issue#06 I I I Little Talks CHAPTER 03 21
(ああ、やはりおせちよ。この子だけはいつも手間がかからん。心のオアシスじゃ……)
尊が安堵の息を吐きかけた、その時。 おせちは、ようやく納得のいく真円を描いた泥団子を親指で挟み、残りの指で銃の形をつくると、不敵な笑みを浮かべて言った。
「……そいる」
――バチンッ!
乾いた破裂音と共に、小さな泥の塊が、不吉な紫電を帯びて発光した。
人差し指という肉体のレールに沿って滑り出した泥の「弾丸」は、音速を超え、
紫色の光条となって空間を焼き焦がす。着弾したのは、数m先に植わっていた立派な松の木だ。
だが結果は、「当たった」などという生易しいものにはなり得なかった。
及び腰にくねった幹の中ほどが、弾け飛んだ。
松の木の上半分が回転の末に落下し、残された幹の、切断面からは炭化した煙が立ち上っている。
中は落雷の直撃を受けたかのように黒焦げになり、中心部はねじ切られたように消失していた。
「…………」
砂利の上で立ち尽くす尊の頬を、冷や汗が1筋、ツーと伝い落ちる。
仙丹の効果ではない……彼女たちはもともと、有り余るほどの才能を秘めてこの世に生まれてきていたのだ。そしてその力は、ひとつ扱いを間違えれば、この世の理をねじ曲げ、破壊し、蹂躙するための「凶器」そのものにもなり得るだろう。
(……はちるだけではない。もしかするととわしは、とんでもない化け物ばかりを拾ってしまったのではないか――?)
夕暮れの境内。 焦げた植木と、破壊された灯籠と、爆砕された松の木に囲まれながら。
4人の幼き「超人」たちが無邪気に笑う姿を見て、尊は自身のしでかした事の重大さに、
今更ながら身震いするほどの戦慄を覚えたのだった。




