第十一話
店に着いた徹也と真未は、腕を組んだまま店内を物色していた。この店は装飾品を扱っている店であり、多くの装飾品が並んでいる。
また、徹也はこの店に覚えがあった。以前の休みの日に、治伽に舞、優愛達と来てヘアピンを買った店である。
そして今、真未はそのヘアピンと同じヘアピンを手に取っていた。
「これ良いな〜!どう?いい感じでしょ?」
「あ、ああ。そ、そうだな……」
真未はヘアピンを付けて、徹也にそう問いかけてきた。徹也の感想が欲しかったのだ。
だが、徹也は真未の問に曖昧な答えを返した。徹也としては、すでにそのヘアピンを付けたときの感想を三回も求められているのだ。四回目にもなれば、そんな返ししか出来ないのは仕方のないことだろう。
しかし、真未からすれば徹也のそんな反応は不満であった。それは当然のことであろう。似合っているの一言もなければ、不機嫌にもなる。
「……似合ってるぐらい言ってくれてもいいじゃん。それとも何?アタシには似合ってないとか?」
真未はそう言って、悲しそうな顔を見せた。真未のそんな顔を見た徹也は、慌てて真未の言葉を否定する。
「い、いや!そうじゃなくて!似合ってるとは思うけど、それ以上の言葉が出てこなかっただけで……」
「ふーん……。褒めてくれようとはしてたんだ……。でも、アタシ傷ついちゃったな〜」
徹也の説明に納得はした真未であったが、何かを望んでいるような風にそう徹也に語りかけた。それを聞いた徹也は、真未が何かをしてほしいことに気付き、真未に問い返す。
「……何が欲しいんだ?」
「むふふっ!分かってんじゃん!このヘアピン買って!」
「はあ……。分かった。買ってくるから、それ渡せ」
「やったあ!はいこれ!じゃあ、アタシは外で待っとくから」
真未は徹也にヘアピンを渡すと、先に店から出ていった。徹也はそんな真未を見送ってから、ヘアピンを見る。
(このヘアピン、そんなに良いのか?治伽も舞も優愛も気に入ってそうだし……)
徹也が今まで渡してきたプレゼントは、全てこれである。故に徹也は、このヘアピンが女子に人気なのかと思ったのだ。
(なら、土屋にもこれを買おう。身につける物だしな。真未だけだとあれだし、真理の分も買っとくか)
そう思った徹也は、新たに同じヘアピンを二つ手に取った。それを持って会計の方へ行こうとしたが、徹也はすぐにその足を止める。
(……先生とシャーロットの分も買っておこう。お世話になったお礼に、何か渡したいって思ってたし)
徹也はそう思い直し、ヘアピンを更にもう二つ取る。そして徹也は今度こそ、会計のところへと向かっていった。
読んでくださりありがとうございます!




