第二十一話
「まず、穏恵にこの荒廃した土地を再生してもらう。その後に、真未に協力してもらって家などを建てていこうと考えています」
「ああ。して、一度に再生できる土地はどれぐらいだ?」
徹也の説明を聞いたヘンリーは、穏恵に対して疑問を投げかけた。穏恵はビクリと体を震わせたが、きちんとその質問に答える。
「は、はい。最大が大体、私を中心にして半径一キロ程です……。ただ、それをすると殆どの魔力を使い切ってしまうので、一晩寝ないと回復しません……」
ヘンリーは穏恵のそんな答えを聞いて、ふむと考える素振りを見せた。そして少ししてから、穏恵に言葉を返す。
「この村の大きさならば、一度で出来そうな気もするが……。念の為、二日と見ておこう。二日目は再生と再建を並行で行う。これでいいな?」
ヘンリーのその言葉に、徹也達が頷いた。コーフォン家の者達も異論はなく、ヘンリーに従うようだ。
「よし。ならば早速始めていこう。もう時間も遅いのでな」
ヘンリーの言う通り、早朝から馬車に乗ってきた徹也達であったが、もうすでに日が沈みかけである。出来れば、日が完全に沈む前には終わらせたいのだ。
「コーフォン達は村の住民達をここに集めてくれ。クリスは騎士駐在所に向かって、騎士を連れてこい。他の者達は集まるまでここで準備だ。いいな?」
ヘンリーの指示に対してこの場にいる全員が頷き、動き始める。徹也達はこの場を動かずに、準備を始めた。
「穏恵はこの辺りから始めてくれ。地図を見る限り、この辺りが村の中心のはずだ」
「う、うん。ね、ねえ徹也君。大丈夫、だよね……?」
穏恵が不安そうに徹也に話しかけた。徹也はそんな穏恵に対して、チラリと真理達の方を見てから答えを返す。
「……ああ。まあ、何もないって言い切れるわけじゃないが……。大丈夫だ。俺達は一人じゃないからな。真理に真未だけじゃない。治伽に舞、優愛もいる」
徹也のその言葉に、皆が笑みを浮かべて頷いた。それを見た穏恵もまた、表情が和らぐ。
「……うん。そうだね。……ねえ徹也君」
「うん?なんだ?」
「私、頑張る」
「……おう。頑張れ」
穏恵の決意のこもった言葉を聞いた徹也は、微笑んでそう返した。徹也は穏恵のそんな言葉に驚きはしたが、それ以上に嬉しかったのだ。こんな穏恵を見たのは、徹也でも初めてなのだから。
「あ、あの、徹也様」
徹也と穏恵の話が終わると、今度はレイヒが徹也に声をかけた。レイヒからすれば、徹也と他の女性が仲良くされては困るのだ。なので、これ以上話を広げさせない為でもあった。
「はい。なんですか?レイヒさん」
徹也もまた、レイヒの言葉を無視するようなことはせず、きちんと対応する。ここで印象を悪くするわけにはいかないからだ。
「少し気になったのですが、後ろに背負ってる袋には何が入っているのですか?」
「ああ。これですか?これには――」
「兄様。連れてきました」
徹也がレイヒの質問に答えようとした時、丁度クリスが戻ってきてヘンリーに声をかけた。徹也がその方を見ると、すでにレイヒの父親と母親も戻ってきており、住民と騎士が集まっていた。
「すいません。この話は後に……」
「あ、はい。大丈夫ですよ」
徹也はレイヒに謝罪し、レイヒとの話を中断した。準備が整ったからである。
「……よし。皆、今いる場所から動かないように。では、始めてくれ」
ヘンリーの言葉に、穏恵が頷く。そして、穏恵はその場にしゃがみ込んで地面に手を付けた。
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