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第六話

 建物の中に入った徹也と穏恵は、その中にあったベンチに横並びで座った。すると、穏恵が徹也に話しかける。


「え、えっと、それで、話って、何、かな?」


「ああ。実は、土屋の力を貸してほしいんだ」


 徹也が穏恵にそう言うと、穏恵は驚いて目を見開いた。穏恵が徹也と出会ってから、徹也からそんなことを言われたことは一度もなかったからである。


「う、うん!徹也君の力になれるなら、何でもするよ!」


「……何でもって、あんま言わない方がいいぞ」


 徹也は穏恵のその答えに、そうツッコむ。何でもするは危険な言葉であると、徹也は知っているのだ。


 無論、穏恵は知る由もないだろう。現に、困惑しながら頷いている。


 穏恵としては、ただ徹也の力になれるなら何でも良かったのだ。今まで、それこそ出会った中学時代から、穏恵はずっと徹也に助けられてきた。だからこそ穏恵は、徹也に力を貸してほしいと言われた時はやっと恩返しができると思って嬉しかった。


「そ、それで、私は何をすればいいのかな……?」


 穏恵は徹也にそう問う。自分が何で徹也の力になれるのか、気になったからだ。徹也としても説明しておいて損はないので、穏恵に説明を開始する。


「一昨日と昨日で、王都から離れた村を見てきたんだ。そしたら、荒れに荒れててな。だから、土地を良くするのに土屋の力を貸してほしいんだ」


「そ、そっか。それなら、うん。多分、できると思うけど……。私だけじゃ、土地を良くできるだけで建物とかは建てれないよ?」


 穏恵の言葉はもっともである。土地だけ良くできるだけでも生活水準はいくらか上がるだろうが、それだけでは貧困問題を解決するには程遠い。


 だが、徹也はもちろんそこまで考えていた。穏恵だけでは足りないのなら、また一人増やせばいい。そして、その一人もすでに目星をつけていた。


「ああ。分かってる。だから、真未に頼もうと思う」


「ま、真未ちゃんに?」


 穏恵の問に、徹也は頷いて肯定の意を示した。そしてその理由を、徹也は穏恵に語り始める。


「真未の才能は【技工】だからな。何とか、なるんじゃないかって」


「……うん。いいと、思うよ?真未ちゃんも、才無佐君に会いたがってると思うし……」


「そうか?まあ、しばらく話してないしな」


「そ、そうじゃないんだけど……。まあ、いっか……」


 徹也の的外れな発言に、穏恵は複雑な表情を浮かべた。徹也はそう言ったが、穏恵は真未が徹也に会いたがっているというのは好きだからだと思ったからだ。


 だが、それが幼馴染として好きなのか、異性として好きなのかは穏恵には分からない。今まで聞いた時は、真理と同様にずっとはぐらかされてきたからだ。


 何より穏恵には、真未の本当の気持ちは分からない。だが、真未が徹也に会いたがっているということだけは断言できると、穏恵は思っていた。


「じゃあ、この後行けるか?できるだけ早く真未と話しておきたい」


「この後?多分、大丈夫だと思うけど……。一応、聞いてみないと……」


「分かった。じゃあ聞きに行こう」


「そ、そうだね」


 徹也の言葉に頷いた穏恵は、徹也と共に立ち上がった。そして、先程までいた外に戻っていった。


読んでくださりありがとうございます!

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