第三十二話
ヘンリーと話をして、スカーレット派を味方につけた徹也は、その日の夜に自分の部屋でより具体的な対策を考えていた。どのような状況で、どういう風に崖に落とそうとしてくるか、のことである。
徹也が考えついた状況は主に三つ。一つ目は、魔物を利用して魔物に落とさせる。二つ目は、偶然を装って魔法等で落とす。そして三つ目は、小細工なしで落とす。
どのような方法で落とすにせよ、周りに自分達以外の生徒はいないだろうと、徹也は考える。なぜなら、戦闘面の才能を持っている者からの信頼を落としたくないはずだからだ。
徹也はそこまで考えた上で、思いついた状況に対しての対策を考える。
(まず、真正面から小細工なしで来るのなら、近くに先生かクリスさんにいてもらえばいい。問題は、何かを利用してくる場合だな……)
その場合、対策は難しくなると、徹也は思った。なぜなら、地の利は向こうにあるからだ。自分達とは違い、ルーカス派はこの世界の人間である。
ここは、クリス達スカーレット派に聞くしかないと、徹也は思った。だが、今の時点でも大まかなことは考えられるはずだ。
そう考えた徹也は、また思考を巡らせる。今できることで、どれほどの対策ができるのかを。
(まず、魔物使ってくる場合、魔物の対策が必要になってくる。出てくる魔物を種類を調べて、どの魔物を使ってくるのかを予測して対策をしないとな……)
そこはまた本で調べるしかないかと、徹也は思う。魔物の知識も、徹也達は全くといっていいほど知らず、情報がない。故にまずは知らないことには具体的な対策はできないのだ。
(でもまあ、魔物を使ってくるのならその魔物の対策でいけるか……。魔法の場合は、更に対策が難しいな……。どう考えても、向こうの方が使い慣れているんだ)
魔法のことも、まだまだ情報不足である。だが、落とされる前の対策は難しいが、崖に投げ出された後の対策は練ることができると、徹也は考えた。
(投げ出されたら、もう終わりと思っちゃいけない。まずは治伽と舞を《腕力強化》で崖から地上の方へ投げて、クリスさんに任せる。それで俺は、先生に助けてもらうしかないな)
刀夜は風魔法を使って風を起こすことができるようになっており、それを利用して助けてもらおうと考えたのである。具体的には、徹也の足元に風を起こし、徹也の体を引き上げる、という順だ。
(……これが、今考えられる対策全て、かな。まだ完璧ではないが、ここから更に情報を集めて、この対策を詰めていこう)
ここまで考えた徹也はベッドに入り、この一日を終えた。
そして、徹也はこの後も魔物狩りまで対策を練り続けた。魔物を調べて対策を練り、治伽に舞、クリスに刀夜とも協力して更に対策を練った。
その徹底した対策の結果、徹也達はこの通り魔物狩りで生き残ることができたのである――。
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