issue#06 I I I Little Talks CHAPTER 03 03
川原から。缶から。天から。星の彼方から。
出自も種族もてんでバラバラ。共通点など、毛の1本ほどもない。ないはずなのだが――
「オギャアアアッ!!」
「フギャアアアアッ!!」
今、彼女たちはただ1点、腹の底から突き上げる猛烈な「要求」において、
完璧なる共闘関係を築いていた。手足をバタつかせ、顔を茹でだこのように染め上げ、
全身全霊で何かを訴えている。
「む……むむむ……」
尊は腕を組み、眉間に渓谷のごとき皺を刻んで、4人の小さな暴君を見下ろした。
3000年分の叡智が、うなりを上げて仮説を組み上げていく。暑いのか。寒いのか。まさか、
早くも縄張り争いか。
……否。もっと根源的で、もっと切実な何かだ。
「そうか……腹か!腹が減っておるのじゃな!?」
その答えに行き着いた瞬間、4つの泣き声が、示し合わせたようにひときわ高く跳ね上がった。
肯定である。いかなる言語よりも、いかなる神託よりも雄弁な、満場一致の肯定である。
「わかった、わかった!待っておれ、すぐじゃ!すぐに用意してくるからのう!」
尊は着物の裾を荒々しくたくし上げ、玄関を蹴破る勢いで飛び出した。
車?論外だった。あんな鈍重な鉄の箱に、この一刻を預けられるものか。
ダンッ!
と地を蹴った刹那、参道の砂利が円形に爆ぜた。景色が溶けて1本の線になる。
音が置き去りにされる。白走の街並みが、夕焼けごと後方へすっ飛んでいく。商
店街ののぼり旗が竜巻に巻かれたようにはためき、犬の散歩中の老人が「今の何じゃ」と振り返った頃には、彼女はもう1km先にいた。




