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第十六話

 少し間が空いてから、真理が徹也に話し始めた。


「……徹也はさ、地球に戻りたいと思う?」


「……は?いや、それはそうだろ。そのために対策して生き抜いて、帰る手段を探してるんだからな」


 真理のその言葉に、徹也は少し戸惑いながらそう返す。徹也にとっては、それが当然だからだ。


 だが、徹也のその答えに真理と真未は顔を顰めた。まるで、徹也のその答えが不服だと言うように。


「ま、そうだよね。徹也は。でも、アタシ達は違う」


「え?ど、どういうことだ?」


 違うと言った真未の言葉に、徹也は心底理解が出来なかった。一体、何が違うというのか。徹也にはそれが分からないのだ。


「私達は、地球に帰りたいって思ってないってことだよ。徹也」


「……あ?」


 徹也は真理のその言葉に、それしか返すことが出来なかった。徹也にとって、それを目指さないということはありえないからだ。


「……何でだ。何で、帰りたくないんだよ」


 徹也は分からないからこそ、真理と真未に理由を尋ねる。すると、真未が答えを返してきた。


「徹也は知ってるじゃん。アタシ達の家の環境」


「っ……!」


 徹也はその真未の返答に、言葉を詰まらせた。真理と真未の家の環境は、幼馴染である徹也ももちろん知っていた。正直、胸くそが悪いものである。


 真理と真未の父は、双子の姉である真理を溺愛していた。なぜなら、真理が所謂天才であったからである。それこそ難関国公立大学どころか、日本最難関の大学でさえ余裕で受かってしまうような。


 真理もまた、研究がしたいと思っていた。だから父が言うように日本最難関の大学を受ける予定だったのだが、真理は父が嫌いだったのだ。


 その理由は、父が真未を一切可愛がらず、全てにおいて真理を優先したからである。更にそれだけでなく、真理と真未の父は徹也のことも認めなかったのだ。


(お父さんと話した時、家の敷地を跨ぐな!とまで言われたもんな……。俺に、才能がなかったから……)


 徹也が真理と関わるのは真理にとって悪影響だとして、徹也を認めなかったのである。幸い、真理と真未の母は徹也が来るのを許してくれたので家には入れたが、中学三年の時に亡くなってからそれすらもなくなってしまった。


「……正直、私はこの世界にいたい。この世界なら、私の才能も、真未の才能も、認めてくれるから。徹也だって、財務大臣の人に認めてもらったんでしょ?」


「それに徹也だって、いい家庭環境とは言えないじゃん。いつもお兄さんと比較されてさ」


「そ、それは……」


 真理と真未の言葉に、徹也は何も言い返せなかった。実際、徹也の家庭環境が悪いのは事実だからだ。


 徹也もまた真未と同様に、事あるごとに兄と比較され続けてきた。特に成績は顕著である。


 そして真理と真未とは違い、兄も徹也をあまり良く思っていなかった。本当に悪い家庭環境だったのである。


「だから、ね?徹也。私達と一緒に、この世界で生きていこ?」


「お願い徹也。アタシ達と、ここに残って」


 真理と真未は真剣な顔で、徹也に訴えかける。それに対して徹也は、顔を下に向けてその答えを語りだした。


読んでくださりありがとうございます!

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