第十二話
「すいません!会計をお願いしたいんですけど!」
会計の場所まできた徹也は、そう声をあげた。そこに誰もおらず、会計をすることが出来なかったからだ。
徹也の声が聞こえたのか、店の奥から店主が出てきた。そしてその店主は、徹也に話しかける。
「待たせてすいませんね。……って、あんたは……!」
「ど、どうも……。あの……」
徹也は手早く会計をすませるためにヘアピンを出そうとしたが、徹也の手はヘアピンを出す前に止まった。なぜなら、店主が徹也に頭を下げていたからだ。
「ち、ちょっ!なんで頭を下げて――」
「前はすまん!」
徹也は店主の行動を止めようとしたが、店主の言葉に遮られた。店主は更に徹也に対して言葉を重ねる。
「確かにあの時、俺はすでに諦めて何もしてなかった。他人任せだった……」
店主はそう、徹也に語った。徹也が前に言ったことを受け止め、店主なりに考えてきたのだろう。それが分かった徹也は、黙って店主の話を聞いていた。
「俺にできることなんてもんは、たかがしれてる。だが、国のためにできることはしたいと思ったんだ。……あんたの話を聞いてな。だから、協力できることがあれば言ってくれ」
「……そうですか。分かりました。ありがとうございます。ぜひ、お願いします」
店主の言葉に、徹也は少し微笑んでそう応じた。実際、店の人が協力してくれるのは徹也からすれば大きいことだった。これから先の財政対策に、である。
徹也は店主に右手を差し出し、握手を求めた。これから友好関係を築いていくのだから、当然の行為だ。
「早速、お願いしたいことがあります。詳細は財務大臣と共に話したいので、後日王城の方に来ていただいても?」
「お、おう。俺は構わないが……」
「では、よろしくお願いします。じゃあ、会計を」
伝えることを伝えた徹也は、店主にそう言ってヘアピン五個をだした。店主は戸惑いながらも、それに応じる。
「あ、ああ。分かった。っていうか、あんたこのヘアピンばっか買ってんな。彼女がこのヘアピンを気に入ったのか?それにしても買い過ぎだと思うが……」
「いや、俺に彼女なんていませんから。今まで渡した女性が全員喜んだので、世話になった女性にも渡そうかと」
店主の問に、徹也はそう答えた。徹也としては何も変なことは言っていないのだが、店主からは呆れた顔をされた。
「……あんた、いつか後ろから刺されるかもしれねえぞ?」
「え?どういうことですか?」
「……いや、何でもない。全部で15万タレンだ」
徹也は店主の言葉が理解できなかった。女性にヘアピンを渡すことがなぜ後ろから刺されることに繋がるのか、徹也には分からなかったのだ。
そんな徹也に呆れた店主はため息を吐いてから、徹也に値段を伝えた。それを聞いた徹也は、その分の金額を店主に渡す。
「よし。ちょうどだな。ほれ。持ってけ」
「ありがとうございます。では、また後日」
徹也は店主から五つのヘアピンを受け取り、別れを告げた。そして、店の外で待つ真未のところへと向かっていった。
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