issue#06 I I I Little Talks CHAPTER 03 24
記憶の川は、穏やかな瀬を過ぎ――激流の渦巻く、暗礁へと流れ込む。
秋晴れの境内も、フラッシュの白い光も、遠ざかる。夢の景色が反転する。
次に瞼の裏へ流れ込んできたのは、煤と粉塵の舞う、あの日の、戦場だった。
雷撃に焼かれたアスファルトの、鼻の奥を刺す臭い。骨組みを晒して崩れ落ちたビルの残骸。
鳴りやまない、遠いサイレン。そして、その瓦礫の海のただ中で、剣を杖に膝をつく、傷だらけの自分自身の姿。
「行ってしもうた……」
夢の中の尊は、天を仰いだ。視線の先、厚い雲の裂け目には、
まんまと取り逃したシャカゾンビの機影が吸い込まれた、青い光の残滓だけがまだ滲んでいる。
彼女は歯噛みし、七支刀を杖代わりに、よろよろと立ち上がった。枝分かれした刀身が地を擦り、
耳障りな金属音を立てる。背中には電撃の焼き付けた激痛が走っていた。だが、それよりも遥かに鋭い痛みが、この時すでに、胸の内側を刺し貫いていた。
目の前に、4人の娘たちがいる。
制服は裂け、頬は煤け、髪は乱れ――ボロボロになりながら、それでも瓦礫を押しのけて、
1人、また1人と立ち上がっていく。まだ学生服を着る身分の、あどけない少女たちだ。
それなのに、その瞳にはもう、あってはならないものが宿っていた。
死地を死地と知って、なお進む者の――戦士の、悲壮な覚悟が。




