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第一話

 今、徹也の目の前には廃れた土地が広がっていた。草木は枯れ果て、家は木造だが崩れたり、傾いたりしている。もはや、人がいるのかどうかすら怪しいレベルだ。


「……本当に、ここが村なんですか?ヘンリーさん」


 徹也は、隣にいるヘンリーに問いかけた。徹也はヘンリーと共に王都から少し離れた村まで来ているのだ。徹也が王都以外の町を確認したいと言ったからである。


「ああ。そうだ。だが、これはまだまだ序の口。更に王都から離れると、これ以上になる」


(これ以上って、一体どんな惨状になってるんだ……。想像もできないぞ……)


 日本で生活してきた徹也にとって、このような村は想像もしていなかった。しかも、これがまだマシだと言うのだ。


 これは、早急に対策をしなければまずいと、徹也は思う。この状態を見たら、そう思うのも無理はないだろう。


「さて、才無佐君。これを見て、まず何をする?」


 ヘンリーは徹也にそう問いかけた。徹也が言っていた、複数の対策。徹也がその中で何から始めていくのか、ヘンリーは気になったのだ。


「そうですね。本当は、富裕層の給与を削って貧困層にくばることから始めたかったんですが……。それどころではないですね。まずは、王都以外の町を再生しないと……」


「再生、か。だが、どう再生する?建物を立てるにも、草木の処理にも、金がかかるぞ」


「もちろん、分かってますよ。それをなしにできる方法もあります」


「何……?」


 何かを作るには、間違いなく金がつきまとう。それをどう解決するのか、ヘンリーには想像もできていなかった。


「俺のクラスメート達は、才能があって頼れる奴らが多いので」


 徹也は口角を上げてそう言った。事実、徹也は本当にそう思っているのだ。


(必要なのは、土地を復活させられる才能、そして家などを建てられる才能。取り敢えず、急務はこの二人。土地のほうは農業もできればなおよしだな)


 そこまで考えた徹也は、その二人に心当たりがあった。【農業】の才能を持つ者と、【技工】の才能を持つ者である。どちらの人物とも、地球にいた頃から交流があったので、話すことぐらいはできるだろうと、徹也は思う。


「……そうか。期待している」


「はい。それで、この後は?自分としては、早く王都に戻りたいんですけど……」


「それは無理だ。今から王都に戻るのは危なすぎる。今日はこの村に泊まることになる」


(……え?泊まる?この村で?……いや嘘だろ!?どこに泊まる場所があるんだよ!?)


 徹也はそう思って辺りを見渡すが、やはり泊まれるような場所は見当たらなかった。辛うじて、崩れていないボロい家があるぐらいである。


 まさか、あそこに泊まると言うんじゃないだろうなと、徹也は思った。だが、そんな徹也の考えは間違えることはなく、ヘンリーはそのボロい家に向かって歩き出す。


「?どうした?早く来い。こっちだ」


「は、はい……」


 ヘンリーにそう呼ばれた徹也は、ヘンリーの後を追ってそのボロい家に向かって歩き始めた。


読んでくださりありがとうございます!

この話から、第二章財政対策が始まります。

第二章になっても、よろしくお願いします!

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