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カルテット・マジコ  作者: piku2dgod
Issue#06 I I I Little Talks

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issue#06 I I I Little Talks CHAPTER 03 07

報告

おせちのデザインが決定稿になった

https://syosetu.com/usernoveldatamanage/top/ncode/3071292/noveldataid/28333795/

世の準備万端な親たちであれば、ここからが本番だろう。姓名判断の書物を枕元に積み、

画数を数え、縁起を担ぎ、社に詣で、祖父母の意見と流行とを天秤にかけて、

ひと月でもふた月でも唸り続ける。我が子の一生を背負う2文字3文字である。

それだけの手間をかける価値は、たしかにある。


……だが、彼女の身の上に、そんな優雅な選択肢は残されていなかった。

なにせ、たった半日で4児の母である。この先の生活に、余裕という文字は1画たりとも含まれていないことがすでに確定している。ならば悩む時間さえ惜しい。

幸か不幸か、命名とは神域の職掌――山にも川にも国にも、彼女はかつて名を与えてきたのだ。


(要するに、いつもの仕事じゃ。……よし、この場で全員、片付ける!)

神は袖をまくった。


……まずは左端。オレンジ色の髪がすでにだいぶ生えそろった、あの重箱の娘である。

川原の朝日。黒漆の艶。一の重で眠っていた、おせち料理ならざる中身。


「お前は――『おせち』じゃ」

即決だった。0秒である。これ以上の理由も、これ以外の候補も、彼女の中には存在しなかった。

名付けられた当人は、あずかり知らぬ顔ですやすやと眠っている。


「――」

続いて、隣の赤毛。こちらにも手掛かりがあった。彼女が詰まっていた、

あのユニオンジャックを臆面もなく全面に刷ったクッキー缶である。

その極彩色を見つめるうち――尊の脳裏に、1枚の写真が鮮やかに蘇った。


あれは2010年、ワールドカップの年。場所は南アフリカ、ロイヤル・バフォケン・スポーツキャンパス。揃いのスーツに身を包み、国の期待を一身に背負って現地へ降り立つ、イングランド代表の面々を収めた報道写真だ(なぜ神がそんなものを覚えているかといえば、大会の勝敗にいささかの金銭が絡んでいたからだが、それはまた別の話である)。


ルーニー、ランパード、ミルナー、テリー、ジェラード……並み居るスターたちの、

その後列。人垣の奥から顔を半分だけひょっこりと覗かせていた男、アシュリー・コール。

なぜだか、その姿が、眼前ですうすう眠る赤子と重なって見えた。理屈ではない。強いて言えば、

面構えである。


「……アシュリー。うむ、アシュリーじゃ。たしかあの名は、おなごにも使えるはず。……使えるじゃろ。うむ、使える。決まりじゃ!」

疑問を自力でねじ伏せ、彼女は赤子に指を突きつけた。命名の決まり手は、

缶と、30年近く前のうろ覚えの写真。それだけだった。


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