第八話
しばらく歩いた徹也と穏恵は、真未がいるはずの工房に来ていた。真未と話す為である。
徹也と穏恵は工房の扉を開けて中に入る。するとその中では、多くの職人が作業をしていた。
「す、すごいな……」
「う、うん……」
その作業風景に、徹也と穏恵は圧倒された。これが職人達の技か、と感じたのである。
「……あんたら、誰だ?」
徹也と穏恵がそんな職人たちに見入っていると、一人の職人が徹也と穏恵に話しかけてきた。その言葉に対して、穏恵はすぐに徹也の後ろに隠れ、徹也が言葉を返す。
「す、すいません。自分は才無佐徹也です。こっちは、土屋穏恵。真未を探しているんですけど……」
「真未?……ああ。双見のことか。双見なら、奥で設計図を書いてるぞ。あんたら、双見の友達か?」
「あ、はい。そうです」
「そうか。案内してやる。着いてこい」
その職人はそう言うと、奥に向かって歩き始めた。徹也と穏恵は慌ててその職人の後を追う。
少し歩くと、徹也達の前に扉が現れる。その扉の前でその職人は足を止めて、徹也と穏恵の方を向いた。
「……ここだ。この中に、双見がいるぞ」
「案内してもらってすいません。ありがとうございます」
そう言った職人に、徹也は頭を下げて礼を言う。穏恵もまた、礼を言うことはなかったが、徹也の後ろに隠れたまま頭を下げた。
そんな徹也と穏恵を見た職人は、手を上げて徹也と穏恵の前から去って行った。その職人を見送った後、徹也は扉に手をかける。そして、その扉を押した。
扉を開いたその中には、一人の少女が椅子に座って何かを書いていた。徹也はその後ろ姿を見て、後ろからこう声をかけた。
「……真未?」
徹也に声をかけられた金髪ポニーテールの少女、双見真未は徹也の声に気付き、徹也の方に顔を向けた。
「あれ?徹也じゃん。何?どったの?穏恵もいるし」
真未は徹也と穏恵に向かって何故来たのかを問いかけた。徹也と穏恵がここに来る理由が分からなかったからだ。
「久しぶりだな。真未。実は、頼みたいことがあるんだ」
「へ?徹也がアタシに?珍しいじゃん。いつも、頼み事とかしないのに。で?何を頼みたいの?」
「廃れた村に、新しい建物を作って欲しい。あのままじゃ、問題がありすぎる。金もかけられないから、こうして頼んでるんだ」
「ふーん……。なるほどねぇ……」
徹也の説明に、真未はそう言って少し考える素振りを見せた。そしてそれから、徹也に答えを返す。
「徹也の頼みだし、やるのはやってあげる。これから生活していく世界のことだし。でも、何の対価もなしにっていうのは、ねえ?」
「……何をすれば、力を貸してくれるんだ?」
真未の言うことはもっともであると、徹也は思った。だからこそ、徹也は真未に問うたのだ。どのような対価が欲しいのか、と。
「そうねぇ……。じゃあ、アタシとデートして?」
「……は?」
「ま、真未ちゃん!?」
真未の言葉に対して徹也は呆気にとられ、今まで黙っていた穏恵が真未に向かって声を上げた。そんな穏恵の声に、真未はこう返す。
「どうしたの穏恵?アタシと徹也がデートしても、何の問題もないでしょ?」
「そ、そうだけど……。でも……」
「……分かった。要するに、二人で出かければいいのか?」
「そ。いいでしょ?」
「ああ。それで力を貸してくれるならな」
徹也のその言葉に、真未は口角を上げて穏恵は眉を潜めた。真未は徹也と出かけられることが嬉しくて、穏恵は複雑な思いだったからだ。
「オッケー!じゃあ、今度の休みに行こっか!あー楽しみ!」
「決まりだな。じゃあ、俺はここで」
「ん。またね〜」
徹也はそう真未に別れを告げて、この部屋の扉を開けた。そして徹也は、穏恵を連れて部屋から出ていった。
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