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第二十話

 その後何事もなく、徹也達は目指していた村に到着した。徹也としては、道中に邪魔が来るのかと思っていたので拍子抜けである。


 徹也達が馬車から降りると、先行していた馬車に乗っていたヘンリー達がすでに降りていた。徹也達が最後である。


「て、徹也君……。ここ、本当に村なの?」


 馬車の外に出た瞬間、治伽がそう徹也に問いかけた。優愛と真未は徹也に問いかけはしなかったが、呆然と村を見ていた。二人もまた、治伽と同様の疑問を持ったことだろう。


「……そうだ。ここには、人も住んでる」


「そんな……」


 信じられない、といったような声をだした治伽だったが、他の者達も信じられないようだ。現に、徹也にヘンリー、クリス以外の者達は周りをキョロキョロと見渡していた。


 すると、徹也達に近づいてくる者達があった。コーフォン家の者達である。


「お待ちしておりました。ヘンリー様」


「ああ。今日からよろしく頼む」


「いえ。こちらこそ、この村をよろしくお願いします」


 ヘンリーと男がそんな風に話していると、徹也にも少女が話しかけてきた。その男の娘である、レイヒ・コーフォンである。


「来てくださったのですね。徹也様」


「はい?……ああ。レイヒさんですか」


 徹也がレイヒにそう返事をすると、レイヒは驚いて目を見開いた。徹也に名前で呼ばれるとは、思っていなかったからだ。


 そんなレイヒの様子を見た徹也は、少し不思議に思った。なぜ驚かれたのか、徹也は分からなかったからである。


「ど、どうかしましたか?」


「い、いえ。なぜ、私の名前はご存知なのかと思いまして……」


「そ、それはすいません。気になったもので、ヘンリーさんから教えてもらいました」


「そ、そうですか……」


 レイヒはそんな徹也の答えに対して、少し顔を赤らめ照れたような素振りを見せる。それを見た優愛に舞、真理に真未に穏恵が徹也をジト目で見て、治伽がため息を吐いていた。


 馬車の中で話していたことではあるが、ここにもまた徹也に落とされた者がいると、治伽達は思ったのだ。それは徹也をジト目で見たくも、ため息を吐きたくもなるだろう。


「……ねえ徹也君。この娘、誰?詳しく教えてほしいなぁ」


 舞がそう、徹也に話しかけた。この質問は、他の者達も気になっていたことである。故に、皆舞の言葉に頷いた。


「え?い、いや、俺も詳しくは知らないが……。彼女はレイヒ・コーフォンさん。前にこの村に来た時に、お世話になった人の一人だ」


「は、はい。レイヒ・コーフォンです。あの、この方々は……?」


 レイヒは自己紹介をしてから、徹也にそう問いかけた。レイヒとしては、徹也の周りにこんなに多くの女性がいるとは、思ってもいなかったのである。


 もう、こんな数の女性に言い寄られているのだろうかと、レイヒは危惧した。仮にそうだとするなら、正妻の立場につくことは難しくなるからだ。


 そしてレイヒと同じ思いを、レイヒの父親も抱いていた。故にレイヒだけでなく、コーフォン家の者全員が、徹也の答えを注視しながら待っているのである。


「俺のクラスメートで、友達です。今回の計画の、軸になる人達でもあります」


「く、くらすめーと?それはよく分かりませんが……。今回は、この村をよろしくお願いします」


 徹也の説明を聞いたレイヒは、優愛達にそう言って頭を下げた。徹也の言葉からは、この女性達が自分の女達だというものが感じられなかった。それならば、まだ大丈夫であろうと、レイヒは判断したのだ。


 そしてそれは、レイヒの父親も同様であった。男は密かに安心し、自分の娘であるレイヒに視線を送る。レイヒはそれに頷き、徹也にできるだけ近づいた。


「……なんで、そんなに近づいてるの?徹也が困るから、もう少し離れて」


「え、そ、そうですか?徹也様?」


 真理からそう言われたレイヒは、戸惑う素振りを見せながら徹也に問いかける。徹也を困らせるようなことがあってはならないからである。


「べ、別に大丈夫だが……」


「なっ……!」


 徹也のその返答に、真理は驚いて声を出した。まさか、徹也はレイヒのこの行動に対して満更でもないのかと思ったからである。そして、そう思ったのは真理だけでなく、他の女性陣も例外ではなかった。


 だが徹也からすれば、ここでレイヒを拒絶してしまうと印象が悪くなり、後々頼みを聞いて貰えない恐れがあった。だからこそ、ここは無理に拒絶はしなかったのである。


(レイヒさんのこの行動も、俺に近づく為だということは分かってる。このままの状態を続けていれば、問題ない)


 これ以上離れず、そして近づかずにいるのが最善であると、徹也は判断したのだ。そんな徹也の考えなど知らない女性陣は徹也を問い詰めようとしたが、ヘンリーがそれを遮る。


「では、早速始めていこう。徹也君、説明を頼む」


「はい。分かりました」


 徹也はヘンリーの言葉に頷き、そう返事をした。そして徹也は前に出て、この場にいる全員に向けて話し始めた。


読んでくださりありがとうございます!

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