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第三十話

 時は、徹也が村から帰ってきた日まで遡る。


 夕食を食べ終えた後、クラスメートの質問攻めから逃れた徹也は、治伽と舞を連れて財務大臣室まで来ていた。これからのことを、ヘンリーと話し合う為である。


「さて、才無佐君。まずは何をする?」


「そうですね。まずは、地方の再生からしたいと思います」


 そんな徹也の言葉を聞いたヘンリーは頷いた。そのことは、すでに聞いていたからである。ヘンリーが気になっているのは、その方法であった。


「それは、どのようにする?前の言い方だと、他の召喚者達に協力を仰ぐように聞こえたが……」


「ええ。その通りですよ」


 徹也がヘンリーの言葉に同意すると、治伽と舞が驚いた。まさか、徹也が他のクラスメートに協力を頼むとは、思っていなかったからだ。


「て、徹也君。そのクラスメートって、目星がついてたりするの?」


「そうよ。付いてなかったら、クラスメートから探す意味がないでしょう?もっと広範囲から探すべきじゃ……」


 舞と治伽から、もっともな意見が飛んでくる。確かに候補者が絞れてなければ、もっと広範囲に広げた方が人材自体は見つかりやすいだろう。


 だが、徹也は目星どころか、すでにその個人までたどり着いている。探すも何もないのだ。


「安心してくれ。すでに見つけてある。それに……」


「それに?」


「……いや、何でもない」


(広範囲から探せば、信用できない奴らが増える可能性があるから……ってことは、言わなくていいか……)


 そう。徹也がクラスメート以外から候補を除外したのは、信用ができないということがあった。


 徹也は、広範囲から探せば探すほど、スパイが入りやすいことを懸念しているのである。戦いにおいて、情報はもっとも重要なものだと言っていい。もしも、候補の人間の中にルーカス派の者がいたら、取り返しがつかないことになるかもしれないのだ。


 だが、徹也はこのことを舞と治伽に伝えなかった。それよりも、話を進めることを先決したのである。


「……そう。それで、その人は誰なの?」


「ああ。土屋と、ま……双見妹だ。それぞれ、【農業】、【技工】の才能を持っている。【農業】の才能で土地を豊かにしてもらって、【技工】の才能で建物を建ててもらうんだ」


 徹也の説明に、治伽と舞は納得はした。だが二人とも、一つだけ疑問に思ったことがあった。


「……分かったわ。けど、どうやってコンタクトをとるの?私はその二人とあまり接点はないわよ」


「わ、私もないかな……。ごめんね?徹也君」


「いや、大丈夫だ。俺が二人と接点があるから、俺が話を付けてくる」


「「……え?」」


 徹也の言葉に、治伽と舞は呆然とした。まさか、徹也が接点を持っているなんて、信じられなかったのだ。


「そうか。では、そちらは才無佐君に頼むとしよう。私は議会で計画の許可を貰ってくる。だが、動けるのは少なくとも来月になりそうだ」


「分かりました。その間、対策を練りましょう。今日はこれで失礼します」


 徹也はヘンリーにそう言うと、頭を下げて財務大臣室を出ようとした。だが、治伽と舞が呆然としたまま動こうとしない。徹也は仕方なく、二人に声をかける。


「おい。今日はもう戻るぞ」


「あ……。ちょ、ちょっと!その二人とどこで接点があったの!?」


「そ、そうだよ!教えてよ!」


 現実に戻ってきた治伽と舞は、徹也を問い詰める。しかし、徹也はそんな追求を受け付けなかった。


「……今日は疲れてるんだ。また今度にしてくれ。ちゃんと話すから……」


「……約束よ」


「……約束だからね」


 治伽と舞は、徹也に約束を取り付けた。徹也はそれにため息を吐いて応じる。徹也としては、穏恵と真未の許可なく話すわけにはいかなかったのだ。


 徹也は今度こそ、ヘンリーに礼をして財務大臣室の扉を開ける。そして徹也は、治伽と真未を連れて財務大臣室から出ていった。

読んでくださりありがとうございます!

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