第十話
時は流れ、休みの日。徹也は真未とのデートのために、待ち合わせ場所まで来ていた。
「徹也〜!」
徹也が真未との待ち合わせ場所で少しの間待っていると、そこに真未が徹也の名を呼びながらやってきた。そんな真未に気付いた徹也は、真未の声に反応する。
「おう。遅かったな」
「ちょっと、服で悩んじゃってね」
そう言った真未の服は、確かに見たことがない服装だった。そしてその服は、王都にすら売っていないだろうと思えるほどの良質な代物だった。
「そ、その服、買ったのか……?」
「んー?違うけど?アタシが自分で作ったの。どう?似合ってるでしょ?」
「あ、ああ。そうだな。似合ってると思うぞ……」
徹也は真未にそう返しながらも、真未が作ったその服に経済効果を見ていた。間違いなく、王都に売っている服よりも良質であり、デザインも良い。
(この服と同じような物が量産出来れば、それだけで経済効果がある。質を少し下げてでも、量産して安く販売すれば……)
富裕層だけでなく貧困層も買えるかもしれないと、徹也は思う。それを国、いや、スカーレット派主導ですることが出来たなら、状況は大きく変わる。
「徹也?どうかした?」
「っ!?い、いや……何でもない」
徹也がそこまで考えていると、真未が問いかけてきた。少し考えている素振りを見せた徹也に疑問を抱いたのだ。
そんな真未の問に、徹也は答えをはぐらかす。この場で言うべきではないことだと判断したのだ。
今は真未とのデートの時間である。真未の様子を見るに、相当楽しみにしていたのだ。ここでそのような話は無粋だと、徹也は思ったのである。
そして、徹也のその判断は恐らく正しかったのだろう。現に真未の機嫌を損ねることなく、その問を乗り切ったのだから。
「そう?なら、早く行こ?」
「どこに行くつもりなんだ?」
「んー……。取り敢えず、買い物?その後は、絶対行きたいところがあるんだけど……」
「分かった。じゃあ、行こうぜ」
徹也は真未の絶対に行きたいと言った場所が気にはなったが、それは聞かずに歩き出す。どこであったとしても行くことは確定なので、後に分かるからだ。
歩き出した徹也の後を真未はすぐに追い、隣に並ぶ。そして真未は、徹也の腕に自らの腕を回した。
そんな真未の行動に、徹也は顔を少し赤く染めて照れた。だが、引き剥がそうとはしない。地球にいた頃からのことで、言っても無駄だと分かっているからだ。
「あれ〜?どうしたの徹也〜?」
徹也のそのような反応に、真未はニヤニヤとして徹也の方を見る。徹也はそんな真未から目を逸して、言葉を返す。
「……何でもねえよ。ほら。行くぞ」
「ふふっ。オッケー!」
徹也と真未は腕を組んだまま、今度こそ買い物に行くために歩き出した。
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