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第七話

 建物から外に出た徹也と穏恵は、あの女性の元へと向かった。穏恵がここから出る許可を得る為である。


「あ、あの……」


「あら?どうしたの土屋さん?彼との話はもう終わったの?」


「は、はい……。そ、それで、その……。うう……!」


 穏恵は外に出ていいのか聞こうとするが、肝心なところで言葉が出てこない。そんな穏恵の様子を見ていた徹也は、穏恵の前に出た。


「話は終わったんですが、少し土屋と出かけたいと思いまして。その許可を貰いに来ました」


「そうなの?土屋さん」


 徹也の説明を聞いたその女性は穏恵に確認を取った。それに対し、穏恵は深く頷く。


「は、はい……!そうです……!」


「そう。元々この後は休みの予定だから、構わないわよ。次の作業が始まるまでに帰ってきてくれれば。それまで、楽しんで来たらいいわ」


「あ、ありがとうございます……!」


 女性の言葉に、穏恵は礼を言って頭を下げた。女性はそんな穏恵を見て微笑んで、その顔を徹也の方に向ける。


「けれどその前に、君の名前を聞いておきたいわ。これからも会うかもしれないし、ね」


 その女性はそう言って、徹也に名前を教えてほしいと頼んだ。その頼みに疑問を覚えながらも、徹也は女性に対して名前を告げる。


「は、はあ。才無佐徹也です。よろしくお願いします」


「才無佐君ね。私はファン・ライシー。一応、この農場の管理を任さているわ。よろしくね」


 お互いの自己紹介を済ませた後、徹也とファンは握手を交わした。その際、ファンの豊満な胸が徹也の目に入る。徹也は少しの間見てしまい、すぐに顔を赤くして目線をそらした。


(や、やばい。デカすぎで思わず見てしまった……。ば、バレてなきゃいいんだが……)


 だが、握手をし終えて手を離すと、穏恵からジト目で見られていた。そんな様子を見ていたファンは、ふふっと笑ってから徹也と穏恵に話しかける。


「ほら、もういいから行ってらっしゃい。デート、楽しんでね」


「ふえっ!?う、ううっ……!い、行こ、才無佐君」


 ファンの言葉を聞いた穏恵は、顔を赤く染めながらも徹也の手を引いて歩き出す。ファンはそれを微笑んだまま見送った。


 しばらく歩くと、穏恵が徹也の方を向いた。そして、徹也に話しかける。


「……さっき、ファンさんの胸見たでしょ」


「うっ……!そ、それは……!」


 穏恵の言葉に、徹也はバツが悪そうに顔をそらす。見てしまったのは事実だ。あれだけの存在感があれば、見てしまっても仕方のないことなのかもしれない。


「やっぱり、大きい方がいいのかな……」


 穏恵は徹也に聞こえない程の声でそう呟いた。穏恵はそこまで大きくはないので、そう感じてしまったのである。


「わ、悪い!できれば、ファンさんには言わないでほしい!」


 徹也はそう言うが、穏恵はファンはすでに気づいているだろうと思っていた。女性はそういう視線に敏感なのだ。だが、これで徹也から何か貰えるかもしれない。そう考えた穏恵は、徹也にある要望を伝えた。


「……いいよ。でも、何か身につける物を買ってほしい、かな……」


 穏恵の予想外の要望に、徹也は驚いた。そんな要望がくるとは思っていなかったのだ。


 だが、徹也にとってこれは好都合だった。なぜなら、買うだけで黙っていてくれるのだから。


「お、おう。それでいいなら。何がほしいんだ?」


「それは、才無佐君に選んでほしい、かな」


「え?それでいいのか?」


 徹也はそう聞き返す。そう言うということは、てっきり欲しいものがあるのだと思っていたからだ。


「うん。それがいい」


「わ、分かった。また買っておく。渡すのは今度でいいか?」


「う、うん!楽しみにしてるねっ」


 徹也の言葉に、穏恵は嬉しそうにそう頷いた。徹也に何かを買ってもらえることが、穏恵にとってはとても嬉しいことだったのだ。


「じゃあ、早く真未ちゃんのところに行こっ!」


「あ、ああ。そうだな」


 嬉しくなった穏恵は、ゆっくり歩いてきたのをステップに変えて少しペースを上げた。そんな穏恵に、徹也もペースを上げて着いて行った。


読んでくださりありがとうございます!

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