーが頷く。
「はい。経済回復のために、まずは地方の回復をと思いまして。手始めに、コーフォン領を変えようかと……」
「地方の回復、か。確かにしなければならないことの一つだろう。だが、今はそこに回す予算がない」
徹也とヘンリーの予想通り、王はこの計画に難色を示した。故にヘンリーは、これに対する返答も準備していた。
「分かっています。そこまでの予算は必要ありませんので、スカーレット家で支払います。ただ、計画の許可を頂きたいのです」
「……ふむ。なるほど。計画の概要を教えてもらおうか」
王はヘンリーに、その計画の概要を問うた。許可を与えるのに、必要な情報だからである。
「【農業】の才能を持つ土屋穏恵さんに土地を豊かにしてもらい、【技工】の才能を持つ双見真未さんに建造物の修復を頼む予定です」
「む……。それは、刀夜殿に止められはしないだろうか?」
「そこも問題ないと考えています。なぜなら、この計画の発案者は才無佐徹也君ですから」
「なんと!?そうなのか……」
ヘンリーの説明に、王は驚いた。まさか、この計画の発案者がついこの間財務大臣付にした徹也だとは思わなかったのだ。
だが、王は同時に上手くいったのかもしれないと考えた。元々【無能】な徹也の処理に困っていたのだ。活躍してくれれば儲けものといったところである。
だが、徹也の発案と聞いて黙っていない大臣がいた。ヴィルク・ルーカスである。
「ま、待て!才無佐徹也がこの計画を考えたのか!?」
「ええ。そうですが?それが何か?」
「い、いや……」
ヘンリーの返しに、ヴィルクは何も返すことが出来ない。徹也が計画を作ることについては、何の問題もないのだ。
だが、ヴィルクは一つ攻めれる点を見つけた。それは、この計画の責任についてである。
「そ、そうだ!この計画の責任者は誰になる!?」
「……そうだな。国としては金を出さないので、責任を持つ事はできない。この場合、責任者はヘンリーとなるが……」
「……問題ありません。責任は全て、私が取ります」
ヘンリーはそう、議会で言い切った。その言葉を聞いたヴィルクは、不敵な笑みを浮かべた。必ず失敗させてやろうと考えたのである。
一方王は、ヘンリーの言葉に頷いて、計画に許可を出した。
「……いいだろう。許可を出す。是非とも、結果を残してくれ」
「はっ!必ずやご期待に答えてみせます!」
ヘンリーは王にそう言って、頭を下げる。その間ヘンリーは、この議会の内容を徹也に伝えなければと考えていたのだった。
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