issue#06 I I I Little Talks CHAPTER 02 13
「……!」
声にならない声が、3つ、律儀に重なる。
3つの体は、膝から先に返事をやめた。糸を抜かれた操り人形の順序で腰が落ち、
肩が落ち、首が垂れ、3人は互いの肩へもたれ合うようにして、
板の間へ崩れて重なった。宙に伸ばされたままだった2本の腕も、その山の上へ一緒に落ちる。
主を失ったバタフライナイフが、からん、と板の間を転がっていく。
回るたび、刃が残光を拾っては手放し、拾っては手放した。
文字通りの瞬殺だった。
「……使い捨ての闇バイトだってな、普通はもうちょい勝ち目のあるとこから取るぞ」
アシュリーが、倒れた山へ向けて総評を投げた。こうして、
カルテット・マジコの戦歴において最も小規模で、かつ最も愚かな悪党討伐は、
開幕から数分と保たずに幕を下ろした。
「……おい脳みそ、縄!縄持ってこい!あと、警察に電話な」
「そのくらい、自分で持ってくるでちゅ!わちきはこれから、トリートメントの塗りなおしに行かなきゃならないんでちゅ!」
蹴り飛ばされた当の被害者は、毅然と抗弁した。惨劇の現場よりも、乱れた頭の手入れのほうが一大事らしい。
「つーか、そんなもん、どこにつけるんだよ……」
アシュリーは苦虫を噛み潰した顔でぼやきながら、その場に片膝をついた。
折り重なった窃盗団を1人ずつ引き剥がし、仰向けに転がしていく。首筋へ裏手を添え、
脈を数え、呼吸を確かめる。口の悪さとは裏腹に、その手順は救命講習の見本のように正確だった。




