第二話
その家の前に着くと、ヘンリーが扉をノックして口を開いた。
「ヘンリー・スカーレットだ。開けてくれ」
ヘンリーがそう言うと、その家の扉がギギギッと鳴って開いた。するとそこには、一人の男がいた。
「お待ちしておりました。ヘンリー様。食事と寝床を用意しております」
「ああ。ありがとう。急遽だったが、準備してもらってすまない」
「いえ。お気になさらず。……それで、そちらは?」
その男が徹也の方を見てそう問いかけた。その問いに、ヘンリーが答える。
「ああ。私の側近の、才無佐徹也君だ」
「よ、よろしくお願いします」
「噂の召喚された御一行のお一人ですか……。どうぞよろしくお願いします」
徹也が頭を下げてそう言うと、その男もまた頭を下げて握手を交わした。少しの間そうすると、その男は徹也から離れてヘンリーと徹也を奥に案内する。
「……では、こちらにどうぞ。食事を準備しています」
そう言って奥に向かって歩き出した男の後を、ヘンリーと徹也は追った。そして、ある一つの部屋に入ると、食事と二人の女性がいた。
「「お待ちしておりました。ご食事はすでにご用意してあります。どうぞ、お召し上がりください」」
二人の女性がそう言うと、ヘンリーと徹也をそれぞれ食事の席へと案内した。ヘンリーと徹也はその席に座り、食事を食べ始める。
(……っ!?何だこれ!?めっちゃ美味い!王城並だ!)
用意されていた食事は、徹也が想像していたよりもずっと美味しかった。正直徹也は、村や家が酷かったので食事の方も心配していたのである。
だが、出された料理は本当に美味しいものだった。徹也は、この料理は誰が作ったのかを知りたくなった。この料理なら、店を出せてもおかしくないと思ったからである。
すると徹也の方に、水色の髪の若い女性が近づいてきた。見れば、ヘンリーの方にももう一人の女性が酒を注いでいる。
「……お注ぎしましょうか?」
徹也の近くに来た女性は、そう徹也に話しかけた。その女性はまだ若く、徹也と同い年ぐらいであろう。見た限りでは、ヘンリーの方にいる女性が母親で、この女性が娘だろうか。
「い、いや、大丈夫です」
徹也はその女性の言葉に対してそう答えた。なぜなら日本では、徹也はまだ酒を飲むことができないからだ。日本なら、お酒は二十歳からである。
だが、ここは異世界。日本の常識が通じないというのは、無論徹也も分かっていることだった。
「そうご遠慮なさらずに。どうぞ」
「ほ、本当に大丈夫なので!自分達の世界では、まだお酒は飲めない年齢なんですよ」
「そ、そうなのですか?それは失礼しました……」
徹也がそう説明すると、その女性は少し驚いていたがすぐに引き下がった。だが、女性から話しかけてきたので、今度は徹也から彼女に話しかけることができた。
「そ、そういえば、この料理を作ったのは、誰ですか?」
「私、ですけど……。何か問題が……?」
徹也の問に、その女性は少し不安げにそう返した。自分が作ったものが気に入らなかったのだろうかと、不安になったのだろう。
「いえ、とても美味しかったので、一体どなたが作ったのかと」
「ほ、本当ですか!?良かった……」
徹也に褒められたその女性は、安心して嬉しそうにした。そして、味を褒められて嬉しくなったのか、徹也に料理を勧めてくる。
「どんどん食べてくださいね。おかわりもありますので」
「は、はい……」
この後、徹也は美味しい料理を満腹になるまで食べ、寝床に招待されて眠りに着いた。ちなみに、徹也が満腹になるまで食べたのは、女性の視線に耐えきれなかったということだけ記載しておく。
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