表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カルテット・マジコ  作者: piku2dgod
Issue#06 I I I Little Talks

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
762/771

issue#06 I I I Little Talks CHAPTER 04 04

重苦しい悲嘆が、部屋の酸素を薄くしていく。


そのただ中で、尊だけが――どこまでも穏やかな、聖母のような微笑みを浮かべていた。


「泣くな、バカ娘ども。神でさえ、勤めを果たせば死は免れぬ。……いや、むしろ喜ぶべきことじゃ。

お前たちが立派に育ったからこそ、わしは安心して消えることができるんじゃからな」

尊は手を伸ばし、泣きじゃくるさなの頬を拭い、それから、堪える4人の頭を、

順に、慈しむように撫でていった。


おせち。アシュリー。さな。はちる。


――その順番は、遠い遠いあの夜、組み上げたばかりのベビーベッドの柵越しに、眠る4つの頬をつついていった順と、寸分違わず同じだった。憶えていてそうしたのか。それとも掌が勝手に憶えていたのか。それは、彼女にしかわからない。


ただ、その掌の温もりだけは、あの夜と、そしてこれまでのどの日とも変わらず温かく――これから消えゆく者のものとは到底思えぬほど、皮肉なくらいに、力強かった。


「今日は天気が良い。……学校から戻ってきたら、久しぶりに、皆で茶でも飲むか」

その日は、嘘のように穏やかな時間が流れた。


陽の傾いた縁側に、5人と1体ぶんの湯呑みが並ぶ。押し入れの奥から引っ張り出されたアルバムが開かれ、母と背丈の変わらぬ4人の「7歳児」が写った、あの七五三の1枚に、涙の乾ききらぬ笑い声が上がる。昔話は尽きることなく次の昔話を呼び、茶のお代わりは何巡もした。


まるで、あの騒がしくも幸福だった日々が、そっくりそのまま帰ってきたかのような――奇跡の、いちにちだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ